2018年のラリー、ジムカーナ、ダートトライアルでも、多くの選手がヨコハマタイヤを装着して戦った。中でも全日本選手権にはADVANブランドの誕生40周年を記念して、3つのカテゴリー全てにRed in BlackのADVANカラーをまとうマシンが登場し、大いに注目を集める存在となった。一年を締めくくる企画として、各カテゴリーでチャンピオンの栄冠を勝ち取った選手をご紹介するシリーズ、第1弾は全日本ジムカーナ選手権をお届けします。
全日本ジムカーナ選手権では、実に16年ぶりとなるADVANカラーのマシン復活が話題を集めた2018年のシリーズ。Red in Blackをまとうマツダ・ロードスターを駆ってPN1クラスに参戦したのは、2002年以来のADVANカラーをドライブすることになった斉藤邦夫選手だ。
SA1クラスからPN1クラスへと、斉藤選手が移籍したのは2016年。移籍2年目となる昨年は、ADVANA 052を武器にシリーズチャンピオンを獲得したのも記憶に新しいところだ。そして2018年は、マシンこそ同じながらADVANカラーをまとっての参戦。開幕戦では第1ヒートでベストタイムを叩き出すも、第2ヒートで前出走のライバルがこれを逆転。しかし最終出走の斉藤選手は鮮やかにベストタイムを更新、初戦を制して幸先よいスタートを切った。
その後、第2戦のTAMADAこそ下位に留まったものの第3戦・エビス、第4戦・名阪と続けて表彰台に立つと、一年の折り返しとなる第5戦のスナガワで2勝目をゲット。後半戦に入り更にチャージ、第7戦・SUGOと第8戦のイオックスを制して迎えた第9戦の恋の浦では見事な3連勝を飾り、最終戦を待たずしてチャンピオンを獲得した。
2002年にシビックでADVANカラーを走らせて、望まれた結果を出して「あぁ、良かった」という思いと「やっぱりADVANカラーは大変だな」という思いをしたのですが、正直なところ「もうADVANカラーのマシンに乗ることは無いだろうな」と思ってジムカーナをやってきたのです。それがオフシーズン中にオファーをいただき16年ぶりに乗ることになりましたが、このカラーにすることに加えて40周年という節目だったこともあり、よりチャンピオン獲得の重要性が高くなった一年でした。
SA1クラスは、ADVAN A050で戦うヨコハマタイヤ勢がチャンピオン争いの主役となった2018年。10戦中8戦でヨコハマタイヤ勢が優勝、ホンダ・CR-Xとシビックを駆る選手同士の激戦が演じられてきた。
その主役となったのは、ディフェンディングチャンピオンの若林拳人選手。2015年の第2戦で全日本デビュー、2016年には兄・隼人選手がSA1クラスの王座を獲得した一方、拳人選手も3戦に出場して全てで表彰台を獲得している。そして2017年には、4勝を挙げて兄に続いてのチャンピオン獲得を実現した。
2018年は第2戦と第4戦を制したが、同じヨコハマタイヤで戦う小武拓矢選手や志村雅紀選手も食い下がり、僅差の接戦でシーズンは後半戦へ突入。しかし第7戦のSUGOを制すると、ここまでで欠場したスナガワを除き全てで優勝か準優勝という安定した成績を強みに、第8戦のイオックス優勝で2戦を残して2年連続チャンピオンを獲得した。
ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ2018年は、なかなか連勝が出来なくて悩むこともあった一年でした。特にマシンの面ですが、開幕戦からミッションが欠けたりフレームが割れたりというトラブルが発生して、第7戦のSUGOの頃にやっと仕上がったような状態でした。それまでは、戦いが終わる毎に修理という日々で、しかもシーズンが10戦になってインターバルが短いので大変でした。
ただ、成績的には悪くても2位だったので、精神的に余裕が全く無いわけではありませんでした。さらにラッキーだったのは、自分が負けたときの優勝者が一人に固定されなかったので助かりましたね。あれが誰か一人が勝っていたとしたら、自分のメンタルには相当なプレッシャーになっていたのではないかと思います。
チャンピオンを確定した第8戦のイオックスアローザでは、マシンも復調して有利な条件での戦いとなったので、去年と比べてかなりリラックスして臨むことが出来ました。2年連続でチャンピオンになれましたが、自分自身としてはセッティングの面で“引き出し”を増やすことが出来たと思っています。一方で色々分かってきたからこそ、路面状況によるセッティングの違いで悩むことも増えました。それまではあまり細かくセッティングをしていなかったのですが、少しやるだけで「こんなに違うんだ!!」、と(笑)。
一年を振り返って、印象にもっとも残る一戦は第4戦の名阪です。勝った事の無いコース、1本目でライバルが第1ヒートでトップタイムを出して自分は精神的にきつく、マシンもミッションがかなり厳しい状態と追い込まれていました。そこで捨て身のアタックをしたら、第2ヒートで破綻することなく走りきって逆転優勝、これは自分にとって大きな自信にもつながる一勝となりました。
UPDATE : 28.Dec.2018