2017 SUPER FORMULA Round 4 Report

【SUPER FORMULA 第4戦/もてぎ】

随所でオーバーテイクショーが見られた興奮の1戦、
GP2王者のピエール・ガスリー選手が待望の日本初優勝!!

SUPER FORMULA Round 4

開催日 2017年8月19日-20日
開催場所 ツインリンクもてぎ
(栃木県)
天候 曇り
路面 ドライ
決勝周回数 52周 (1周=4,801km)
参加台数 19台
SUPER FORMULA 第4戦

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「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」の第4戦がツインリンクもてぎで開催。昨年のGP2王者、ピエール・ガスリー選手(TEAM MUGEN)が待望の国内初優勝を飾った。 ここ数年、シーズンの中盤戦の舞台となっているツインリンクもてぎは、今年で開業20周年を迎える。記念すべき大会は、稀にみるオーバーテイクショーの連発で、レースの醍醐味を存分に楽しめる1戦となった。

昨年に続き、このもてぎ大会ではソフトコンパウンドのタイヤが投入された。このタイヤは金曜日の専有走行から使用可能だったが、予選前には数台が表面の皮むき用に装着した程度。予選で最高のパフォーマンスを得るために、供給された3セットすべてを温存するドライバーがほとんどだった。

19日(土)の午前中には何とか持ちこたえていた空模様が、公式予選のQ1開始が近づくにつれて、一気に雲行きが怪しくなり始めた。各車は1秒でも早くスリックタイヤでのアタックを敢行すべくコースへと飛び出していったが、Q1開始とほとんど同時に雨が降り始めると、見る見るうちに雨は勢いを強めてヘビーウェットコンディションへ転じてしまう。

スリックタイヤでの走行は2周ほどに留まり、全車がウェットタイヤに履き替えて再度コースへと向かっていくが、この2周で出した自己ベストタイムを更新できるドライバーはほとんどおらず、消化不良のようなセッションとなってしまった。トップタイムを刻んだのはニック・キャシディ選手(KONDO RACING)。チームメイトの山下健太選手が2番手に並んだ。一方で石浦宏明選手、国本雄資選手のP.MU/CERUMO・INGING、山本尚貴選手(TEAM MUGEN)らチャンピオン経験者が思わぬQ1敗退を喫することとなった。

その後、さらに雨脚が強まったばかりか雷まで鳴り響き、Q2以降のセッションはすべて中止に。日曜日に予定されていたフリー走行を30分から10分に短縮し、Q2・Q3を差し込むかたちにスケジュールは変更された。

20日(日)は、まだ厚い雲がかかっていたが時折陽射しも差し込み、真夏の蒸し暑さを感じる陽気の中、完全なドライコンディションでフリー走行と予選Q2・Q3が行われた。

路面状況が良かったこともあり、Q2ではコースレコードが更新された。地元・栃木県出身の野尻智紀選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分31秒888を記録し、新たなレコードホルダーとなった。またこのQ2でも、VANTELIN TEAM TOM’Sの2台や関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)といったランキング上位ドライバーがまさかの敗退。Q3へは、前日好調ぶりを見せたKONDO RACINGや小林可夢偉選手(KCMG)、フェリックス・ローゼンクヴィスト選手(SUNOCO TEAM LEMANS)ら、フレッシュな顔ぶれが並んだ。

最終的にポールポジションを獲得したのは山下健太選手。今シーズンSUPER FORMULAにデビューしたルーキードライバーが、自身初の最前列グリッド獲得となった。フロントローにはこちらも自己ベストグリッドとなる小林選手。3番手には新レコードホルダーの野尻選手が並んだ。

昼頃に雨が降り路面を濡らしたが、決勝レースが始まるころには完全にドライコンディションへと回復。全車スリックタイヤでレースはスタート。ソフトタイヤとミディアムタイヤの2種類をレース中に必ず装着しなければならないレギュレーションだが、スタート時のタイヤ選択はソフトタイヤが9台、ミディアムタイヤが10台とほぼ半々に分かれた。予選上位3台はソフトタイヤで逃げ切りを図る選択をしたが、その中で抜群のスタートを決めたのは小林選手で、一気に後続との差を広げていく。小林選手が独走する後ろでは山下選手と野尻選手が1~2秒のギャップで2位争いを展開し、ミディアムタイヤでスタートしたガスリー選手はさらに差を広げられていた。

小林選手は快調に周回を重ね、34周を終えたところでピットに向かったが、ここで痛恨のピット作業ミス。これで大幅なタイムロスを喫してしまい、小林選手よりも前、28周を終えたところでピット作業を行い、タイヤ交換を済ませたグループの中でトップにつけていたガスリー選手が逆転に成功した。

全車がピット作業を終え、名実ともにトップに躍り出たガスリー選手は、終盤になってもラップタイムを乱すことなくペースをコントロール。参戦4戦目にして待望のトップチェッカーを受けた。

ガスリー選手の逆転以外にも、見ごたえのあるバトルがたくさん生まれた今大会。レース中盤は、ガソリン搭載量を抑えて車両重量を軽くし、ソフトタイヤの持ち味を生かした塚越広大選手(REAL RACING)が次々と他車をオーバーテイク。唯一の2ストップ作戦で予選15位から一時はガスリー選手の前までポジションアップに成功し、最終的には9位でフィニッシュした。

また、予選17位の石浦選手はミディアムタイヤでの前半スティントを39周まで伸ばし、最後にガソリンが少なくなった状態でフレッシュなソフトタイヤを装着。終盤は他車に対し1周2~3秒も速いラップタイムでオーバーテイクショーを繰り広げ、4位でゴール。シリーズランキング首位を守っている。

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DRIVER VOICE

ピエール・ガスリー 選手 [TEAM MUGEN]

【今回の成績 :優勝】
本当に、ハッピーな結果になりました。開幕前のテストでは手ごたえを感じていたので、シーズンが始まる前は、もう少し早い段階で勝てるかもしれないと思っていたのですが、やはり序盤はいろいろなことに苦労しました。でもそんな中で、チームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげでいいクルマが仕上がりました。今日の結果は非常に嬉しいですが、まだまだ改善点があるのも事実。後半戦もその課題に取り組んでいきたいと思います。

ENGINEER VOICE

渡辺 晋 [横浜ゴム モータースポーツ開発部]

野尻選手がQ2で1分31秒台に入り、コースレコード更新という目標は達成できました。ただし、どれぐらいのタイムが出るかという目標値に対しては、路面コンディションがもう少し良ければ、または予選日が雷雨にならず、きちんとセッションを走れていれば、もう少しいいタイムが出たのではと思っています。

決勝では、思っていたよりも持ったなという印象です。ミディアムタイヤに比べれば当然タイヤのタレは確実に起きていますが、そのタレしろが予想の半分ぐらいでしたね。小林可夢偉選手がレースの半分以上、33周をソフトタイヤで走りましたが、タイムを見比べるとミディアムタイヤに対してマージンがあるのはその辺りまででした。まだまだ分析しなければならないことはありますが、2スペックのタイヤを使うことで、レースの状況変化はもたらせた。面白いレースをお見せすることはできたかなと感じています。

次戦オートポリスでも2スペック制になります。9月に入り少し気温も下がるでしょうから、ミディアムタイヤとの差もさらに出る一方で、コースとしてはタイヤに厳しい路面ですから、タイムの落ちも大きいのではと予測しています。次のレースも大いに盛り上がることは間違いないと思っています。