SUPER GT

SUPER GT 2023 Rd.8 MOTEGI
GT300コンビ5年目の優勝で
2023シーズンを終える。

2023.11.8

2023シーズン最後の舞台となったもてぎラウンド。開幕戦の岡山ラウンド以来の全車ノーウェイトのガチンコ勝負となった。GT500クラスは14番グリッドから#19 WedsSport ADVAN GR Supraが追い上げを見せ、8位入賞。GT300クラスでは#88 JLOC ランボルギーニ GT3が小暮卓史選手 / 元嶋佑弥選手のコンビで念願の初優勝を果たした!

Words:菅 正次 / Masatsugu Suga
Photography:田村 翔 / Sho Tamura

GT300クラス #88 JLOC ランボルギーニ GT3が
フロントローを獲得!

11月4日、5日の2日間、栃木県のモビリティリゾートもてぎでSUPER GTの最終戦となる第8戦が開催された。全車ノーウェイトのレースとなり、ウェイトが半減した前回のオートポリスより更なるバトルが予想される。
過去のもてぎラウンドでは#19 WedsSport ADVAN GR SupraやGT300勢も表彰台に登っている。
今シーズンは残念ながらYOKOHAMA / ADVAN勢はシリーズチャンピオン争いに残ることはできなかったが、2023年最後のレースをGT500、GT300共にYOKOHAMA / ADVAN勢の優勝で飾ってほしい。

11月とは思えないほど高い気温となった4日予選日。
最初の走行となる公式練習が9時25分より行われ、GT300クラスでは、#88 JLOC ランボルギーニ GT3が1分46秒888の2番手タイムをマークし、同じくJLOCの#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3が1分47秒238で5番手、そして#6 DOBOT Audi R8 LMSが1分47秒344で6番手とYOKOHAMA / ADVAN勢の中でもGT3車両が好調なタイムとなった。
GT500クラスでは、#24 リアライズコーポレーション ADVAN Zが1分37秒417で9番手、19号車は本来の走行を出来る間もなく1分38秒796と15番手で公式練習が終了となった。

14時20分から迎えた予選。
最初に行われたGT300 Q1では、88号車が元嶋選手のアタックで、1分46秒435でAグループのトップタイムをマークし、Bグループでは#18 UPGARAGE NSX GT3が1分46秒303で2番手のタイムをマーク。YOKOHAMA / ADVAN勢は6台がQ1突破を果たした。
次に行われたGT500 Q1では、24号車をドライブする平手晃平選手が1分36秒382で4番手となり、Q1突破。
しかし、19号車は本来のセッティングを出せないまま1分37秒344で14番手。Q1敗退となった。

GT300クラスQ2では、Q1でトップタイムをマークした88号車が1分45秒633で2番手のタイムをマークし、見事フロントローを獲得。GT500クラスQ2では、Q1を突破した24号車が佐々木大樹選手のアタックで1分36秒214で4番手のタイムとなり、2列目グリッドを獲得した。

【GT500クラス予選結果】
1.#3 Niterra MOTUL Z (1’35.539)
2.#17 Astemo NSX-GT (1’35.931)
3.#36 au TOM’S GR Supra (1’36.214)

4.#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z (1’36.335 / YH)
14.#19 WedsSport ADVAN GR Supra (1’37.344 / YH)

【GT300クラス予選結果】
1.#2 muta Racing GR86 GT (1’45.633)
2.#88 JLOC ランボルギーニ GT3 (1’45.785 / YH)
3.#65 LEON PYRAMID AMG (1’45.787)

5.#18 UPGARAGE NSX GT3 (1’46.052 / YH)

明日の決勝はノーウェイトのガチンコ勝負。24号車と88号車はトップを捉えることができるのか?
さらに19号車とその他のGT300 YOKOHAMA / ADVAN勢も追い上げることができるのか?
今年最後の熱いバトルに期待がかかる。

#88 JLOC ランボルギーニ GT3が
小暮選手 / 元嶋選手のコンビで念願の初優勝!

今年最後となる5日決勝日。コースはドライだが厚い雲が徐々に近づいていた。13時に63周のスタートが切られ、それと同時に1コーナー付近で雨が降り始めるが数周で止む。

GT500クラスでは、4番手スタートの24号車、14番手スタートの19号車共に苦戦を強いられ徐々に順位を落とし、24号車は13周で1回目のピットイン、19号車は22周でピットインを行う。24号車はさらに苦戦し順位を落とし始める中、阪口晴南選手がドライブする19号車はペースを取り戻し始め、GT500クラスが全車ピットインが完了した時点で11番手となり、残り9周で前を走っていた#38 ZENT CERUMO GR Supraを見事にオーバーテイク。残り7周で再び雨が降る中、ドライタイヤでペースを落とすことなく#37 Deloitte TOM’S GR Supraもかわすことに成功すると、8位でゴールし、今季5回目のポイント獲得となった。

GT300クラスでは、2番手スタートの88号車がトップの#2 muta Racing GR86 GTを追い続け、15周目でオーバーテイクしトップとなる。その後順調に周回を重ね、25周目でピットインし、元嶋選手から小暮選手へとバトンを渡す。タイヤはリア2輪のみを交換し再びコースへ。GT300クラスが全車ピットインを完了した時には再びトップとなり、順調な走りで小暮選手、元嶋選手のコンビで念願の初優勝を飾った。
3位には第4戦富士、第6戦菅生でも3位表彰台を飾った#6 DOBOT Audi R8 LMSが今季3度目の表彰台を獲得した。

【GT500クラス決勝結果】
1位.#36 au TOM’S GR Supra
2位.#23 MOTUL AUTECH Z
3位.#17 Astemo NSX-GT

8位.#19 WedsSport ADVAN GR Supra (YH)
14位.#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z (YH)

【GT300クラス決勝結果】
1位.#88 JLOC ランボルギーニ GT3 (YH)
2位.#65 LEON PYRAMID AMG
3位.#6 DOBOT Audi R8 LMS (YH)

GT500クラス、TGR TEAM WedsSport BANDOHのドライバー2人と坂東監督、KONDO RACINGのドライバー2人の声を聞いた。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
国本雄資選手

もてぎは自信のあるサーキットなので予選から上位に行きたかったですが土曜日午前のフリー走行から思ったような調子が出ず、予選に向けてセットアップも変更しましたが、自分たちが望んでいたような車のバランスやグリップレベルが出せず苦しい予選となりました。決勝では自分はスタートスティントを担当しましたが、ウォームアップの時点から厳しく、スタートから徐々に離されていき非常に苦しい状態でした。しかし、阪口選手のスティントでは自分とは逆に周りと同等なペースで走ることができ、雨が降ってきた時も19号車のパフォーマンスは高く、追い上げることができてポイントも獲得できたので、そこに関しては非常に良かったと思います。今シーズン優勝することができ、チーム一丸となってシーズンを戦うことができ、すごく充実した1年でした。自分としても価値のある1年でしたがシリーズ争いをしたかったのは正直なところですので、来シーズンは常に上位で戦えるようにより準備を整え、強いチームで戦っていきたいと思います。応援ありがとうございました。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
阪口晴南選手

国本選手の1スティント目はペースが上げられず厳しい状況でした。自分が担当した2スティント目は違うコンパウンドで行きましたが、その方がコンディションと合い、追い上げることもできました。さらに雨が降り始めた中でのスリック「雨スリ」のコンディションでは今回は19号車の方がペースダウンも少なく非常に良かったです。38号車の立川祐路選手と遭遇してクリーンなバトルができ、自分の思い出に残るスティントでした。今年は正直浮き沈みの大きいシーズンでした。その中でも1勝できたのは大きく、チームとヨコハマタイヤと一緒に勝つことができた価値のある1勝でした。一方、サクセスウェイトを積んでからは結構苦戦を強いられ、また新たな課題に直面し、決勝が良いと予選の速さに影響するという結果となりました。自分が参加して1年目の予選で良かったところ、2年目の決勝で良かったところなどを振り返りもっと強くなっていきたいと思います。今シーズンも応援ありがとうございました。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
坂東正敬 監督

最終戦が終了しました。両ドライバーがこのコンディションの中よく頑張ってくれました。雨が降ったりFCYが入ったりと最終戦らしいサバイバルな様相でした。気づいた点もありますが、予選順位より決勝順位を上げられたということは力強いレースができたのではないかと思っています。ちょっと路面が濡れている中でもスリックタイヤで走っていた時は、他のメーカーよりも良いところも足りないところも見えましたので、そこにヒントがあると思っています。この最終戦は8位でゴールしましたが、来年につながる1戦だったと思っています。今シーズンを振り返ると、1勝しかできませんでしたが、7年ぶりの勝利ということでヨコハマタイヤと共にチャレンジした結果を示すことができた今シーズンでした。1年間19号車、横浜ゴムを応援してくれたファンの皆さん本当に有り難うございました。僕らはまだまだチャレンジしながら前に進みたいと思いますので、引き続き応援をよろしくお願い致します。

KONDO RACING
佐々木大樹選手

今回持ち込んだタイヤは晴れを想定していたため、自分のスティントでは予想より気温が低く、さらに途中雨もぱらつき、結果タイヤの表面が傷つくような状況になり想定していないコンディションとなってしまったため、タイヤが持たなくなり、ピットが1回多くなってしまったことが敗因でした。開発の一環として、今回その様なタイヤを持ち込み、予選ではしっかり結果を出すことができ、その部分では良い方向に向かっていたと考えます。天候は自分たちでは操作できないし、ピンポイントで狙っていかないと優勝争いができない現状のタイヤから、レンジの広いタイヤを開発していくことが今後の大きな課題であると思います。今シーズンは速さも決勝での強さも見せることができました。天気や運が噛み合わないことが多く、タイヤがいい状況であってもトラブルやペナルティで結果に結びつけることができない中でもポテンシャルの高さは証明できたシーズンだったと思います。今後もヨコハマタイヤの進化に期待してほしいです。ヨコハマタイヤを応援してくれた皆さんには悔しい部分もあったけど進化を見せることができたシーズンだったと思うので、来シーズンも応援をよろしくお願いします。

KONDO RACING
平手晃平選手

今回、予選が調子良く4番手からスタートとなり、天候もなんとか持ってくれそうな感じではありましたが、スタート直前から雲が多く僕らの望んでいた暖かいコンディションではなくなってしまったので、タイヤがどこまで持つかわからない状況になってしまいました。その結果、オートポリス同様に佐々木選手のスティントから苦しい状況になってしまい、耐えるだけのレースとなってしまいました。自分のスティントもタイヤはそのままで走り、最後に雨が降ってきたときにはウェットタイヤは良い結果が出ていたこともあったので、ウェットタイヤに交換しました。少しデータも取れたのですが、やはり予選結果から考えると決勝結果はかなり悔しいです。今シーズンは予選の速さは去年以上に良いところを見せられたと思います。運に見放された時や天候に左右された時もあって、自分たちの思うような結果に繋げられなかったのは本当に悔しいですが、来年に向けて改善点もだいぶ絞れてきているので、そこを改善できれば予選は速く決勝も安定して走れるタイヤになると思いますので、来年も頑張ります。

GT300クラスで見事優勝を飾ったJLOCのドライバー2人の声も聞いた。

JLOC
小暮 卓史選手

僕のスティントは後半で相当厳しく辛いところはあったけど、元嶋選手が前半で頑張ってくれたおかげで本当に良かったです。自分のスティントでは雨も降り、状況的には決して楽ではなかったですが、タイヤが凄く良いパフォーマンスを発揮してくれました。それがなければ絶対にタイムが出なかったのでありがたかったです。今回の優勝で一つ壁を乗り越えられたと思いますし、今後更に強いチームとなって、来年は優勝だけではなくシリーズチャンピオンを狙いたいと思います。

JLOC
元嶋 佑弥選手

私がSUPER GTに参戦して8年目、JLOCに来て7年目、小暮選手と組んで5年目でようやく SUPER GTで勝つことができました。本当に嬉しいの一言です。スタートしてトップに立ちマージンを作って2輪交換というところまでは計画通りでしたが、後半に雨が降ってきたり、65号車に追い詰められたり、トラブルが起きたりと時間が長く感じました。でもやっと勝つことができて、本当に嬉しいしホッとしました。ヨコハマタイヤが準備してくれたタイヤが非常に良く、正直無交換でも戦えるぐらいのポテンシャルはありましたが、マージンもあったので手堅く2輪交換しました。本当にヨコハマタイヤのおかげです。

最後に横浜ゴムMST開発部 / 白石貴之にも第8戦と今シーズンを振り返ってもらった。

横浜ゴム株式会社 MST開発部 技術開発1グループ
グループリーダー 白石貴之

今回の最終戦では、GT500クラスは想定した気温よりも低く苦戦を強いられました。直前の天気予報でも比較的暖かい気温となっていたので、それに合わせたタイヤをメインに持ち込みましたが、いざ本番となると思った以上に気温が低く、さらにレース中に雨も降り、今回のコンディションではタイヤが作動しない結果となりました。19号車と24号車ではタイヤのタイプは違いますが、共に低温に対応ができなかったのは反省点です。GT300クラスに関してはJLOCさんと長い間開発を行い、ミッドシップ車両向けの良い構造ができ、そのパフォーマンスが18号車の結果にもつながりました。コンパウンドに関しても、もてぎのテストでの結果をベースに持ち込んだのですが、構造としてもコンパウンドとしても来年に向けていいものが見つかりました。GT500クラスも今シーズンを通して構造やコンパウンドで課題は見つかっているので、新しいアイテムも投入しながらそれをオフシーズンの開発で改善していきたいです。

2023年はGT500クラスでは19号車が7年ぶりの優勝を果たし、GT300クラスではYOKOHAMA / ADVAN勢が8戦中4回の優勝を果たした。しかし課題も多く見つかった。2024年は海外テストも復活する。2023年シーズンは終了したが、来シーズンに向けタイヤ開発はすでに走り始めている。
2024年もYOKOHAMA / ADVAN勢のチャレンジは続く。

(了)

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