2024年12月20日
ショップブログ
プラットフォームまで何マイル? ~オールシーズンはスタッドレスの代替となりえるか?~ Ver0.501
この記事は未完成です。
Ver1.0を完成とし、今後 書ける時に追記していきます。
現在は Ver0.501です。
この記事は下記の順番で話を進めて行くよ!
①住友ゴムが発売した新型オールシーズンタイヤについて。去年のニュースリリースから注目はしていたよというお話。
②日本でも、将来的にはオールシーズンタイヤ(以下AS)がもっと普及しないといけない切実な理由があるよというお話。
③ASはスタッドレスタイヤ(以下STL)の代替となりえるのかどうか? というお話
④STLは冬しか使わないけど、ASは春夏秋冬履き続けるって事をよ~く考えてみて? というお話。
⑤STLとASにはプラットフォームというシグナルがあり、それは法律にも密接に関わってくるよいうお話。
⑥STLに比べてASのプラットフォームを4本維持するのは、一般ユーザーにとって難易度が高いよというお話。
⑦ASは相性の良し悪しがあり、それは十人十色だから、タイヤ屋はお客様一人一人に合ったアドバイスが出来ないといけないというお話。
⑧弊社県下系列店で最もASを売っている当店は、どんなユーザーに対してASタイヤを売っているの? というお話
⑨STLの代替品としてのASではなく、夏タイヤの代替品としてASを売ろうと思ったのは何故? というお話
⑩ASは準降雪地域の社会福祉だよ。絵に描いたベストより、実現可能なベターを目指すよというお話
⑪実は、ヨコハマも今年ASの新商品がでているよ。松阪地域のSUVユーザーにとってもオススメだよいうお話

①大谷翔平効果!? スタッフの身内から入ったまさかの予約注文の巻
それは9月の事。
スタッフa「てんちょー、ダンロップのSYNCHRO WEATHER 兄貴が買うって言ってますわ」
スタッフaの御兄弟からダンロップの新型オールシーズンタイヤ シンクロウェザーが注文が入ったのです。
事前に取引業者で見積もりをとり、その販売価格にもびっくりしていたのですが、それが注文となった事で二重でびっくりだったのです。
タイヤガーデンで家族が働いているのですからヨコハマなら従業員価格。対してこのシンクロウェザーは定価販売です。
凄まじい価格差がそこにあったんですが、スタッフaが伝えた販売価格に二つ返事でGOサインでした。
折しもMLBはポストシーズンで、連日連夜大谷選手の話題で持ち切りでしたから、これも大谷効果なのかと唸るしかありませんでした。
昨年秋に予告された新型オールシーズン
去年の秋のニュース、僕はここに注目していました
--引用----------------------------------------------------------------------
住友ゴム工業は、省資源化を目的として、現在「サマー」や「スタッドレス」など性能別に販売しているタイヤを、将来的に全天候に対応する「オールシーズン」タイヤにカテゴリーを集約していく方針を打ち出した。タイヤの性能や耐久性を高めた上で製造本数を減らす。同社取締役常務執行役員の村岡清繁氏は「1種類のタイヤで年間通して走りきれるようにする」と説明した。
--引用ここまで----------------------------------------------------------
日本は、平成までがその経済をひたすらに拡大していった拡大の時代だとすれば
令和以降は人口も資源も減っていく中で、どうやって経済を循環させていくのか? という縮小の時代となります。
今まで当たり前にあった有形無形のモノやエネルギーが、これからは無くなっていく時代。
毎年市場で大量に売れ残ったスタッドレスタイヤが販売者からメーカーに返品され、
旧セリアル(セリアルは製造年を示す数字の事)品として翌年にはユーザーから邪険にされる。
メーカーがどれだけ「性能は一緒」と喧伝しても、常に「当年製造」を求めるユーザーと、
それに応え、ユーザーの要望をそのままメーカーに投げる販売者。それを拒絶できないメーカー。
この中で、取り残された大量の「旧セリアル」品はどこへいくのか?
僕が新卒でこの業界に入ってから18年ですが、
この世界でスタッドレスタイヤほど、人のエゴにより資源が大量に浪費されている商品も無いだろう
と思っています。
そういう観点から見れば、「サマー」と「スタッドレス」を統合し「1種類のタイヤで年間通して走りきれるようにする」ようしなければいけないと考えるのは、決して間違いでは無いといえるでしょう。
遅かれ早かれ、スタッドレスタイヤ大量浪費時代はいつか成り立たなくなる日が来るでしょう。
そして、それは物的資源だけではなく、人的資源で考えても限界は近いのです。むしろ、そちらの方が事態は急激に厳しくなっており、差し迫った問題でもあります。
②夏低冬高のタイヤ労働業界 止まらぬタイヤショップの高齢化

タイヤ業界は冬がとんでもなく忙しくなります。
当然、スタッドレスタイヤの履き替えがあるからです。
そして、それを戻す春が次に忙しくなります。
それに比べて夏や秋は暇です。
上図は、当店の約10年にわたる月別新品タイヤ販売本数の推移です。
左のグラフで1本だけ別次元の月がありますが、それが12月です。
(2019年は10月に消費増税があるイレギュラー年だったので、12月に売り上がる分の何割かが9月にズレています)
これを見ると、いかに季節によって仕事量が極端に変わるがお分かり頂けるでしょう。
これが単純な労働力があれば賄えるような仕事であれば、定員は夏季の仕事量に合わせて用意し、
1年に2~3ヵ月しかない大繁忙期だけ、パート・アルバイトで労働力を確保したいところです。
ですが、タイヤ作業は高度な専門職であり、一朝一夕のアルバイトに任せられる仕事ではありません。
タイヤ作業はお客様の命に直結する仕事でもあるからです。
昨今、痛ましい事件が繰り返し起きており、タイヤサービスに関わる者が習熟しなくてはいけない技術や知はより複雑化しています。
当然その責任も重くなり、誰にでも任せられる仕事では無くなっています。
元々、そんな軽い仕事ではありませんでしたが、昔と今ではあらゆる状況が違いすぎます。
また、タイヤサービスに習熟している者というのは、つまり「スタッドレスシーズンのタイヤ屋がいかに地獄か」を知っている者ですので
誰が好き好んでそんな地獄に飛び込んでくれるでしょうか(笑) 僕なら嫌ですww
そして、冬のタイヤ屋が地獄だなんて知らない素人を上手く騙して説得して来てもらっても、たぶん三日で辞めます(笑)
そうなると、常に冬に必要な人員を年間を通じて確保することになりますが、タイヤサービス現場の高齢化は深刻です。
現在、当店や当店の姉妹店はどこもスタッフの高齢化が進んでおり、若い人が全く入っていません。
僕が新入社員だったころは本社に毎年新卒が5人も6人も入社しており、自動的に子会社たる直営店にも心太式に入社2~3年目の若い人が入っていました。
かくいう僕もそのうちの一人です。
ですが、まずそういった新卒を会社が全くとらなくなったのが、アラサー以降の社会人なら記憶に新しいリーマンショックが起きてからで、
その頃に時を同じくして全国のローカル企業を一挙に統合した平成の会社大合併が起きました。この時に生まれたのが全国の直営店の親元であるYTJ(ヨコハマタイヤジャパン)なのですが、それからずっとタイヤガーデンに入ってくる若い新入社員が皆無という状況が始まりました。
その時から10年以上の月日が過ぎて、今の当店及び系列店がどうなっているかというと
どこの店も20代のスタッフが0人です。 また、ほんの少し前までどこの店も店長より若いスタッフが居ないという危機的な状況でもありました。
それって今後の世代交代が理論的に不可能といえる状況であったということです。 だってそうでしょう。店長より若いスタッフがいなければ、誰が次代の店長になるんですかと。
今はなんとか、どこのお店にも「店長と同世代のスタッフが居る」という状況にはなっていますが、やはり「次代の後継者」ポジションになる年齢層が皆無なのは変わりません。
正直、今 各々の店で店長やっているメンバーは、今の時代からすればとても贅沢なリソースの中で育つことが出来たエキスパートたちと言えます。
単純な作業力だけでなく、様々な場面に直面しても対応できるアドリブ力や、トラブルを未然に防ぐ経験値、そして理不尽な状況に耐えうる精神力など、良くも悪くも色々な意味でふるいにかけられて生き残ってきたのが今の40~50代の生え抜きたちなわけです。
ですが、もう次代の店長を育てるのに、僕たちが経験できたリソースはどこにもありません。リソースというと難しいですが「一人の社員を育てられる社会全体の余裕」と言えばその趣旨が伝わるでしょうか?
もう、はっきりいえば、今それぞれのお店の店長をやっている社員と、同等以上のクオリティをもつ店長が自然に育つ環境は無いという事です。
そして店のトップたる店長がそうなるのですから、当然その指揮下に入るスタッフも同様です。
これは、個人の能力とか才能とかの問題では無く、社会全体の問題なので、どうしようもないです。
椅子取りゲームでふるいにかけられた厳しい時代から、全員に指定席が用意された優しい時代への変化。
そして、海千山千のタイヤ業界を生き抜いてきたエキスパートたちであっても、寄る年波には勝てません。
一騎当千のツワモノが、1人で1.5人分働いて無理やりにでも回している今の冬のタイヤ屋の最大瞬間風速的な仕事量を、まわせなくなる日がいつか来ます。
すくなくとも、現状のスタッフ年齢層の状況が変わらない限りは、それはどうしようもない事実なのです。
つまり、今後10年で、まず間違いなく、お店が1日にこなせる単純な仕事量は今より減ってしまいます。
もちろん、人口減により需要も下がっているはずですが、仕事を辞める年齢になっても車には乗りますから、
タイヤ業界において需要と供給力のどちらが先に無くなるか? といったら、供給力の方だと僕は考えています。
10年後、スタッドレスタイヤを一冬に交換できる業界全体の作業キャパは、今より大きく減ってしまうのです。
その問題に対する、建設的な解決策の一つがオールシーズンタイヤなのです。

改めて、この1年間のタイヤ販売量の推移をご覧ください。
このスタッドレス装着ピークの12月、そして夏タイヤ戻しピークの3月。
(地域によっては11月ー4月になったりも)
この極端な仕事量の偏りは、全てスタッドレスタイヤ交換によるものです。
夏低冬高のタイヤ労働業界
この偏りを、もっと平準化する事ができたなら、今より少ない作業キャパでも対応できるようになります。
そして、オールシーズンタイヤであれば
スタッドレスのように、装着時期が冬に集中する事が無くなり、その交換時期が分散するので
極端に言えば、全てのスタッドレスがオールシーズンタイヤに変われば
タイヤ労働業界の夏低冬高は解消されるのです。
・・・そう思っていた時期が、僕にもありました。
実は、スタッドレスがオールシーズンにとってかわっても、結局は冬に作業が集中してしまう事になります。
それは、オールシーズンが抱える問題点の一つが原因であり、おそらく今後オールシーズンが普及していくと、ユーザーは気づき始めるはずです。
オールシーズンは、冬に新品交換しないと損をしてしまう事に
③STLの代わりにASを履くという事は?

タイヤの寿命は、大きく分けて2つの寿命が存在します。
一つは時間経過によって消耗する時間寿命で、一般的なガイドラインとしては
①製造後5年以上経過していれば、溝が残っていてもそろそろ交換を推奨。
②製造後10年経過していれば、例え新品未使用であっても使用はNG。
そしてもう一つが、走行距離や走行負荷によって消耗する残溝寿命です。
この残溝寿命で最も有名なのが
スリップサイン
と呼ばれる、タイヤの縦溝の最底辺に設けられた高さ約1.6mmの凸状の突起で
左右のトレッドゴムの山が、この凸と同じ高さまで擦り減った時、スリップサインが横一線に繋がります。
この状態のタイヤで公道を走行する事は整備不良となり、車検も合格しません。
このタイヤの溝は、基本的に雨天時の排水性を考慮して設けられているもので、スリップサインが露出したタイヤは雨天時に非常に危険な状況になります。
そして、実際にはこれよりももう少し溝がある状態(~3mm)になると、排水性は正常時から低下しているので交換推奨とされています。
でも、これはあくまでの夏タイヤでの話で
冬タイヤは、これよりももっと早くに寿命が終わります。
ここが重要なポイントであり、ASのアキレス腱でもあります。

プラットフォームってご存知ですか?
STLタイヤやASタイヤには
純粋なサマータイヤには存在しない独自の寿命ラインがあります。
それがプラットフォームと呼ばれる、
まるで峡谷に作られたダムのような形状をした凸状のサインです。
先程紹介した夏タイヤの寿命を示すスリップサインは底部から1.6mmですが、
このプラットフォームは〇〇mmと決まっているのではなく
全体の溝のおおよそ半分の所に設置されています。
例えば、溝が8mmあるスタッドレスタイヤであれば、おおよそ4mmくらいの所にプラットフォームがあり、トレッドゴムが4mm摩耗するとプラットフォームが横一線に繋がります。
そして、そうなると冬タイヤとしての寿命が終了します。
そうです。
冬タイヤの残溝寿命は夏タイヤのそれよりも大幅に少ないのです。
何故、そうなっているかというと、雪上を走行するには一定以上の深い溝が必要だからです。
(サイプとかせん断力とかの説明は省きます)
なので、冬タイヤというのは
どれだけ新しくても
溝が半分まで減ったら、もう冬タイヤとしての寿命が終わります。
(ちなみに、法的に夏タイヤとしては使えるので車検は通ります)
これはSTLでもASでも同じことです。
(厳密にいえば、日本ではASと認められてなくても、M+S表記のあるタイヤは全てにこのプラットフォームがあります)
そして、実はこのプラットフォーム
ガチの雪国だと、ちゃんと法的にも言及されていたりします↓

ということで、
冬タイヤは、溝が半分無くなったらもう終わり
だという事がお分かり頂けたと思いますが、
では何故? こんな寿命の短い冬タイヤが今まで問題なかったのか?
答えは簡単
スタッドレスは冬しか履かなかったからです。
春夏秋冬、4つの季節のうち一つの季節しか履かないという事は、
極論1年使ったとしても、時間寿命は1年減っても、走行距離(残溝)寿命は1/4年分しか減らなかったんです。
1年1万km走る人でも、スタッドレスは1年間に2500kmしか使わないんです。
だから、溝4mm分の走行寿命しかなくても、3年以上使えたんです。(1年の半分が冬なガチ雪国民は除く)
しかも、ちゃんとしたお店で交換してたら、毎年自動的にローテーションもして、4本摩耗の均一化もできてたんです。
はい、ではここで問題です。
オールシーズンタイヤってどんなタイヤでしたっけ?
もう、皆さんもおわかりですね。
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