■2017年度第2四半期決算説明会
■中期経営計画「GD100」Phase Ⅳ 2015-2017
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本年5月に発生したヨコハマタイヤ・フィリピンの工場火災について、ご報告いたします。本件につきましては、関係各方面に多大なるご迷惑、ご心配をお掛け致しましたこと、あらためて深くお詫び申し上げます。

ヨコハマタイヤ・フィリピンは、フィリピン・ルソン島のクラーク特別経済区にある欧米への輸出を主とした生産拠点です。

火災は5月14日の15時頃発生し、同日の23時に鎮火しました。東工場の北東エリア約17,400平方メートルが被災し、建屋および生産設備の損傷、倉庫内商品の消失などの被害が確認されています。これら火災損失は2017年年間で50億円程度を見込んでおります。

今後は、今回のような災害を二度と起こさぬよう、全社を挙げて安全管理強化に取り組んでまいる所存です。

2017年度は、当社にとって100周年の年であり、2006年からスタートした長期戦略「GD100」の最終年度です。

上期の活動の総括と、次の100年に向けた課題や取り組みについてご説明します。

2017年上期の業績は、対前年度増収増益となりました。年間の見込についても、売上高が前年比10.7%増の6,600億円、営業利益が18.2%増の500億円と、増収増益を見込んでいます。

各事業の課題に対する取り組みについてご説明します。

まずはタイヤ事業です。

タイヤの世界需要は、リーマンショックの時期を除いて、この十数年間、着実に右肩上がりで成長をしています。ただし、この伸長の多くは中国/アジアを中心としたもので、いわゆるコモディティ化が加速をしています。こうした経営環境の中、当社の打ち手についてご説明します。

まず、消費財タイヤにおける当社の強みは「OE(新車装着)」「REPスノー(市販用冬タイヤ)」「REPサマー(市販用夏タイヤ)」の全ての領域でトップカテゴリーの商品を有することです。

「OE」については、世界には200社を超えるタイヤメーカーが存在しますが、日米欧のカーメーカーに納められるメーカーは、世界でも十数社しかありません。さらに、その中でもプレミアムカーに納入できるメーカーは数社しかありません。

「REPスノー」においては、スタッドからスタッドレス、さらにSUV系のマッド&スノーのタイヤに渡り、トップカテゴリーの商品を有しています。

「REPサマー」では、2017年8月現在、国内タイヤラベリング制度で、ウェット性能の最高グレード「a」のタイヤが、業界最多の200サイズを突破しました。市販用レースタイヤにおいても、世界で供給できるメーカーは、当社を入れて数社しかありません。

続いて、これら各領域における打ち手についてご説明します。

OEは、上期も順調に拡大しており、SUBARU「XV」やマツダ「CX-5」、トヨタ「ヴィッツ」など、海外市場でも人気の車種に数多く装着されました。

また、2016年3月をもってドイツ・コンチネンタル社との提携を解消したことで、これまで独自に取り組めなかった地域で、日系カーメーカーとのビジネスの展開が可能となりました。その第一弾として、昨年発売された米国生産のスバル「インプレッサ」への納入を実現させています。

さらに、中国では近年、自動車の燃費規制の厳格化により低燃費タイヤへの引き合いが高まるなど、タイヤへの要求性能が高くなっています。こうした背景から当社の高性能タイヤへのOE需要が増加し、上期の売上げを牽引しました。

次に、REPスノーとREPサマーについてご説明します。

REPスノー商品では、スタッドレスタイヤ「iceGUARD 6」、スタッドタイヤ「iceGUARD iG65」、乗用車用およびSUV用ウインタータイヤ「BluEarth*WINTER V905」を発売します。

一方、REPサマー商品では「GEOLANDAR M/T G003」に加え、低燃費スタンダードタイヤ「BluEarth-Es ES32」、クロスオーバーSUV・ミニバン用タイヤ「BluEarth RV-02」などを国内外に投入していきます。

さらに歴史的ヒット商品である「ADVAN HF Type D」と「YOKOHAMA A008P」の復活発売も予定しています。

こうした商品投入に合わせたプロモーション活動として、当社は2015年より英国プレミアリーグのチェルシーFCと5年間のスポンサー契約を結んでいます。昨シーズンは、同チームがリーグ優勝を果たし、イギリスをはじめとした欧州諸国、タイをはじめとするアジア諸国で販売本数増加といった効果が現れ始めています。

市販用では更に、「アライアンス」ブランドをPCR向けセカンドブランドとして活用していきます。

「アライアンス」は、昨年買収したATGの生産財向けブランドで、本年5月から欧州向け乗用車用タイヤに使用を開始しました。これはヨコハマブランドの高付加価値イメージを維持しながら、コモディティーゾーンへの対応を行い、増収増益を目指すためのものです。

「アライアンス」のロゴはYOKOHAMAのロゴとともに、チェルシーFCのユニフォームにも施されるなど、販売拡大に向けた施策を展開中です。

次に生産財タイヤ事業の強化です。当社では、収益性が高く安定的成長が見込めるオフ・ハイウェイ・タイヤを、生産財事業の収益の柱として位置付けています。

2015年時点では、ORを中心とした当社のオフ・ハイウェイ・タイヤの売上は250億円ほどでしたが、2016年にはATG、2017年には愛知タイヤ工業を買収したことによって850億円まで増加する見込みです。さらに、両社とのシナジーを追求することで2020年には1,000億円まで伸ばし、世界の市場地位においてトップ5入りを目指したいと考えています。

生産能力についてご説明します。

当社グループの国別タイヤ生産能力について、2020年までの計画を記しました。なお、フィリピンの2017年以降の数値は火災被害前の計画本数となっています。

今後、2014年に発表したとおりタイヤの生産能力を増産する計画です。特に中国では旺盛なOE需要に応えるため、2020年度までに2017年比285万本増の1,350万本を目標とし、増強を進めていきます。

次にMB事業です。

MB事業では、今後も成長分野である海外事業を拡大する計画です。特に当社が強みをもつ自動車用ホースや海洋商品などに注力していきます。

上期では、オイルクーラーホースアセンブリなど北米カーメーカー向け自動車用ホースへの取り組みをさらに推進しました。また、より一層の拡大に向け、グローバルでの供給体制の構築を進めています。

高圧ホースにおいては、国際規格を積極的に取得するなど海外市場向けの販売体制を強化しました。

さらに、コンベヤベルトについてはタイの国営火力発電所やフィリピンの鉱山など、東南アジアで大口案件を受注しました。

旺盛な国内土木・建築事業にも対応しています。

土木分野では株式会社大林組へ、同社の新型堀削機向けホースアセンブリを納入しました。

建築分野においては、本年7月、ビルやマンションに使用されるウレタン塗膜防水材「アーバンルーフSF」を発売しました。同製品は、環境対応性能の向上を図っており、需要が拡大している近年のウレタン塗膜防水工事において一層の採用拡大が期待されます。

次にスポーツ事業です。

本年6月、「RS 2017」「RS-F 2017」ドライバーを発売しました。 「RS 2017」はドロー、 「RS-F 2017」はフェードが打ちやすいよう設計されており、当初計画以上に販売を伸ばしています。

また、「飛び主義」をコンセプトとした金egg、赤eggドライバーのリニューアルモデルを本年9月から発売します。特にSLEルール適合外の金eggは、2015年の発売以来、飛距離を取り戻したいシニアゴルファーを中心に販売を伸ばしており、新商品の販売にも期待しています。金・赤eggともに、ドライバー2種とフェアウェイウッド、ユーティリティを揃え、さらに赤eggについてはアイアンも2種発売します。

次にCSR/ESG活動の取組みです。

「地球環境」への対応では本年1月、国際NPO「CDP」から最高評価を受けました。世界で最高評価を受けたのは29社で、日本では8社のみでした。

また、「地域社会」では当社が2011年から支援している中国・雲南省での生態系保護プロジェクトが、中国政府による政策決定に重要な役割を果たす国情調査の対象に認定されました。

さらに「株主・投資家」においては、当社はESG投資指数「FTSE4Good Index」の構成銘柄に13年連続で選定されました。また本年7月、年金積立金管理運用独立法人が運用を開始した3つのESG指数について、2つの指数で構成銘柄に選定されています。

最後に当社は今年10月、創立100周年を迎えます。この節目の年に当たり、これまでご支援いただいた株主の皆様へ感謝の意を表すため、中間、期末ともに1株当たり5円の記念配当の実施を計画しています。

皆様には、さらなるご支援・ご鞭撻を賜りますことを心よりお願い申し上げます。