2018 SUPER FORMULA Round 6 Report

【SUPER FORMULA 第6戦/岡山国際】

激しい雨の中で繰り広げられた“ドッグファイト”、
息をのむバトルを制して関口雄飛選手が今季初優勝!!

SUPER FORMULA Round 6

開催日 2018年9月7日-9日
開催場所 岡山国際サーキット
(岡山県)
天候
路面 ウェット
決勝周回数 34周
(1周=3,703m)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第6戦

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「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の第6戦が岡山国際サーキットで開催された。悪天候のため、当初予定されていた周回数より減算、さらにセーフティカーでの周回が多かったために規定周回数よりも先に最長レース時間に到達しチェッカーを迎える形となったが、ネガティブな要素を吹き飛ばすほどの激しい戦いが繰り広げられ、関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が今季初優勝を飾った。

この週末、西日本は秋雨前線の停滞が影響し大雨が降り続くことになった。岡山国際サーキットも、SUPER FORMULAの専有走行が行われた7日(金)はなんとかドライコンディションで終えたものの、その日の夜からは激しい雨が降り続き、公式予選はウェットコンディションでのスタートとなった。ただ、セッションの間は雨が徐々に弱まっていったため、コース上の水量は徐々に減っていき、予選タイムはQ1、Q2、Q3と秒単位で大きく削られていった。

翌日の決勝も大雨が予想されており、普段よりもいっそう予選順位が重要とされていた。そんな中、ポールポジションを奪ったのは関口選手。Q1は12番手とギリギリの通過になったが、Q2では自己ベストタイムを約2秒短縮して5番手通過。そしてQ3では、「アタックラップの終盤でタイヤのたれを感じた」というQ2での感触をもとに、水量がさらに減ったことも加味してアタックを調整。その結果、1分24秒446というタイムで今季初のポールポジションを獲得した。

2番手の小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)選手は、Q2でトップタイムを記録していただけに悔しい結果に。3番手には、Q1で新品タイヤをすべて使ってしまい、Q3ではユーズドウェットタイヤでアタックした平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が入った。

また、シーズン終盤戦で注目されるランキング上位のドライバーは、ニック・キャシディ選手(KONDO RACING)が5番手につけたものの、それを追いかける立場の山本尚貴選手(TEAM MUGEN)、石浦宏明選手(JMS P.MU/CERUMO・INGING)はともにQ3進出を逃し、それぞれ9番手、10番手とポイント圏外からレースをスタートすることになった。

一夜明けた決勝日も、予報通りに朝から激しい雨が降り続いた。その影響で、朝の段階ではタイムスケジュールを10分早めることと、周回数が当初予定されていた68周から54周に減算、最大レース時間も90分間から70分間へと短縮されることが決定した。さらに、スタート進行を始める時間が迫ってきたころに急激に雨脚が強まったことから、タイムスケジュールを1時間遅らせることとなり、決勝レース午後2時55分に、セーフティカー先導の形でスタートした。

しかし、依然として雨量が多かったために、各ドライバーはマシンをコース上にとどめておくので精いっぱいの様子。7周目に入ったところで赤旗が提示され、いったんレースは中断となる。約1時間の中断を経て、セーフティカー先導のもとレースが再開。13周目にセーフティカーが隊列を離れ、本格的なレーススタートを迎えた。

巻き上がる水しぶきの中、2番手の小林選手が関口選手に急接近。オーバーテイクシステムも駆使して、バックストレートエンドで関口選手に並びかけていったが、ここは関口選手がポジションを死守。そのまま2台は雨の中とは思えないほどの激しい接近戦を繰り広げた。サイド・バイ・サイドからクロスラインも狙いながらの攻防はほぼ1周続いたが、マイクナイトコーナーの手前で軽く接触しながらも小林選手がついに関口選手を攻略。トップに躍り出た小林選手のマシンには接触の影響でノーズコーンに穴が開くダメージを受けてしまうが、その影響を全く感じさせない勢いでレースをリードしていった。

トップが23周目に入ったところで、後方で争っていた2台のマシンが同時にスピンして1台がコースアウトするアクシデントが発生。これにより、レースは再びセーフティカーランとなる。一時は大きく開いていた小林選手と関口選手の差もぐっとつまり、再びリスタートに注目が集まった。

27周目にそのリスタートを迎えると、今度は関口選手が猛チャージ。小林選手はこれを巧みに抑えきりトップを守り切ったかに思われたが、なんとダブルヘアピンでオーバーランし、これで関口選手がトップに返り咲くことに。小林選手は再び追いかける立場となった。それでもじわじわと接近し、3度目のバトルが始まるかと思われた31周目に、1台のマシンがスピンしコース上にストップしたことで、レースは3度目のセーフティカーランに。最大レース時間のリミットも迫る中、もどかしい周回が続いていく。

そして、セーフティカーランのままレース開始から70分を迎え、チェッカーフラッグ。関口選手が今季初めてのトップチェッカーを受けた。痛恨のコースオフで2位となった小林選手だが、今季初表彰台のベストリザルト。3位には平川選手が入り、ITOCHU ENEX TEAM IMPULは2台そろっての表彰台獲得となった。

なお、周回数は34周となったため、規定周回数の75%を走り切ることができず、今大会ではハーフポイントが与えられることに。ランキング上位勢は、キャシディ選手が予選順位通りの5位フィニッシュで2ポイントを加算。石浦選手が1つ順位を上げて7位フィニッシュしたことで1ポイントを加算した。

山本選手は残念ながら9位でノーポイントだったため、石浦選手が2位に浮上。表彰台獲得で大きなポイントを手に入れた関口選手と平川選手までの上位5名が、タイトル獲得の権利をもって最終戦に挑むこととなる。

DRIVER VOICE

関口雄飛 選手 [ITOCHU ENEX TEAM IMPUL]

【今回の成績 : 優勝】
レースがスタートした直後は小林選手の勢いが良く抜かれてしまいましたが、周回数が進むうちにペースが逆転して、ちょうどいいところでセーフティカーが入ってくれました。小林選手も水のある所を選んで走っているように見えたので、セーフティカーが離れた1周目がチャンスだと思っていたのですが、なかなかついていけずに難しいなと思っていたところで(小林選手がオーバーランして)、うまく前に出ることができました。最後は追いつかれていたところだったので、セーフティカーに助けられました。

ENGINEER VOICE

高口紀貴 [横浜ゴム MST開発部 技術開発2グループ]

まずは、悪天候で中止も懸念されていた中で、レースがチェッカーフラッグを迎えることができてよかったです。今大会では、予選でオーバーテイクシステムが使用可能となり、コースレコードの更新を期待していたので、雨というコンディションになったことは残念でした。タイヤの温め方に関しては各チームやドライバーによって違いがあったようですが、WETタイヤに関してはそれほど神経質になる必要はないのではと考えています。

決勝日の朝に行われたフリー走行ではトップタイムが1分30秒台でしたから、それよりも明らかにコンディションが悪かった決勝レースで、ファステストラップが1分29秒台に入ったのには驚きでした。大きなトラブルなくレースを終えられたことにも、ドライバーの皆さんのレベルの高さを改めて感じました。ウォータースクリーンのなか、非常に濃密で緊張感のある素晴らしいレースになったのではと思っています。

最終戦は、開幕戦と同様のフォーマットになります。レコード更新の可能性もあるでしょう。タイトル争いも5人と多くのドライバーが可能性を持っているということで、とても面白いレースになることを期待しています。