SHOW REPORT

この先の時代に向かって──
ファンとの距離感をさらに縮めた
YOKOHAMA / ADVANのTAS2024。

2024.1.19

3日間の会期を通して延べ26万人もの来場者数を記録した東京オートサロン2024(TAS2024)。リアルイベントの開催中止(2021年はヴァーチャル開催のみ)を含め、コロナ禍のさまざまな制約の中にあっても諦めることなく“日本最大級のモーターショー”の開催を続け、こうしてコロナ禍以前のレベルにまでその勢いを取り戻すに至ったことは称賛に値する。そして、これまで継続的にTASへの出展を続けてきたYOKOHAMA / ADVANもまた、TAS2024ではこの先の時代に向けての新たな取り組みを披露。新規層も含めたより幅広いファンに対して、自らの魅力と可能性を存分に示したのだった。

Words:髙田興平 / Ko-hey Takada
Photography:河野マルオ / Maruo Kono

“好機”を捕らえて
幅広く魅力をアピールできた。

「ここに来てようやくタイミングが合ったという想いが強いです。これまでコロナ禍の影響はやはり強く、多くのお客様が密集するようなトークイベントの実施は敢えて控えていました。しかし、そのコロナ禍もほぼ完全に終息した今年はいよいよそうした制約を取り払って、より多くのユーザーやファンの皆さんに向けたトークショーを企画・運営することにしたのです。やるからにはかつてないほど多くのトークの本数を用意して幅広いキャストの皆さんに登壇していただくことにしましたが、その分だけ、YOKOHAMA / ADVANが本来持つ幅と奥行きを、ブースまで足を運んでくださった皆さんにお伝えすることができたのではないかと感じています」

YOKOHAMA / ADVAN(YOKOHAMA TIRE ブース)は例年のように幕張メッセ・西ホールの一角を占め出展。黒を基調に企業ロゴを配したブースデザインも例年通りのシンプル&シックな装いで好感が持てるものだったが、今年は大型スクリーンの前にステージと観覧シートを設け「ヨコハマ トークラッシュ」と銘打ったトークショーを催した。何より驚かされるのはその本数。“ラッシュ”と謳うだけに3日間を通して実に20本(特別招待日の12日午前中のみサイレントタイムのため実施せず)、30分おきの間隔で各30分間という他を圧倒する怒濤のトークショーが繰り広げられたのである。この「トークラッシュ」の実施に至った経緯、そして意義を、横浜ゴム株式会社タイヤ国内リプレイス営業企画部 マーケティンググループ 係長・山崎大介(YOKOHAMA TIREブースの運営管理責任者)が説明する。

「ヨコハマ トークラッシュ」には3日間に渡ってSUPER FORMULAで活躍する日本を代表するトップドライバーたちが多数登壇し、熱いトークでファンたちを沸かせた。

「企画・運営面では確かに大変な要素もありました。これだけの本数を3日間かけて遅延なく回していくのですから、メインMCの勝又智也さんはじめ、スタッフの皆さんの努力にまずは感謝したいです。本来であれば、もう少し時間の間隔をあけて本数自体を減らすことが普通だと思われるかもしれません。しかし、一方でステージや観覧シートを設けることでブース内の展示スペースを減らさなければならないという側面も企画の段階から見えていた。私どものブースに来てくださる皆さんに少しでもYOKOHAMA / ADVANの魅力を感じ取ってほしい──そうした想いでブース運営をする以上、展示スペースを割くのなら、その分だけトークの本数を増やしてファンの皆さんに楽しんでいただこう。そういう考えのもとで、運営チームが一丸となって出来うる限りの“限界”に挑んだのです」

実際、これだけの本数をこなすとなればトークキャストの選考・管理に関してもかなりの労力を要したことが窺い知れる。その点においても、山崎が冒頭で「タイミングが合った」と述べる理由が生きることになった。

従来のファンはもちろん、新規層までを取り込むことに成功した「ヨコハマ トークラッシュ」。バラエティに富んだ構成とすることで飽きさせることなく、何度も足を運ぶオーディエンスの姿も見受けられた。笑顔の絶えないトークショーは、やはり華があってオートサロンらしいと思えた。

「今回は織戸 学さんや谷口信輝さん、SUPER GT / GT500クラスの坂東正敬監督やドライバーといった、YOKOHAMA / ADVANゆかりの方々はもちろん、2016年からワンメイクでレースタイヤの供給をしているSUPER FORMULA(全日本スーパーフォーミュラ選手権)の各チームからもドライバーや関係者の皆さんが多数登壇してくださいました。SUPER FORMULAへの供給を続けてきたことで、こうしてより新鮮かつ幅の広い顔ぶれ、しかも日本を代表するトップクラスのドライバーの皆さんがYOKOHAMA TIREブースの舞台に立ってくれた。これはとても有意義なことでしたね。なぜなら、そうしたドライバーさんたちを目当てに観覧する新規層のファンの方々に、YOKOHAMA / ADVANの魅力をより深く知ってもらうことができたのですから」

昨年の最終戦・鈴鹿ではSUPER GTの鈴鹿戦の観客動員数を上回るなど、SUPER FORMULAの人気がかつてなく高まっているタイミングを今回上手く捕らえられたことも、YOKOHAMA TIREブースに従来よりも多くのファンが訪れ「トークラッシュ」を大いに盛り上げる要因となったことは間違いない。さらには、モータースポーツという最高峰のフィールドで日々絶え間なく技術の向上を図り、時代の要請に合わせたサスティナブルな取り組み(再生可能原料&リサイクル材料を33%取り入れたレーシングタイヤの供給)を今後も継続させていくことで、YOKOHAMA / ADVANは文字通り“足元”から日本のトップフォーミュラの発展を支えている──その事実をアピールするという意味でも、今回の「トーク ラッシュ」はまさに絶好の機会になったと言えるだろう。

「より幅広い層の方に楽しんでいただけることを目的に他を圧倒するトーク本数の『トークラッシュ』を仕掛けました」と説明するYOKOHAMA TIREブースの運営管理責任者を務めた山崎大介(右写真)。企画・運営スタッフ全員が一丸となってYOKOHAMA / ADVANの魅力を真っ直ぐに伝えていく「トークラッシュ」を作り上げていった。

YOKOHAMA / ADVANは
いつの時代も憧れの存在でいてほしい。

「ユーザーやファンの皆さんとの距離の近さ──それを直に感じ取れることが東京オートサロンの大きな魅力だと思います。改めて、YOKOHAMA / ADVANの幅のある製品/商品ラインナップをお客様に真っ直ぐにアピールできる場として、オートサロンという舞台にはまだまだ大きな可能性が秘められていると感じましたね」

何よりファンやユーザーとの距離感を大切にすること──その現れの一つとしてレイアウトされた会場動線に近い最前列に置かれた製品カウンター。カウンターの四方にいくつものタイヤ製品を並べ、横浜ゴムの社員が来場者と対面となって丁寧に製品説明をするスタイルが採られている。

横浜ゴム株式会社タイヤ国内リプレイス営業企画部 部長の野村賢弘はそう語る。昨年同様、YOKOHAMA TIREブースではもっとも会場動線に近い最前列に置かれたカウンターの四方にいくつものタイヤ製品を並べ、その内側には解説役として横浜ゴムの社員が立ち来場者と対面となって製品概要とともにタイヤごとの性能や品質、マッチングなどの説明をするというスタイルが継承された。

車両展示もバラエティに富むものだった。(株)日本レースプロモーションによる「SUPER FORMULA NEXT50(ネクストゴー)」が推進するカーボンニュートラルテスト用のSF23開発車両「白寅」を筆頭に、ADVAN初のEV(電気自動車)専用タイヤとなるADVAN Sport EVを装着したテスラ・モデル3(ARTISAN SPIRITS)や、BMW Mなどパフォーマンスカー・ユーザー待望のADVAN NEOVA AD09の21インチサイズ(F: 285/30R20 99W / R: 295/25R21 96W)を装着したBMW M2のStudie製フルカスタムモデル、さらにはアジア最大級のFIA公認ラリー「アジアクロスカントリーラリー2023」で優勝したTGRインドネシアのトヨタ・フォーチュナー(装着タイヤはGEOLANDAR M/T G003)など、YOKOHAMA / ADVAN製品の守備範囲の広さを体現するラインナップでファンたちの目を楽しませたのである。

「トークラッシュ(ADVAN APEX V601の魅力/谷口信輝)での『あなたのニーズに合ったタイヤ、ユーザーごとの腕に合わせたグリップを選びましょう』という谷口さんの言葉はとても共感できるものでした。例えばADVANのスポーツタイヤ製品を見ても、ストリートからサーキットユースまでまさにユーザーの好みや技量に合わせての最適解をお買い求めいただけるようにラインナップしています。さらに、今回は日本のトップフォーミュラであるSUPER FORMULAへの取り組みを、トークラッシュを通じて幅広くアピールしたことに加えて、展示においてもSF23の開発車両にサスティナブル素材を用いたレースタイヤA005を装着してより身近にその存在を感じ取っていただくこともできた。
一方で、ADVAN初のEV(電気自動車)専用タイヤとなるADVAN Sport EVをテスラ・モデル3に装着して展示したことで、YOKOHAMA / ADVANのこの先の時代へ向けた幅の在り方までをアピールしてもいます。我々の取り組みには常に幅と奥行きがある。最高峰のレースタイヤから新時代の市販タイヤまで、ユーザーやファンの皆さんにYOKOHAMA / ADVANのこの先の可能性を感じ取っていただけたことが、何より意義深かったと思います」

「ユーザーの好みや技量に合わせた製品の選択肢が豊富なこともYOKOHAMA / ADVANの大きな魅力であり、そのことをより多くの来場者の皆さんにお伝えできたことが今回はとても有意義だったと思います」と、横浜ゴム株式会社タイヤ国内リプレイス営業企画部 部長の野村賢弘(右写真)がTAS2024のYOKOHAMA TIREブースでの手応えを振り返った。

野村の言葉にもあった“YOKOHAMA / ADVAN”の幅と奥行き”を象徴するトークが最終日に用意されていた。カスタム界のカリスマとして国内外から圧倒的な支持を集めるリバティウォークの加藤 渉 代表による「ヨコハマタイヤを愛する、昭和の元祖カスタムチューナー」がそれだ。

「ボクみたいなヤンチャなイメージの人間を大きな企業さんのステージに上げて、こうやって好き勝手に喋らせてくれるYOKOHAMA / ADVANの度量ってすごいと思う。正直、ボクにはタイヤの性能云々はよくわからない。でも、それがかっこいいかどうか? については誰よりも理解できるセンサーみたいなものが備わってもいる。若い頃から、YOKOHAMA / ADVANはボクらストリート派の憧れだったんです。ADVANカラーはその象徴で、今でもその魅力は色褪せない。ボクがYOKOHAMAさんに断りなく勝手にADVANカラーのマシンを作ったときも、怒られるどころか『ADVANを好きでいてくださってありがとうございます』とわざわざ偉い人が挨拶に来てくれた。感動しましたよ。こんなにもファンの気持ちを汲んで、より幅のあるカルチャーの中で自分たちのブランドを生かしていくYOKOHAMA / ADVANの懐の深さにね。だから、ボクはこれからもずっとファンでいるし、YOKOHAMA / ADVANもこの先もずっと、そうやってファンを大切にしてくれると信じてますよ!まさに永遠の憧れなんです」

どこまでも突き抜けたトーク全開で会場を沸かせたリバティウォークの加藤 渉 代表。「ボクらが大切にしているのは“愛”なんです。自分たちがまず何より好きでなければ、自分たちの作ったもの(カスタム)で人を喜ばすことなんてできない。だからこそ、そこに“愛”が必要なんです。ボクは昔から、YOKOHAMA / ADVANにはそういう“愛”があるって感じています。ボクらのようなストリート派を受け入れてくれる懐がある」と、熱く語ってくれた。

(了)

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