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作業事例 紹介シリーズ 「アライメント ヴェロッサの場合」


2021.2.22追記
お知らせコーナーにアライメント メニューを追加致しました。

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インターネットを見たご新規のお客様より、トヨタヴェロッサのアライメント調整をご用命頂きました。

当店ではお客様からご依頼頂く形でのアライメント調整を行うに辺り、必ず事前にじっくりとヒアリングをさせて頂きます。

理由といたしましては、
世間的に「消費者がホイールアライメント調整に期待している事」と、
実際に「タイヤ店がホイールアライメント調整で出来る事」には、
しばしば 大きな乖離が起きるからです。

この辺り、ここ十数年で全国の普通のタイヤ屋さんに、雨後の筍のように増えた3Dアライメントテスターが起こした功罪でもあるんですが、この辺りのお話についてはまた追々別の機会に書く事として、今回は割愛します。

今回、このヴェッロサのお客様がアライメントでお求めになった事は
「DIYで足回りを交換し、自分である程度アライメントの調整を行ったが、一応プロの手でしっかりと見て欲しい」
というご要望でした。
また補足として「走っていて、少し違和感がある」という情報もありました。

違和感という、ドライバーの主観を定量化するのは難しいのですが、この辺りも色々と要素別にお話をきいて、どういった類の違和感であるのかを想像しながらアライメント作業に入る事にします。

アライメント測定を行う前に、まず当店で決めているテストコースで試乗を行います。 これは調整前と調整後の変化を確認する為にも必ず必要な工程です。

ただし、お客様のお車に乗って公道を走るという行為は、時間や距離が長くなればなるほどリスクが高まりますので、最小限の範囲で必要な要素を確認できるようなコースを選んで行っております。
(この時、運転がちゃんと出来るようにシート合わせを行わないと大変危険な事になりますので、試乗する者に合わせてシートは動かさせて頂きますので予めご留意ください)

試乗の結果、今回の車両にはハンドルをまっすぐにした時に、小レベル程度(10段階評価で言えば3~4くらい)の右流れが起きている事が確認できました。

その事を念頭にいれて、アライメント測定作業に入ります。

まずは、前後の4輪トーを確認しました。

このヴェロッサは、当時のマークIIと基本骨格を同じくする兄弟車ですので、足回りはダブルウィッシュボーンタイプとなっており、4輪トーとキャンバーの調整機構が備わっております。

今回、お客様はDIYである程度アライメント調整を行っているらしく、今回のご希望は4輪トー測定と微調整のみでというプランで伺っておりましたが、測定結果から見るとこの状態ではトーによって右流れが起きているようには見えません。フロントトーがトーインが少々キツイのと、リアがトーアウトというちょっと一般公道を走るには少し危険な香りがする状態な事に目を瞑れば、左右のバランスはとれているので、トーだけの要素で考えれば、車はまっすぐに向いています。

そこで、次にキャンバーを測定してみます。

キャンバーを測定した結果は、トーのようには揃っておらず、とくにフロントの左右差が約1度も差がありました。

キャンバーの数字は、車が進む方向としてはトーほどの影響はありませんが、それでも影響は起こります。

特に、今回は左側がー1度30分ほどのキャンバーがついているのに対して、右側がー0度30分付近のキャンバーがついています。

ということは、左前輪が1度30分のキャンバー角だけ右方向に進む力があり、
反対の右前輪は0度30分のキャンバー角だけ左方向に進む力が発生していることになります。

結果、差し引きでこの車の前輪はキャンバー1度分だけ右側に流れる力が発生している事になります。

これがトーで1度ついていると、車はとんでもなく強くながれますが、キャンバーの1度はトーほどには強く流れる力はありません。ですが、真っ直ぐ転がる事もありません。
ですので、この車の右流れ要因の一つとして、フロントキャンバーを要因の一つとして数える事が出来ます。
(ちなみに、リアには逆に車の鼻先を左へ向ける力が起きているので、少し相殺されているかもしれません)

このようにキャンバーが大きくずれている時、今の車はほとんど調整機構を持たないのですが、幸か不幸か(?)ヴェロッサはキャンバー調整機構付のダブルウィッシュボーンサスを持っていますので、ある程度調整がききます。

この結果をうけ、すぐさまヴェロッサのお客様にお電話で状況を報告させて頂き、元々の4輪トー調整に加えて、左前のキャンバー調整を提案させて頂きました。

単体調整の提案を行った理由は、キャンバー調整は1か所につき2200円という料金設定ですので、この場合左前だけなら2200円の追金ですが、左右両方やると4400円の追金となります。

もちろん、お客様が望んで頂ければ、左右調整も行いますし、なんなら4輪全調整も行いましたが、今回はお客様とご相談の結果、必要最小限の費用で、最大限の効果を狙う事としました。

調整しようとして、すぐ分かった事


ナットが超固い!!!


アンダカバーで空間が限定された状態では力が入らず、とてもじゃないですが緩められません。

しょうがないので、調整カムを触る前にアンダカバーを外すことになりました。(;´Д`)

作業担当ベテランYさんによれば、この手のキャンバー調整あるあるだそうです(笑

さて、なんとかキャンバー調整ができました。

この手の偏芯カムによる調整だと、構造的にそれほど大きく調整幅があるわけではないのでどうかなと思いましたが、なんとか30分未満程度の差に収めることができました。


ちなみに、一般的にはキャンバー調整を行ったタイヤのトーは・・・


盛大にずれます。


これはサスペンションの構造的な問題なので、多かれ少なかれ必ず発生する現象です。

ですので、もし皆さんがDIYでキャンバーを調整しようとする場合、必ず直後にトーを調整してください。

今回みたいにフロントだと、車のハンドルが勝手にバランスをとって真っ直ぐは走れてしまうので「ハンドルセンターずれた?」と勘違いしてしまいかねませんが、実際には鬼トーイン(もしくはトーアウト)になってしまってるので、放っておくとタイヤがあっというまにスリックタイヤになります(笑) キャンバーと違って、トーの30分はタイヤ摩耗に多大な影響を与えます。



余談ですが、世の中にはキャンバー調整を行っても、トーがずれない構造のサスペンションもあったりします。

例えばこれ↓


はい、ガチのレーシングカーですね。(笑)


写真の車はオスカーレーシングというメーカーが造っていたレーシングカーなのですが、なんとこの松阪市に工房があるメーカーだったんですよ!
残念ながら、晩年松阪に根をおろし活動されていたこの車のデザイナーさんは、数年前に病で早逝されてしまいましたが、この松阪市でこんなガチなフォーミュラカーが造られていた時代があったのだと、松阪市民の方には知っていて欲しいと思います。 全国に誇る松阪の特産物は牛だけじゃなかったんだと(笑)
(厳密に言うと、写真の車は鈴鹿工場製ですけどネ)


ちなみに、最近発売された市販車で、こんな風にトー変化が起きないキャンバ―調整が出来る車がありますので、ご紹介しておきましょう!

ダラーラ ストラダーレ っていいます!


はい! 当店には一生ご縁の無い車ですね(笑)



閑話休題


脱線しました。(;´∀`)

とにかく、キャンバーは調整完了

キャンバーが直進性に与える影響度というのはトーに比べたらかなり少ないので、トーのように左右差が数分以下とかじゃなくても大丈夫です。(左右差0揃うにこしたことはないですが)

そして、キャンバー調整料金は1箇所につきいくらといなりますので、左右調整すればその分価格も上がります。 左を右に近づけるという方法なら1箇所料金だけで済むわけです。(さっきも同じこと書きましたが)

この辺りはお客様のご希望に合わせて、ご相談にのりながらお客様のご希望に沿って柔軟に対応させていただきます。

ではトー調整に入ります。 まずはトーは後から調整するのがセオリーです。 こちらはキャンバーのように堅くはなく助かりました。 おそらく、ここはユーザーさんでも触っていたのかもしれませんね。

というわけで、調整完了です。

調整後の試乗を行ったところ、右流れの症状は明らかに改善されていましたので、調整の効果アリといえます。
ただ、この車両に関してはアライメント以外のところでも色々悪さをしてそうな要素があり、ヴェロッサ本来のスタビリティと比べれば少々落ち着きが無いのかもしれませんね。
この辺りが、お客様の感じる”違和感”の出所なのかもしれません。

ただ、そこは我々のような街のタイヤ屋さんが行えるアライメント調整でどうにか出来る範囲ではなく、またそれは巷の3Dテスターをもっているタイヤショップであったとしても、結局トーやキャンバーしか調整できない(しない)のであれば同じ事なのです。(根本のシャシーが崩れているのに、トーやキャンバーだけ弄くっても”変化”はあっても”完治”は無いのです)

この辺り、我々は我々のホイールアライメントには限界があることを自覚しています。その為に重視しているのが、最初のヒアリングなのです。
タイヤガーデン松阪店がタイヤのプロとして自信を持ってご提供させて頂くアライメントは、主にトー不良による「タイヤの偏磨耗を直す/予防する」アライメントであり、スタビリティ不良を直すシャシーアライメントの分野は守備範囲外となります。
その為、「お客様がアライメントに求めている事」と「我々がアライメントで出来る事」に齟齬が起きていないかをしっかりと確認させて頂いてから、当店がその時にできる最善の提案をさせて頂きます。


この度は、アライメント調整のご用命ありがとうございました。


■アライメント作業料金(トヨタ ヴェロッサ)
・4輪トー調整(一般国産車) ¥8,800
・キャンバー調整1か所    ¥2,200

合計 ¥11,000

おまけ

これまで、当店のアライメントは常連さん相手の裏メニュー的な扱いで行っておりましたが、最近立て続けにお電話で新規のお客様からお問い合わせを頂くようになり、何故? と思っていたら、インターネットでブログが検索されているんですね! びっくりです。

ただ、当店のアナログアライメントは、巷の超高級3Dテスターにもれなくついてくる、プリントアウト機能が無いので、お客様への解説はその都度写真撮影にイラストとコメントをつけたアドリブ解説書でしたが、これがまぁ作る労力が半端ないのにお客様には解り辛いという、WIN-WINならぬLOSE-LOSEのシロモノでした(笑)

タイヤガーデン松阪店には「問題のある環境は、次の機会までに改善策を設けなければならない」という家訓があります。

そして、実は今回このヴェロッサのお客様から、翌日にもう1台プリウスαのアライメントもご注文頂いておりました。

つまり

今晩中にアライメント専用の解説用紙を造らねばならぬ

という結論が導き出されるわけであります。(゚Д゚;)

頑張れ店長K! 負けるな店長K!


そんなわけで、次週に続きます。