【SUPER FORMULA 第8戦 / 鈴鹿サーキット】

決勝レースは序盤に大クラッシュが発生して赤旗終了、ハーフポイント獲得で野尻智紀選手がポイント差を詰める結果に

SUPER FORMULA Round 8

開催日 2023年10月27日-28日
開催場所 鈴鹿サーキット
(三重県)
天候 公式予選 : 晴れ
決勝 : 晴れ
路面 公式予選 : ドライ
決勝 : ドライ
決勝周回数 31周
(1周=5,807m)

※赤旗提示により3周で終了
参加台数 22台
※タイヤはヨコハマタイヤのワンメイク

2023年の「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」第8戦が、10月28日(土)に三重県の鈴鹿サーキットで開催された。シーズンを締めくくる最終大会は、この第8戦と翌29日(日)の第9戦、1大会2レース制のフォーマットでの開催となる。予選では逆転で3連覇を狙う野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が今季4度目のポールポジションを獲得。決勝レースは序盤に大きなクラッシュが発生したため途中で赤旗終了となった。

今大会は、SUPER GTでのクラッシュによる負傷で欠場している山本尚貴選手(TCS NAKAJIMA RACING)の代役として、大津弘樹選手が参戦。また大会直前に大湯都史樹選手(TGM Grand Prix)の欠場も発表され、代役としてSUPER GTのGT300クラスで活躍する大草りき選手がSUPER FORMULAデビューを飾ることとなった。

1大会2レース制のレースウィークは、金曜日に1時間30分の練習走行が設けられるのみで、あとは予選と決勝、いきなり本番を迎える。どのドライバーにとっても重要な1時間30分のセッションは、前戦もてぎ大会をポールトゥウィンで飾り逆転タイトルに向けて勢いのある野尻選手がトップタイムをマーク。ランキングトップの宮田莉朋選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が2番手、ランキング2位のリアム・ローソン選手(TEAM MUGEN)が4番手と、タイトル争いの役者が上位に勢ぞろいした。

一夜明けた第8戦公式予選は、まずQ1のA組では、坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)がトップタイムをマーク。ローソン選手がわずか1000分の1秒トップタイムには届かなかったものの、2番手でQ1を突破した他、太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山下健太選手(KONDO RACING)、佐藤蓮選手(TCS NAKAJIMA RACING)、松下信治選手(B-Max Racing Team)がQ2へ駒を進めた。B組には野尻選手と宮田選手が出走したが、それぞれトップタイムと3番手タイムで難なくQ1を突破。

迎えたQ2は、全車がアタックラップへと入っているタイミングで佐藤選手がデグナーカーブでコースオフ、タイヤバリアにヒットしてしまった。これでセッションは赤旗が提示され一時中断され、各ドライバーともアタックの仕切り直しを余儀なくされることとなった。

ここですさまじい集中力を見せたのが野尻選手だった。周りが新品タイヤを投入したのに対し、ユーズドタイヤを選択したローソン選手は、野尻選手よりも後ろでコースインしたものの、タイヤのウォームアップに時間がかかる野尻選手に蓋をされるのを避けるためか、野尻選手を追い抜いて先行。両者がアウトラップで交錯し、野尻選手にとってはフラストレーションの溜まる1周だったが、冷静にアタックに入ると、1分37秒292をマーク。ローソン選手はその前に、平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)に続く暫定2番手タイムを出していたが、これらを大きく上回り逆転トップに躍り出た。

その後、宮田選手が1分37秒599で2番手に滑り込み、野尻選手のポールポジション獲得が決定した。ローソン選手は7番手と大きく順位を下げてしまった。予選では1位に3ポイント、2位に2ポイント、3位に1ポイントが与えられるため、野尻選手はここでもシリーズポイントを獲得。宮田選手とローソン選手にさらにプレッシャーを与える形となった。

3時間半のインターバルを挟み、決勝レースがスタート。野尻選手がポールポジションから好スタートを切る一方、フロントローに並んだ宮田選手は、2列目からスタートした太田選手の先行を許し、3番手にドロップしてしまった。ただ、太田選手はオーバーテイクシステム(OTS)を使ってのスタートダッシュだったことから、2周目にはOTSを使えない状態になった太田選手に対し宮田選手がリベンジ。1コーナーでアウト側から豪快に抜き去っていった。

これで予選順位通り2位を取り戻した宮田選手は、一気に野尻選手にも接近。ここから2台のトップ争いが激しくなるかと思われたが、4周目を走行中の大津選手と笹原右京選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が130Rで接触。2台はアウト側のバリアへと激しくクラッシュした。笹原選手の車両は宙に浮いた状態でデブリフェンスに激突し、車両が大破するほどの衝撃となった。

幸い、大津選手は車両から降りて歩いている様子がモニターで映し出され、笹原選手も命に別状はないとのアナウンスが流れたが、レースはこれで赤旗中断。デブリフェンスの支柱が倒れ、すぐに修復ができないことから競技の続行は無理と判断され、ここでレースを終了することとなった。

結果は3周完了時点での順位で決定となり、野尻選手が優勝、2位に宮田選手、3位に太田選手となった。ローソン選手は1つポジションを上げた6位でフィニッシュ。なお、レース距離の75%を消化していないことから今回のレースではハーフポイントが与えられることになり、野尻選手は10ポイント、宮田選手は7.5ポイント、ローソン選手は2.5ポイントを追加。これで野尻選手は宮田選手に対し6.5ポイント差の2位に浮上した。

Driver’s Voice

野尻智紀 選手 (TEAM MUGEN)

【今回の成績 : 優勝】

レースの終わり方は、ファンの方々か望んでいたものではなかったと思いますが、まずは彼らが無事だったということは良かったし、これからまだ検査等もあると思いますが、早くまた一緒にレースできればと思います。自分自身に関しては、スタートが良くポジションをキープして1コーナーに入れたことが大きな要素でした。ペースは宮田選手の方が良さそうだったので、トップを走ってはいましたがそんなに楽なレースになるだろうとは考えていませんでした。チャンピオンシップの点差を詰めることができて、まだ自分たちに流れはあるのかなと感じますが、最終戦はよりエキサイティングな戦いになるのではと思っているので精一杯力を出し切りたいです。

Text : 浅見理美(Satomi Asami)
Photo : 小笠原貴士(Takashi Ogasawara) / 佐々木純也(Junya Sasaki)

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