ニュースリリース

横浜ゴム、2021年度連結決算は過去最高の売上と利益を達成

2022年02月17日

  • 経営関連

横浜ゴム(株)の2021年度連結決算(2021年1月1日から2021年12月31日)は、売上収益は6,708億円(前期比21.7%増)、事業利益は622億円(同73.3%増)、営業利益は836億円(同132.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は655億円(同148.9%増)の増収増益となり、いずれも過去最高となりました。主力のタイヤ事業において原材料価格や物流費の高騰、国際物流網の混乱、新型コロナウイルス感染症などの影響を受けましたが、海外において北米を中心に値上げが浸透したことや為替が円安に推移したことが寄与し、売上と利益を伸ばしました。

※事業利益は日本基準の営業利益に当たる指標として設定。事業利益=売上収益-(売上原価+販売費及び一般管理費)で算出。
※事業譲渡したハマタイト事業を「非継続事業」に分類し前期の数値も組替えています。

タイヤ事業は売上収益、事業利益ともに前期を上回りました。新車用タイヤの売上収益は世界的な半導体不足による生産調整の影響を受けたものの、新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだ前期を上回りました。市販用タイヤは、国内で乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 7」を発売するなど、国内外において高付加価値商品の拡販に努め、海外では北米、欧州で販売を伸ばしました。また、インドなどアジア地域でも販売を増やし、売上収益は前期を上回りました。

MB(マルチプル・ビジネス)は売上収益、事業利益ともに前期を上回りました。ホース配管事業の売上収益は市況の回復により建機向けを中心とした油圧ホースの販売が好調で、前期を上回りました。工業資材事業の売上収益はコンベヤベルトの国内販売が好調だったものの、海洋商品での大型補用品プロジェクトの延期などにより、前期並みとなりました。航空部品事業の売上収益は民間航空機向けでは需要減退を受け、前期を下回りました。

ATGは売上収益、事業利益ともに前期を上回り、過去最高となりました。農業機械用、産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤの販売が好調でした。

2022年度通期の連結業績予想は、売上収益は前期比11.8%増の7,500億円と2021年度を上回り過去最高を計画します。一方、利益面では原材料やエネルギー価格の高騰、物流費の上昇が影響し、事業利益は同3.5%減の600億円、営業利益は同30.1%減の585億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同38.9%減の400億円を計画しています。配当金は中間配当を1株当たり33円、期末配当を33円とし、年間で1株あたり1円増配の66円を予定しています。なお、2022年度より事業別セグメントを「タイヤ」「MB」「その他」に変更します。「ATG」は顧客および製品特性の類似性などを踏まえ、今後は「タイヤ」に集約します。

中期経営計画「YX2023」の2021年度の進捗と2022年度の活動

横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023 )」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)の下、既存事業における強みの「深化」と大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進することにより、次世代の成長に向けた「変革」を図っています。

タイヤ消費財では「高付加価値品比率最大化」を掲げ、「ADVAN」「GEOLANDAR」「ウィンタータイヤ」の構成比率を2019年度の40%から50%以上にすることを目標としています。そのため「ADVAN/GEOLANDARの新車装着の拡大」「補修市場でのリターン販売強化」「ウィンタータイヤを含む商品のサイズラインアップ拡充」などに取り組んでいます。2021年度はメルセデスAMG G63 BRABUSシリーズ、トヨタ自動車の「ランドクルーザー」海外仕様車と「Lexus NX」などに新車装着されたほか、2021年度を「ヨコハマ冬の陣」と位置付け、乗用車用、バン用、トラック・バス用などのウィンタータイヤを国内と欧州を中心に投入しました。くわえて商品のサイズラインアップ拡充により、2021年度の高付加価値品比率は41%となりました。
2022年度も引き続き「ADVAN」「GEOLANDAR」のプレミアムカーへの新車装着を進めるほか、2022年度を「ヨコハマ夏の陣」と位置付け、今年発売する「ADVAN Sport V107」と「ADVAN NEOVA AD09」に加え「BluEarth」からも2商品を投入し夏タイヤの拡販に努めます。これにより高付加価値品比率を42%以上に高めます。

タイヤ生産財では「コスト」「サービス」「デジタルトランスフォーメーション(DX)」「商品ラインアップの拡充」をテーマに掲げ、市場変化を「探索」しています。成長ドライバーであるOHT事業では、事業強化を目的に横浜ゴムのOHT事業、ATG、愛知タイヤ工業をYokohama Off-Highway Tires(ヨコハマ・オフハイウェイタイヤ)の名のもと、グローバルで事業統合しました。また旺盛な需要への対応として、インドに建設中の新工場の生産能力を当初計画の2.2倍に増強することを決定しました。「DX」では、これまでタイヤマネジメントシステム「T.M.S」による輸送ビジネスのサポートと乗用車向けタイヤ空気圧遠隔監視システム「TPRS」の実証実験によるビジネスモデルを検証してきましたが、今後は取得したデータを収集・分析し、サービス拡充を図ります。

MB事業は強みであるホース配管事業と工業資材事業にリソースを集中し、安定収益を確保できる構造を確立します。2021年度は、ホース配管事業では中国工場の生産能力を3倍に増強する設備投資を行い、工業資材事業ではマリンホースの生産拠点を平塚・インドネシアに集約しリソース集中による強化・拡大を図りました。また、昨年11月にハマタイト事業の譲渡を完了し事業の再構築も着実に進めました。2022年度は、ホース配管事業では茨城工場の生産能力増強と北米での自動車用ホース配管の生産体制再編を行います。工業資材事業ではコンベヤベルトの国内シェア最大化を目指します。航空部品事業はMB 事業戦略の一環として、工業資材事業に統合し構造改革を推進します。

当社はESG活動を事業を強化する実際的な事業戦略の一つとして捉えており、活動を通じて持続的な企業価値向上に繋げていきます。環境では「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」、さらにこれらを下支えする「自然との共生」を3本柱としており、それぞれに中長期目標と達成に向けたロードマップを設定しています。カーボンニュートラルは自社活動分のCO2を2030年に2013年度比38%削減、2050年にネットゼロとし、サーキュラーエコノミーでは2030年に再生可能原料・リサイクル原料使用率を30%以上とすることを目指しています。なお、当社は1月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言へ賛同しました。今後も気候関連への取り組みを含め当社のESG活動の情報を積極的に開示していきます。

決算ハイライト(百万円)

事業別(百万円)