ADVAN V61

SUVにも“軽やかな走り”を。
ADVAN V61の真価に触れる。

2025.2.28

“プレミアムSUV”用タイヤとして発売が開始された「ADVAN V61」。YOKOHAMAが誇るグローバルフラッグシップブランド「ADVAN」が満を持してラインナップに加えた“SUVタイヤ”の真価をインプレッションする。

Words:髙田興平 / Ko-hey Takada

Photography:望月勇輝 / Yuki Mochizuki

ADVAN V61が追い求めたのは
“低燃費性能”と“走る喜び”の両立

YOKOHAMAは、自身のグローバルフラッグシップブランド「ADVAN」の新カテゴリー商品として位置付ける“プレミアムSUV”向けタイヤ「ADVAN V61(アドバン・ブイ・ロクイチ)」の発売を、2025年3月より順次スタートさせた。

SUVカテゴリーは今ではここ日本でも完全にマーケットに定着して市民権を得ている。国内で年間約100万台が販売されるSUVの実に7割ほどが中〜大型のSUVとされており、「ADVAN V61」はまさにそのボリュームゾーンに狙いを定めたタイヤとなる。

「ADVAN V61」はリプレイス(市販)タイヤの発売に先立って2022年より国内カーメーカーの新車装着(OE)用タイヤとして認定されおり、順次納入をしてきた実績をもつ。代表的な車種を挙げるとレクサス「RZ」「RX」「LBX」、マツダ「CX-60」「CX-80」といったプレミアムSUV、さらにはトヨタ「bZ4X」、スバル「SOLTERRA」などのBEVおよびPHEV SUVで、例えば高重量なSUVモデル(特に重量のあるBEVやPHEVの性能要求に対応するYOKOHAMA独自の“E+”マークもサイドウォールに刻印)であっても快適かつ安定した走行性能を提供するタイヤとしての評価を得ている。

今回はリプレイスタイヤの発売に合わせてYOKOHAMA/ADVANブランドサイトでも「ADVAN V61」の試乗インプレッションを実施した。試乗車両にはモデリスタのデザインプロデュースによる端正な表情のエアロパーツを纏ったレクサスRX 350をチョイス。装着サイズ(ホイールもモデリスタのデザインプロデュース)は前後ともに235/50R21 101Wとした。

早朝の都心部から試乗をスタートして最初に感心させられたのは、良い意味での“タイヤの存在感の小ささ”だった。走り出す前の先入観では「さすがに21インチの大径サイズのタイヤだけに、相応にタイヤからの様々な入力(存在感)も大きいだろう」と少し身構えたのだが、これがどうして早朝の空いたオフィス街を走らせると想像以上にスムーズかつ軽やかで、そして静粛性にも優れた快適なドライブフィールがあってステアリングを握るドライバーの気分まで軽やかなものとなった。

「ADVAN V61」のドライブフィールを端的に表現すると“よく転がるタイヤ”となる。都心のオフィス街の路面は荒れてこそいないものの道路工事跡やマンホールなどの凹凸もあってフラットではない。しかし、「ADVAN V61」はそうした環境下であっても妙な抵抗感やゴツゴツやバタバタといった不快さもなく至ってスムーズに転がってくれる印象が強い。何より抵抗が少ないのでアクセルをちょっと踏む程度でスウーっと転がって行ってくれるイメージ。これには「転がり抵抗を低減して航続可能距離に貢献しながら静粛性も高める」という、「ADVAN V61」の商品開発コンセプト通りの仕上がりを実感することができた。

実際、「ADVAN V61」は低燃費タイヤのラベリングにおいて転がり抵抗で「AAA〜AA」、ウェット性能で「a〜c」を獲得(サイズによって異なり今回の装着タイヤサイズ【235/50R21 101W】はそれぞれ『AA』『a』のラベリングを獲得)している。

ADVANのスポーツタイヤを彷彿させる左右非対称のトレッドパターン。見た目のみならず太い4本のグルーブと細い1本のグルーブが排水性能を高め、さらにはサイプのピッチをずらすことでパターンノイズの低減も図られている。また、稲妻型の切り込みが特徴的な「ライトニングエッジグルーブ」を採用し、水膜を切るエッジ効果を高めるとともに溝面積も増加させてリブ剛性を強化。優れたウェット性能とハンドリング性能(ドライグリップ)の両立も実現している。

一方でこうした低燃費(低電費)性能にフォーカスしたタイヤにはこと“ドライビングプレジャー”という側面での性能がスポイルされがちな傾向もある。しかし、「ADVAN V61」はその側面においても“ADVANらしさ”を失うことなく、街中の交差点などでコーナリングするシチュエーションでも思わず「シャープ」と形容したくなる旋回性能を披露する。従来のSUV向けタイヤによく見受けられたステアリングを切った際のヨレやたわみを感じさせることなく、ステアリングの舵角を最小限に留めた状態で素直で的確な旋回性能をドライバーにもたらしてくれるのである。これは高速道路(今回は主に首都高速都心環状線および湾岸線を走行)においても変わらない印象で、スルスルというスムーズな転がり感や静粛性を損なうことなく、中・高速コーナーをトレースする際でもドライバーに「楽しい」「気持ちいい」といった“ドライビングプレジャー”までをもたらす、良質かつ安定したドライグリップ(路面からのインフォメーション)性能まで備えている点にはさらに感心させられた。

また路面に設置された速度抑制のための大きめのバンプなどを乗り越える際の挙動も軽やかなもので好印象だった。最初の入力にこそコツンという少しの硬さはあるものの、タイヤそのものがバタつくようなこともなく入力を一発で収めてくれるダンピング性能の良さが光る。試乗車のレクサスRX350は車重2トンを超えるほどの重量級だが、こうしたシチュエーションでもその重さを感じさない軽やかでしなやかなライドフィールを「ADVAN V61」はドライバーと乗員にもたらしてくれる。

低燃費(低電費)性能とグリップ性能・耐摩耗性能とにはある種背反するものがあるが、「ADVAN V61」の開発ではYOKOHAMAが長年にわたって磨き上げてきた独自技術に加え、YOKOHAMA独自のAI活用フレームワーク「HAICoLab(ハイコラボ ※1)」による先進のAI技術やシミュレーション技術を融合させ、求める性能レベルを実現する精度を飛躍的に高め、トレッドパターン、プロファイル、構造に至るまで最適解に基づく専用設計を施し、併せてコンパウンドにも独自のゴム混合技術「A.R.T Mixing」を採用。背反する低燃費(低電費)性能・グリップ性能・耐摩耗性能の高次元での両立、および優れた操縦安定性や快適性、さらには静粛性の追求までが図られている。

「ADVAN V61」の発売サイズは17〜22インチの新車装着(OE)用を含めた17サイズ。今後はさらにサイズの拡充も図られて行く予定だ。軽快かつしなやか、そして低燃費性能にも優れるという欲張りでプレミアムな領域を貴方のSUVの乗り味に付加したいなら、ぜひ一度「ADVAN V61」の性能に触れてみていただきたい。

(※1)Humans and AI collaborate for digital innovationをもとにした造語

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