FORMULA DRIFT® JAPAN

シェイクダウン!
FDJ2023開幕直前。
最新マシンの完成度に迫る。

2023.4.19

間もなく開幕するFORMULA DRIFT® JAPAN 2023。YOKOHAMA / ADVAN勢も多く参戦する中、最新のレクサスIS500 Fスポーツパフォーマンスをベースに、風間オートサービス(Team Kazama with powervehicles)が仕上げたドリフトマシンのシェイクダウンが行われた。米国のFORMULA DRIFT®との掛け持ちでFDJに参戦するケングシ選手の意気込みと合わせて、今季注目チームの開幕直前テストの様子をレポートする。

Words:髙田興平 / Ko-hey Takada
Photography:安井宏充 / Hiromitsu Yasui

思わず目を見張る完成度
レクサスをベースとした意欲作

「驚くほど綺麗なマシンに仕上がっていて……これは、レース本番で限界まで攻めてぶつけてしまうと余計に怒られますね(笑)」

どこかおどけた表情で新しいマシンの完成度の高さを喜ぶのは、昨年に引き続きTeam Kazama with powervehiclesからFORMULA DRIFT® JAPANに参戦するケングシ選手である。アメリカ本国のFORMULA DRIFT®との掛け持ち参戦。そのタフなチャレンジを今シーズンも継続するという。

FORMULA DRIFT®︎ JAPANの2023年シーズン用に投入されたニューマシンのシェイクダウンのために、拠点となるアメリカ・カリフォルニア州から来日したケングシ選手。2023年シーズンもFORMULA DRIFT®(米国)とFORMULA DRIFT®︎ JAPANにダブルエントリーする。

この日、栃木県那須塩原にあるつくるまサーキットでは、FORMULA DRIFT® JAPAN 2023のシーズン開幕に向けた Team Kazamaの合同練習会が開催されていた。

早朝、今シーズンに向けて新調したというTeam Kazamaの大型のトランスポーターから降ろされたのは、レクサスIS500 Fスポーツパフォーマンスをベースとしたドリフトマシン。IS500の日本導入から間もない昨年10月からマシンの製作をスタートさせ、年始の東京オートサロンの出展に合わせて形を仕上げ、そして今回(3月下旬)のシェイクダウンに至るまで、Team Kazamaでは終始徹底した各部の作り込みが行われてきたという。

レクサスIS500 Fスポーツパフォーマンスをベースに製作されたTeam Kazama with powervehiclesのニューマシン。アーティシャンスピリッツのボディキットを軸に細部にまで徹底して拘ったスタイルが光る。ホイールはRAYS GRAM LIGHTS 57Transcend(F&R:19×10.5J)でタイヤはADVAN NEOVA AD09(F:275/35R19 / R:275/40R19)を履く。

「大変だったのは軽量化ですね。IS500の車両重量は1700kg。それを1200kg台まで落とすことを目標にしましたが、どんなに突き詰めても1380kgが限界でした。カーボン屋さんとも協力して屋根もドアもすべてカーボン素材でワンオフ。エンジンはオリジナルの5ℓV8から2JZに載せ替えてと、やれることはすべてやったけれど1300kgを切れなかった。それでも昨シーズンまでのRCよりは軽く仕上げてあります」

そう説明するのはTeam Kazama(風間オートサービス)の風間俊治代表。自身も昨年までFORMULA DRIFT® JAPANに参戦したプロドリフターであり、マシン製作、チーム運営まで含めてドリフトの世界を牽引する第一人者である。

ドリフト向けのチューニング事業を軸に長年活動する風間オートサービス(Team Kazama with powervheicles)の風間俊治代表。次の世代のドリフトマシンのベース車両としてレクサスを選び、その可能性を日々様々な角度で実践しながら探究する。

昨シーズンまで走らせていたRC Fスポーツ(Moty’s LEXUS RC VR4.3)はTeam Kazamaの母体となる風間オートサービスの創設30周年を記念して仕上げられたマシン。RCは車格的にも世代的にも車重が重くそれを大パワーでカバーするコンセプトだったという。R35GT-R用のVR38にHKSのストローカーを組んで4.3ℓ化(VR43)。ドライサンプ化を施しNOSも装着して1300psを実現していた。面白いのはドリフトだけではなくタイムアタック競技(グリップ)にも参戦していたことで、まさにマルチな領域での限界性能に挑んだマシンだった。

「レクサスは過去に初期型のISも1台作ったことがあります。でも、やはりドリフトのベース車両にレクサスを選ぶことは少なく、だからこそ30周年の節目で一度キチンとやってみたかった。ウチもツアラーV(JZX100)やS15(シルビア)などで多くの経験を積んできたし、お客さんもそこに信頼感を寄せて付いてきてくれました。そういうお客さんたちへの次のステップとしても、レクサスはとても良い素材だと考えたんです」

エンジンは2JZに載せ替え、TOMEI 3.6ℓストローカーキットを軸に入念にチューニング。ミッションはサムソナスの5速シーケンシャルを装備する。最高出力は1200psオーバー。NOSも装備する。風間オートサービスの製作したIS500のドリフトマシンを見て何より驚かされるのはその作り込みの良さ。まさにメーカークオリティと呼ぶべきクリーンで妥協のない仕上げには、ただ目を見張らせられるばかりである。

ケングシ選手も参戦2年目となるFDJ
ニューマシンを得て頂点の座を目指す

「午後は雨になってしまいましたけれどマシンの手応えは十分以上にポジティブに感じ取れました。4枚ドアのIS500になって昨年までのRCと比べるとホイールベースが長くなっているので、その辺りのセッティングを詰めていけばより戦闘力が増すと思いますよ。2JZは下のトルクもあって扱いやすいし、何より独特の甲高いサウンドが楽しめてサイコーですね。これだけでもテンションが上がります!」

シェイクダウンを終えたケングシ選手の表情はとても充足したものに映った。

「昨シーズンからFDJにフルエントリーして、初めてで慣れていないコースも多かったけれど、今シーズンは昨年に多くの経験を積めた分だけより攻めていけると思っています。アメリカと日本でのダブルエントリーはタフだとよく言われますけれど、その分だけレースで走ることができる。人より多く実戦での経験を積めることは大きなアドバンテージ。今年は素晴らしいニューマシンも用意してもらって、これで昨年より下にいたら笑われちゃいますよね。だから何より僕自身が楽しみながら、思い切り攻めていきますよ」

「あともう一点、今日は午後に雨になってしまったけれど、逆にレインでのテストができてよかった。やはりNEOVA AD09は雨でも素晴らしいパフォーマンスです。グリップがしっかり感じ取れてコントロールがしやすい。雨のレースでも攻めていけることが実感できたので、その部分でも今日のシェイクダウンは収穫がありました」

FORMULA DRIFT® JAPANの2023年シーズンは4月22日(土)- 23日(日)に鈴鹿ツインサーキットを舞台に開幕する。今シーズンも多くの熱いバトルが繰り広げられることに期待したい。

(了)

FORMULA DRIFT®︎ JAPAN 2023
レースのライブ配信もお見逃しなく!
https://formulad.jp/live/

風間オートサービス
https://www.kazamaauto.co.jp

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