【SUPER GT 第1戦 / 岡山国際サーキット】

激しい天候の変化で大混乱となった開幕戦、完璧な戦略を展開したUPGARAGE NSX GT3がシーズン初戦を制した!!

SUPER GT Round 1

開催日 2023年4月15日-16日
開催場所 岡山国際サーキット
(岡山県)
天候 決勝 : 曇り のち 雨、公式予選 : 曇り のち 雨
路面 決勝 : ドライ~ウェット、公式予選 : ドライ~ウェット
決勝距離 82周
(1周=3,703m)
参加台数 42台
(ヨコハマタイヤ装着車 18台)

国内で最多の観客動員数を誇る、SUPER GTがいよいよ2023シーズンの開幕を迎えた。舞台は西日本、岡山国際サーキット。今年もシーズン全8戦で、GT500クラス、GT300クラスそれぞれ激しい戦いが繰り広げられる。

公式予選が行われる4月15日(土)は、上空に流れ込んだ寒気の影響もあり、肌寒さも感じるウエットコンディション。午前中のフリープラクティスはコース上の水に足元をすくわれるマシンも多く見受けられた。さらに雨が強まる予報が出たことから各クラスの専有走行時間を前に赤旗終了。どの車両も満足に習熟走行ができないまま、予選に挑むこととなった。

その公式予選は、気温と路面温度が低いことから各セッションを5分間延長されることに。だんだんと雨足が強まり、コース上の水量が増えていく中で行われたGT300クラス・Q1のA組は、残り時間が5分を示したところで路面状況が悪化したことにより赤旗が提示され、セッションはそのまま終了となってしまった。これからアタックに入る、あるいはアタックの途中だったマシンも数多く、上位進出が期待されていたマシンがここで姿を消す波乱の展開に。

その中で躍進を見せたのが「ANEST IWATA Racing RC F GT3」の古谷悠河選手や「Yogibo NSX GT3」の伊東黎明選手といったSUPER GTルーキーの若いドライバーたち。その他、元嶋佑弥選手がアタックした「JLOC ランボルギーニ GT3」、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ選手がアタックした「リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R」を含め、ヨコハマタイヤユーザーは4台がQ2に進出した。

雨の状況を鑑み、Q1のB組は予定より10分遅れでスタート。この頃には雨も小康状態で、走れば走るほどコンディションも回復していくことから、各車がセッション開始から積極的に周回していった。ヨコハマ勢では「グッドスマイル 初音ミク AMG」の谷口選手が序盤からQ2進出圏内のタイムを連発。中盤からは「HACHI-ICHI GR Supra GT」の佐藤公哉選手、「PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG」の阪口良平選手らがペースアップ。そして最終ラップに大幅タイム更新した「RUNUP RIVAUX GT-R」の青木孝行選手が4番手に躍り出てチェッカー。以上の4台がQ2に駒を進めた。

8台のヨコハマタイヤ勢がポールポジションを目指したQ2は、序盤に「JLOC ランボルギーニ GT3」の小暮卓史選手がトップに立つ。その後3台がこれを上回りポールポジション獲得はならなかったが、十分に優勝を狙える4番グリッドを手に入れた。5番手には最終ラップに自己ベストをたたき出した「グッドスマイル 初音ミク AMG」の片岡龍也選手が入った。

GT500のQ1は、「WedsSport ADVAN GR Supra」の国本雄資選手がセッション終盤の連続アタックでベストタイムを毎周更新。その結果、最後のアタックで自己ベストタイムを約0.1秒削り、9番手からはわずか1000分の66秒差の7番手でQ2進出に成功。国本選手からバトンを託された阪口晴南選手も力走を見せ、表彰台争いが見える5番グリッドを獲得した。佐々木選手がQ1突破を託された「リアライズコーポレーション ADVAN Z」は11番手で残念ながらQ2進出はならず。決勝レースでの雪辱を誓った。

一夜明けた岡山国際サーキットは、上空の雲の量は多いながらも穏やかな空模様で、スタート進行を前に行われたピットウォークでは日差しも差し込むほどの好天となった。この時、いったい誰がこの先4時間の間に起こる様々な出来事を想像できただろうか。決勝レーススタートの時点で気温は18度、路面温度は30度に上昇。かくして300km先のチェッカーをめざし、13時30分に決勝レースがスタートした。この頃には上空に鉛色の雲が立ち込めていたが、降雨は何とか持ちこたえている状態。GT500クラスのオープニングラップでは「タイヤのウォームアップ性能に進化を感じた」という国本選手がスタートドライバーを務める「WedsSport ADVAN GR Supra」が5番手から2ポジションアップの3番手に浮上した。

GT300クラスの序盤は大きな順位変動なく、元嶋選手がスタートドライバーの「JLOC ランボルギーニ GT3」が4番手、片岡選手の「グッドスマイル 初音ミク AMG」が5番手。膠着状態のまま周回数は進んでいくが、先頭車両が7周目にさしかかる頃、とうとう上空から雨粒が落ちてくる。15周目あたりになると雨粒が一気に大きくなり、なんと雹まで降ってきた。雨量も増し、路面コンディションはみるみるうちにウエットへと変わっていったが、この瞬間、ライバル勢よりも早くピットインの決断を下したのが19番手スタートの「UPGARAGE NSX GT3」。SUPER GTルーキーの小出峻選手がスタートドライバーを務め、GT500クラスとの混戦の中でポジションをキープしていた。

15周目、16周目と立て続けにGT300クラス車両にアクシデントが発生。レースは16周目にフルコースイエロー(FCY)が提示されたのち、セーフティカー(SC)が入る。SCラン中、ピットオープンの間にGT300クラスの多数がウエットタイヤへと交換するため一気にピットへ入ってきたことで、先にタイヤ交換を済ませていた「UPGARAGE NSX GT3」は大きくポジションアップに成功した。SCが隊列を離れリスタートが切られると、「UPGARAGE NSX GT3」は5番手に。上位4台もウエットタイヤへの交換は済んでいて、ここからはドライバー同士のガチンコ勝負だ。小出選手は、まずは23周目に「Yogibo NSX GT3」の岩澤優吾選手をとらえて4番手に浮上。さらに33周目にもう1台をかわして表彰台圏内の3番手に躍り出た。

実はこれより前、リスタートが切られるあたりで天気が急激に回復。雨粒は相変わらず落ちてきていたものの強い日差しが照り付け、路面は一気に乾いていった。「UPGARAGE NSX GT3」はまたもチームの好判断で周りよりも早めにピットイン。スリックタイヤに交換するとドライバーも小林選手に交代し、残り周回数を戦うことになる。早めのピット戦略で結果的にアンダーカットに成功した「UPGARAGE NSX GT3」は41周目についにトップに浮上した。

レース終盤、GT300車両がヘアピンコーナーでコースアウトしたことでこの日2度目のFCYに。その直後にまた雨が強くなり、リスタート直後には6番手争いを展開していた「PACIFIC ぶいすぽっ NAC AMG」と「JLOC ランボルギーニ GT3」が接触してしまう。これでレースは2度目のSC導入。さらに天候は悪化し、サーキットの近くで落雷も確認されたことから赤旗中断となった。SC先導で再開した後もGT300のマシンにアクシデントが発生し、またコンディションも悪化してきたことから2度目の赤旗中断。その後、三度SCランでレースを再開するも、雨脚の強まりと落雷の危険性が高まり、レース最大延長時間の16時30分を前に3度目の赤旗提示からレースが終了することとなった。

この結果、GT300クラスは「UPGARAGE NSX GT3」が優勝。小出選手はSUPER GTデビューレースでの勝利、小林選手にとっては記念すべき参戦100戦目での勝利となった。また、3位に入ったのは「HACHI-ICHI GR Supra GT」。クラス12番グリッドと後方からのスタートだったが、ピットインのタイミングで大きくポジションアップに成功。ヨコハマタイヤユーザーが表彰台のうち2つを占める結果となった。

「WedsSport ADVAN GR Supra」が序盤にポジションアップし上々のスタートを切ったGT500クラスだったが、目まぐるしく変わる天候に翻弄される展開に。ピットインのタイミングでは、多くのマシンがピットロードへとなだれ込み、各チームのタイヤ交換作業は混戦状態で、「リアライズコーポレーション ADVAN Z」はピット作業で大きく順位を下げてしまうことになった。

コース上で粘り強くポジションアップを目指す「WedsSport ADVAN GR Supra」と「リアライズコーポレーション ADVAN Z」。終盤、「リアライズコーポレーション ADVAN Z」はスピンを喫したため最後尾に下がってフィニッシュ。「WedsSport ADVAN GR Supra」は10番手でチェッカーを受けたが、上位でペナルティを受けたマシンがあったため正式結果は9位。大混乱となったシーズン開幕戦で貴重なポイントGETを果たした。

Drivers’ Voices

国本雄資 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 9位】

今回のレースは5番手からスタートしました。これまではスタートで順位を落としてしまうことが多かったのですが、タイヤのウォームアップや1周目のグリップレベルというのを課題にシーズンオフに開発に取り組んだ結果がいい方向に行き、1周目からポジションを上げることができました。シーズンオフにやってきたことがいい方向に進んでいて、みんなの頑張りが少しずつ結果に表れていると思います。途中でウエットタイヤに変えましたが、状況によっては周りよりも速いペースで走ることができ、順位を上げることもできました。荒れたレースで最低限ポイントを獲ることができ、まずまずの開幕戦になりました。

阪口晴南 選手 (WedsSport ADVAN GR Supra)

【今回の成績 : GT500クラス 9位】

去年と比べてアウトラップが良くなっていたり、スタート直後に周りと戦えるパフォーマンスを発揮できたりと、進化を感じる部分がありました。一方で、今日のレースは非常にいろいろなことが起きた中で、様々なタイミングを活かしきる戦いができませんでした。せっかく高いパフォーマンスでレースできているので、これをもっともっと活かせるような戦略や判断ができるよう、みんなで力を合わせていきたいです。

小林崇志 選手 (UPGARAGE NSX GT3)

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】

予選では、あとコントロールラインまで数百メートルというところで赤旗が出てしまい、Q1が突破できませんでした。後方からのスタートで優勝などはかなり厳しいなと思っていましたが、チームがしっかりストラテジーをまとめてくれていた結果、非常にいいタイミングでタイヤを換える判断をしてくれました。最後の赤旗が出てレースが終了になるというのを聞くまでは、正直勝てるとは思っていなかったですし、しんどいレースになりました。100戦目という節目のレースで勝てたのも、神様がご褒美をくれたのかなと感じています。ここから先、きちんとポイントを獲り続けて、チャンピオンに慣れるまで集中して戦っていきたいと思います。

小出 峻 選手 (UPGARAGE NSX GT3)

【今回の成績 : GT300クラス 優勝】

正直なところ、今回は優勝できるとは思っていなかったんです。でも、チーム全体として最後まであきらめなかった結果が優勝につながったと思います。ストラテジーも完ぺきで、僕のドライビングとしてもまずまずだったのではと思っています。今回は運が味方してくれた部分もあるので、次戦以降はしっかりと実力で、小林選手と協力してもう1勝を目指したいです。

佐藤公哉 選手 (HACHI-ICHI GR Supra GT)

【今回の成績 : GT300クラス 3位】

昨日のQ1から結構厳しい戦いになると感じていましたが、何とかそこを通過してからはいい流れで決勝レースまで来られたと感じています。コンディションに合わない場面で苦しいところはありましたが、チーム全体でミスなく戦えたことが結果的に表彰台を引き寄せたのではないかと思うので、こういう混戦の時に、何かあれば上位に行ける位置に入れたことも良かったなと思います。

三宅淳嗣 選手 (HACHI-ICHI GR Supra GT)

【今回の成績 : GT300クラス 3位】

今回は天気の予測がとても難しく、どのチームも予定していたよりピット作業が多くなったと思うのですが、その中でチームの皆さんが完璧な作業で送り出してくれました。今日の結果は本当に、チームの皆さんのおかげだと思っています。速さとしてはまだまだ足りていない部分があるので、次戦の富士もどちらかというと得意なコースではありませんが、いま足りていないところを少しでも埋めて、しっかり結果を出していけるように頑張ります。

Engineer’s Voice

白石貴之 [横浜ゴム タイヤ製品開発本部 MST開発部 技術開発1グループ・リーダー]

ウエットタイヤ、ドライタイヤともに今シーズンに向けて開発してきたものを確認できる週末となりました。ドライタイヤに関しては、昨年からウォームアップ性の改善をメインに進めていましたが、その対策が実を結びつつあると感じました。ウエットに関しても、昨年ドライアップしていく状況で厳しい部分があったのですが、トレッドパターンを変えて取り組んだところ、ある程度の効果が確認できました。まだ天候変化に対する幅の広さという点に関してはまだ課題があり、そこは様々な面から開発を進めていく必要があると思っています。

GT300クラスに関しても今年はウエットタイヤのパターンを変えてきましたが、ちょうどコンディションに上手くマッチできているというチームからの反応もあり、GT500で課題として挙げている部分がGT300に関しては少し早めに対応ができているのかなと考えています。

次戦の富士は、昨年24号車が表彰台を獲得し、19号車も予選で速さを見せてくれていました。開幕前のテストはウエットコンディションでしたので、ドライタイヤに関する確認はできていないのですが、ウエットタイヤで得られているデータも合わせて対策し、ファンの皆さんの声援に応えられるようにしていきたいと思っています。

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