【NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ) 第8戦 / ドイツ・ニュルブルクリンク】

“ニュルウェザー”も牙を剥いた第8戦、ヴァルケンホルストの34号車は終盤の1時間を独走する圧勝を飾って今季5勝目を獲得!!

NLS Round 8

開催日 2023年9月23日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
天候 公式予選 : 曇り
決勝 : 曇り 一時 雨 のち 晴れ
路面 公式予選 : ドライ
決勝 : ドライ~ウェット~ドライ
決勝時間 4時間
(1周=24,358m)

3月中旬に開幕した2023年のNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)は、今大会を含めて残すところ2戦となった。ヨコハマタイヤとともに難攻不落のニュルブルクリンクでチャレンジを続けるヴァルケンホルスト・モータースポーツは、2週間前に開催された第6戦と第7戦、ともに6時間の決勝で競われたダブルヘッダーを連勝して強さを見せたが、その勢いは留まることなくライバル勢を寄せつけない戦いぶりを披露した。

第8戦の「55. ADAC Barbarossapreis」は9月23日(土)に開催、カレンダーは6時間レースの3大会を終えて本大会と最終戦は4時間の決勝となる。一見、2時間短いことから過酷さが和らぐかのようにも感じられるが、そこは魔物が棲むとも称されるニュルブルクリンクゆえに、今回も最後まで決して気を抜くことが許されないタフな一戦となった。

公式予選が開始される8時30分の時点で気温は14℃と低く、パドックの人々は大半が長袖の上着をまとっていた。上空は一面が灰色の雲に覆われていたが、この日の天気予報で降水確率は10%という情報があったので、雨は降らないという見込みも立てられたのだが……。

ヴァルケンホルストからは2台のBMW・M4 GT3が参戦、連勝中の34号車はクリスチャン・クログネス選手とヤコブ・ギエルマジアック選手、35号車はダイラン・ペレイラ選手とサミ-マティ・トロゲン選手がステアリングを握る。予選コースオープンとともに、2台を含むSP9クラス勢の全車がコースイン、34号車はギエルマジアック選手、35号車はトロゲン選手がマシンをコースへ進めた。

何度かのピットインを重ねて各部のチェックやセットアップも進め、34号車については終盤にクログネス選手へとマシンをリレー。90分のセッションは中盤以降で雲間から青空も顔を覗かせ、34号車は5番手、35号車は3番手というリザルトを残した。

当初予定が30分後ろに変更され、12時30分スタートとされた4時間の決勝レース。空は雲が多いが、隙間から青空も垣間見られ路面はドライコンディション。予選3番手の35号車はペレイラ選手、5番手の34号車はギエルマジアック選手がスタートドライバーをつとめ、スターティンググリッドは2列目と3列目の各右側に陣取ってフォーメーションラップを迎えた。

24,358mのコースをゆっくり一周し、先導するマーシャルカーがコースを離れるとエキゾーストノートが高らかにこだまして決勝レースがスタート。35号車は1コーナーでやや外側に膨らみポジションをダウン、一方の34号車は2コーナーで35号車の前に出た。オープニングラップを終えて34号車は5番手、35号車がこれに続いて6番手というオーダーになる。

2周目には24号車(アストンマーティン・ヴァンテージ GT3)のインを34号車が鋭くさしてパス、35号車も同様にかわして両者揃ってポジションをアップ。トップとの差は1周を終えて7秒あまりだったが、24号車に行く手を塞がれていた場面もあり、前に出てからは一気にチャージして2周目の終盤では先頭集団の3台に追いついた。

しかし今度は、3番手の17号車(アストンマーティン・ヴァンテージ GT3)のペースがあまり上がらず、トップ2台との間隔がやや開いてしまった。4周を終えて2番手の30号車(フェラーリ・296 GT3)がピットインしたが、先頭の5号車(アウディ・R8 LMS GT3 EVO II)との差が10秒以上となってしまった。34号車は5周を終えて1回目のピットイン、ドライバーはギエルマジアック選手がそのままで2スティント目に突入した。

翌周に17号車と5号車、そしてSP9勢では最も遅く7周を終えて35号車が1回目のピットインを行い、これでSP9クラス勢の戦いは揃って2スティント目へと突入した。8周を終えてトップは30号車、その真後ろに34号車がつけて激しくプッシュ。スタートから1時間を経過する前後で、ヴァルケンホルストの2台はそれぞれテール・トゥ・ノーズの争いを展開。30号車に迫る34号車とのトップ争い、その後方では3番手の5号車に対して34号車が11周を終えて0.496秒差と、こちらも真後ろにつけてポジションアップの機会を伺っていた。

そして12周目に35号車は、5号車をかわして3番手に浮上。一方のトップ争いは12周を終えて30号車がピットイン、その翌周に34号車が2回目のピットインを行ってドライバーはクログネス選手に交代した。コースへ復帰して間もなくスタートから2時間を経過してレースは折り返し、16周を終えて35号車がピットインを行ってトロゲン選手に交代して、上位陣は全車が2回目のピットを消化した。順位は16周終了時点で34号車がトップに浮上、2.657秒差で30号車が2番手、その後ろは5号車となった。

ますますトップ争いが激しさを増すかと思われる展開だったが、“グリーンヘルに棲む魔物”が目を覚ましたか、スタートから2時間20分を経過して雨が降り始めた。全長24kmに及ぶロングコース、アイフェルの森の一部で降り出した雨は短い時間で勢いを強め、路面はところによりウェットへと転じた。雨の区間では各車のワイパーが忙しく動き、その範囲は徐々に拡大。時に挙動を乱すマシンも現れ、コース上に留まることさえ難しいコンディションとなってしまった。

この状況で、雨が降り始める直前にピットインしていた35号車が18周を終えて再度入ってレインタイヤへと交換。一方の34号車は厳しいコンディションながらもクログネス選手が巧みにマシンをコントロールしてコース上に留まり、18周目に30号車の先行を許したものの、大きく離されることなく2番手で逆転の機会を待っていた。

そして勝負の分かれ目となったのが20周を終えたタイミング、ここで30号車が3回目のピットインをしたがブレーキ交換などの作業を行ったため長いストップ時間を要した。対する34号車は、その翌周の3回目となるピットインも迅速にこなし、後続を大きく引き離すことに成功。

残り1時間を前に雨は止み、陽射しが降り注ぐまでに天候は回復。路面も乾いていき、2分以上のリードを構築した34号車が独走という状態に。最後はヴァルケンホルストの戦いぶりを讃えるかのような陽射しに包まれながら、34号車が3連勝で今シーズン5回目のウィニングチェッカーを受けた。また、35号車は1回多いピットストップとなったが、同一周回でチェッカーを受けて完走を果たすことに成功。

34号車のクログネス選手/ギエルマジアック選手組はおよそ2分25秒という大差をつけての圧勝で、今回もヨコハマタイヤの優れたパフォーマンスを遺憾なく見せつけた。

Drivers’ Voices

クリスチャン・クログネス 選手 (ヴァルケンホルスト・モータースポーツ)

【今回の成績 : SP9 Proクラス(総合) 優勝】

雨の中では、路面がドライなのかウェットなのかを見極めるのが非常に難しい状況でした。ポジションを争ったニッキー・キャッツバーグ選手はとても速かったので、本当にチャレンジングなレースとなりました。最終的にはトップでフィニッシュすることで、3連勝の“ハットトリック”を実現しました。このような素晴らしい週末を過ごせたことについて、チームに感謝しています。2週間後には最終戦が控えていますので、この勢いを保っていきたいですね。

Text : 斉藤武浩(Takehiro Saito / office North-Star)

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