世界のエネルギー輸送を支える横浜ゴムのマリンホースの信頼性と技術

横浜ゴムの技術

世界のエネルギー輸送を支える横浜ゴムのマリンホースの信頼性と技術

MB

私たちの生活に欠かせない石油資源。その安定輸送の要として、過酷な海域で「動脈」の役割を果たすのが横浜ゴムの「マリンホース」です。長年培ってきた独自のゴム配合技術と構造設計を強みに、世界中の海でトップクラスのシェアを誇り、極めて厳格な安全基準を求める世界の大手石油会社各社から絶大な信頼を獲得しています。

原油・石油製品を輸送するための導管となるマリンホース

30~50万トンもの積載能力を有する巨大なタンカーは、そのサイズゆえに直接港へ接岸できないことが多いため、岸から離れた海上に設置された中継地点(ブイ)に係留して荷役を行います。このブイとタンカーを繋ぎ、原油・石油製品を輸送するための導管となるのがマリンホースです。原油・石油はタンカーからマリンホースを通じてブイを経由し、海底パイプラインを通って陸上のタンクに運ばれます。激しい波や潮流、風などの外力が絶えず加わり、万が一破損した際には洋上でのオイル漏れなど致命的な事故に繋がる可能性のあるマリンホースには極めて高い耐久性が求められます。

マリンホース

国際基準を超える実証が支える圧倒的な信頼性

そのため、マリンホースの国際基準は、海洋汚染防止への意識の高まりとともに進化を遂げてきました。2009年に施行された現行ガイドライン「GMPHOM 2009」では、プロトタイプ(試作品)への要求事項として、実運用を想定して数万回もの曲げやねじり、引張を与える動的耐久試験「ダイナミックテスト」の実施が新たに義務付けられています。
横浜ゴムのマリンホースは、この過酷な試験において数万回もの負荷を与えた後でも、新品時と遜色ない耐圧性能を維持することが証明されています。特筆すべきは当社独自の評価手法です。他社がホースの自重を利用して自然に曲げる方法を採ることもある中、横浜ゴムは金具を通じて強制的に負荷を伝える、より過酷な「水平曲げ試験」を採用。国際基準を上回る徹底した限界性能の追求が、一滴の漏洩も許されない海域で選ばれ続ける確かな品質を支えています。

ねじり・引っ張り試験/ダイナミック曲げ試験

異常を確実に捉える視覚的監視システム

海中での異常を早期に発見するため、横浜ゴムは独自の工夫を凝らしたオイル漏れ検知機能をマリンホースに搭載しています。その一つが、漏洩時の圧力に反応する「オイルポット検知器」です。複数層あるホースの第一層が破損した際に、ホース内の圧力上昇によって検知器内の窓の色が白から赤色へと変化するため、どんな種類の油であっても見逃すことなく、迅速かつ確実な異常察知を可能にしています。
さらに、海底と洋上のブイをつなぐサブマリンホースには「オイルポット検知器」に加え、「ツイストワーニング機能(TWS)」を備えています。これは、製品内部の破損をホース本体の「ねじれ」という外観変化に変換して知らせる仕組みです。ダイバーやオペレーターが、目視だけで直感的に異変を察知できるこの二重の監視体制が、オイル漏れの未然防止に大きく貢献しています。

オイル漏れ検知システム/ねじれ検知システム(TWS)

次世代の安全輸送に向けた展望

横浜ゴムでは、蓄積された膨大なデータとシミュレーション技術を活用し、製品単体の高性能化に留まらない、より精度の高い保守管理の実現に向けた開発を続けています。今回ご紹介した評価手法や異常検知システムに加え、通信技術を用いた管理手法やデータに基づく製品の疲労状態の定量化など、新たな技術要素を取り入れたメンテナンス体制の構築を推進しており、これからもエネルギー輸送の安全と海洋環境の保護に貢献していきます。

鉱山用車両向け超大型タイヤの開発