2019 SUPER GT Round 8 Report

【SUPER GT 第8戦 / もてぎ】

GT300のポールポジションをMcLaren 720Sが獲得、
グッドスマイル初音ミクAMGが決勝、ランキングともに最上位を奪う!!

SUPER GT Round 8

開催日 2019年11月2日-3日
開催場所 ツインリンクもてぎ
(栃木県)
天候 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 53周
(1周=4,801m)
参加台数 44台
(ヨコハマタイヤ装着車 24台)
SUPER GT 第8戦

ついに迎えた2019年SUPER GTの最終戦。ツインリンクもてぎを舞台とし、ここまで全戦参加のチームに対してノーハンデとなるレースは、通常より50km短い250kmで争われる。ストップ&ゴーの繰り返されるコースレイアウトは、タイヤ以上にブレーキを痛めつける。そのあたりの折り合いを、どうつけるかも勝負の鍵とされていた。

GT300ではヨコハマタイヤユーザー10台が、予選Q1を突破。続くQ2では荒聖治選手から8番手で「Mclaren 720S」のシートを託された、アレックス・パロウ選手がコースレコードをも更新してポールポジションを獲得。2番手には「リアライズ日産自動車大学校GT-R」の平峰一貴選手とサッシャ・フェネストラズ選手がつけたものの、首の皮一枚残していた逆転チャンピオンの条件はポールポジション獲得で1ポイント獲得が必須条件だったため、決勝を前にして涙を飲むことに。同条件だった「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口信輝選手と片岡龍也選手も7番手に留まり、王座獲得の希望は絶たれてしまう。

GT500では「WedsSport ADVAN LC500」の坪井翔選手が8番手につけていたが、終了間際にバンプアウトされてしまい、100分の1秒差で9番手に後退。「リアライズコーポレーションADVAN GT-R」の高星明誠選手も12番手、「MOTUL MUGEN NSX-GT」の中嶋大祐選手も13番手で、いずれもQ2進出は果たせなかった。

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ようやく天候に翻弄されることなく、終始ドライコンディションの中で争われた決勝レース。GT500では、9番手からスタートした「Weds Sport ADVAN LC500」は国本雄資選手がスタートドライバーを担当したが、序盤はタイヤのウォームアップに苦しみ、1周目でふたつポジションを落としてしまった。その後もペース的に苦しむ場面があったが、国本選手は焦らず徐々にペースを掴んでいき8周目にホンダNSX-GTの1台をパスすると、さらに前を走る「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」の背後につけた。

そこで「Weds Sport ADVAN LC500」は19周目にピットインし、前方が開けたところでペースを上げる作戦に出た。これが功を奏し「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」を逆転。9番手に浮上した。その後、前方を走るライバルの1台がトラブルにより脱落すると、坪井選手が好ペースで周回を重ね、最終ラップに日産GT-Rの1台を抜き去って7番手に浮上。ヨコハマタイヤユーザーの中で最上位を獲得した。

予選13番手だった「MOTUL MUGEN NSX-GT」は武藤英紀選手がスタートドライバーを担当した。序盤から前方のマシンを追いかけたが、なかなかペースを上げることができず苦戦した。22周目にピットインし、中嶋選手に交代した。なかなか力強いペースで走れず我慢の展開となったが、粘り強く走り続け9番手でゴール。苦しいレースの中でも、何とかポイントを持ち帰るレースを披露した。

12番手スタートの「リアライズコーポレーション ADVAN GT-R」は、ヤン・マーデンボロー選手がスタートを担当。1周目に10番手までポジションを上げると、8周目には9番手に浮上。その後は「Weds Sport ADVAN LC500」とのバトルになったが、なんとかポジションを守り抜き20周目にピットインして、高星選手に交代した。しかし、その間に「Weds Sport ADVAN LC500」に逆転されたばかりか、後半も上位を狙えるようなペースで走ることができず、最終的には10位に。ポイントを獲得したものの、全体的に悔しいレースとなってしまった。

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GT300はポールポジションからスタートした、「McLaren 720S」のパロウ選手のリードからレースは開始されたが、ピタリと食らいついて離れなかったのが「リアライズ日産自動車大学校GT-R」の平峰選手。そして1周目のうちに「グッドスマイル初音ミクAMG」の片岡選手がひとつポジションを上げて、6番手につける。

6周目の90度コーナーで、平峰選手はトップに浮上。そのまま後続を引き離していったのとは対照的に、パロウ選手は思うようにペースを上げられなくなり、徐々に順位を落としてしまう。一時は5秒ものリードを奪っていた「リアライズ日産自動車大学校GT-R」だったものの、21周目にフェネストラズ選手に代わると、先にドライバー交代を行なっていた、タイヤ無交換の車両に先行を許してしまう。それでも逆転の機会を待ち続けていたが、31周目に突然ストップ。幸い、再始動はできたものの5番手に後退してしまう。

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その間に4番手に躍り出たのが「グッドスマイル初音ミクAMG」の谷口選手だった。20周目の片岡選手からの交代と合わせ、タイヤを左側の2本のみ交換してロスを最小限としていたことが功を奏することに。その後、1台の先行を許したものの、以降は後続を寄せつけず。5位でのゴールを果たしたことで、ヨコハマタイヤユーザーとして最上位となるランキング4位も獲得した。

6位は「リアライズ日産自動車大学校GT-R」、そして7位は「McLaren 720S」。「エヴァRT初号機X WORKS GT-R」のショウン・トン選手と道見真也選手が8位でゴールし、4度目の入賞を果たすこととなった。

DRIVER VOICE

国本雄資 選手 [WedsSport ADVAN LC500]

【今回の成績 : GT500クラス 7位】
最初はタイヤのウォームアップがけっこう辛くて、1周目に2台抜かれてしまいましたが、スティントの中盤から後半くらいに64号車も抜けたし、24号車の背後まで迫ることができました。ピットストップで24号車を逆転できて、さらに最終ラップで23号車も抜くことができました。自分たちの持っているすべてを出し切れたかなと思います。ただ、今シーズンは雨のレースが多かったりとかして、うまく戦えなかったところがあってランキング的には下位に沈んでしまいましたが、チームとクルマづくりを進めていくなかで、それが良い方向に行けたし力強く戦える部分もあったので、そういう意味ではポジティブなシーズンでした。

ヤン・マーデンボロー 選手 [リアライズコーポレーションADVAN GT-R]

【今回の成績 : GT500クラス 10位】
今週末は全体的にスピードが足りなかったし、全体的なパッケージの部分でライバルより劣っていた。特に予選のペースが悪く、レースではリヤのグリップ不足に悩まされた。タフなレースだったけど、スタートでポジションをふたつ上げることができて、9番手でペースもコントロールすることができた。途中は19号車といいバトルができた。そういう部分では楽しむことができたけど、まだまだ全体的に弱点が多いシーズンで改善が必要なポイントがたくさんあった。ただ2020年はクルマが新しくなるし、今テスト中の新型GT-Rのポテンシャルは非常に高い。来年は力強い走りができるようにしたいと思っている。

谷口信輝 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
正直、昨日はポールを逃してしまいましたが、獲れる力はまぁ微妙でしたね。マシントラブルが出て、満足なアタックができなかったんです。ポールを逃した時点でチャンピオンはなくなってしまいましたが、そもそものポテンシャルがやはり負けています。現状でめいっぱいやるしかないので、スタートで行った片岡が順位を上げてきてくれて、最初は無交換作戦を考えたのですが、安全パイを取ろうということで左側2本だけ換えました。チャンピオンの権利がなくなった時点で、僕はあまり戦闘モードではなく、むしろ慎重に行きました。

片岡龍也 選手 [グッドスマイル初音ミクAMG]

【今回の成績 : GT300クラス 5位】
自分たちの持っているもので、やれるだけのことはしたかな、という内容でしたが、ライバル勢の強さが特に今年は目立った感じでしたね。そういった中で、いろいろ工夫したり、テストでいいタイヤも作ったりして、我々のポテンシャルも上げたんですが、ライバルの方が強かったというのを1年通して感じて、今日もまた見せつけられるレースになってしまいました。ここは素直に負けを認めて、どう策を練って来年リベンジできるかがポイントかな、と思います。今持っているものをもっとまとめて、来年に備えたいと思います。

平峰一貴 選手 [リアライズ日産自動車大学校GT-R]

【今回の成績 : GT300クラス 6位】
序盤はトップに立てたし、良かったんですけど、とにかく残念の一言です。タイヤは硬くもなく、特に柔らかくもなく、まったく問題はなかったんですが……。最終戦は苦しい形で終わっちゃいましたが、それはそれでレースなので仕方ないです。いったん止まったのは、まだ検証中です。

ENGINEER VOICE

藤代秀一 [横浜ゴム MST開発部 技術開発1グループリーダー]

GT500は、まず予選でQ1通れなかったことが、決勝結果にも大きく影響してしまい、非常に悔しいですね。コンディション的には外したわけではなかったのですが、結果としてパフォーマンスが足りなかったというところはありますね。

GT300に関しては、予選自体は狙えるなという部分があって実際、720号車(McLaren 720S)がポールを獲ってくれたのですが、レースに向けてはタイヤを守るセットアップが必要になってしまうのですが、それでも苦戦してアドバンテージがなかったというところですね。4号車(グッドスマイル初音ミクAMG)が頑張ってくれて、56号車(リアライズ日産自動車大学校GT-R)も何もなければ、また違った結果になっていたでしょう。

結局、最後は表彰台なしで終わっちゃったのがすごく残念で、GT500もそうなんですけど、GT500に関しては来年新しいクルマになるので、このオフに一所懸命タイヤの開発を進めて、今まで以上のスタートを切れるようにしてみせます。

GT300ではゴムも構造も見直さないと、他社とのギャップを埋めることができないので、そこは見直しをかけようと思います。両クラスと来年の巻き返しをご期待ください。