【NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ) 第5戦 / ドイツ・ニュルブルクリンク】

6時間の決勝レースは2番手スタートの34号車が序盤でトップに立つも無念のマシントラブル、35号車もリタイアを喫してヴァルケンホルストは次戦での雪辱を誓う結果に

NLS Round 5

開催日 2023年7月8日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
天候 公式予選 : 晴れ
決勝 : 晴れ
路面 公式予選 : ドライ
決勝 : ドライ
決勝時間 6時間
(1周=24,358m)

2023年のNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)は、シーズンの折り返しとなる第5戦が7月8日(土)に開催された。4時間の決勝レースがスタンダードなフォーマットとなっているNLSだが、この第5戦は6時間で競われ、第6戦と第7戦は6時間×2レースの12時間レースという長丁場が続くことになる。

前戦で今シーズン2勝目を挙げたヴァルケンホルストモータースポーツは、今回もSP9 Proクラスに2台のBMW・M4 GT3で参戦。3勝目を目指す34号車はクリスチャン・クログネス選手とヤコブ・ギエルマジアック選手という前戦の優勝コンビ、35号車はトーマス・ノイバウアー選手とニクラス・クルッテン選手、ダイラン・ペレイラ選手という前戦と同じ3人がステアリングを握ってチェッカーを目指す。

ドイツ時間の8時30分から90分間で行われた公式予選、34号車はクログネス選手、35号車はノイバウアー選手がアタックを担当する。

ニュルブルクリンクと言えば、時に“ニュル・ウェザー”と称される不安定な天候がレースに波乱を呼び起こすことも珍しくないが、前戦に続いてこの週末も雨の心配は無さそうだ。アイフェルの森も前戦から三週間を経て、ますます緑は鮮やかに映えており、本格的な夏の到来を感じさせる。

そんな中、24.358kmのコースを快走する両選手、クログネス選手がマークしたベストタイムは7分56秒327でトップの5号車・アウディR8 LMS GT3 EVOⅡには惜しくも届かなかったものの、その差は僅か2.117秒で2番手のスターティンググリッドを獲得。35号車も7分59秒217とタイムをまとめ、SP9 Proクラスでは4番手となるポジションにつけた。

予選を終え、40分間のピットウォークと20分間のグリッドウォークが行われ、大勢のファンが盛り上がりを見せる中で決勝スタートの時が着々と近づいてくる。ファンとの触れ合いで笑顔を見せていたドライバーたちの表情も引き締まり、それまでの和やかな空気が緊張感の張りつめたものへと変わり、正午前にフォーメーションラップがスタートした。

レースはオンタイムで正午にスタート、気温27℃/路面温度35℃(ヨコハマタイヤ調べ)と好天の割に思ったほどその値は上昇していない中で戦いの火蓋が切られた。34号車のギエルマジアック選手は1コーナーに対してアウト側のポジションからスタート、後方から追い上げてきた2台のポルシェ・911にはさまれるかたちで少し行く手を遮られるようなかたちになり5番手にドロップ。その後も一進一退の攻防を繰り広げたが、オープニングラップはクラス3番手、総合ではSP9 Pro-Amクラスの2台をはさむ5番手で終えた。

2周目以降のトップ争いは膠着状態となり、ギエルマジアック選手は安定したラップを刻みクラス3番手をキープ。ただ、2番手との差は1.5秒程度で変わらないものの、2台のSP9 Pro-Amクラス車両をはさんでいることもあり、トップとの差はオープニングラップを終えて3.225秒だったものが、3周を終えて8.033秒へと開いてしまった。

この状況を打破するために、チームは1回目のピットインを早めに行うことを決断。4周を終えて35号車、5周を終えて34号車がライバル勢よりも早くピットイン、ともにドライバーはそのままにタイヤ交換や燃料補給といったルーティンワークをこなして戦列へと復帰した。

スタートから45分を経過、早々に1回目のピットを終えたヴァルケンホルストの2台がコースを快走する一方で、総合トップを走っていた5号車が右リアタイヤを壊してスロー走行を強いられる。これにより自動的にクラストップは3号車のポルシェへ入れ代わり、11号車のメルセデス-AMG GT3、24号車のアストンマーティン・ヴァンテージ GT3、そして34号車と35号車が続くフォーメーションとなった。

しかし前述の通り、34号車と35号車はライバルより一足先に1回目のピットを済ませている。ライバル勢は7周を終えて続々とピットイン、これにより8周終了時点で34号車がクラストップへと浮上、レースはまだ5時間を残しているが連勝への期待が高まる展開となっていった。

10周を終えてトップの34号車が2番手の3号車に対して築いたマージンは17.207秒、一方の35号車は11周を終えて2回目のピットイン、ドライバーをペレイラ選手に交代した。その翌周に34号車も2回目のピットイン、こちらもクログネス選手に交代して戦列へ復帰したのだが。

クログネス選手に交代して間もなくレースはスタートから2時間を経過したが、34号車はエンジンパワーがダウンしてステアリングも不調をきたす事態に陥ってしまった。ピットまでは戻ってきたもののマシンはそのままガレージへと入れられ、残念ながらここでリタイアという結果になってしまった。

35号車はその後も周回を重ねて表彰台を目指す力走を見せていたが、4時間30分を過ぎたところで緊急ピットイン。クーラントが漏れてしまうトラブルに見舞われ、こちらも無念のリタイアを喫するという結果に。2台ともに悔しい結果となってしまったが、次の12時間でのリベンジをチームは誓って第5戦を終えた。

Text : 斉藤武浩(Takehiro Saito / office North-Star)

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