ニュースリリース

世界で初めて“SPH”解析手法をタイヤ開発に導入

トレッドの細溝まで排水性をシミュレーション

2002年04月24日

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横浜ゴム(株)(社長:冨永靖雄)は、計算力学の先端的解析手法である“SPH”(Smoothed Particle Hydrodynamics)を用い、タイヤの排水性能をより精密に解析できるウェットシミュレーション技術を開発した。“SPH”は1970年代後半、宇宙物理学の分野で銀河など星雲の動きを解析するために開発された解析手法で、世界でタイヤ開発に応用されたのは今回が初めて。“SPH”解析手法の導入で、タイヤの排水性能を正確に予測でき、試作タイヤによる実走行テストなどが簡略化できるため、今後開発コスト/期間を大幅に圧縮できるようになる。“SPH”を用いたウェットシミュレーション技術については特許を出願中。
今日、材料、機械、構造物の変形、強度、振動などの数値解析には、有限要素法(FEM:Finite Element Method)と呼ばれる手法が広く普及しており、流体解析にも応用されるようになっている。“FEM”では、解析対象をメッシュ(格子)で要素(区分近似領域)に分割し、各要素の節点に物理量(変位、圧力、温度など)を代表させ、対象を支配する方程式に基づきコンピュータで各節点の物理量を計算して対象全体の変化を解析する。これに対し“SPH”は、メッシュによる要素分割が不要で(メッシュレス)、解析対象を粒子の配置のみで表現して計算するため、分裂や合体を伴う動きが大きな流体の解析に適している。世界的にみても、“SPH”を宇宙構造物へのスペースデブリ(宇宙ゴミ)の超高速衝突に関する研究などに適用した例はあるが、製品開発への適用は極めて少ない。

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現在、タイヤの構造解析は主として“FEM”を活用しており、タイヤ内部の応力やひずみ、転動時の接地圧分布や横力・前後力、ロードノイズなどについてシミュレーションを行っている。ウェット性能のシミュレーションについても“FEM”を用いてきたが、タイヤの転動に伴い時々刻々と変化する水の非定常な流れを追跡することはできなかった。また、水のメッシュ分割に限界があったため、細溝のレイアウトの違いが排水性能に与える影響について厳密に評価できないなどの問題点があった。
こうした問題を解決するため、横浜ゴムは数年前から“SPH”によるウェット性能評価技術の確立に取り組んできた。“SPH”解析技術の研究、スーパーコンピュータの活用などによって、タイヤの転動に伴い時々刻々と非定常に変化する主溝、細溝での水の流れ、またタイヤ溝から排水された水しぶきの方向性までを正確にシミュレーションする技術を確立した。“SPH”は雨天時の排水性能にとどまらず、雪道、氷雪路などさまざまな路面状況でのウェット、トラクション性能の予測にも応用できる。今後横浜ゴムでは、“SPH”を各種タイヤ開発のシミュレーションに幅広く活用していく方針。