2014 WTCC Round 11&12 Preview

【FIA世界ツーリングカー選手権 第11&12戦/モスクワ (ロシア)】

[Preview] 昨年はファイブワイドも演じられたモスクワレースウェイ、
シトロエン勢からは“4人目の男”がWTCCデビューを飾る!!

WTCC Russia

開催日 2014年6月7日-8日
開催場所 モスクワレースウェイ
(ロシア)
コース距離 3,931m
決勝予定周回数 16周×2レース
2014 WTCC 第11&12戦 プレビュー

全12大会/24戦で競われる2014年のWTCC(FIA世界ツーリングカー選手権)も、早いもので前半戦最後のラウンドがこの週末にロシアのモスクワレースウェイで開催される。

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昨年からWTCCに加わったモスクワレースウェイ、2012年夏にオープンしたばかりの最新鋭のサーキットコースでは、開催初年度からWTCCらしい熱いバトルが演じられた。
もっとも、第1レースではコースオフ車両の回収に向かったレスキュー用の重機が故障してコース上に立ち往生するというトラブルがあったものの、第2レースでは参戦する5車種がストレートで事実上のファイブワイドを展開するという白熱したレースで盛り上がった。

ロシア戦を前に発表されたカンペンセイト(補正)ウェイトは、シトロエンがプラス60kg、シボレーとホンダがプラス20kg、そしてラーダはプラスマイナス0kg。こうなるとやはり、地元のラーダがどこまで奮闘を見せてくれるのかに期待も高まるというものだ。

今季はグランタ1.6Tの新規定車両3台体制で臨んでいるラーダ。旧規定時代からラーダを駆るジェームス・トンプソン選手(写真・右)、今季からラーダに加わり車両開発も担ってきたロブ・ハフ選手(写真・左)、そして24歳の若手ロシア人ミハイル・コズロフスキー選手という布陣である。
ここまでの成績で最上位は、第2戦のモロッコでコズロフスキー選手、第3戦のフランスでハフ選手がそれぞれマークした5位。しかしハンガリー以降はシングルポジションに届かない苦戦が続き、さらに前戦のオーストリアではトンプソン選手とハフ選手が不運なクラッシュに巻き込まれる憂き目にあっている

クラッシュしたマシンは既に修復も終わっているとのことなので、母国ラウンドで巻き返しを図り後半戦で躍進を見せてくれることだろう。



シトロエン勢に加わる“4人目の男”は若き中国人ドライバー!!

さて、今季のシトロエンは最終的に4台体制になることが発表されているが、その4人目のドライバーがいよいよロシア戦から登場する。

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ホセ・マリア・ロペス選手、イヴァン・ミューラー選手、セバスチャン・ローブ選手に続く“4人目の男”は、中国人のマー・チンホワ選手(写真)。
1987年、上海生まれの26歳で、2005年にアジアン・フォーミュラルノー・チャレンジでデビュー。その後はスペインやイギリスのF3でも経験を重ね、2011年にはCTCC(中国ツーリングカー選手権)の1600ccクラスでヒュンダイを駆って3勝を挙げシリーズチャンピオンを獲得。
この功績も認められて、2012年にはHRT Formula 1 Team、2013年はケーターハムF1 Teamのテストドライバーにも抜擢されている。

テストでも何度かシトロエンのステアリングを握っているチンホワ選手。海外メディアの取材に対しても、「ハイレベルでプロフェッショナルな選手権に参戦できることが嬉しく、レースが待ちきれない気分です!!」というコメントを寄せている。

一方でランキング争いは、オーストリアでロペス選手がミューラー選手との得点差を広げる結果になった。ミューラー選手はオーストリアの第1レースこそ優勝を飾ったものの、第2レースはスタート早々のクラッシュで今季2回目のリタイアを喫している。

ミューラー選手は現役のWTCCトップドライバー勢において、90%を超える高い完走率を誇っている。しかし、これまではシーズンで1回しかなかったリタイアが今季は前半戦だけで既に2回と、ややリズムに乗り切れていない印象だ。
ローブ選手との得点差も決して大きくない中、WTCC最強ドライバーとも呼ばれるミューラー選手は巻き返しに向けて、今週末のロシアでシリーズ前半戦を勝って締めくくりたいところだろう。

TV ONAIR

第11&12戦・ロシアの模様は、テレビ大阪で6月13日(金)の25時25分~25時40分、BSジャパンで6月15日(日)の9時15分~9時30分に、それぞれダイジェストが放送されます。こちらもぜひ、お見逃し無く!!



【選手権 ドライバー部門・ポイントランキング (第10戦終了時点)】

順位 クラス No. ドライバー 車 両 ポイント
1 TC1 37 ホセ・マリア・ロペス シトロエン・C-エリーゼ WTCC 179
2 TC1 1 イヴァン・ミューラー シトロエン・C-エリーゼ WTCC 138
3 TC1 9 セバスチャン・ローブ シトロエン・C-エリーゼ WTCC 134
4 TC1 18 ティアゴ・モンテイロ ホンダ・シビック WTCC 96
5 TC1 2 ガブリエレ・タルクィーニ ホンダ・シビック WTCC 74
6 TC1 10 ジャンニ・モルビデリ シボレーRML・クルーズ TC1 60
7 TC1 4 トム・コロネル シボレーRML・クルーズ TC1 58
8 TC1 5 ノルベルト・ミケリス ホンダ・シビック WTCC 54
9 TC1 3 トム・チルトン シボレーRML・クルーズ TC1 54
10 TC1 7 ヒューゴ・ヴァレンテ シボレーRML・クルーズ TC1 47
11 TC1 25 メルディ・ベナニ ホンダ・シビック WTCC 36
12 TC1 98 ドゥサン・ボルコビッチ シボレーRML・クルーズ TC1 15
13 TC1 12 ロブ・ハフ ラーダ・グランタ 1.6T 12
14 TC1 14 ミハイル・コズロフスキー ラーダ・グランタ 1.6T 11
15 TC2T 6 フランツ・エングストラー BMW 320TC 6
16 TC2T 27 ジョン・フィリッピ セアト・レオン WTCC 4
17 TC1 77 レネ・ミュニッヒ シボレーRML・クルーズ TC1 2
17 TC2T 8 パスカーレ・デ・サバチーノ BMW 320TC 2
19 TC1 11 ジェームス・トンプソン ラーダ・グランタ 1.6T 2

【YOKOHAMAドライバーズトロフィー・ポイントランキング (第10戦終了時点)】

順位 クラス No. ドライバー 車 両 ポイント
1 TC2T 6 フランツ・エングストラー BMW 320TC 98
2 TC2T 8 パスカーレ・デ・サバチーノ BMW 320TC 69
3 TC2T 27 ジョン・フィリッピ セアト・レオン WTCC 52
4 TC2T 27 ペトル・フーリン セアト・レオン WTCC 10
5 TCN 99 谷口 行規 ホンダ・シビック S2000 TC 10

CIRCUIT

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■モスクワレースウェイ

2012年の夏にオープンしたモスクワレースウェイは、昨年のWTCC初開催を前に路面が改修されている。ただ、コース幅を三分割して舗装されていたため、昨年の大会では路面の荒さがまちまちだったが、この一年で走行が重ねられたことにより全体的に路面が出来上がってきて均一になっている。

路面そのものはフラットであり、凹凸が少ないためにグリップは決して高くない。ただ、アスファルトで表面が黒いため、晴れると太陽の熱を吸収して路面温度が上がりやすく、結果としてタイヤのゴムが溶けやすくなり高いグリップが期待できるという特性を持つ。

ちなみに今回はWTCCに加え、サポートレースのRSKG(ロシアン・シリーズ・オブ・サーキット・レース)もヨコハマタイヤのワンメイク。このシリーズは過去にRTCCやRCCと呼ばれていたものの流れをくむもので、今年からは名称を新たにしたツーリングカーレースだ。

モスクワレースウェイの全長は3,931m、レコードタイムは昨年の予選でイヴァン・ミューラー選手(シボレー)がマークした1分43秒296(平均車速 137.44kph)。決勝ファステストラップはトム・コロネル選手(BMW)の1分44秒179(平均車速 135.83kph)となる。