横浜ゴムの技術
未来のモビリティを支える小型ながら耐荷重性に優れたコンセプトタイヤ
タイヤ
近い将来、車両の完全自動運転化が実現すると、さらなるモビリティの多様化が進むと考えられます。例えば、乗員の快適性を追求した車内空間が広い車両や、多くの荷物を効率的に運ぶために床を低くした車両が普及するかもしれません。また、このような車両は環境に配慮しつつ、スペースを有効活用するために電動化が必須であると考えられます。
このような次世代車両に適したタイヤとはどのようなものでしょうか?
私たち横浜ゴムの一つの答えが、「小型でありながら耐荷重性に優れたタイヤ」です。小さいタイヤでありながら、耐荷重性(荷重負荷能力)を大幅に向上するべく研究開発を進めています。このコンセプトタイヤは、大きく分けて次の二つの技術を採用しています。
高内圧化、高荷重化に耐えうるタイヤ構造
高荷重な車両を効率良く支えるには、タイヤの高内圧化(充填空気圧を高めること)が有効な手段です。しかし、単純にそのまま高内圧化するとタイヤの圧力容器としての安全性が低下してしまいます。このコンセプトタイヤではタイヤのケーシング(骨格部分)を構成する各部材(カーカス/ベルト/ビード)を高剛性化することで高内圧化を実現します。
また、高荷重時の繰り返し変形によるダメージを抑制するため、タイヤサイド、トレッド部のプロファイル形状を適正化。これにより、荷重耐久性能を向上します。
耐摩耗性能に加え、ウェット性能、静粛性を両立したトレッドパターン
荷重増大に対応するため優れた耐摩耗性能を実現しながら、ウェット性能や静粛性を高次元でバランスしたトレッドパターンを新たに開発しました。
- 溝面積を極限まで小さくし、接地面を大きくすることで接地圧を分散させ、局所的な摩耗を抑制
- パターン剛性と排水性を考慮した幅が変わる周方向溝の採用により、耐摩耗性能とウェット性能を両立
- 周方向溝の位置を工夫し、ラグ溝のデザインをIN側とOUT側で変更することで、パターン剛性を保ちつつ、ウェット性能および静粛性を両立
また、次世代車両は環境や人々との共存をより強く求められると考えられるため、これまで以上に静粛性や雨天時の水跳ねなどにも、配慮した形態になると予想されます。こうしたニーズへの配慮でタイヤの上部を大型のフェンダー(泥除け)でカバーする車両が増えることを想定し、本コンセプトタイヤではタイヤサイドのブランドロゴを通常のタイヤと上下反転させることで、視認性を向上しています。
今後も車両やモビリティが変化するにつれ、タイヤに求められる性能も変化していくと考えられます。横浜ゴムはこれからも将来的なニーズを見据え、一歩先の技術開発を進めていきます。