2015 JGC Round 5 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第5戦/スナガワ】

タイヤに厳しいシリーズ屈指の難コースのスナガワで、
PN4クラスの岡野博史選手が貴重な3勝目をマーク!!

JGC Round 5

開催日 2015年6月6日-7日
開催場所 オートスポーツランドスナガワ
(北海道)
天候 晴れ
路面 ドライ
参加台数 85台
(ヨコハマタイヤ装着車 23台)
2015 全日本ジムカーナ選手権 第5戦

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全日本ジムカーナ選手権第5戦の舞台は、北海道砂川市にあるオートスポーツランドスナガワのジムカーナコース。この施設は河川敷に設置されており、ジムカーナのほか、全日本ダートトライアル選手権の会場も併設されている、北海道のスピード行事のメッカだ。

遠征費用がかかることもあり、スキップする選手も多かったスナガワラウンドだが、今年は昨年より11台も多い85台の参加を集め、11クラスすべてが成立。ポイントランキング上位の選手の多くが参戦し、密度の濃い戦いが繰り広げられた。2戦のスキップが可能な2015年の全日本ジムカーナだが、次戦関越ラウンドは最大で120台までと特別規則書に掲載されているため、今季の成績次第では出場できない可能性もある。そのため、ここでのポイントは、後々のタイトル争いにおいて大きな比重を占めることになる。

このスナガワラウンドでは、自然豊かな北海道らしい取り組みとして、ジムカーナの大会運営によって排出せざるを得ない温室効果ガスを、植林など別の場所での環境保護活動により代替する「カーボンオフセット」の取り組みも実施された。募金を集めるかたちで行われ、多くの選手やジムカーナ関係者らが積極的に募金を行っていた。

毎年選手を悩ませるチャレンジングなコースレイアウトが設定されるスナガワだが、今年は1分30〜40秒台と全日本のコースとしては比較的長めの設定。例年と同様に前半はハイスピードな島回り区間で、3速に入る箇所も設けたダイナミックなレイアウトを採用。後半のパイロン区間では、同じパイロンを何度も回る複雑なラインを描き、第1ヒートはミスコースする選手も続出した。

スナガワの舗装路面は粗いため、1回の走行だけでタイヤが大幅に減ってしまうというほど、コース全域にわたってタイヤへの攻撃性が高いことで知られている。しかも島回り区間とパイロン区間でも路面の傾向がまったく異なり、パイロン区間内だけでも補修された場所によってグリップレベルが猫の目のように変わるという特性を持っている。そのため、第1ヒートのミスを第2ヒートで取り返すことが難しく、ほかのラウンド以上に第1ヒートでタイムを残すことが重要だ。

そんな全日本屈指の難コースを見事に攻略したのが、ADVAN NEOVA AD08Rを使用するPN4クラスの岡野博史選手だ。第1ヒートで細かいミスはあったものの、ライバルに0.3秒差のトップタイムをマーク。第2ヒートはライバルが岡野選手のタイムを更新できずに優勝が確定したが、岡野選手はタイヤのグリップを最大限引き出し、第2ヒートの後半区間で絶妙なパイロンワークを披露し0.1秒のタイムアップに成功。今季3勝目を挙げて選手権を1歩リードした。また、昨年のスナガワラウンドのウィナーである角岡隆志選手は3位に入賞した。

ポイントランキングでは5位と気が抜けないN2クラスの小林辰朗選手も、ADVAN A050の真価を十二分に引き出した。第1ヒート、中間タイムでベストタイムを刻んだ小林選手は、ライバルにわずか0.044秒差ながらトップを死守。この第1ヒートのタイムがそのまま決勝タイムとなり、N2クラスで唯一2勝をマークした。ランキングでも3位に浮上し、残り3戦の結果次第では逆転チャンピオンの可能性も見えてきた。

今シーズン、ヨコハマタイヤユーザーが上位を席巻しているSA1クラスは、地元北海道勢を含め、今大会最多の18台がエントリー。そのなかで、工藤典史選手が「1シーズンで2勝を挙げたのは初めて」という2勝目をマークした。前半のハイスピード区間に照準を絞ったセッティングが功を奏し、第1ヒートのタイムで優勝を決めた。2位にはマシントラブルから脱した斉藤邦夫選手が、3位にはCR-Xの服部諒一選手が今季初の表彰台に上り、2戦連続でヨコハマタイヤユーザーが表彰台を独占した。

なお、例年スナガワラウンドではマシンの改造範囲の自由度が高いJMRC北海道ジムカーナラジアルシリーズも併催されている。旧車、輸入車、改造車など多様なマシンが総勢14台集結し、全日本選手と同じコースで戦えることは、北海道の選手にとっていい刺激にもなっている。4WDで争われるR2クラスでは、ADVAN NEOVA AD08Rを履く鈴木雄策選手が優勝を果たし、会場を沸かせてくれた。

DRIVER VOICE

岡野博史 選手 [ADVAN リジット ランサー]

【今回の成績 : PN4クラス 優勝】
スナガワの路面は攻撃性が強く、しかも部分的に補修が繰り返されてきたため、路面状況が頻繁に変化するなど難しいコースですので、とにかく大きなミスをしないよう確実に走ることを心がけました。特にこのコースは少しでも突っ込みすぎると大きくタイムをロスしてしまうので、まずは確実に完走することで、勝利につながるような戦いをすることが必要だと思いました。全体的に表面が粗くタイヤへの負担が大きい路面でしたが、ADVAN NEOVA AD08Rは第2ヒートもしっかりグリップしてくれましたし、コントロール性も良かったですね。次戦は得意のパイロンコースでホームコースでもある関越スポーツランドでの戦いになるので、優勝できるように頑張ります。

小林辰朗 選手 [ADVAN ザクロス RX7]

【今回の成績 :N2クラス 優勝】
もう1戦も落とせない状況ですから、前戦名阪ラウンドに続いて今回も優勝ができてホッとしています。ただ、走りに関しては第1ヒートでパイロンセクションの攻略をミスしています。前半セクションはいいタイムを出せましたが、どこを攻めてどこを抑えるかなど、攻略方法を完全に間違ってしまいました。第2ヒートはセッティングを変更し、リヤのトラクションを大幅に高めてスタートしました。結果的にはタイムダウンしてしまい、第1ヒートのタイムで逃げ切ることができましたが、セッティング変更は正解でしたし、第1ヒートでミスしたパイロンセクションもしっかり修正して攻めることができたと思います。スナガワの路面には、ADVAN A050のG/Sコンパウンドも最適にマッチしていたと思います。

工藤典史 選手 [ADVANspmITOシビック]

【今回の成績 :SA1クラス 優勝】
今回はパイロンセクションよりも、前半のハイスピードセクションに的を絞ってセッティングしたのが勝因のひとつだと思います。自分はハイスピードコーナーの方が得意なので、得意な部分を伸ばす方向で攻めました。土曜日の公開練習では斉藤選手に大きく負けてしまい、少々自信をなくしていたのですが、とにかくアクセルを踏むことを考えて攻めたのが良かったのだと思います。今回はADVAN A050のG/Sコンパウンドを4輪に装着しましたが、非常によくグリップしてくれたので、タイヤを信用して安心してアクセルを踏み切ることができました。これで今季2勝目ですが、1シーズンで2勝したのは初めてです。その点でも嬉しいですね。

角岡隆志 選手 [ADVAN TOLAP’ Ω ランサー]

【今回の成績 :PN4クラス 3位】
ADVAN NEOVA AD08Rはここスナガワでは想像以上にグリップが高く、路面とのマッチングは最高でした。ただ、実は左肩を痛めていまして、サイドブレーキを思い切り引けなかったことで、ややタイムロスしてしまいました。でも、自分としてはトップの岡野選手とのタイム差もかなり詰まってきたと思いますし、さらにタイム差を縮めることは十分に可能だと思っています。次戦はしっかり肩も完治させて思い切り走りたいと思っています。

斉藤邦夫 選手 [ADVAN A050 シビック]

【今回の成績 :SA1クラス 2位】
前戦はマシントラブルが起きていたのですが、今回はしっかり直してきたのでマシンの調子は良好でした。タイヤもこのコースではADVAN A050のG/Sコンパウンド一択で、路面にも非常にマッチして最高のグリップを発揮してくれたと思います。ただ、前日の公開練習からややセッティングを変えたのですが、第1ヒートはその仕様に慣れず2番手、第2ヒートはある程度慣れたのですが、残念ながらパイロンタッチしてしまいました。引き続き優勝を狙って頑張りたいと思います。

服部諒一 選手 [ADVAN 風見 AZUR☆CRX]

【今回の成績 :SA1クラス 3位】
実は、現在乗っているCR-Xは昨年から乗り始めたのですが、まだセッティングが完全に決まっていないので、自分の100%の走りはできていません。年式が古いこともあってマイナートラブルも多いので、その点でもなかなか思い切った走りができないのも事実です。ただ、今まではフロントはADVAN A050のG/Sコンパウンド、リヤにはG/2Sコンパウンドを使用していたのですが、今回初めてG/Sコンパウンドを4輪に履いてみたところ、特にターンでのリヤの動きがとてもスムーズになりました。それも上位に入賞できた要因だと思います。

天満 清 選手 [ADVAN ジール クスコ ランサー]

【今回の成績 :SA3クラス 3位】
今回は、第1ヒートでミスコースしてしまったのが優勝できなかった要因のひとつです。こういうミスはここ何年もやっていなかったのですが……。ADVAN A050に関してはスナガワとの相性も良く、第1ヒートでミスコースするまでの区間タイムは良かったので、第2ヒートは気持ちを入れ替えて自信を持って攻めたつもりですが、わずかに届きませんでした。この悔しさをバネに次戦も頑張ります。

FEATURED DRIVER

■PN3クラス : 松崎充意 選手

これまで一貫して後輪駆動車で全日本ジムカーナ選手権に参戦してきた北陸のベテランドライバーが松崎充意選手だ。昨年まではRX-7(FD3S)を駆ってSA2クラスに参戦。全日本タイトルこそ獲得していないが、常にトップ争いに加わるテクニックを披露してきたテクニシャンでもある。その松崎選手が、今季よりスバルBRZに乗り換え、気分も新たにADVAN NEOVA AD08RとともにPN3クラスに挑むこととなった。


「RX-7も楽しいマシンではあるのですが、やはり新しいマシンでチャレンジしたいという気持ちが強かったので、思い切って乗り換えることにしました。BRZは5月に納車されて、今回がデビュー戦となりました」

そう語る松崎選手だが、今回の第5戦スナガワラウンドの決勝日でも、マシンが出来上がってから数日しか経過していないとのこと。まだまだ暫定仕様での出場となった。

「これまで参加してきたSA2クラスに比べれば、改造範囲が狭くチューニングできる箇所が少ないクラスですが、サスペンションやデフセッティングなどはまだまだこれからです。特にRX-7にはなかったトラクションコントロールなどの電子デバイスの使い方がまったく分かっていません」と、まずはBRZというクルマに慣れることが先決だと語る松崎選手。

「今後は可能な限り全戦に参加したいと思っています。マシンを戦える状態に仕上げるには、他の選手からセッティングやドライビングの情報などを得ることが早道だと思っていますが、それには大会の現場にいるのが一番だからです」

そんな新たな挑戦の良きパートナーとなるのは、ADVAN NEOVA AD08Rだ。ヨコハマタイヤを装着するのは、ジムカーナ歴とほぼ同じ20年以上になるそうだが、AD08Rでのジムカーナは初めてだという。

「初めて乗った時は、とても乗りやすいタイヤだと思いました。路面からのインフォメーションが分かりやすいですし、しっかり感があるんです。また、滑り出しも唐突ではなくドライバーにクルマの状況を教えてくれます。初心者からベテランまで誰でも扱いやすいタイヤですね。まずはこのタイヤの性能を100%出し切れるように、BRZに慣れて、思い通りに動かせるように仕上げることが目標ですね」

長年培ってきたテクニックで、ぜひ表彰台の頂点に立つことを期待したい。

TECHNICAL INFORMATION

オートスポーツランドスナガワは、長年走行会などに使われてきたことや、経年劣化などが重なり、路面のアスファルトの中の骨材が表出し、非常にタイヤに対する攻撃性が高い。特に島回りセクションは骨材が露出しているために全体的に粗い。

一方、パイロンセクションは過去に行われた補修の影響もあり、目の細かいヤスリのようにタイヤの表面が削れるような路面になっている。例年グリップレベルは低めと言われてきたが、風化した影響か、今年はややグリップが上がった箇所もあったようだ。

このふたつのセクションの境界線をまたぐ部分も注意が必要。突然アンダーステアやオーバーステアが発生しないよう、慣熟歩行でのチェックとタイヤのインフォメーションが重要になる。

このような路面のなか、スナガワラウンド決勝日の気温は15〜18度、路面温度は両ヒートともに30度前後と1日を通して変化が少ないと予想された。そのため、スタートからグリップ力を発揮するADVAN A050のG/Sコンパウンドが今回の路面にはベストマッチ。G/Sコンパウンドが第1ヒートでのベストタイムと、表彰台獲得に貢献した。