SUPER GT

SUPER GT 2023
Rd.5 SUZUKA
GT300クラスで再び、
シリーズポイント
ランキング・トップに浮上!

2023.8.30

いよいよ後半戦となったSUPER GT 第5戦・鈴鹿ラウンド。晴天に恵まれたが全国的な猛暑により路面温度は50℃を超え、暑さとの戦いとなった。GT500クラスでは悔しい結果となったが、GT300クラスでは、#18 UPGARAGE NSX GT3が見事開幕戦以来の今季2度目の優勝を果たし、再びYOKOHAMA / ADVANがシリーズポイント・ランキング・トップとなった。

Words:菅 正次 / Masatsugu Suga
Photography:田村 翔 / Sho Tamura

グッドスマイル初音ミクAMGが
3番手グリッドを獲得

雨に翻弄された第4戦から2週間ほど空けた8月26日(土)、27日(日)の2日間、三重県の鈴鹿サーキットでSUPER GT 2023シリーズの第5戦が開催された。

鈴鹿サーキットでの開催は今シーズン2回目となり、前回の鈴鹿ラウンドではGT500クラスの#19 WedsSport ADVAN GR Supraが7年ぶりの優勝を遂げたことが記憶に新しい。また、前戦の富士ラウンドで惜しくも優勝を逃した#4 グッドスマイル 初音ミク AMGは、2022年シーズン第5戦鈴鹿ラウンドでは優勝を果たしている。

今回こそは、#24 リアライズコーポレーションADVAN Zがポール・トゥ・ウィンを達成できるのか? また、#4 グッドスマイル 初音ミク AMGも雪辱を晴らすべく見事優勝を飾ることができるのか? さらにはシリーズポイント・ランキング2番手の#56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが、確実な順位でランキングトップを獲り返すことができるのか? この週末は絶好のドライコンディションとなる見通しで、今回もYOKOHAMA / ADVAN勢の勝利の可能性が十分にあると言える。

午前から高い気温となった26日予選日。午前のフリー走行では、GT500クラスでは24号車 佐々木大樹選手が2番手のタイムをマーク。GT300クラスでは、#50 ANEST IWATA Racing RC F GT3 もクラス2番手のタイムをマークし、YOKOHAMA / ADVAN勢は好調な滑り出しとなった。

定刻から10分遅れの15時20分から開始となった予選。最初に行われたGT300クラスQ1では、#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3がAグループ2番手をマーク。Bグループでは前回3位表彰台となった#6 DOBOT Audi R8 LMSがトップタイムをマークした。Bグループの2番手には4号車、3番手には56号車が入り、10台のYOKOHAMA / ADVAN勢がQ1を突破している。

次に迎えたGT500 Q1では24号車を操る平手晃平選手が1分46秒399をマークし2番手。期待通りのQ1突破となった。一方の19号車だが、全体的にスープラ勢が苦戦する中で19号車もパフォーマンスを発揮しきれず、13番手でQ1敗退となってしまった。

続くGT300クラス Q2では、4号車をドライブする片岡龍也選手が1分58秒652で3番グリッドを獲得し、優勝を十分に狙えるポジションを確保した。

そして最後に行われたGT500クラス Q2では、24号車の佐々木大樹選手が渾身のアタックで魅せるが、デグナーカーブでオーバーランし、1分47秒579で7番手となった。さらに、このタイムも走路外走行と判定され、アタックラップのタイムが不採用となったが、同時に#8 ARTA MUGEN NSX-GTも走路外走行で当該タイムが不採用に。採用されたセカンドベストタイムでは24号車が8号車を上回り、最終リザルトは6番手と、結果的には順位が一つ繰り上がる形となった。

【GT500クラス予選結果】
1.#16 ARTA MUGEN NSX-GT (1’46.385)
2.#23 MOTUL AUTECH Z (1’46.422)
3.#17 Astemo NSX-GT (1’46.659)

6.#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z (1’54.904 / YH)
13.#19 WedsSport ADVAN GR Supra (1’47.840 / YH)

【GT300クラス予選結果】
1.#61 SUBARU BRZ R&D SPORT (1’57.608)
2.#96 K-tunes RC F GT3 (1’58.133)
3.#4 グッドスマイル 初音ミク AMG (1’58.652 / YH)
4.#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 (1’58.697 / YH)
5.#50 ANEST IWATA Racing RC F GT3 (1’58.834 / YH)

#18 UPGARAGE NSX GT3が
今季2度目の優勝を果たす!

前日に続き午前から晴天となった27日決勝日。ウォームアップ走行時には気温33℃、路面温度は50℃に達していた。酷暑のなか開催される450kmレースの周回数は77周で、2回の給油ピットインが義務付けられる長丁場のレースとなる。

14時45分にスタートが切られ、各車順調に周回を重ねる。GT500クラスでは6番手スタートの平手選手がドライブする24号車が#38 ZENT CERUMO GR Supraと5番手争いを繰り広げていたが、11周目でコースアウトした車両が発生しFCY(フルコースイエロー)が宣言される。24号車はその直前に良いタイミングでピットインしたと思われたが、FCY中のピットインと判定されペナルティストップ60秒が課せられてしまう。これにより大きく後退し、勝負権を失ってしまった。

一方 、13番手スタートの19号車は国本選手が追い上げるが、ポジションを上げることができないまま26周目でピットイン。阪口選手にバトンタッチし10番手までポジションを上げチェッカーとなり、24号車は14番手でレースを終えた。

その後、2位の#23 MOTUL AUTECH Zが失格となったことで3位以降の順位が一つ繰り上がり、24号車は13位となり、19号車は9位で2ポイント獲得となった。

GT300クラスは3番手スタートの4号車が一時トップとなるが、1回目のピットストップが各車行われた後は#88 JLOC ランボルギーニ GT3が代わってトップに浮上する。45周を迎えたところで、シリーズポイント・ランキング2位で徐々に追い上げを見せていた#56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rがバックストレートで右リヤホイールが外れ、130Rでコースアウト。それにより、FCYとなる直前にピットインした16番手スタートの#18 UPGARAGE NSX GT3がトップに浮上。さらに2番手には87号車が追い上げ、2台の接近戦となった。終盤はポールポジションスタートの#61 SUBARU BRZ R&D SPORTがトップを取り戻すべく追い上げてきたが、YOKOHAMA / ADVAN勢のワン・ツーを守り切りチェッカーとなった。

18号車はこれで今季2度目の優勝となり、一気にシリーズポイント・ランキング・トップとなった。

【GT500クラス決勝結果】
1位.#16 ARTA MUGEN NSX-GT
2位.#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra
3位.#14 ENEOS X PRIME GR Supra

9位.#19 WedsSport ADVAN GR Supra (YH)
13位.#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z (YH)

【GT300クラス決勝結果】
1位.#18 UPGARAGE NSX GT3 (YH)
2位.#87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3 (YH)

3位. #61 SUBARU BRZ R&D SPORT

4位.#88 JLOC ランボルギーニ GT3 (YH)
5位.#4 グッドスマイル 初音ミク AMG (YH)

今回も悔しい結果となったGT500クラス、TGR TEAM WedsSport BANDOHのドライバー2人・監督、およびKONDO RACINGのドライバー2人の声を聞いた。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
国本雄資選手

第5戦は、路面温度が高いだけではなくコンディションも良くありませんでした。さらにはダウンフォースも本来の性能が出ていない中、サクセスウェイトも効いてパフォーマンスを発揮できないレースとなってしまいました。その状況の中、予選では第3戦と同じタイヤで挑みましたが、路面温度の違いは想定していたものの、思った以上にタイムを出せずQ1敗退となってしまいました。決勝では前半のスティントでは26周まで自分のポジションをキープし、阪口選手も後方から追って来た36号車を抑えることができ、今回のパフォーマンスの中でできることはやれたのではないかと思っています。次戦の菅生ラウンドはチームとしっかり計画し、本来のパフォーマンスを発揮できる様にしたいと思います。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
阪口晴南選手

この第5戦で自分はセカンドスティント、サードスティントを担当しましたが、自分のペースが良い時もあれば、逆に相手の方のペースが良かったりと、一進一退のような状況が続き、ポジションを上げられる手応えも感じることができず、特にセカンドスティントは苦戦しました。FCYが起きた時の合わせ込みのところが少し足りずに抜かれてしまったこともあり、さらにサクセスウェイトとの向き合い方も自分は上手くできていないので、その部分は反省し、今回のピンチだったところを次戦ではチャンスにしていき、残り3戦は巻き返したいと思っています。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
坂東正敬 監督

まずは暑い中、応援してくださったファンの皆様、本当にありがとうございました。もちろん望んでいる順位ではありませんでしたが、最後まで諦めない走りをドライバーが見せてくれました。その諦めない姿勢が9位という結果をもたらし、2ポイントを獲得することができました。チームとしてはドライバーに与えるインフォメーションや、サクセスウェイトを積んだ重い車の状態でのセットアップなど課題は沢山あり、その上次はサクセスウェイトも48kgとさらに重くなりますが、それを克服しながら次戦菅生ラウンドもチーム一丸となって戦います。沢山の応援ありがとうございました。

KONDO RACING
佐々木大樹選手

今回のレースも本当にいろいろあり、予選も決勝のペースも良かっただけに非常に悔しいです。予選では攻められる自信もあり、結果攻めなくてもボールを取れるぐらいの速さはあったかもしれないですけど、それはやってみないとわからない部分もあるので常に100%を出し切り、その結果飛び出してしまい、申し訳ないなという気持ちもありました。ただそれだけいいクルマもチームが用意してくれて、自分がそれだけ攻め切れたということに関して悔いはありません。決勝も6位からとはいえ、上手いレースをしていれば優勝争いができたと思います。それだけの自身はありました。次戦の菅生は、シーズンの中で各車が搭載するサクセスウェイトが最大値になります。自分たちは次も速さはあると思いますが、速さがあるだけでは勝てないので、今度こそ全てがかみ合うようにしていきたいと思っています。

KONDO RACING
平手晃平選手

予選は6番手スタートでしたが表彰台も狙えたし、朝のウォームアップのフィーリングもロングランも良い感触で決勝に挑みました。自分がスタートを担当しましたが、前半は38号車とその前の64号車とバトルしながらレース展開が進んでいき、チャンスがあればいつでも抜けるぐらいの余裕がありました。自分が抜こうと思ったタイミングでFCYが入り、チーム側から無線で指示があったのでピットに入ったら、結果的にはペナルティーになってしまいました。我々が持っているマシンとドライタイヤのパフォーマンスは、本当に常にトップレベルでいつでも上に行ける力は持っているのに、違う要素でいつもレースをダメにしてしまい、本当に悔しいです。次の菅生ラウンドは久々に300kmレース。今まで450kmで苦労してきたところを気にせず思いきりレースができると思うので、持っているパフォーマンスを全て出し切って、今度こそポール・トゥ・ウィンを達成したいと思います。

今大会、見事 YOKOHAMA / ADVANで今季2度目のGT300クラス優勝を飾ったTEAM UPGARAGEのドライバー2人の声を聞いた。

TEAM UPGARAGE
小林崇志選手

若干マシンに不調を抱えていたので、優勝で嬉しいと言うよりホッとしています。今回はもうFCYのタイミングでピットに入れたことが大きいです。とはいえ、マシンとしてはすごい良かったですし、ヨコハマタイヤさんもいいタイヤを用意してくれていたので、運があってトップには立ちましたが、トップを守りきる力があったというところが大きかったかなと思いますね。相方の小出選手のことはまだあまり信用していないので(笑)、ヒヤヒヤしながら見ていましたが、本当によくやってくれました。

TEAM UPGARAGE
小出峻選手

チームには「絶対トップを守ってやる」とは言いましたけど、めちゃくちゃキツかったです。マシンもタイヤも良かったですが、予選ではQ2出走ということが叶わなくて、チームとしても悔しい思いをしていました。16番手からスタートとなり、後方から追い上げしっかりと戦えばある程度の位置、ポイント圏内には上がれると思っていましたが、優勝できるとは正直思っていませんでした。第1戦で優勝してから、その後ポイントを獲得するに至らなかったので、今回の優勝でポイントランキングトップに戻ることができて、自分はもちろん嬉しいですし、チームとしても嬉しく思います。ここからサクセスウェイト100kgを積むことになるので、より厳しいレースが続くと思いますが、ただその中でもしっかりとやることは今までと変わらないと思います。ヨコハマさんともコミュニケーションを取って、しっかりいいタイヤでレースに臨むということも全く変わらないので、本当に今までどおり、レースに対して自分のできることをやりたいと思います。

最後に横浜ゴムMST開発部 / 白石貴之にも第5戦・鈴鹿を振り返ってもらった。

横浜ゴム株式会社 MST開発部 技術開発1グループ
グループリーダー 白石貴之

GT500クラス 24号車に関しては予選の決勝の速さは十分にあるのですが、逆に言うとそこの速さを結果に結びつけることができないところはあると思います。タイヤのパフォーマンスも十分発揮できていると思っているんですけど、結果にどうやって結びつけるか? についてはチームともさらに相談をしていきたいと思っています。19号車に関しては、チームの見解として土曜日の練習走行の段階で路面コンディションが悪く、午後の予選は良くなって来てはいましたが、スープラが他のマシンと比べ追従できていなかったと思います。その部分をタイヤでより引き出すことができなかったという点では、もう少しマシンに合うタイヤを提供できなかった部分はあり、決勝も同じようなところが課題だったと思っています。しかし、それに関しては9月にタイヤメーカー・テストを実施する予定で、コンパウンド、構造共に新しいものをトライし、同様に車両側のセットもチームと相談していきたいと思っています。
GT300クラスに関しては、実力のある車両に合ったタイヤを提供できていると思っており、今後もそこは期待できると思っています。GT300クラスもタイヤメーカーテストを実施するのでGT500クラス同様にチームと相談していきたいですね。

(了)

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