SUPER GT

SUPER GT 2023
Rd.1 / OKAYAMA
波乱の開幕戦で見えたもの。

2023.4.19

いよいよ迎えたSUPER GT 2023年シーズンの開幕戦となる岡山ラウンド。予選・決勝ともに天候の変化に翻弄され赤旗中断を繰り返すレース展開となった。YOKOHAMA / ADVAN 勢はGT500クラスでは新型ウェットタイヤを早速実戦投入するも、大荒れの展開により決勝では満足のいく結果は出せなかったが、GT300クラスでは的確な判断が光ったTEAM UPGARAGEのNSX GT3が波乱のレースを見事に制している。

Words：菅 正次 / Masatsugu Suga
Photography：田村 翔 / Sho Tamura

まだ課題は残るも
着実に進化した予選結果。

2023年4月15日、16日の2日間、岡山県の岡山国際サーキットを舞台にSUPER GTの開幕戦（第1戦）が開催された。昨年はGT300クラスで#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R、#18 UPGARAGE NSX GT3のYOKOHAMA / ADVAN 勢がワン・ツーフィニッシュを飾っている。開幕戦はもちろん各車ハンデなしのノーウェイト。このラウンドでは公式テストとはまた違う真の実力が確認できることになる。

朝から生憎の雨となった15日の予選日。Q1、Q2のノックダウン方式は従来から変わらないが、今シーズンより各セッションを5分延長した各15分で予選が行われることになっている。GT300クラスはA、Bグループに分かれ、上位各8台の計16台のマシンがQ2進出となる中、YOKOHAMA / ADVAN 勢では進出枠の半分となる8台がQ2へと進んだ。

一方のGT500クラスQ1では、#19 WedsSport ADVAN GR Supraと#24 リアライズコーポレーションADVAN ZのYOKOHAMA / ADVAN 勢は、前半はウォームアップで苦戦したものの終了間際で19号車の国本雄資選手が7番手で通過しQ2進出となった。しかし、残念ながら24号車の佐々木大樹選手は僅か0.2秒足らずQ1敗退となっている。

10分のインターバルを置いて行われるQ2。雨は上がっているが路面はまだウェットコンディション。GT300クラスのQ2では各車がタイムを更新する中、#88 JLOCランボルギーニGT3の小暮卓史選手が1分36秒937とYOKOHAMA / ADVAN 勢トップの4番手をマーク。続いて#4 グッドスマイル初音ミクAMGの片岡龍也選手が1分37秒070で5番手に入り、GT300クラスの予選が終了となった。

【GT300クラス予選結果】
※YOKOHAMA / ADVAN勢の表記はYH

1.　#65　LEON PYRAMID AMG (1’36.038)
2.　#2　 muta Racing GR86 GT (1’36.749)
3.　#7　 Studie BMW M4 (1’36.751)
4.　#88　JLOC ランボルギーニ GT3 (1’36.937 / YH)
5.　#4　 グッドスマイル 初音ミク AMG (1’37.070 / YH)
6.　#31　apr LC500h GT (1’37.697)
7.　#50　ANEST IWATA Racing RC F GT3 (1’37.913)
8.　#56　リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R (1’38.241 / YH)

GT500クラスのQ2では19号車を阪口晴南選手がドライブした。セッション開始早々に各車コースイン。19号車も同時にコースインしウォームアップ走行を行う。しかし、タイヤが暖まりきらないまま周回を重ねるも、9周目で1分30秒322と5番手のタイムをマークしそのまま予選終了となった。

【GT500クラス予選結果】
※YOKOHAMA / ADVAN勢の表記はYH

1.　#23　MOTUL AUTECH Z (1’27.860)
2.　#3　 Niterra MOTUL Z (1’29.035)
3.　#64　Modulo NSX-GT (1’29.347)
────
5.　#19　WedsSport ADVAN GR Supra (1’30.322 / YH)
12. #24　リアライズコーポレーション ADVAN Z (1’30.600 / YH)

GT500クラスのYOKOHAMA / ADVAN勢はまだ課題の残る予選となったが、昨年のウェットタイヤから比較すると進化していることも確かだ。

波乱の決勝は61周で赤旗終了。
UPGARAGE NSXが的確な判断で優勝。

晴天で迎えた16日の決勝日。天気予報では午後から雨とされていることを疑うほどの見事な晴天となり、ウォームアップ走行も全車ドライでの走行。しかし相変わらず予報は雨方向で、チームもそれぞれ降水の予測を立てながらマシンのセッティングを進めていくものの、まずは全車スリックでスタートを切った。

5番手スタートの19号車 国本雄資選手は3番手まで順位を上げ、さらに24号車 佐々木大樹選手も14番手から10番手までジャンプアップ、ドライでもYOKOHAMA / ADVANのファーストラップのパフォーマンスの良さを見せつけた。

しかし、心配していた雨が早くも6周目で降り始める。各車様子を見ながら走行していたが、14周目でGT300クラス2台のコースオフにより、フルコーションイエローからセーフティーカー導入、その後さらに土砂降りとなりコースアウト続出からの落雷による赤旗中断など、今までに見ない大波乱の展開となった。

その状況下でも的確な判断が功を奏して着実にポジションをアップさせてきたのが、GT300クラス 18号車 UPGARAGE NSX GT3。18番手スタートにも関わらず、ベストなタイミングでピットインを行いGT300クラス勢がドライバー交代を終えた頃にはトップに浮上。その後もヘビーウェットかつ赤旗中断を繰り返す状況の中トップをキープし、見事に開幕戦を制することに成功した。

TEAM UPGARAGEは2018年の岡山戦以来の優勝となる。さらに小林崇志選手は今回が100戦目、小出 峻選手はデビューウィンとなるなど、開幕戦で幸先の良いスタートを切ることができた。

一方、GT500クラスでは、19号車はピットタイミングが合わず下位に落ちるがその後の追い上げで9位までポジションを上げポイントを獲得。24号車はセーフティーカー中のスピンなどにより14位でレースを終えている。

【GT500クラス決勝結果】
1位.　#23　MOTUL AUTECH Z
2位.　#3　 Niterra MOTUL Z
3位.　#8　 ARTA MUGEN NSX-GT
────
9位.　#19　WedsSport ADVAN GR Supra (YH)
14位. #24　リアライズコーポレーション ADVAN Z (YH)

【GT300クラス決勝結果】
1位.　#18　UPGARAGE NSX GT3(YH)
2位.　#65　LEON PYRAMID AMG
3位.　#244 HACHI-ICHI GR Supra GT(YH)

GT300クラスで見事開幕戦優勝を果たしたTEAM UPGARAGEのドライバーたちの喜びの声を聞いた。

TEAM UPGARAGE
小林崇志選手
2018年の開幕戦の岡山以来、久しぶりにYOKOHAMAさんとSUPER GTのGT300クラスで優勝することができました。かなり荒れたレースでしたけどチームがすごく良い判断をしてくれたおかげで優勝することができた。2023年シーズン、すごく良いスタートが切れたなと思います。ここからまたYOKOHAMAさんと一緒にシリーズチャンピオンを目指したいですね。

TEAM UPGARAGE
小出 峻選手
優勝することができました。自身としてはデビューウィンということで、本当にこの上ない結果だと思っています。今回は“レース運”の要素もありましたが、チームのストラテジーであったり、何よりYOKOHAMAさんのタイヤのおかげで勝つことができました。次戦以降も今回のような運に左右されたレースばかりが続くわけではないと思うので、しっかりと実力をつけてチームと協力して次戦以降も表彰台、そして優勝と、最終的にはチャンピオンを獲れるように頑張りたいです。

一方でレース後のGT500クラスYOKOHAMA / ADVAN 勢のドライバーのコメントは驚くほど共通したものだった。それは、苦戦した展開の中でもファーストラップの追い上げやウェット路面でのポジションアップなど、YOKOHAMA / ADVANのタイヤのポジティブなところは改めて確認できたというもの。しかし、当然改善しなければならない点も同じく共通しており、今後に向けての対策はさらに明確になったとも言える。

次戦SUPER GT第2戦は、5月3日、4日に富士スピードウェイで行われる。GT500 / GT300両クラスにおけるYOKOHAMA / ADVAN勢のさらなる躍進を期待したい。

（了）