【SUPER FORMULA 第5戦 / スポーツランドSUGO】

宮田莉朋選手がライバルを圧倒する走りで今季2勝目を飾り、シリーズランキング争いでもトップに浮上した!!

SUPER FORMULA Round 5

開催日 2023年6月17日-18日
開催場所 スポーツランドSUGO
(宮城県)
天候 公式予選 : 晴れ
決勝 : 晴れ
路面 公式予選 : ドライ
決勝 : ドライ
決勝周回数 51周
(1周=3,586m)
参加台数 22台
※タイヤはヨコハマタイヤのワンメイク

2023年の「SUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)」第5戦が宮城県のスポーツランドSUGOで開催され、宮田莉朋選手(VANTELIN TEAM TOM’S)が第3戦鈴鹿大会での初優勝に続き2勝目を挙げ、シリーズランキングでもトップに浮上した。

九州・オートポリスでの第4戦を終え、SUPER FORMULAは日本列島を一気に北上。杜の都仙台から近い、スポーツランドSUGOで第5戦を迎えた。16日(金)の設営日は、オートポリスラウンドが再現されたかのような悪天候。一夜明けた17日(土)には青空が広がり強い日差しが降り注ぐ好天となり、ドライコンディションで走行が開始となった。

前戦を体調不良で欠場した野尻智紀選手(TEAM MUGEN)も復活し、22名のシーズンエントリードライバーが勢ぞろい。レースウィークの走り出しとなる午前中のフリー走行は、宮田選手が唯一の1分5秒台にタイムを入れトップに立ち、牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、山下健太選手(KONDO RACING)らが続くという結果だった。

気温29度、路面温度39度というコンディションで始まった公式予選はノックアウト方式。スポーツランドSUGOはSUPER FORMULAが開催される国内サーキットの中でも一番距離が短くコンパクトなレイアウトで、アクシデントも起こりやすいコースであることから、赤旗が提示されセッションが中断してしまうことが多い。普段はセッションの序盤でマシンや路面状況を確認し、終盤に一発勝負をかけるという流れで予選を組み立てることが多いが、今回は序盤にいったんタイムを出しておくというドライバーも見受けられた。

実際、Q1のA組ではジェム・ブリュックバシェ選手がアタックラップでクラッシュを喫したために黄旗が提示され、その区間を走行したドライバーは当該ラップのタイムが不採用となった。小高一斗選手(KONDO RACING)は6番手タイムをマークしQ2進出圏内に入っていたものの、黄旗提示区間を通過したタイムだったために、セカンドベストラップで順位が採用されてドロップ。7番手だった佐藤蓮選手(TCS NAKAJIMA RACING)が繰り上がりでQ2に駒を進めるという一幕があった。そんな波乱もあったA組だが、宮田選手はアタックに入った位置もタイミングも良く、トップタイムでQ2進出。復帰戦の野尻選手も宮田選手に続く2番手でQ1を突破した。

Q1のB組はアクシデントなく進んで坪井翔選手(P.MU/CERUMO・INGING)がトップタイムを記録した。ポイントリーダーのリアム・ローソン選手(TEAM MUGEN)が2番手、予選で速さを見せる大湯都史樹選手(TGM Grand Prix)が3番手でQ2に進出。Q2はめまぐるしくトップタイムが入れ替わる、熾烈なポールポジション争いとなったが、大湯選手が最後にトップに躍り出て、今季2度目のポールポジションを獲得。2番手に宮田選手、3番手に野尻選手が続いた。

翌日の決勝日は、午前中こそ前日のような強い日差しが降り注いだが、午後にはうっすらと上空に雲がかかり、決勝レーススタート時には気温28度、路面温度36度と予選時よりもやや低い温度を示した。

51周の決勝レースは、スタートで野尻選手と5番グリッドの平川亮選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が珍しく出遅れポジションダウン。また後方で松下信治選手(B-Max Racing Team)がスタートできずにコース上にストップし、さらに4コーナー先でジュリアーノ・アレジ選手(VANTELIN TEAM TOM’S)と関口雄飛選手(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)が接触するアクシデントが発生したことから、オープニングラップで早々にセーフティカー(SC)が導入される。関口選手はフロントウィングが落ちマシンの下部に挟まってしまうなど大きなダメージを受けピットイン。アレジ選手もいったんはSC先導の隊列に加わったもののマシンダメージの為ピットに戻り、ここで2台がレースを終えることとなった。

5周目に入るところでSCが隊列を離れリスタート。トップの大湯選手はポジションを守ったまま周回し、これに宮田選手、坪井選手、ローソン選手、牧野選手が続く。周回数が10周を数えピットウインドウが開くと、上位陣で真っ先にタイヤ交換に向かったのは牧野選手。その翌周には野尻選手がタイヤ交換を行い、牧野選手の前でコース復帰に成功した。

ちょうどこの時、トップ争いにも動きが出る。最終コーナーでオーバーテイクシステムを使ってパワーアップした宮田選手が、ホームストレートでアウト側から一気に大湯選手をオーバーテイク。これでトップに浮上する。大湯選手はややペースが落ちてきたのか、翌周には坪井選手にもとらえられる。なんとかブロックしようとしたものの、やや体勢を崩して1コーナーでオーバーラン。コースに戻ってきたが8番手までポジションを落としてしまった。大湯選手はその後15周目にタイヤ交換でピットインし挽回を目指したものの、マシントラブルで再びピットイン。そのままガレージに入りリタイアとなってしまった。

大湯選手をかわしてトップに立った宮田選手は、17周を終えたところでピットイン。すでにタイヤ交換を済ませている野尻選手をターゲットに動き、チームも素早い交換作業で宮田選手をコースへ送り出す。宮田選手のタイヤが冷えている間にとらえたい野尻選手は猛プッシュで接近し、最終コーナーからテールトゥノーズバトルに。1コーナーでイン側を守った宮田選手はそのまま2コーナーまで野尻選手の鼻先を抑えポジションを死守。ここまででタイヤにも熱が入りペースを取り戻した宮田選手は、少しずつ野尻選手を引き離していった。

この時点で見た目上のトップは坪井選手。その背後にローソン選手が着け、山下選手、平川選手と続いていた。ただし、すでにタイヤ交換を済ませたグループよりもペースが遅いため、坪井選手と宮田選手の差は徐々に縮まってくる。

坪井選手はピットインのタイミングを35周終了のところまで引っ張りピットイン。すでにこの時点で宮田選手とは12秒差しかなく、トップで戻ることはかなわずに9番手でコースに復帰となってしまった。坪井選手に蓋をされている形だったローソン選手はここからペースアップし宮田選手とのギャップを広げようとするが、残り周回数も少なく、41周終了のところでピットへ入り、7番手でのコース復帰となった。

これで名実ともにトップに返り咲いた宮田選手は、後続が1分10秒台のラップタイムで周回する中、1秒近く速いラップタイムを連発。気づけば野尻選手に対して22秒という大きな差をつけてトップチェッカーを受けた。宮田選手は第3戦鈴鹿大会に続きシーズン2勝目をマーク。予選ポイントも合わせ大量得点を稼ぎ、シリーズランキングでもローソン選手を逆転してトップに浮上した。
2位には復帰戦となる野尻選手が入り、3位は牧野選手。4位には、終盤にフレッシュタイヤに履き替え怒涛の追い上げを見せたローソン選手を抑え切った大嶋和也選手(docomo business ROOKIE)が入った。

Driver’s Voice

宮田莉朋 選手 (VANTELIN TEAM TOM’S)

【今回の成績 : 優勝】

初めてスタートで順位を落とさずに1コーナーに入ることができました。リスタート後に大湯選手を捕まえてトップに立てたことも良かったです。昨年はピット作業でロスがあって悔しい思いをしたのですが、今回はメカニックさんたちの作業も早く、去年の雪辱も果たせました。こんなにいい流れでシーズンを進められると思っていなかったので驚いている部分もありますが、ずっとチームと一緒にやってきたことが結果に結びついている証拠なので、これからもベストを尽くしていきます。

Engineer’s Voice

坂入将太 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発2グループ]

今回宮田選手の速さは圧倒的でしたね。鈴鹿、オートポリスでも同様にロングランで非常に安定したペースで走行していましたので、今年の車両とタイヤの組み合わせにおいて決勝の走らせ方を最も詰められているのがTEAM TOM’Sと宮田選手なのかもしれません。

一方、今回惜しくも5位となってしまったローソン選手も、いつもタイヤのマイレージを全く感じさせない走りをされていますね。ロングランでタイムを落とさないのはもちろんですが、アウトラップでのウォームアップの早さもローソン選手の強さだと思います。残念ながら今回はオーバーテイクの難しいSUGOで前方の車両に引っ掛かり苦戦している場面もあり、本来の速さを見せられない悔しいレースになってしまったと思います。

次戦は今シーズン2回目の富士となりますが、今年はその前に公式テストが組まれていることもあり、これまでで最も各チームの車両のセットアップとドライバーの習熟度が高まった状態でのレースになると思います。全車拮抗した目が離せないレース展開になることを楽しみにしています。

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