【ニュルブルクリンク24時間 Qualifiers Race2 / ドイツ・ニュルブルクリンク】

101号車が序盤で不運なトラブルから戦線を離脱した一方で、102号車は終盤までトップ3の一角を占める戦いを見せた!!

24h Nürburgring Qualifiers Race2

開催日 2023年4月23日
開催場所 ニュルブルクリンク
(ドイツ)
天候 公式予選 : 曇り
決勝 : 曇り のち 小雨
路面 公式予選 : ドライ
決勝 : ドライ
決勝時間 4時間
(1周=25,378m)

前日の2時間レースを終えて一夜明けた4月23日(日)のニュルブルクリンクでは、24時間レースの予選レース(Qualifiers)の第2弾として4時間の決勝で競われる第2レースが行われた。第1レースはナイトセッションも含まれたが、この日の第2レースは昼間のみの走行。ただし時間は第1レースの倍となる4時間、これが5月の24時間レース前に同じコースを走行出来る最後の機会である。

3台のBMW・M4 GT3を擁するヴァルケンホルスト・モータースポーツ、SP9 Proクラスに出場するADVANカラーをまとう101号車は、第1レースと同じくクリスチャン・クログネス選手とヤコブ・ギエルマジアック選手の2人体制を継続。同じくADVANカラーの102号車はアンディ・ソウセック選手とイェンス・クリングマン選手に、NLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)第2戦での優勝ドライバーの一人であるイェッセ・クローン選手が加わった。また、100号車はヘンリー・ヴァルケンホルスト選手とサミ-マティ・トロゲン選手に、ヨルグ・ブリューワー選手を加えた3人体制で、こちらはSP9 Pro-Amクラスに臨む。

現地時間の8時15分に始まった公式予選は90分間のセッション、濡れた路面からのスタートとなった。まずはレインタイヤでコースイン、101号車はギエルマジアック選手がドライブする。雨は止んでおり路面は時間とともにコンディションを回復、一旦ピットインしてスリックタイヤに交換したマシンを今度はクログネス選手がドライブ、8分15秒441までタイムを伸ばした。惜しくもトップには2秒あまり届かなかったものの、総合2番手という好結果を残して続くトップ予選へ進んでいく。

また、102号車は7番手、100号車は15番手のポジションを獲得し、こちらもトップ予選に臨んだ。トップ予選はSP9、SP-X、SP-Proの各クラスが対象となり、出走する22台がストレート上に一列に並んだ後に一定の間隔を置いてタイムアタックをスタートする。

上空は変わらず灰色の雲に覆われているものの路面は完全に乾いた中、101号車はギエルマジアック選手が8分16秒209をマークして13番手。これをひとつ上回ったのがクリングマン選手の駆る102号車で、そのタイムは8分16秒204。そして100号車は、トロゲン選手が8分19秒544を刻んで17番手という結果になった。

時刻はお昼をまわり、13時に4時間の決勝レースがスタートの時を迎えた。1周のフォーメーションラップを経てローリングスタート、各車が1コーナーへと入っていく中で好スタートを見せたのが102号車のクリングマン選手。混乱も懸念される序盤のコーナーをスムーズにクリア、1周目で9番手へと3つポジションをアップした。

しかし、一方で101号車は3周目で不運に見舞われてしまう。25kmほどのニュルブルクリンク、その東端にあるブリュンヒェンコーナーでホイールのトラブルが生じてしまい、コーナー出口でマシンをストップ。追い上げが期待されたが、ここで戦列から離れることを余儀なくされてしまった。

昨日の第1レースはウェットコンディションであったが比較的アクシデントは少なめだったが、ドライでスタートしている第2レースは全体的にペースも上がっているためかコースオフやクラッシュを喫する車両が少なくない。各所で速度制限や追越禁止の区間が生じる、難しいレース運びが求められる展開となっていった。

そんな中で102号車は快走、着々とポジションを上げて6番手で7周目にピットイン。第2スティントはソウチェック選手が担当、さらにプッシュしてレースが折り返しを迎えた2時間経過時点で3位につけていた。10周を終えてトップの11号車(メルセデス-AMG・GT3)とは7.87.850秒差。表彰台圏内へとマシンを導いたソウチェック選手は15周目でピットイン、クローン選手へと交代。ここからチェッカーまで、2スティントを連続でクローン選手がドライブする戦略である。

上位のライバル勢より少し早めに2回目のピットインを敢行した102号車、クローン選手は3番手でバトンを受けたマシンを2番手へとポジションアップ。21周目に入って残りは1時間を切り、この時点でトップを走る30号車(フェラーリ・296 GT3)との差は14.633秒となっている。一方で、3番手の2号車(メルセデス-AMG・GT3)が背後に迫るも、クローン選手は隙を与えることなく2番手をキープして22周で最後のピットインを行った。

しかし、このピットインで燃料給油がスムーズに行えず、この後の周でピットインしたライバル勢に対してタイムロスを喫してしまった。前後との差が開いてしまったことと、ウェットへ転じるほどでは無いが雨がところにより降り始めたこともあり、チームはリスクを回避して無理なプッシュはしないこととした。そしてチェッカーまでマシンを運び、102号車は6番手でのフィニッシュとなった。

Engineer’s Voice

三好雅章 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ]

土曜日のQF1はNLSの開幕戦からここまででもっとも気温が高くなり、5月の24時間レースに向けて良いデータが得られました。Qualifiers(予選レース)の結果が直接24時間レースのスターティンググリッドにつながるわけではないので、このレースは24時間の本番に向けて車とタイヤの理解を進める位置づけとなっています。

Race1は決勝スタート前の降雨により、レインタイヤでのスタートとなりました。NLSの開幕戦からここまでの今シーズン、予選ではレインタイヤを使う場面がありましたが、決勝レースで使ったのは今回が初めてです。今回の使用で課題が明確になったので、24時間レースに向けて修正していけると考えています。Race2で101号車は不運なトラブルでしたが、102号車は最後のピット作業がよりスムーズに終えられれば表彰台が狙えるところまで力強く走行し、安定した速さを見せられたことは収穫でした。

今年はここまでさまざまな条件で走行出来て、昨年よりもタイヤや車への理解が進んだものと感じています。24時間レースは上位10台に入るのも決して簡単ではないですが、“ADVAN CHALLENGE”として優勝できるように取り組んでいきます。

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