2015 JGC Round 3 Report

【全日本ジムカーナ選手権 第3戦/エビス・西】

エビスサーキットで全日本ジムカーナ選手権を初開催、
SA1クラスはヨコハマタイヤ装着車が上位6台中5台を占めた!!

JGC Round 3

開催日 2015年4月25日-26日
開催場所 エビスサーキット・西コース
(福島県)
天候 晴れ
路面 ドライ
参加台数 129台
(ヨコハマタイヤ装着車 38台)
2015 全日本ジムカーナ選手権 第3戦

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全8戦で競われる2015年の全日本ジムカーナ選手権は岡山、鈴鹿と転戦してきたが、第3戦は今シーズン初の東日本開催を迎えた。戦いの舞台は、福島県二本松市のエビスサーキット西コース。昨年の9月に仙台ハイランドレースウェイが営業終了となったことを受け、同コースで開催予定だったJAFカップの代替地としてコース公認を取得して、全日本選手権のカレンダーに加わった。

今大会では、競技以外の部分でジムカーナを楽しめる催しも行われた。同じ敷地内にある動物園「東北サファリパーク」で、放し飼いの動物と触れ合える「サファリツアー」を選手や関係者が体感できるチケットを提供。土曜日の公開練習走行後には、ジムカーナとドリフトのトップドライバーがコラボレーション、デモランや同乗走行を実施した。また、日曜日の全競技終了後には、今回の決勝コースをエビスサーキット代表の熊久保信重氏が率いるドリフトチーム「チームオレンジ」による2台同時走行でのドリフトで走り抜けるデモ走行も披露した。2013年よりドリフトもジムカーナと同じJAF公認競技であるスピード行事のひとつになっており、ふたつの競技の交流という意味でも有意義なイベントと言えるだろう。

今回のコース設定は、パイロンターン、島回りのテクニカルセクション、スラロームといったジムカーナの要素をすべて盛り込んだもの。スタート直後に360度ターンを行い、ショートカットを巧みに取り入れた島回りを経て、180度ターンの「しまうまターン」までが前半セクション。後半セクションは2本のストレートをつなぐ3カ所のショートカットを使用して大きな島回りを行い、最後にホームストレートを逆走してスラロームで終了となる。

サーキットコースを使用しながらも、ほとんどのコーナーのクリッピングポイントがパイロンによって規制されたことから、パイロンジムカーナに近い印象となった。コース全体に緩やかな傾斜があるため、それぞれのターンセクションや島回りセクションでイン側を離さない最短距離を行くか、それともラインを大きく取り平均速度を上げるかの判断が難しい場面も見られた。また、決勝日は初夏を思わせる好天に恵まれたこともあり、午後になって路面温度が一気に上昇。急激な路面コンディションの変化に対応しきれなかった選手も多く、ほとんどのクラスで第1ヒートがベストタイムという結果となった。

そんな西コースをしっかりと攻略したのが、昨年の4月に仙台ハイランドで開催された全日本ジムカーナ選手権第2戦で全日本初優勝を成し遂げた、SA1クラスの近藤岳士選手だ。ショートホイールベースのCR-XとロングホイールベースのシビックタイプRという好対照のFF(前輪駆動)車両2台がしのぎを削るSA1クラスだが、今回のコースはCR-Xにマッチ。フロントにADVAN A050のG/Sコンパウンド、リアにはG/2Sコンパウンドを装着した近藤選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り今季初優勝を果たした。また、第2戦を制した工藤典史選手が3位に入賞したのをはじめ、SA1クラス上位6台中5台をヨコハマタイヤ装着車が占めるとともに、このクラスはヨコハマタイヤが開幕から3連勝となった。

そのほか、N1クラスでは2014年チャンピオンの箕輪雄介選手が1本目のタイムで3位に食い込み着実にシリーズポイントを獲得。N2クラスの上本昌彦選手は、開幕戦の岡山に続いて2度目の3位入賞。SA2クラスの葛西悠治選手は、全日本戦での自己最高位となる2位を手中におさめた。また、SA3クラスでも天満清選手が3位で3戦連続となる表彰台を獲得した。

また、ADVAN NEOVA AD08Rを武器に毎戦僅差の戦いが繰り広げられているPN部門では、PN1クラスのひでき選手が2戦連続で2位に入賞し、シリーズランキングトップに浮上。PN4クラスは開幕2連勝中の岡野博史選手が2位を獲得し、シリーズランキング首位を維持した。

DRIVER VOICE

近藤岳士 選手 [Moty’s ローリング CR-X]

【今回の成績 : SA1クラス 優勝】
今回はフロントにADVAN A050の高温向けであるG/Sコンパウンド、リアに低温向けのG/2Sコンパウンドを装着してスタートしました。このコースは初めて走ったのですが、タイヤがすごくグリップしてくれて、自分の思いどおりにクルマを動かせました。特に2速で回るコーナーをできるだけ小さく回るように心がけたのが、勝因だったと思います。昨年の第2戦に続き全日本2勝目を飾ることができて、嬉しく思います。

ひでき 選手 [P-KYB スイフト エンケイ S]

【今回の成績 :PN1クラス 2位】
第1ヒートは前半区間に設定された左コーナーが本庄サーキットのヘアピンと似ていて、本庄では1速で走るのが速いのでここでも第1ヒートは1速で走ったのですが、実は2速の方が早かったようです。第2ヒートは2速で走り前半区間はタイムアップしたのですが、今度は後半区間が遅くなり最終的にはタイムダウンしてしまいました。でも、ADVAN NEOVA AD08Rはゴールまで確実なコントロール性を発揮してくれましたし、どうやらこれでポイントリーダーになったようです。今年はまだ一度も優勝していないので、今後は優勝してチャンピオンを目指したいと思います。

岡野博史 選手 [ADVAN リジット ランサー]

【今回の成績 :PN4クラス 2位】
第1ヒートはパイロンに寄りすぎてしまい、リアタイヤがほんの少しだけパイロンに当たってしまいましたね。第2ヒートはギリギリまで攻めたのですが逆転はできませんでした。第2ヒートは路面温度が高くなり、第1ヒートと同じサスペンションセッティングでスタートしたのが失敗だったかもしれません。ですが、装着したADVAN NEOVA AD08Rは最後までしっかりとグリップしてくれましたし、第1ヒートのペナルティを差し引いたタイムは優勝タイムを上回っているので、自分としてはそれほど深刻には考えていません。前半戦をシリーズトップで折り返すことができたので、チャンピオン獲得に向けて次は確実に優勝を狙いたいと思います。

葛西悠治 選手 [MS ファム RX-7]

【今回の成績 :SA2クラス 2位】
今回は、公開練習では上位の選手に全然ついていけず不安だったのですが、決勝のコンディションはADVAN A050の高温向けであるG/Sコンパウンドと路面の相性が非常に良く、グリップしてくれたのが良かったですね。スタート直後のターンもフロントがしっかりグリップしてくれたのでラインを外さずに走れました。結果的に第2ヒートで逆転されてしまいましたが、全日本戦では3位が自己最高位でしたので、今回の2位は非常に嬉しく思っています。今年は開幕戦でも3位に入ることができたので、優勝を狙っていきます。

FEATURED DRIVER

■PN2クラス : 片山誠司 選手

全日本戦には2012年からスポット参戦で挑戦してきたのが、今回のPN2クラスで4位に入賞した片山誠司選手だ。ジムカーナ歴はすでに15年以上というベテランの片山選手は、普段はJAF関東ジムカーナ選手権をメインに参戦しており、昨年も関東PN2クラスでチャンピオンを獲得。全日本戦では優勝こそないものの、2012年シーズンには仙台ハイランドで2位、イオックスアローザでも3位に入賞した実力を持っている。


「最初はサーキットを走っていたのですが、クルマの仕様がイコールではなく、しっかりと1000分の1秒で勝負したいと思ったのがジムカーナを始めたきっかけです。2006年頃まではインテグラで関東N2クラスのタイトル争いをしていたのですが、2人目の子供ができたのを機に活動を縮小し、家族が全員乗れる現在のFD2シビックに乗り換えました」

だが、ジムカーナ熱が再発し、2009年には関東N2+クラスでチャンピオンを獲得。現在は関東の地区戦にPN2クラスで参戦しており、ジムカーナには基本的に妻とのダブルエントリー。ふたりの子供たちを会場に連れてくることもあり、家族を大切にしながらうまくジムカーナと付き合っている好例と言えるだろう。

そんな片山選手のヨコハマタイヤとの付き合いは、メンテナンスを引き受けてくれている小田原のガレージ・ヤマウメ代表で、今回も6位に入賞した梅澤高志選手のススメもあってのことだという。

「ヨコハマタイヤはすごく乗りやすいタイヤだと思います。自分は積極的にクルマを動かして乗りたいタイプなのですが、そんなスタイルにマッチしてくれます」

家族がいることもあり、全日本戦にフル参戦はできないが、「PN2クラスに徐々に若手が増えてきている関東地区で若い選手の壁になり、選手の育成などにも力を入れていきたい」という片山選手。ぜひ多くの若い選手を育ててもらいたいものだ。

TECHNICAL INFORMATION

エビスサーキット西コースは、サーキット特有のグリップ力の高い舗装ながら、アスファルトの粒が細かく、ドリフト競技での使用を経て磨かれた状態となっている。山の一角にあることとコース脇のグラベル部分から砂が舞うことから全体的に砂が乗っており、第1ヒートを終えて路面の砂を掃く清掃作業が行われた。そのため、第2ヒートはドライバーにとってはグリップ感が高く感じられものの、実際にはタイヤのラバーが路面に残っていたため滑りやすいという難しい路面状況に変化した。さらに、午後になって気温が25度前後となり、路面温度も50度付近まで一気に上昇。急激な路面コンディションの変化により、結果的には第1ヒートのタイムが決勝タイムとなるクラスが多かった。路面コンディションの変化にマシンセッティング、ドライビングをどう対応させるかということも、総合的な速さには必要となってくる。

もはや夏場のコンディションとなったが、このような状況では、FF、FR、4WDを問わず、高い応答性とグリップ力を発揮できるADVAN A050のG/Sコンパウンドがベストチョイス。軽量のCR-XのみリアにG/2Sコンパウンドを選択し、近藤選手の活躍を支えた。