横浜ゴムの技術
タイヤ周辺の空気の流れをコントロールし、自動車の空力性能を向上させるエアロダイナミクステクノロジー
タイヤ
走行中の自動車の周りに発生する乱れた空気の流れは、自動車の性能に影響を及ぼします。横浜ゴムではタイヤ側面の形状を工夫することで、タイヤ周りの気流をコントロールし、自動車の空気抵抗を減らすエアロダイナミクステクノロジーを開発し、10年以上にわたり研究を進めてきました。そして、2024年には、この技術を搭載したタイヤの商品化を実現しました。
燃費悪化や操縦安定性低下に繋がる空気の乱れを改善
走行する自動車におけるタイヤ周辺の空気は非常に複雑に流れています。自動車の前方下部からホイールハウスに入ってきた空気は、タイヤとぶつかり合い、さらにホイールハウスの中を回り込んで自動車の側面に排出されます。この複雑な空気の流れは、タイヤの周辺において乱れた気流となっており、自動車の空気抵抗を増やす一因となっています。
このような自動車の車体側面における乱れた空気の流れは、自動車全体の空気の流れにも影響し、自動車の操縦安定性低下の一因となりうることがわかっています。さらに自動車のボディに乱れた空気がぶつかることで音が発生し、自動車の騒音を大きくしてしまうこともあります。
タイヤ側面に小さな凹みや突起を設けることで、こうしたタイヤ周辺の空気の乱れを改善し、空気抵抗低減により自動車の燃費性能を高めるとともに、操縦安定性、静粛性を向上させる技術がエアロダイナミクステクノロジーです。
フィン状突起を採用した初の市販用エアロダイナミクスタイヤ
当社はエアロダイナミクステクノロジーのアイテムのひとつとして「フィン」を採用しています。タイヤサイドに尾びれ状の突起を配置することでタイヤ周辺に発生する気流の乱れを低減し、自動車の側面の空気の流れをスムーズにする機能があります。
フィンの数や形状、配置を変化させることで、燃費性能、操縦安定性、静粛性のバランスをコントロールすることが可能ですが、自動車の周りの空気の流れは自動車の形状によって様々なため、それぞれの自動車に合わせて形状や配置を最適化することが重要になります。
そのため、当社は市販用エアロダイナミクスタイヤの第1号として、ダイハツ工業(株)の軽オープンスポーツカー「COPEN」向けにタイヤのアウトサイドに12枚のフィンをVの字に配置した「ADVAN A50」を開発。2024年9月より、全国のダイハツディーラーで販売開始しました。
当社は、今後もエアロダイナミクステクノロジーの進化と商品化に向けた研究開発を継続し、自動車の性能向上に貢献していきます。