【SUPER GT 第6戦 / スポーツランドSUGO】

赤旗提示で中断をはさむ荒れた展開となったSUGOラウンド、GT500クラスはヨコハマタイヤ勢が2台揃ってポイントを獲得!!

SUPER GT Round 6

開催日 2023年9月16日-17日
開催場所 スポーツランドSUGO
(宮城県)
天候 決勝 : 曇り、公式予選 : 雨 のち 曇り
路面 決勝 : ドライ、公式予選 : ウェット~ドライ
決勝距離 84周
(1周=3,586m)
参加台数 40台
(ヨコハマタイヤ装着車 16台)

SUPER GT第6戦が、宮城県のスポーツランドSUGOで開催。全8戦で争われる今シーズンのSUPER GTも終盤戦に突入した。

GT500クラスは「WedsSport ADVAN GR Supra」と「リアライズコーポレーション ADVAN Z」の2台が参戦。予選では抜群の速さを見せるも、決勝では不運にも見舞われなかなか上位フィニッシュができていない「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は、このSUGOを得意とする平手晃平選手を中心に、なんとしても優勝をつかみ取りたいところ。もちろん第3戦鈴鹿での優勝で48kgのサクセスウェイトを搭載する「WedsSport ADVAN GR Supra」としても、チャンピオン争いに名乗りを上げるためには大量ポイントを目指したい。GT300クラスは第5戦で2勝目を挙げポイントリーダーに躍り出た「UPGARAGE NSX GT3」を筆頭に、ヨコハマ勢は14台が参戦する。

レースウィークは不安定な天候で、搬入日は昼から雨が降り出し、予選日の9月16日(土)も朝は分厚い雲に覆われた。夜半の雨が残ったままで始まった午前中の公式練習は、途中で日ざしが出てきたこともあり徐々に路面コンディションは回復したが、完全には乾ききらず。

終盤の各クラス専有走行時間は、100kgのサクセスウェイトを搭載する「UPGARAGE NSX GT3」がGT300クラスの5番手タイムを記録。これがヨコハマタイヤ勢の最上位となった。GT300クラスの専有走行が終わろうかというところで1台がクラッシュを喫し、2度目の赤旗中断に。その後行われたGT500クラスの専有走行では、「リアライズコーポレーション ADVAN Z」が7位、「WedsSport ADVAN GR Supra」が15位という結果だった。

一旦は完全に乾いたコース上だが、再び上空が暗くなりはじめ、併催レースが終わる頃にはぽつぽつと雨粒が落ちてくるように。雨はコース上を一気に濡らし、公式予選のGT300クラスQ1A組の走行はウェット宣言が出されてスタートした。このA組では、第5戦鈴鹿大会で最後まで「UPGARAGE NSX GT3」と優勝争いを繰り広げた「Bamboo Airways ランボルギーニ GT3」がヨコハマ勢最上位の3番手タイムを記録。100kgのサクセスウェイトを搭載する「リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R」と、シーズン中盤に入り調子を上げてきた「DOBOT Audi R8 LMS」を合わせ3台がQ2進出を決めた。

セッション途中で雨が止んだことから、続くQ1B組の予選はドライコンディションに。こちらでは、「リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R」同様に100kgのサクセスウェイトを載せた「UPGARAGE NSX GT3」が見事にトップタイムをマークし、「Yogibo NSX GT3」、「グッドスマイル 初音ミク AMG」、「RUNUP RIVAUX GT-R」の計4台がQ2に駒を進めた。Q2は、ここSUGOを得意とするライバルメーカーに上位グリッド独占を許してしまったが、「リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R」が5番手、「UPGARAGE NSX GT3」が6番手と3列目グリッドを獲得。重量級の2台がさらに大量ポイント獲得を期待できる予選結果となった。

GT500クラスは、「WedsSport ADVAN GR Supra」の阪口晴南選手がコースレコードを記録しているだけに期待がかかったが、フリー走行の路面状況が悪かったことと、赤旗中断により走行時間が削られてしまったことで、セットアップを煮詰めきれずに予選に向かうことに。近年のSUPER GT、特にGT500クラスの予選は1秒以内に15台がひしめくような、非常にシビアな戦いになっており、Q1を担当した国本雄資選手も素晴らしいアタックを披露したものの、1勝分のサクセスウェイトも響きQ2進出圏内にはわずかに0.2秒届かず11位という結果になった。

「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は、平手選手がQ1を担当し4位タイムでQ2に進出。バトンを受け取った佐々木大樹選手も気迫のこもったアタックを披露したが、結果はQ1での平手選手のタイムからも遅れ7位。中盤のグリッドではあるが、ここから十分に上位争いができると自信をのぞかせていた。

一夜明けた決勝日も、上空はどんよりとした雲が立ち込めていた。時折青空が見えることはあったものの、強い日差しが降り注ぐほどではなく、気温はレースがスタートする13時30分の時点で26度。路面温度も32度と、前戦までの灼熱状態からは穏やかなコンディションで、84周の決勝レースがスタートした。SUGOはSUPER GTが開催されるサーキットの中では岡山国際サーキットに次いで距離が短く、決勝レース中は至る所で混雑が起きる。それもあってか、アクシデントが起きることも多いのだが、今大会はスタートから両クラスともクリーンな戦いに。大きな順位変動もなく序盤は進んでいく。

7位スタートの「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は佐々木選手がスタートドライバーを務め、6位の車両とのテールトゥノーズの戦いが続いた。21周目にようやくこれをかわすと、30周を終えるところでピットイン。残り58周のロングスティントを平手選手に託した。その2周前、28周を終えたところでは国本選手がスタートを担当した「WedsSport ADVAN GR Supra」もピットイン。ドライバーの最低運転距離ぎりぎりの、ミニマム周回数での交代だった。

ライバル勢もほとんどの車両がドライバー交代を済ませた37周目、ピットロード入り口手前でそれは発生した。名取鉄平選手がドライブする「リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R」とGT500クラスの車両の走行ラインが交錯し、2台が接触。挙動を乱したGT500車両がガードレールにヒットし大きなクラッシュとなってしまったのだ。

レースはセーフティカー(SC)導入ののち、すぐに赤旗中断。ドライバーの無事が伝えられ、約1時間の赤旗中断ののちにSC先導の下でレースは再開する。GT500クラスは、見た目上で1位と2位を走行している車両はまだタイヤ交換の義務を終えておらず、3位の車両が事実上のトップ。「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は6位を走行していた。ただ赤旗中断になる前、ピットインのタイミングとトップ車両との位置関係から、「リアライズコーポレーション ADVAN Z」以降の車両はラップダウンになってしまっていた。残り2台のピット作業を終え全車の順位が整理されると、「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は5位に浮上。至る所でGT300クラスの集団に遭遇し、ポジションを守るのも難しいレース展開の中、佐々木選手は懸命の走りを披露し6位でチェッカーを受けた。「WedsSport ADVAN GR Supra」も、後半の阪口晴南選手はロングスティント担当となったが、最後までペースを維持して9位でチェッカーを受けた。

レース終了後、優勝を飾った車両が車検不合格で失格となり、全車1つポジションが繰り上がることに。これで正式結果は、「リアライズコーポレーション ADVAN Z」が5位、「WedsSport ADVAN GR Supra」が8位で2台そろってポイント獲得を果たすこととなった。

GT300クラスは、赤旗が出るまさにその直前に、「リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R」と「UPGARAGE NSX GT3」がピットに滑り込み、ロスタイムの大幅な短縮に成功する。その後、GT500車両との接触に対するペナルティ等が科され、「リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R」は後退。「UPGARAGE NSX GT3」は2位に浮上してレース終盤に入った。

「UPGARAGE NSX GT3」を挟んでトップ3台はペースが拮抗し、2~3秒のギャップは変わらずファイナルラップを迎えた。後半スティントを担当していたのは小林選手。4秒ほど前方にいるトップ車両は、先に最終コーナーに入ってしまうとその姿が見えなくなってしまう。

「2位が確定だな」という思いで最終コーナーを越え、ホームストレートの上り坂を登った小林選手の目に飛び込んできたのは、スロー走行しているトップ車両の姿だった。チェッカーフラッグが振られるコントロールラインまで、わずか数mというところで「UPGARAGE NSX GT3」が逆転。驚きのトップチェッカーを受けた。

しかし、レース後の再車検で車両規定違反が見つかり、「UPGARAGE NSX GT3」には失格の裁定が下ることに。これにより、GT300クラスもGT500クラスと同様に全車の順位が一つ繰り上がり、ヨコハマ勢の最上位は「DOBOT Audi R8 LMS」の3位。7番グリッドからスタートすると、着実な走行で4位フィニッシュの末に今季2度目の3位獲得となった。

Drivers’ Voices

佐々木大樹 選手 (リアライズコーポレーション ADVAN Z)

【今回の成績 : GT500クラス 5位】

決勝レースで履いたタイヤはグリップ感も感じられて、タイム的にもペース的にも悪くなかったです。SUGOは狭いコースでオーバーテイクポイントも少ないので、なかなか順位を上げていくことはできませんでした。予選順位が大事なコースだと再認識しました。GT500の世界の勝負は非常にシビアな戦いになっているので、例えばタイヤのピックアップの取れやすさなど、改善すべき点はありますが、ピークポテンシャルとしてはライバルたちに勝っていると思います。今後はいま弱いと思う部分を改善していけたらいいなと思っています。

平手晃平 選手 (リアライズコーポレーション ADVAN Z)

【今回の成績 : GT500クラス 5位】

今回持ち込んだタイヤは、前半の佐々木選手のスティントを見ている限りはいい走りができそうだと思っていました。土曜日のフリー走行が赤旗中断やコンディションの影響であまり走りこめず、事前にロングランのデータが十分に取れていない中での実戦投入になったので、ロングスティントに関しては少し懸念もありましたが、タイヤは最後まで、変に摩耗することもなく走り切れましたし、途中で4位まで上がることができました。トラフィックなどの関係で最終的にはそこから順位を落としてしまいましたが、予選位置よりも上でゴールできましたし、周りと戦うこともできて、ホッとしています。

国本雄資 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 8位】

朝のフリー走行で得た感触をもとにいろいろと調整してスタートに臨みました。その結果、序盤はいい走りができたと思います。そこを過ぎてからは苦しくなってしまい、少しでも長く走ったほうが後半スティントは楽になるとは思ったものの、やはりきつくてミニマム周回数で交代することになりました。路面のコンディションもころころと変わって難しかったし、期待していたようなグリップ感が出ずに苦しい戦いになってしまいました。ただ後半スティントはコンスタントに走れていましたし、特に終盤は周りよりもいいペースでした。そのコンスタントさはここ最近いい形で出せているので、このレベルをあとワンステップ上げられたら上位でゴールできると思っています。オートポリス戦はその上位を走れるよう、優勝を目指して頑張ります。

阪口晴南 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 8位】

赤旗中断後、レースが再開した時のウォームアップは悪くなく、1台をかわすことができました。その後のペースも周りと比べると良かったように感じます。ランキング上位のチームと競ることもできて、自分たちの速いところや遅いところが一層明確になりました。それはいい収穫でしたし、クルマのバランスもいい状態で戦えました。ただ、やはりもっと上でゴールするためには、今は予選のパフォーマンスを取り戻す方が先決かもしれないと感じています。オートポリスはサクセスウェイトが軽くなるので僕たちにとっては追い風だと思いますし、コース的にもタイヤと車両にマッチすると考えているので、前の方に並んでスタートして、勝利したいです。

Engineer’s Voice

白石貴之 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ・リーダー]

SUGOのレースは、昨年はウェットコンディションで、今年もタイヤメーカーテストができていません。最近のデータとしては少ないような状態で、ここまでの夏の富士・鈴鹿の結果から我々が持っているデータをベースに予測し、タイヤの持ち込みを行いました。温度に関していえば、想定通りだったところはあるものの、SUGOというサーキットに対するタイヤの合わせ込みが少し足りなかったかと感じています。それが予選であと少しの部分に影響してしまったという反省があります。

GT300クラスは、もともと全体的にGT500クラスと比べても車両が重いので、開発の方向性としてはロングランを重視して設計しています。そういうところで言えば、100kgというウェイトを搭載している18号車のペースは、そのタイヤの力をうまく引き出せていただけたのかなと思いました。

次戦のオートポリスは、昨年24号車が3位といい結果を出していただきました。その時のタイヤをベースに、さらにいい戦いができるタイヤを準備していきたいと考えています。

Text : 浅見理美(Satomi Asami)
Photo : 小笠原貴士(Takashi Ogasawara) / 佐々木純也(Junya Sasaki)

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