2019 SUPER FORMULA Round 2 Report

【SUPER FORMULA 第2戦 / オートポリス】

強い風雨でスケジュールも変更を余儀なくされたオートポリス戦、
ソフトタイヤを巧みに使った関口雄飛選手が今季初勝利!!

SUPER FORMULA Round 2

開催日 2019年5月17日-19日
開催場所 オートポリス
(大分県)
天候 雨 のち 曇り 時々 晴れ
路面 ウェット~ドライ
決勝周回数 54周
(1周=4,674m)
参加台数 20台
SUPER FORMULA 第2戦

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「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」第2戦の舞台は、九州・オートポリス。ヨコハマタイヤは2016年からSUPER FORMULAのワンメイクサプライヤーをつとめているが、初年度は震災の影響で大会がキャンセルに、また昨年は悪天候により決勝レースが中止になるなど、走行経験値の少ないサーキットの一つだ。さらに今シーズンはSF19へとマシンもスイッチ。チームとしてもデータ量の少ない戦いとなり、17日(金)の専有走行から各車が積極的に周回を重ねていった。

レースウィークのオートポリス、天気予報は下り坂。17日(金)の専有走行も曇天で始まり、終盤には雨がぱらついた。各車が最後にタイムアタックを行い目まぐるしく順位が変わっていく中、トップタイムを記録したのはルーキーのダニエル・ティクトゥム選手(TEAM MUGEN)。開幕戦で速さを見せたアレックス・パロウ選手(TCS NAKAJIMA RACING)が2番手、福住仁嶺選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が3番手に続く結果となった。ただし予選が行われる18日(土)は雨の予報で、各チームはここからウェットコンディションでのセッティングを調整していくことになる。

予報通り18日は雨、風共に強く、午前中のフリー走行は開始が遅れるほど。予定よりも開始時刻は30分遅れ、セッション自体も60分から30分へと短縮となった。さらに、セッション中はコースアウトやクラッシュする車両が続出し2度の赤旗中断。2度目の赤旗提示をもってセッションが終了となるなど、荒れた内容になった。雨脚はさらに強まり、午後の予選はキャンセルに。19日(日)の午前中に40分間の計時予選へと変更になった。

そして日曜日も、朝から強風。雨は時折強さを増すような状況で、オートポリス特有の霧も発生する、非常に厳しいコンディションになった。

計時予選は8時45分にスタート。このコンディションではいつ赤旗が提示されるかもわからず、各車は1周でも1秒でも早くタイムアタックしようとピットロードに列を作った。中でも昨年チームタイトルを獲得しているKONDO RACINGは、ピットロードに一番近い位置にピットを構えており、他のチームよりも前でコースインに成功。国本雄資選手が先頭で周回を始めると、計測2周目で1分47秒602のトップタイムを記録した。他のマシンもこれに続いてタイムアタックに入っていたが、このタイミングで2台がクラッシュを喫し赤旗中断。セッションは15分短縮となり残り18分で再開される。

ただ、この時点でコンディションは悪化しており、また1台がコースアウトしたために2度目の赤旗中断。さらに残り9分でセッションは再開されるも、またもやコースアウト車両が出たために3度目の赤旗が提示される。結局この赤旗をもって予選は終了となり、国本選手が第2戦のポールポジションを獲得した。2番手にはルーキーの坪井翔選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、3番手には福住選手と、開幕戦とは全く違う顔ぶれが並ぶこととなった。

併催レースもあわただしく過ぎ、SUPER FORMULAの決勝レースは定刻にスタート進行が始まった。お昼ごろから雨はほとんど降らなくなっていたが、相変わらず強風がサーキットを襲っていた。ただし、そのおかげもあってかコースコンディションは回復。各車がスターティンググリッドに着くころにはコース上がまだら模様のように乾き始めていた。

全車がスリックタイヤを装着したが、コンパウンドは選択が別れる結果に。フロントローの2台を含め6台がソフトタイヤを選択した一方で、14台がミディアムタイヤでスタートする。

各車が順当なスタートを切り、上位陣の順位は変わらずにオープニングラップが終了したが、2周目にティクトゥム選手がスピンを喫しコース上にストップ。セーフティカーが導入されることになった。このタイミングでほとんどのマシンがタイヤ交換のためにピットイン。ポールシッターの国本選手、16番グリッドから好スタートを切って8番手までポジションを上げていた関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、同じく13番手スタートの牧野任祐選手(TCS NAKAJIMA RACING)の3台がステイアウトを選択した。

この3台はピット作業分のマージンを稼がなければならず、8周目からレースが再開されると猛プッシュを開始。中でも関口選手はオーバーテイクシステムも使いながら13周目の1コーナーで国本選手をかわしてトップに躍り出ると、そこから2番手以下を一気に突き放していった。

すでにピット作業を終えた中でトップを走っていた石浦宏明選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)との差は、20周が終了した時点で22秒。31周目には40秒まで広げて見せると、40周を終了してピットイン。この時点で石浦選手は順位を下げ、代わって実質トップに立っていたのは山本尚貴選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だったが、関口選手は約ホームストレート1本分のマージンを残してコース復帰に成功した。

フレッシュなミディアムタイヤと既に40周を走行しているソフトタイヤでの対決が注目されたが、関口選手のペースは緩むことなく、全車がピット作業を終えた51周目には堂々のトップ返り咲きで、そのまま背後を脅かされることなくトップチェッカー。昨年の第6戦岡山大会以来の勝利を飾った。

2位の山本選手は2戦連続の表彰台獲得でポイントリーダーに浮上。3位には11番グリッドからオープニングラップでタイヤ交換に入るという作戦で見事にポジションを上げた大嶋和也選手(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)が入った。

DRIVER VOICE

関口雄飛 選手 [ITOCHU ENEX TEAM IMPUL]

【今回の成績 : 優勝】
SUPER FORMULAは年間7戦しかなく、ここを落とすとチャンピオン争いも厳しくなってしまうので、絶対に勝ちたいと強く望んでいました。予選は実力を出せないままで終わってしまい16番手スタートになりましたが、あきらめない気持ちで戦った結果が出せて、非常に嬉しいです。

ENGINEER VOICE

高口紀貴 [横浜ゴム MST開発部 技術開発2グループ]

今回はレースコンディションと天気の行方が読みづらかっただけに、ウェットセットでスリックタイヤを履いているチームがあるという情報を得ていました。タイヤ的にはイン側だけでなくアウト側まで平均的にうまくタイヤを使えているチームもあり、通常とは違った状態でレースを走ったことで、実は今後に向けていいデータが獲れたのではと思っています。

レース終盤、新品のミディアムタイヤを履く関口選手と消耗したソフトタイヤを履く山本選手のバトルは注目でしたが、レースが進んでコース上にラバーが載っているとミディアムタイヤでも速さがあるねという評価を受けました。イコール条件で戦えば当然ソフトタイヤの方が速いですが、あのバトルが、ミディアムタイヤのメリットをどう出すのかというヒントにはなったと思います。

次戦はスポーツランドSUGOです。耐久性についてどういう使われ方をするかで変わるので一概には言えませんが、タイヤとしては鈴鹿サーキットが一番厳しく、このオートポリスやSUGOがその次ぐらいという意味でそれほど不安には思っていません。ただしSUGOはコースが短く予選から接近戦が予想され、レースがどうなるかというのは怖くあり、楽しみでもありますね。荒れた展開が2戦続いているので、今度こそきちんと予選から決勝までレースが行われることを期待しています。