Custom Trend

ハイエンドカスタムを足元から支える。
ADVAN Sport V107の余裕の在処。

2024.5.31

ここ最近、ハイエンドなカスタムシーンにおいて密かに注目を集めているというADVAN Sport V107。「運動性能、快適性、安全性の高次元でのバランス」というコンセプトを貫くADVANブランドのグローバルフラッグシップタイヤはなぜ、ハイエンドなカスタム領域でその評価を高めているのか? シーンを牽引するスペシャリスト、ボンドグループの飯村洋平氏にその真相を訊く。

Words:髙田興平 / Ko-hey Takada(Takapro Inc.)

Photography:安井宏充 / Hiromitsu Yasui(Weekend.)

Special thanks:株式会社ホソカワコーポレーション/bond group
hosokawa.co.jp

真の上質を求める
より多くの人に奨めたい。

「欧州の自動車メーカーのプレミアムやハイエンドといったカテゴリーに属すモデルの多くは、この10年ほどの間で驚くほどのパフォーマンスの進化と選択肢の拡大を遂げています。セダン/ワゴンモデルからスポーツ/GTモデル、そしてSUVモデルまで、幅広く全方位的にラインナップさせることが今では常識ですが、そのどれもが単に上質かつ高級であるだけではなく、そこに確たる走りのパフォーマンス、さらには優れた快適性能、次世代に向けた環境性能までをバランスよく落とし込んでいるのが印象的です。もちろん日本車も同様に進化を遂げ、例えばレクサスのモデルラインナップの仕上がりはいまやグローバル基準を超えていると映る。加えてここ暫くのBEVの台頭も含めて、我々が日々取り扱うプレミアムやハイエンドなモデルはこちらがその一つひとつをきちんと吟味して理解するのにもひと苦労するほど、まさに多種多様かつ魅力的な選択肢がマーケットには溢れているという状況です」

1949年に創業したタイヤ販売の老舗、株式会社ホソカワコーポレーションが展開する車両販売、カスタムおよびメンテナンスを含めたアフター向けの各事業は、ボンドグループ(ボンドカーズ、ボンドショップ、ボンドガレージ、ボンドボディ、ボンドパフォーマンススタジオ等)として関東、東海、関西と全国の主要都市圏を軸にこれまで25年以上の歳月をかけて信頼と実績を積み重ねながら、今では国内随一の高品質な車両と良質なサービスを提供する存在としてマーケットにその名を轟かせている。

ボンドグループの飯村洋平氏。輸入車のカスタムシーンを長らく牽引してきたスペシャリストである。海外のカスタムシーンやブランドへのアンテナの鋭さは超一級で、これまで多くのカスタムスタイルやブランドを日本に紹介し根付かせてきた。ファッション業界との繋がりも深く、最先端のトレンドに精通することでも知られる。

冒頭のコメントは、ボンドグループの車両カスタム全般のマネージメントを統括する飯村洋平氏によるものだ。飯村氏はプレミアム&ハイエンドモデルを対象としたカスタムコーディネートの分野における豊富な経験と知識、そして何より鋭いセンスをもってこれまで数々の魅力的なアイデアを現実の形としてまとめ上げてきたことから、日本全国からご指名でのカスタムコーディネートの依頼が後を絶たないスペシャリスト中のスペシャリストである。

「今の時代は自動車メーカーの純正オプションメニューがとても充実しているから、敢えてアフターマーケットでカスタムをするような層は減ったという声も聞きますが、少なくともウチにそれは当てはまりません。いまだに多くのお客様が新車を購入されるとすぐにカスタムの相談をしてくださる。ロールスロイス、ベントレー、フェラーリにランボルギーニといったウルトラハイエンドなモデルから、ポルシェ、メルセデスAMG、BMW MにアウディRS、さらには国産でもレクサス系や日産R35 GT-R、トヨタGRシリーズといった具合に、多くの方が憧れを抱くような第一級、もしくはそれらを超越するブランドの最新モデルを素材としたカスタムの依頼がほぼ毎週のように我々の元には寄せられるのです。ちなみに、中古で購入される方の多くはすでにカスタムの施された車両を狙われることが多く、一方で新規でのカスタムの依頼となると新車を購入される層が圧倒的です」

ともあれ一口にカスタムと言ってもその幅と奥行きはかなり広範にまでわたるものだが、そうした中でボンドグループへのカスタムの依頼は主に足回りに集中するという。

「やはり王道はホイールです。よりインディビデュアルなデザイン、そしてサイズの選択(サスペンションを含めた全体セッティング)を求める声が大半を占めます。ウチはHREに代表されるアメリカの鍛造ホイールブランドの取り扱いがメインです。さらにはマンソリーやテックアートなど真にハイエンドな欧州のチューナーズブランドの取り扱いもあります。いずれにしても、新車の状態からホイールをカスタムする場合は元から履いていた純正ホイールをタイヤごと交換するのが常ですね。ホイールだけで1セット200万円を優に超えるようなものも多く、さらにはサスペンションのセットアップやタイヤまでを含めるとかなり高額なカスタムになることは確かです」

“カスタム=見た目重視”といった考え方が世の中には以前から一定以上存在してきた。つまりは乗り味が多少スポイルされたとしても、そこは“カッコよさ”とのトレードオフとして目をつぶる──しかし、今日においては、その考え方は許されにくいと飯村氏は言う。

「最初にお話しをした通り、現代基準のプレミアムやハイエンドなカテゴリーに属するモデルは、そのどれもがトータルでバランスされたハイパフォーマンスを有しています。どこか一つだけを突出させるのではなく、良い意味で丸く角の整ったハイパフォーマンスを実現している。故に、その優れた調和を敢えてカスタムで損なうことを『よし』とされるお客様はいません。ですからホイールをカスタムメイドする際も全体のサイズ感やオフセットなどに細心の注意を払って装着車両とのフィッティングを整えるのが当然ですし、サスペンションのセットアップもまた然り。もちろん、組み合わせるタイヤの選択にも気を遣いますね。お客様の方で好みの銘柄を指定されるケースもありますが、全体でのコーディネートを任せていただく側としては、ここでもトータルバランスに優れたものを選択してお奨めすることを心がけています」

ポルシェ・マカンの装着ホイールはHRE P200の22インチでカラーはブラッシュドクリア。装着タイヤサイズは前:275/35ZR22 (104Y) 後:315/30ZR22 (107Y)となる。

そうした中、ここ最近で飯村氏自身が評価を高めているタイヤがADVAN Sport V107なのだという。ADVAN Sport V107は「運動性能、快適性、安全性の高次元でのバランス」というコンセプトを貫くADVANブランドのグローバルフラッグシップタイヤであり、専用の非対称トレッドパターンや新コンパウンド、周方向の剛性を向上させるマトリックス・ボディ・プライ、さらに高剛性アラミド繊維を使うパワークラウンベルトとレーヨン・ボディ・プライ(一部サイズのみ)、新設計のマウンド・プロファイルなど、まさにトータルでの高性能を約束する技術が惜しみなく投入されている。

「前作のV105の頃からトータルバランスに優れた良いタイヤだなと思っていましたが、進化したV107は我々が求める要素がより高い次元でまとめられたタイヤだと感じます。個人的には『ADVAN』というとやはりレーシング直系の硬派なスポーツタイヤのイメージが強く、以前はカスタムよりむしろチューニングの領域での支持が厚いと捉えてもいました。しかし、ADVAN Sportは欧州基準に根差した開発コンセプトを明確に打ち出して、実際にアウトバーンやニュルブルクリンクに代表される欧州のハイスピードレンジの環境や過酷なフィールドでの開発に正面から取り組んできたことで、BMW M、メルセデスAMG、ポルシェ、さらにはブラバスといった欧州を代表する自動車メーカーやコンプリートカーメーカーの承認タイヤにもなっている。その結果として実現された真にバランスに優れた性能はもちろんながら、そうした説得力のある開発の背景もまた、僕自身が現代のプレミアム&ハイエンドモデルに対してADVAN Sport V107の装着をお奨めする大きな理由になっていますね」

レクサスIS500の装着ホイールはBC Forged HCA 674Sの20インチでカラーはダークブラッシュド・ブラック。装着タイヤサイズは前:245/35ZR20 (95Y) 後:275/30ZR20 (97Y)となる。

今回の取材に際し、飯村氏はボンドグループが手がけたカスタムモデルを計4台用意してくれた。レクサスIS500とポルシェ・マカンはプレミアムなカテゴリーの参考例として、そしてよりハイエンドな領域の参考例としてはベントレー・コンチネンタルGT V8とメルセデスAMG G63までを揃えてくれたのである。

「ISとマカンはまさに鉄板と呼ぶべきカテゴリーです。プレミアム、すなわち上質こそが今の時代の高級車のゾーンに求められる絶対的な要素ですし、そこに確かな走行パフォーマンスまでが与えられていることも必須条件。だからこの2台【IS500装着サイズ/前:245/35ZR20 (95Y) 後:275/30ZR20 (97Y) マカン装着サイズ/前:275/35ZR22 (104Y) 後:315/30ZR22 (107Y)】にはやり過ぎない範囲での違いを与えています。あくまでさり気なく、他との違いを出すのが狙いですね。純正プラスαというコンセプトですが、だからこそタイヤもクルマ本来の性能を損なわないサイズ設定でトータルバランスに優れたものが好ましい」

実際、この2台はホイールの存在感に合わせて車高がバランスよくすっきりと落とされるなど、細かな点でカスタムの手が入るが、その佇まい自体には過度な主張は感じられない。それでいて、純正より華やいだ世界観をしっかりと備えるのだから、ボンドグループのその洗練されたカスタムのテクニックには思わず唸らされるものがある。

「ある意味でファッションの世界と同じですね。今の時代は過度な装飾があまり好まれない傾向にある。クルマの世界においてはクルマを取り巻く環境そのものが成熟の域に達しているのがその理由だと考えます。もちろん、特定のジャンルでは今も突き抜けた世界観を好む層がいることは否定しません。ただ、日常に根差した部分ではよりシンプルに上質さを求める傾向が強い。個人的にはタイヤも同じだと感じます。突出したパフォーマンスを打ち出すよりも、すべてにおいて調和された性能が好まれる。もちろん、言葉にするのは簡単ですけれど、実際にそれを具現化するのは本当に難しいことだとも思います」

ベントレー・コンチネンタルGT V8の装着ホイールはAL13 R100 Mono Blockの22インチでカラーはポリシュッドクリア。装着タイヤサイズは前:275/35ZR22 (104Y) 後:315/30ZR22 (107Y)となる。

圧巻のオーラを放つベントレー・コンチネンタルGT V8【装着サイズ/前:275/35ZR22 (104Y) 後:315/30ZR22 (107Y)】と超重量級らしい迫力を醸すメルセデスAMG G63【装着サイズ/前後:305/35R23 111Y】を前にして飯村氏は続ける。

「個人的には、ADVAN Sport V107がこのクラスに対してもしっかりとサイズラインナップを展開してくれているところが嬉しいですね。ウルトラハイエンドな領域に入ってくると、その分だけパワーも重量も増大します。さらにベントレーなどは特にそうですが、静粛性という側面でも図抜けたものがある。もはや浮世離れと表現しても差し支えのない極限のラクシュアリーな世界を構築しながらも、そこに500psを優に超える圧倒的なパフォーマンスまでが内包されるわけですから、この極端に相反する世界観をしっかりとトータルで支えられるタイヤとなるとその数は本当に限られてくる。そうした意味でも、ADVAN Sport V107はかなり高い次元でウルトラハイエンドなカテゴリーからの要求を満たせる性能を保った、数少ない貴重な存在だと感じています」

メルセデスAMG G63の装着ホイールは1221wheels 0110 AP1 Apex2.0の23インチでカラーはグロスブラック。装着タイヤサイズは前後:305/35R23 111Yとなる。

実際にコンチネンタルGT V8のステアリングを握ってみてウットリとさせられるのは、どの速度域においても変わることのない、そのフラット感に満ちた極上の乗り心地である。クルマ全体の剛性や各部の取り付け精度がすこぶる高いことは当たり前として、それをあくまでしっとりしなやかな乗り味として変換してしまえる辺りに、世界の頂点に立つベントレーのクルマ作りの真髄が感じ取れる。

ADVAN Sport V107はこうしたモデルに装着されても、クルマと同等の上質で豊かなインフォメーションをドライバーに対して与えてくれる。印象的だったのは早朝のよく空いた都心の道を軽く流しただけでも、ステアリングホイールを通してタイヤと路面がどんな状態で接しているのかが、まさに手に取るように感じられたこと。それでいて、ロードノイズやパターンノイズといった不快な類の雑味はしっかりと打ち消されているから、タイヤの存在を意識せずあくまで穏やかに心地よく走ることもできる。

「昔から、クルマ好きの間では良いタイヤを表すときに真円率云々と言うことが多かったですが、ADVAN Sport V107にはその真円率、要は綺麗に整った真ん丸の状態で雑味なくタイヤが転がってくれる感覚がありますよね。770Nm(ベントレー・コンチネンタルGT V8のカタログ数値)もある強大なトルクで4輪がグッと路面を掴むような加速態勢のときも、はたまた交差点をスウーッと穏やかに曲がるときも、その感覚自体は変わらない。高速道路を移動するときだってある程度の高いスピード領域であっても妙な抵抗感なくタイヤが綺麗に転がり続けてくれる。それがどんなシチュエーションであっても高次元でのバランスを欠くことのない性能を有しているからこそ、まさにベントレーのようなハイエンドモデルの極みに履かせるべきタイヤだと思いますね」

飯村氏の言葉通り、ADVAN Sport V107は真にハイエンドな領域にあるモデルに対しても、そのパフォーマンスをトータルで如何なく発揮できることが理解できた。もちろん、より重量級のメルセデスAMG G63(カタログ数値で2530kg)であっても、その印象が大きく変わることはなかった。

「もう一点、ADVAN Sport V107は24インチのサイズラインナップを用意しているところも大きなアドバンテージだと思います。24インチとなると一気にリプレイスタイヤの選択肢が狭まりますからね。ウチが年始の東京オートサロンに出展したロールスロイス初のBEVモデルとなるスペクターにもいち早く24インチのカスタムホイール履かせ注目を集めましたが、MV FORGED WHEELSのPS0-RR(3-Piece)に組み合わせたのはADVAN Sport V107の24インチサイズ【295/30ZR24 (104Y)】でした。これまで、このサイズで探すと欧州のマイナーなタイヤブランドを選択するしかなかったのですが、正直、特に静粛性の面でこのクラスにはそぐわなかった。スペクターのようにウルトラハイエンドな領域にもBEVがラインナップされる時代にあって、しっかりとタイヤ自体の剛性も担保しながら、静粛性や快適性までを24インチというサイズでもバランスよく体現できるのはADVAN Sport V107の大きな魅力であり、それがマーケットでの明確な武器にもなり得ると思います」

24インチに限らず、今後も一定のカスタム層が存在するアフターマーケット向けのサイズの拡大に期待したいと付け加えた飯村氏は、最後にADVAN Sport V107というタイヤのことをこう総評してくれた。

「現代のプレミアムやハイエンドといったカテゴリーに属するモデルにとって本当に必要な性能とは、そこに確かな“余裕”があるということじゃないのかなって、最近よく思うんです。驚くほどのハイパフォーマンスであってもそれはあくまで内に秘め、どこまでも余裕に満ちた表情で優雅に走る姿にこそ、真の豊かさを感じる。ADVAN Sport V107にも僕はそういった余裕を感じます。優れた性能を持っているのに、それを無闇に突出させることもなく、あくまで余裕の表情でバランスよく乗り手を包み込んでくれる。そういう豊かな性質のタイヤだからこそ、真の上質を求める方に奨めてみたくなるのです」

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