横浜ゴムの技術
ゴムと樹脂の高分子材料技術で
自動車用エアコンホースを大幅軽量化次世代環境対応車のニーズに対応
MB
100年に一度の大変革時代を迎えている自動車産業。中でも大きな影響をもたらすのがパワートレーンの変化です。「2050年までのカーボンニュートラル達成」に向けて世界各国で電気自動車(EV)などの次世代環境対応車の普及が促進される中、航続距離の延長や燃費向上の観点から車両の軽量化が課題となっており、部品に対する軽量化ニーズもますます高まっています。
横浜ゴムが自動車向けに提供する部品はタイヤだけではありません。強みである高分子材料技術をベースに展開するホース配管事業では、多くの自動車メーカーへエアコンホース配管を納入しており、増加する軽量化需要に対応するため、従来のゴムに加え、樹脂の活用を進めています。
ホース材料への樹脂活用により従来品比50%軽量化を達成
従来の自動車用エアコンホースではゴム層を2つ設ける構造を採用しており、冷媒ガスの透過を防ぐガスバリア性を確保するためにはゴム層を厚くするのが一般的ですが、比例して重量も増加してしまいます。
そこで横浜ゴムは独自の材料技術を駆使することで、最適な配合・構造を実現したゴム・樹脂ポリマーアロイを開発。ポリマーアロイは異なる高分子ポリマーをブレンドし、新たな特性を持たせた材料のことで、ゴム・樹脂ポリマーアロイは樹脂の海にゴムの島が分散したような海島構造となっています。
これにより、ゴムの特性である柔軟性・耐熱性を維持しながら、樹脂による優れたガスバリア性の両立を実現。ホースの薄肉化に成功し、従来のホースに比べ50%の大幅軽量化を達成しました。また、製造において多量の熱を使う加硫が不要になったことにより、製造過程におけるCO2削減も実現しています。
配管の樹脂化にも取り組む
横浜ゴムではホースでの樹脂活用に続き、従来金属を使用していた配管の樹脂化による軽量化にも取り組んでいます。すでに高圧ホース配管、低圧ホース配管、リキッド配管と、自動車用のエアコンシステムに用いる全ての配管において製造方法を確立すると同時に、加工工程削減や品質リスクの低減も実現。 また、原料のリサイクルにも取り組んでいます。
今後、横浜ゴムではゴム・樹脂ポリマーアロイホース、樹脂製配管をホース配管事業を牽引する新たな製品のひとつと位置付け、エアコンホース配管と同じくEVにおいても需要があると考えられるバッテリー冷却用ホース配管などへの適用拡大を進めていきます。