2016 JRC Round 6 Report

【全日本ラリー選手権 第6戦/群馬県嬬恋村】

全日本ラリー選手権に「ADVAN A052」がデビュー、
最高峰のJN6を筆頭に3つのクラスでデビューウィン!!

JRC Round 6

開催日 2016年8月26日-8月28日
開催場所 群馬県嬬恋村 近郊
天候/路面Day1) 雨/ウェット
Day2) 曇り/ハーフウェット~ドライ
総走行距離 317.644km
SS総距離 68.775km (16SS)
得点係数 1.0 (舗装路50km~100km)
参加台数 63台 (オープンクラス含)
(ヨコハマタイヤ装着車 29台)
全日本ラリー選手権 第6戦

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後半戦に入った全日本ラリー選手権、第6戦は3戦ぶりとなるターマック(舗装路)が舞台。「モントレー2016 in 嬬恋」は、特産品であるキャベツの収穫も最盛期を迎えている群馬県嬬恋村を舞台に開催された。競技は週末の二日間で16本のSS(スペシャルステージ)、合計68.775kmで競われる。そして本大会は、8月1日に発売された「ADVAN A052」にとって全日本ラリー選手権のデビュー戦となり、その走りにも大いに注目が集まった。

ここ2年、モントレーは雨が勝敗をわけるひとつの要因となっている。生憎、今年も迷走した台風10号の影響もあり、土曜日は朝から雨模様となりウェットコンディションで戦いの幕は開けた。そんな中で迎えたオープニングステージの「Sajiki 1 (5.222km)」、スタートから上り勾配が続き約4kmで標高差300mを駆け上がると、そこからフィニッシュまで1kmで70mを下るこのステージで、新井敏弘選手/田中直哉選手組(WRX STI)が3分31秒4のベストを刻むと、奴田原文雄選手/佐藤忠宜選手組(ランサー)が3分31秒8の僅差で続き、「ADVAN A052」を装着する2台だけが31秒台に叩き込む。

新井選手組は続く二車線で道幅の広い県道のSS2「Omae Suzaka Down 1 (5.316km)」、さらにサービスパークに隣接する0.491kmの特設ギャラリーステージと3連続ステージベストをマーク。セクション1を終えてトップは新井選手組、2.1秒差の2番手が奴田原選手組という、ワン・ツー・フォーメーションを構築した。

セクション2に入るとリピートのSS5「Omae Suzaka Down 2」で奴田原選手組のタイムが伸び悩みポジションを4番手にドロップしたが、新井選手組は4回目のベストでリードを拡大。2回目のサービスで奴田原選手組はセットアップを修正、セクション3に入って最初のSS7「Sajiki 4」で待望のステージベストを刻むとDay1の締めくくりとなる2回目の特設ギャラリーステージでもベストを刻み巻き返しを見せる。

初日を終えてトップは新井選手組で、2番手に4.4秒差をつけている。奴田原選手組は4番手だが、3番手のライバルには0.7秒と肉薄。両選手ともタイヤは「ADVAN A052」、初日を新品でスタートして約15kmのSSを走った後の2回目サービスで前後をローテーション。そしてDay2はフロントに新品を投入してスタートした。

標高1,500mに位置するサービスパークのパルコール嬬恋は雲の中、終日雨に見舞われた日曜日のDay2。しかし林道ステージは雨が止んで路面は徐々にドライへと変化、朝一番のSS10「Mihara Kadokai Short 1 (4.023km)」は道を木々が覆っている前半区間はハーフウェットだが、空が開けた中盤はドライになりつつあった。三次元的なウネリと短い中に異なるキャラクターの道が混在するこのステージは多くの選手が「攻略が難しい」と語っていたが、さらに濡れている箇所と乾きつつある箇所が混在したことで、タイヤの路面に対する対応性能も試された。

もちろん、そんな場面だからこそ「ADVAN A052」のポテンシャルは遺憾なく発揮された。それはステージベストが新井選手組、セカンドベストが奴田原選手組というリザルト、さらに言えば両クルーのみが3分00秒台をマークしており、新井選手は3番手のライバルに1秒以上の差をつけていることでも明らかである。

その後は両クルーともにセクション4を終えてフロントタイヤに新品を投入、最終セクションへと臨んだ第6戦。新井選手組は初日の後半からターボチャージャーが完調ではなかったが、一度もトップを譲ることなくマシンをフィニッシュまで運んで、地元・群馬での一戦を昨年に続いて優勝で飾った。

一方、奴田原選手組はSS10で3番手に浮上すると、SS11「Panorama Reverse (5.518km)」で2番手のライバルに0.4秒差と肉薄して射程圏内にとらえた。そして続くSS12「Omae Suzaka UP 1 (5.737km)」でステージベストを刻むと2番手を奪取、SS14「Mihara Kadokai Short 2」でもベストを刻んでフィニッシュ。JN6クラスでは「ADVAN A052」がデビュー戦でワン・ツー・フィニッシュを飾って強さを見せた。

JN6と同様に「ADVAN A052」が優れたパフォーマンスを見せたのがJN2クラス。こちらはTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジで速さを見せている山本悠太選手が内田園美選手とのコンビでトヨタ・86を駆ったが、初日のオープニングから2番手を4.6秒、およそ0.9秒/km引き離す断トツのベストタイムを叩き出す。続くSS2も連続ベスト、しかしSS3ではシリーズランキングリーダーの小濱勇希選手/馬場雄一選手組(BRZ)がベストを刻んで意地を見せると、SS4は明治慎太郎選手/北田稔選手組(86)がベストと、ヨコハマタイヤ勢による三つ巴の戦いという展開になっていく。

初日は9本のうち8本のSSでヨコハマタイヤ勢がベストを奪ったが、一夜明けた日曜日のDay2では8.9秒差の2番手につけている明治選手組、そして3番手の小濱選手組が山本選手組を追ってステージベストも奪っていくが、山本選手組が初日のリードを背景に逃げきりに成功。山本選手は2回目の全日本選手権で嬉しい初優勝を飾り、2位に明治選手組、3位が小濱選手組と「ADVAN A052」装着車が表彰台を独占。小濱選手組はランキング争いでライバルとのポイント差を広げる、大きな意味のある表彰台獲得となった。

また、JN1クラスでも「ADVAN A052」が優勝を飾った。昨年のモントレーも制しているベテランの須藤浩志選手/新井正和選手組(スイフト)が力走、二日目の難しいコンディションも安定した走りでマシンをフィニッシュまで運び、今シーズン3勝目を飾ることに成功した。

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DRIVER VOICE

新井敏弘 選手 [富士スバル アライモータースポーツ WRX]

【今回の成績 : JN6クラス 優勝】
初日がウェット、二日目はセミウェットからドライと路面がいろいろなラリーでしたが、「ADVAN A052」はまさに“万能選手”という感じで、良いパフォーマンスを見せてくれますね。初日にはヘビーウェット気味な箇所もあったのですが、ハイドロプレーニングにもなりませんでしたね。「ADVAN A08B」と比べてタイヤがよりしっかりしている感じで走りやすく、狭いステージなどでは連続するコーナーを的確にとらえて行けますね。初日はスプリングレートを下げて雨にあわせてスタートしましたが、序盤から連続ベストで主導権を握り、二日目もオープニングでベストを刻み、概ね思った通りの流れでフィニッシュまで運べました。

奴田原文雄 選手 [ADVAN-PIAA ランサー]

【今回の成績 :JN6クラス 2位】
「ADVAN A052」のデビュー戦でワン・ツー・フィニッシュを出来て良かったと思います。初日を4番手で折り返しましたが、色々と手直しもして二日目で巻き返すことが出来ました。ラリーは走るエリアも広く、今回のように様々な気象/路面条件が重なることも珍しくありません。その点で「ADVAN A052」は初日の雨でも何の問題もなく走れましたし、二日目のハーフウェットから路面温度の低いドライ路面まで良いパフォーマンスを見せてくれました。

山本悠太 選手 [Sammy ルブロス K-one YH 86]

【今回の成績 :JN2クラス 優勝】
ニュータイヤのデビュー戦で1-2-3、さらに自分がトップで嬉しいです!! 7月末に奴田原選手が主宰しているラリースクールを受講したのですが、そこで自分の“引き出し”が増えました。走りもそうですが、ペースノートの作り方が特に今回の優勝に活きています。オープニングステージで大きくリードして気持ちは楽になったのですが、その後の明治選手からの追い上げが凄くて、そこをなんとか持ちこたえられたのが大きかったです。今回の全日本初優勝は、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジなど今までにやってきたことのひとつの集大成になりました。

明治慎太郎 選手 [YH Gd 高崎くす子 86]

【今回の成績 :JN2クラス 2位】
今回から「ADVAN A052」で戦いますが、タイヤがとても素直というか乗りやすくて、ウェット路面でも安心感がありますね。ラリーはとても楽しく走れたのですが、SS1で様子を見すぎてしまったので……。雨の中、アクセルを踏んで行けるとは思っていたのですが、最初のステージということで慎重になりすぎてしまいました。あそこで10秒やられたので、それが最後まで響く結果になってしまいましたね。

小濱勇希 選手 [YH フェイスクラフト BRZ]

【今回の成績 :JN2クラス 3位】
僕が1位での表彰台独占にしたかったのですが……(苦笑)。「ADVAN A052」はドライでは走ってすぐにグリップの高さを感じたのですが、初日は雨の中でどこまで行けるのかを探りすぎてしまいました。結果的にはウェットでもしっかりグリップしてくれるし、滑ってもいきなり破綻しないコントロール性能の高さを確認出来たのですが、そこに気づいたときには“時既に遅し”でした。シリーズ争いではライバルより上位でフィニッシュしてデイポイントも獲得してリードを広げられたので、やるべきことは出来たと思っています。

TECHNICAL INFORMATION

二日間の競技は初日が雨/ウェット、二日目は曇りでハーフウェットからドライと、多様な路面コンディションになった。特に二日目はステージによって濡れた箇所と乾いた箇所が混在しており、タイヤにとっては幅広い領域での対応性能が試されることとなった。

そんな中で今回が全日本ラリー選手権のデビュー戦となった「ADVAN A052」は、最高峰のJN6クラスでワン・ツー・フィニッシュしたのを筆頭に、JN2クラスの表彰台を独占、JN1クラスも制して3つのクラスで優勝を飾った。初日、二日目とも多くのステージベストを刻んでいることはウェットからドライまで優れたポテンシャルを有することの証であり、さらにハイパワーな4輪駆動車から、後輪駆動、そして前輪駆動まで、駆動方式や車種を選ばないパフォーマンスの持ち主であることも、3クラス制覇で実証されたと言える。