NEOVA AD09

松田次生がネオバを試す!
“純粋な走り好き”にこそ
ボクはNEOVA AD09を勧めます。

2025.6.27

SUPER GT/GT500クラスに“#24 リアライズコーポレーションADVAN Z”で参戦する現役トップドライバー、松田次生。速さのみならずそのセッティング能力の高さにも定評のある松田だが、今回は純粋な“クルマ好き、走り好き”の視点で、“三四郎”こと愛機Z34に装着したADVAN NEOVA AD09をインプレッション。“プロの走り好き”だからこそ真っ直ぐに伝わってくる、松田次生独自のNEOVA AD09評をお届けする。

Words:加茂 新 / Arata Kamo

Photography:小塚大樹 / Hiroki Kozuka

クルマを操ることが楽しくなる。
それがNEOVA AD09の美点。

松田次生──職業、レーシングドライバー。46歳の今も現役トップドライバーとして活躍する。国内トップカテゴリーであり、世界的に見てもF1に次ぐ速さを誇るスーパーフォーミュラで2年連続(2007、2008年)のシリーズチャンピオンを飾り、日本独自にして世界最速級のツーリングカーレースSUPER GTでは2000年から現在まで26年もの長きに渡って参戦する。そのすべてのレースにGT500クラスで参戦(現在は#24 リアライズコーポレーションADVAN Z)している事実には改めて驚かされる。シリーズチャンピオンはこちらも2年連続(2014年、2015年)で獲得。通算24勝という戦績を誇る、現役にして“歴代最強”とも謳われる偉大なレーシングドライバーである。

YOKOHAMA/ADVAN Brand siteでは初となるタイヤインプレッションを担当してくれた松田次生。SUPER FORMULAやSUPER GTといったトップカテゴリーでそれぞれ二度のシリーズチャンピオンに輝いた実績を持つ、速さはもちろんセッティング能力にも長けたトップドライバーである。現在はSUPER GT/GT500クラスに#24 リアライズコーポレーションADVAN Zで参戦中。

そんなアスリートとしての松田次生のプロフィールには圧倒的なものがあるが、今回、我々が注目したいのはプライベートでの彼の姿であり言葉である。そう、松田次生といえば“超”のつくクルマ好きとしてその名を広く知られてもいる。特にGT-R、フェアレディZシリーズには強い思い入れがあり、GT-Rはハコスカにはじまり第二世代、そしてR35までシリーズを所有し、特に好きだというR33は標準車、オーテック製の4ドア、そして伝説のNISMO製コンプリートモデル400Rと3台も所有。フェアレディZはZ31、Z33の限定車である380RS、今回のZ34(愛称は三四郎)、そして現行モデルのRZ34と4台を所有する。

松田次生の数あるGT-R &Zコレクションの中から今回のNEOVA AD09の公道インプレッション用に選んでくれたのは、“三四郎”の愛称で知られるZ34。サーキットからワインディング、高速道路に街乗りまで幅広くカバーすることを想定したきめ細やかなモディファイとセッティングが施された1台だ。セットアップとメンテナンスは三重県のガレージ力が担っている。

サーキットにワインディング、さらには街乗りと、さまざまなシチュエーションで愛車とのドライブを楽しむ松田は積極的なチューニング&モディファイも行う。ノーマルの良さを活かしたクルマもあるし、車高調、LSD、ブレーキキャリパーなどを装着し、スポーツチューニングを施して本格的なサーキット走行を楽しむクルマもある。“三四郎”と名付けられたZ34はまさにそんなスポーツチューンを施してきた1台。そして、そこに松田が組み合わせたタイヤはADVAN NEOVA AD09である。

このZ34は動画メディアの愛車対決企画で“ドリキン”こと土屋圭市氏、そして若手トップドライバーの大湯都史樹選手とサーキットやクローズドコースで対決し勝利したこともあるが、企画的な面で選んだパーツは一切なく、すべてを松田自身が厳選したパーツで組み上げている。エアロキットはスーパー耐久に参戦するZ34と同じイングス製でGTウイングはボルテックス。もちろん合法サイズのものをチョイスしている。サスペンションはこれまでさまざまなシチュエーションでの走行を繰り返しその使い方を熟知しているテイン・モノレーシング。ブレーキキャリパーはエンドレスのモノブロックを投入。ホイールはレイズのZE40をセットし、そこにNEOVA AD09を履かせる。

松田次生がこだわり抜いたパーツで構成されたチューニング&モディファイが随所に丁寧に施された“Z34/三四郎”。タイヤは前後ともにYOKOHAMA/ADVAN NEOVA AD09(285/35R19 103W)を履く。

レーシングドライバーとしての実力、開発能力、セッティング能力の高さは、彼がSUPER GT/GT500クラスで26シーズン目を迎えることからお分かりいただけるはずだ。速いけれどクルマを作れない、要はセッティングができないというドライバーも少なくない。また、その逆としてエンジニアリングは得意だが、速さが物足りないと評されるドライバーもいる。しかし、松田はその両方を高い次元で兼ね備えたドライバーだからこそ、ベテランの域に達した現在もトップカテゴリーで走り続けている。さらに、プライベートにおいても探究心の塊である彼はさまざまなチューニングに精通し、これまで多くの経験を積み重ねてきた。そんな“すべて”を知り尽くした男が選んだのが、このZ34に使われるパーツたちなのだ。

特にこだわっているのはタイヤだと松田は言う。路面と接するのはタイヤだけ。どれほど強大な馬力も、どんなに強力なブレーキ性能も、タイヤが路面を掴んでくれなければ正しく機能してはくれない。彼がNEOVA AD09をZ34に選んだ理由はグリップの高さであり、何よりその扱いやすさにあるという。

「AD09はグリップの高さと摩耗の少なさのバランスが良いですね。純粋にサーキットでのタイムを求めるならYOKOHAMA/ADVANにはA052やA050という選択肢もあります。ボクの三四郎でもタイム重視のときにはA052を履きます。でも、普段乗りでの楽しさ、気持ちよさはAD09のバランスが良い。サーキットでも一般的なコースでA052の約1秒落ちで走れます。それだけタイムが出せるのに摩耗は少なく、さらには街乗りでもワインディングや高速道路でも、タイヤからのインフォメーションが豊かで常に楽しく走れます」

松田が特にこだわっているのがタイヤとホイールとのサイズの組み合わせ。“三四郎”には前後ともに285/35R19 103Wを履く。このサイズの適用リム幅は9.5J~11.0J。この間のリム幅のホイールならば使うことができるが、松田はわずかに細めの10.5Jを組み合わせる。

過去にはタイヤ幅に対して適用リム幅よりも幅の広いホイールを組み合わせる“引っ張り”状態がよしとされている時代もあった。その理由は主にタイヤのサイドウォールの剛性が不足していてコーナリングの限界が下がってしまうためで、幅広リムのホイールと組み合わせることでサイドウォールはハの字に広げて、少しでも剛性をアップさせようという手法である。旧車のレーシングカーにそういったスタイルが多いのは、当時のタイヤの性能を考えた場合は“引っ張りタイヤ”が必須だったからである。

しかし、現代のスポーツタイヤにその思考は不要だ。特に最新のNEOVA AD09は最適なサイドウォール剛性が担保されているので引っ張り状態ではなく、標準リム幅(ある程度の幅はあるが)で使うことを松田は勧める。

「ボクがこの三四郎でスポーツ走行をするなら275幅に10.5Jを組み合わせています。というよりもホイールが10.5Jだから275を履かせていた、というのがより正しいかな。しかし、AD09はサイドウォールの剛性が十分にあるタイヤなので今回は1サイズ上げて285にしてみたところ、コレがドンピシャでさらに扱いやすくなりました」

タイヤの性能を引き出すためには空気圧にこだわることも大切だと松田は言う。一般的にはクルマごとの指定空気圧に従うものであるが、松田はもちろんその数値をしっかり試した上で、Z34の場合は前後ともにタイヤが冷えている時の冷間空気圧で2.2kg/cm2。タイヤが温まったときの温間空気圧で2.5kg/cm2程度を目指して調整している。

「いわゆるスポーツタイヤとしては冷間空気圧で2.0kg/cm2くらいにすることが多いですが、AD09はもう少し高めが合うかなと思います。その方がステアリングレスポンスも良くなって扱いやすくなります。タイヤの剛性と空気圧のバランスが良くなるのがやや高めの空気圧かなと思います。空気圧を低めにするとソフトになるのは間違いありません。特に路面の小さな段差などコツコツとした乗り心地の振動は和らげることができるけど、それでもAD09の場合は走りの性能としてやや高めの空気圧がマッチするタイヤだと思います」

※走行状況や車種によって空気圧のセッティングは異なります。本記事内でのコメントはあくまでも個人の参考例となります。一般公道を走行の際には、運転席側ドア付近の空気圧表示シールをご確認の上、指定された負荷能力を下回らないようご注意ください。

NEOVA AD09は扱いやすい特性が魅力。決して尖った特性ではなく、走り出しから高いグリップを発生するのは暑い日も寒い日も同じ。雨が降っても水膜を溝が吸収してゴムが路面を掴み、安定感を伴ったグリップでドライバーを支えてくれる。そして、その基本特性はサーキットでも変わらない。グリップが突如抜けることもなく、じわじわと限界を超えるからこそ扱いやすい。そして、そこに見た目のカッコよさまで加わるのが、AD09の“良さ”のポイントだと松田は続ける。

「まず、サイドウォールのADVANとNEOVAのロゴがしっかりと映えているのがいいですよね。いかにもスポーツタイヤを履いているということがわかる。ロゴが目立たないタイヤも多いですが、NEOVAはしっかりと映えさせるデザインでそこが気に入っています。あと、タイヤパターンもかっこいい。AD08シリーズからさらにアグレッシブになりました。ブロック剛性の高さが見ただけでも分かるし、トレッドのアウト側のよく見える部分が湾曲したグルーブになっていて、ブロック剛性を失わないようにと溝はあるけど敢えてその溝が繋がっていないという辺りにも、スポーツ性能へのこだわりを感じることができて個人的にグッとくる部分です」

クルマ好きとして、その見た目にはこだわりたい。だからこそ、かっこいいエアロパーツをまとい、GTウイングを装着し、かっこいいタイヤとホイールを装着する。それが松田のこだわりであり、そのニーズを満たすのがNEOVA AD09ということになるのだろう。

クルマを愛し、それを実際に走らせてとことん楽しむ松田次生。無類のGT-Rマニアであるが、あくまでGT-Rは4WDであると評する辺りにも松田らしいこだわりを感じる。

「GT-Rは4輪駆動だからこそ本当に速いし驚くほど安定感もある。でも、やっぱり純粋にクルマを操ることを楽しむならFRレイアウトのフェアレディZになるんですよね」と言う。だからこそ、フェアレディZも4台所有している。そしてもちろん、“操ること”を楽しむのはサーキットだけに限らない。ストリートでもワインディングでも、リヤタイヤが駆動することで意のままにクルマの向きを変えていける。FRだからこその“操る楽しさ”を伴うハンドリング特性は今も昔も走り好きを魅了し続ける。生粋のクルマ好きレーシングドライバーが普段乗りからの楽しさを重視して選んだADVAN NEOVA AD09。松田次生が選んだ理由にこそ、このタイヤの本質が存分に示されていると思う。

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