【NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ) 第1戦 / ドイツ・ニュルブルクリンク】

開幕戦でポールポジションを獲得して速さを見せたヴァルケンホルスト、決勝は無念のアクシデントに見舞われるも次戦での雪辱を誓う!!

NLS Round 1

開催日 2023年3月18日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
天候 晴れ
路面 ドライ
決勝時間 4時間
(1周=24,358m)

難攻不落の名門サーキットコースとして世界に知られるドイツのニュルブルクリンクを舞台に開催される耐久シリーズ、NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)が開幕を迎えた。2023年は全9戦のカレンダー、ヨコハマタイヤとともに戦うヴァルケンホルスト・モータースポーツは初戦に2台のBMW・M4 GT3をエントリーした。

開幕戦のドライバーラインアップは、34号車がヤコブ・ギエルマジアック選手とアンディ・ソウセック選手、35号車がトーマス・ノイバウアー選手とジェイク・デニス選手という、それぞれ2人体制でともにSP9 PROクラスへ参戦する。ギエルマジアック選手はポーランド出身の32歳、2021年のニュルブルクリンク24時間レースにはヴァルケンホルストから参戦した。コンビを組むソウセック選手はスペイン出身の37歳、昨年もヴァルケンホルストのドライバーとして参戦して表彰台獲得に貢献するなど活躍を見せた。ノイバウアー選手はフランス出身の23歳で昨年は複数のシリーズチャンピオンを獲得して飛躍中の若手、そしてジェイク・デニス選手はイギリス出身の27歳でレーシングカートを8歳から始めた長いモータースポーツキャリアを持っている。

さて、NLSのシーズンインと言えば、近年は寒波の影響を受けることが多かった。昨年は4月中旬に予定していた第2戦が11月に延期され、一昨年は3月末の開幕戦が中止の憂き目にあっている。これらはともに降雪の影響によるものだが、なんと今年の開幕戦はレースウィークに入ってからの水曜日に雪が降って銀世界となってしまった。ただ、幸いにも翌日には気温が上昇して雪は解け、18日(土)は予定通りにスケジュールが進行した。

現地時間の8時30分から始まった公式予選、序盤こそ路面に濡れた箇所が残っていたものの、これは時間の経過とともにドライへと転じた。トップタイム争いはBMW・M4 GT3、アウディ・R8 LMS GTⅢ EVO、そしてメルセデス-AMG GT3の三つ巴という様相を色濃くしていったが、そんな戦いに終止符を打ったのはヴァルケンホルストの34号車だった。

ギエルマジアック選手はファイナルのアタックランで見事な走りを披露、ライバル勢を圧倒する8分36秒719をマークして、その名前をタイミングモニターの最上段に表示させた。このタイムは全体で唯一となる36秒台、2番手に対しては1.143秒差をつけるもので、堂々の総合/SP9クラスポールポジションを獲得。

こうしてシーズン初戦のスタートを先頭のグリッドで迎えることとなったヴァルケンホルスト、それを祝うかのように青空も顔を見せる中で4時間の決勝レースはスタートの時を迎えた。

現地時間の正午に、4時間の決勝レースはローリングスタートで幕を開けた。ポールポジションからスタートした34号車のソウセック選手は1コーナーをトップで通過するも、その先で後続車の先行を許してポジションをドロップ。オープニングラップを終えて5番手となり、やや苦しい戦いの中で挽回を目指していく。一方、35号車はデニス選手がスタートをつとめたが、3周を終えてピットイン。オルタネーターベルトのトラブルに見舞われてしまいガレージへ入れての修理を行ったことからラップダウンとなってしまった。

5周目を終えて1回目のピットインを行った34号車は、ドライバー交代を行わずソウセック選手が連続でドライブ。なかなか思うようにペースを上げられない展開となるも、表彰台を狙えるポジションで力走を重ねていく。そして13周目に暫定4番手で2回目のピットイン、ここからは予選でポールポジションを獲得する走りを見せたギエルマジアック選手がステアリングを握った。

ギエルマジアック選手は一時、ラップモニターで2番手にその名を連ねたが各車が3回目のピットを終えて最終スティントに入るころには5番手のポジションを走行。そして迎えたファイナルラップ、34号車は他車との接触によりホイールが壊れてしまうという不運なアクシデントに見舞われてしまう。これによりフィニッシュへマシンを運べなかったが、予選で見せた速さも武器に2週間後の第2戦で雪辱を誓う結果となった。

Engineer’s Voice

三好雅章 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ]

昨年からマシンはBMW・M4 GT3になっていますが、一年間の参戦における課題を元に、特に低温域の性能改善を目的としてオフシーズンのテストを行ってきました。今回の開幕戦ではポールポジションを獲得出来ましたが、これについてはチームとドライバーに感謝しかありません。ウェットからドライへと路面が変化していく状況、かつコース上でのアクシデントなどによる速度規制区間が多くあった中でトップタイムを更新するとは思っていなくて驚かされました。タイヤとしては、昨年からチームと情報の共有をより深めて、正しい仕様を使えたことがポールポジション獲得につながったと考えています。

決勝はトラブルに巻き込まれてしまい、とても残念な結果でした。レーススタートでは少し苦しんだところもありましたが、新しいドライバーとチーム体制の中で、タイヤについてはポジティブに捉えていただいており、状況にあったタイヤ選択を出来るようにしていきたいと考えています。

第1戦の課題については2戦目以降も継続的に確認していきますが、ニュルブルクリンクは過酷、かつ様々な条件で走ることが求められるため、幅広い条件に対応できるように改善をして、24時間レースに向けてしっかりつながる内容にしていきます。

Text : 斉藤武浩(Takehiro Saito / office North-Star)

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