【SUPER FORMULA 第1戦 / 鈴鹿サーキット】

異例の3月開幕となった2024年のSUPER FORMULA、3番手グリッドからスタートの野尻智紀選手が貫録の優勝を飾った!!

SUPER FORMULA Round 1

開催日 2024年3月9日-10日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 公式予選 : 晴れ
決勝 : 晴れ
路面 公式予選 : ドライ
決勝 : ドライ
決勝周回数 31周
(1周=5,807m)
参加台数 21台
※タイヤはヨコハマタイヤのワンメイク

2024年の「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」は、例年と異なり3月上旬に鈴鹿サーキットで開幕を迎えることとなった。事前テストは2月半ばに行われ、そこからわずか2週間でのシーズンインとなる。この週末の鈴鹿サーキットは強い寒気が流れ込んできていた影響で、真冬並みの寒さに。公式予選が行われた土曜日は、途中でわずかに雪が舞い散る場面もあった。

今シーズンのSUPER FORMULAは話題が盛りだくさんだ。車両面では、シャシーとタイヤのワンメイクに加え、ダンパーも共通パーツとなった。横浜ゴムは昨年に引き続き、ドライタイヤでは再生可能原料比率を33%まで高めたサステナブルタイヤを供給する。

ドライバーラインアップでは、FIA F2チャンピオンのテオ・プルシェール選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)や彼とチャンピオン争いを繰り広げた岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権チャンピオンの木村偉織選手(San-Ei Gen with B-MAX)、そして日本人女性ドライバーとして初めてSUPER FORMULAに参戦するJuju選手(TGM Grand Prix)がルーキーとして参戦。継続参戦のドライバーたちの中でも、チームだけでなくメーカー間の移籍を果たして心機一転の気持ちで今シーズンを迎える者もいる。この開幕戦は2輪レースとの併催ということもあり、極寒のコンディションながら9日(土)から13,000人のモータースポーツファンが鈴鹿サーキットに集結した。

公式予選は昨年同様、2段階のノックアウト方式。まずはQ1のグループAで11名が出走した。気温は8度、路面温度は18度というコンディションの中、トップタイムをたたき出したのは昨年の最終戦で嬉しいSUPER FORMULA初優勝を遂げた太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)。これに、昨年のシーズン後半をけがで欠場していた山本尚貴選手(PONOS NAKAJIMA RACING)が2番手で続く。ルーキーの岩佐選手が3番手でQ1を突破した一方、注目のプルシェール選手はわずか0.1秒差でQ2進出を逃すこととなった。

続くQ1のB組では、野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が唯一の1分35秒台をマークしてトップ通過。牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が2番手に続いた。Juju選手はこのB組で出走したが、トップから4.8秒差の10番手でQ2進出はならず。Q1を敗退したドライバーたちは、Q1で最も速いタイムを記録した組の7位が予選の総合結果では13位となり、13番グリッドが与えられることになり、もう一方の組の7位は14位となる。以降、交互の順番で予選結果が決められ、Juju選手は初めてのSUPER FORMULAの決勝を19番グリッドからスタートすることになった。

注目のQ2は、野尻選手のポールポジション獲得という大方の予想を見事に裏切り、阪口晴南選手(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が自身初のポールポジション獲得となった。阪口選手はQ1をB組で出走し、野尻選手から0.5秒差の3番手で通過。そこからQ2に向けてエンジニアと話し合い、アジャストしたマシンセッティングが功を奏した様子。野尻選手はQ2では「少し失敗があった」と記者会見で明かし、3番手。太田選手が2番手でフロントローをもぎ取った。4番手には佐藤蓮選手、5番手には山本選手とPONOS NAKAJIMA RACINGが2台そろって上位グリッドを確保。その後ろ、6番手には冬のテストで好調な様子を見せていた山下健太選手(KONDO RACING)が着けた。

一夜明けた決勝日の鈴鹿は、いくらか上空の雲も少なくなり日差しも出るように。決勝レースが近づくにつれて日差しの当たる場所では暖かさを感じられるようにもなった。とはいえ空気は依然として冷たく、気温12度、路面温度22度というコンディションで31周の決勝レースがスタートした。

1列目に並んだ阪口選手、太田選手をかわしてホールショットを奪ったのは野尻選手。これに佐藤選手が続き、坂口選手は3番手に、加速が鈍った太田選手は一時7番手まで後退してしまった。2周目に入ったS字コーナーで、小高一斗選手(KONDO RACING)と国本雄資選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が接触し2台がコースアウト。車両がストップしてしまったことから、レースは早々にセーフティカー(SC)が入ることになった。

リスタートが切られたのは6周目。するとすぐ、7番手の太田選手と6番手の牧野選手、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのチームメイトバトルが勃発する。まずはシケインでオーバーテイクシステム(OTS)を作動させた太田選手がアウト側から一気に牧野選手を抜いて行くが、すぐさま牧野選手もOTSを使ってホームストレートで横に並びかけていく。1コーナーではわずかに前に出た牧野選手が、先ほどのお返しとばかりにアウト側から豪快にオーバーテイク。いったんは6番手に上がった太田選手だったが、再びポジションを元に戻しただけでなく、OTSの作動禁止時間中に今度は背後に迫っていた福住仁嶺選手(Kids com Team KCMG)にシケインでかわされてしまい、ポジションを落とすことになってしまった。

周回数が10周を過ぎ、タイヤ交換が可能になるとすぐにピットに戻ってきたのは4番手を走行していた山本選手と、6番手の牧野選手。その翌周、上位陣では山下選手、福住選手、太田選手がピットイン。冷えたタイヤでアウトラップを走っている間に逆転を図ろうという作戦だ。当然、自分のアウトラップの間に背後から迫られてしまうこともあるが、KONDO RACINGは素晴らしいピットワークで山下選手を送り出すと、「想像以上にアウトラップを速く走れた」という山下選手は山本選手の猛追を振り切り、コース上で抜けなかった山本選手の逆転に成功した。

すると今度はトップが動く。野尻選手が13周を終えたところでピットインすると、山下選手に対しホームストレート1本分のマージンを持ってコースに復帰した。冷えたタイヤの野尻選手対タイヤに熱が十分に入っている山下選手の戦いは見る見るうちに1秒差まで縮まっていき、ヘアピンコーナーではテール・トゥ・ノーズになろうかというところまで近づいたが、野尻選手はOTSも使って必死に逃げ、事実上のトップを守り切ることに成功。ここからレース後半は、トップ野尻選手、2番手の山下選手、3番手の山本選手がそれぞれギャップを保ちながら周回数が重ねられていった。

1台、また1台とタイヤ交換のためにピットに向かい、そのたびに野尻選手は見た目上でも順位を上げていく。26周目、最後までピットインを引っ張っていた岩佐選手がピットロードにかじを切ると、野尻選手が名実ともにトップに返り咲き、そのまま残り5周を危なげなく走り切ってトップチェッカー。得意の鈴鹿を圧巻の走りで勝ち切り、素晴らしいシーズンのスタートを切った。

2位は山下選手。終盤に山本選手に迫られ、最終ラップはお互いにOTSを使い切るまで戦い切ったが、なんとかポジションを死守してゴール。昨年の開幕大会・第2戦以来の表彰台獲得となった。3位の山本選手は2022年の第7戦もてぎ大会以来、2年ぶりの表彰台。けがからの復帰初戦での結果に、こらえきれない涙をぬぐいながら笑顔でインタビューに答えていた。4位は太田選手、5位は佐藤選手、6位は福住選手。初のポールポジションから優勝を目指していた阪口選手は残念ながら7位フィニッシュ。レースウィークに急遽参戦が決まった松下信治選手(TGM Grand Prix)が8位に入り、岩佐選手がルーキー勢としては最上位の9位入賞を果たした。

Driver’s Voice

野尻智紀 選手 (TEAM MUGEN)

【今回の成績 : 優勝】

いろいろと懸念材料はありましたが、1コーナーでトップに立ってからは自分の流れでレースを進められると確認しました。このコンディションだとアウトラップが難しいと思っていたので、早めにピットインした選手たちの順位やタイムなどをチームに見てもらいながら、自分のピットストップのタイミングを決めたのですが、チームに素晴らしい判断をしてもらったと思っています。次のレースまで2か月もあいてしまいますが、オートポリスでもいいレースができるよう準備していきたいと思います。

Engineer’s Voice

坂入将太 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発2グループ]

今年のレーススケジュールを伺った際に、開幕戦はウォームアップが課題になるとは思っていましたが、土曜日は一桁代の気温で雪がパラつく時間帯もあるなど、想像していた以上の寒さでした。SUPER FORMULA用タイヤは通年で同一スペックを使用するため、ドライバーの皆さんは本来使用したいレンジよりもハードなタイヤでレースをしなければならない難しい状況であったと思います。そんな状況下でもミスなく走り切るベテランドライバー達のレベルの高さを実感したレースでした。

今年はドライバーの移籍やルーキーの新規参入も多く、厳しい環境下で行われた第一戦はベテラン勢が表彰台に上りましたが、この先気温も上がり、更には車、タイヤへの習熟度も増したルーキーの皆さんが上位争いに必ず加わってくると思いますので、ファンの皆さんにとっても常に目が離せないシーズンになると思います。

Text : 浅見理美(Satomi Asami)
Photo : 小笠原貴士(Takashi Ogasawara) / 佐々木純也(Junya Sasaki)

TOP