【ニュルブルクリンク24時間レース (16Hours~Finish) / ドイツ・ニュルブルクリンク】

例年にも増してタフな展開となった2023年のニュルブルクリンク24時間レース、ヴァルケンホルスト・モータースポーツは100号車が力走を重ねてチェッカーを受けた!!

24h Nürburgring Race

開催日 2023年5月20日-21日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
天候 決勝: 晴れ
路面 決勝 : ドライ

まだ霧は完全に晴れてはいないものの、午前8時半をまわるころからニュルブルクリンクは柔らかな朝日に照らされて、美しくもこれからの後半戦は更なる激化が予想される。

グランプリコースでは、エキゾーストノートが鳴り響く中で、寝袋に包まれてまだ眠りにつくファンもいれば、少しずつ辺りが明るくなる頃から手際よく朝食の準備に取り掛かりながら熱心に応援するファンもおり、ニュルブルクリンクの伝統的な観戦スタイルは第51回目を迎えるいまもずっと変わっていない。

101号車と102号車が夜間から早朝に無念のリタイアとなってしまい、ヴァルケンホルスト・モータースポーツのピットの中は静寂に包まれているが、連日の寝不足にも拘らず、メカニックらはSP9 Pro-Amクラスに出場している100号車(ヘンリー・ヴァルケンホルスト選手/ヨルグ・ブリューワー選手/クリスチャン・ボルラート選手/サミ-マティ・トロゲン選手)と共にゴールをしようと、より一層気持ちを引き締めて、後半戦へ結束を固めた。

21日(日)の正午を迎えてレースは残すところ4時間、気温が19℃まで上昇する爽やかな晴天となった。100号車のBMW・M4 GT3 は総合16位、SP9 Pro-Amクラスの4位を順調に走行中だ。あと一歩のところでトップ3も見えてきただけに追い上げに余念がないが、現時点で3位を走行中のアストンマーティン・ヴァンテージとは4周差だ。グランプリコース+ノルドシュライフェの1周が25.378kmという事もあり、その差を残り4時間で埋める事は容易ではないが、何が起きるのか分からないのがニュルブルクリンクなのだ。

レース終盤となりコース上ではアクシデントも頻発、再び数多くのイエローフラッグや速度制限区域が幾度と現れ、その度にレースのテンポが乱される。それどころか、フラッグの見落とし一回がペナルティとなるだけに現在のポジションを守る為には一つのミスも許されない。

レース終了間際の15時50分。ヴァルケンホルストのピットでは、チーム全員が円陣を組み、チーム代表から今大会でヨコハマタイヤを装着したBMW・M4 GT3に携わった全てのクルーへ労いのことばが掛けられた。「ADVAN」カラーをまとうSP9クラスの2台がともにリタイアという結果だけを見れば満足いく出来ではなかったものの、チームがより結束し、さらに強くなり、残りのNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)に全力を尽くそうと拍手で締めくくった。

ヴァルケンホルスト・モータースポーツは、毎年のようにこのニュルブルクリンク24時間レースに勝つ為に、チーム一同が綿密の計画を持って準備とテストを重ねていただけに、それでも起きてしまうトラブルの連続に、ことばを失うも、これがニュルブルクリンクの厳しさでもあり、またこの地で王者になることがいかに困難な事かを示している。

そしてあっと言う間の24時間が過ぎ去り、時計の針が現地時間16時を指した。ヴァルケンホルスト・モータースポーツのチーム全員の想いを背負い、トロゲン選手がステアリングを担った100号車は24時間で25.378kmのニュルブルクリンクを154周を走行し、大歓声と拍手を受けて、総合16位、SP9 Pro-Amクラス5位でチェッカーフラッグを受けた。

Driver’s Voice

ヘンリー・ヴァルケンホルスト 選手 [BMW M4 GT3 (100号車)  SP9 Pro-Amクラス/チーム代表]

トップ予選で102号車がクラッシュし、なんとしても決勝レースのスターティンググリッドへ送り出すため、チームが一丸となって明け方まで掛かってマシンを修復しました。しかし、その尽力の甲斐なく、この102号車のみならず、101号車までもリタイアしてしまうなど、この週末は私たちが想像していた通りにはいかず、とても残念でした。100号車はポディウムを逃したものの、チェッカーフラッグを受ける事ができたのは、非常に喜ばしかったものの、SP9 Pro-Amクラスのもっと上のポジションを狙えたと思います。

ヨコハマタイヤを装着した3台のBMW・M4 GT3は、数々のトラブルがあったものの、タイヤについてはレースウィークを通じて一度として故障は起きませんでした。これは私たちにとってとてもポジティブな結果であり、ヨコハマタイヤが精力的に開発を進めてくれたお陰だと思っています。

ヨコハマタイヤと更に強くなって、来年もこの地へ戻ってくるつもりです。

Engineer’s Voice

三好雅章 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ]

今季はNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の開幕3戦と予選レースも通じて、ニュルブルクリンク24時間での総合優勝を目標に入念な準備をして挑みましたが、想定通りにはいかない事をあらためて痛感しました。

タイヤに関しては、ドライバーから良いフィードバックを受けた事が大きな収穫となりましたが、このニュルブルクリンクという地で勝つには壁が高いと感じ、今大会の結果が全てだと思い知らされました。

しかし、特に今季のNLSでは、予選がウェットで低気温という、いままでこのニュルブルクリンクではヨコハマタイヤとしては苦手としていたコンディションの中で、パフォーマンスを十分に発揮し、非常に高いレベルの戦いの中で上位に食い込むなど、着実に結果に繋がりはじめていますので、良い方向に向かっている事を実感したと同時に、大きな収穫だと思います。

ヴァルケンホルスト・モータースポーツと共に2020年のNLSではシリーズチャンピオンを獲得していますので、今季も再びそのタイトルを勝ち取るべく、残りのレースをチームと共に毎戦でしっかり成績をだせるようにしたいと思います。

TOP