ニュースリリース

W杯サッカー開催の「札幌ドーム」に横浜ゴムの各種ゴム製品採用される

2001年09月12日

  • 工業品関連

横浜ゴム(株)(社長:冨永靖雄)の各種ゴム製品が、2002年W杯サッカー会場となる「札幌ドーム」(建築主:札幌市、所在地:札幌市豊平区)に多数採用された。採用された製品は、インフレートシール、ハマダンパー(制振材)、レール溝ゴム、ラバーフェンス、建築用シーリング材などで、施設の気密性保持、防音、安全性確保などに役立てられている。中でも、サッカーグランドを出し入れする開口部の密閉材であるインフレートシールは、当初の基本設計を変更して採用されるなど高い評価を得た。これら製品は、横浜ゴムの販売会社「横浜ゴムMBH(株)(本社:札幌市中央区)」を通じて販売・施工された。同社の「札幌ドーム」関連製品の売上高は1億円を上回った。
「札幌ドーム」は、国際サッカー連盟(FIFA)が要求する天然芝グランドをドーム内に設けたユニークな施設で、普段サッカーグランドは屋外に置かれ、競技開催の際にサッカーグランドをドーム内に移動するシステムを採用している。また野球、サッカー、コンサートなどのイベントに応じ、約9,000席の観覧席を可動させることができる。1998年6月に着工し、ことし5月に完成した。すでに6月の巨人/中日戦をかわ切りにプロ野球公式戦が開催されているほか、Jリーグの「コンサドーレ札幌」のホームとしても使用されている。

※写真をクリックすると印刷用高解像度画像がダウンロードできます。

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■「札幌ドーム」のステージ変更システム

■「札幌ドーム」のステージ変更システム

■「札幌ドーム」に採用された各種ゴム製品の概要

●インフレートシール
インフレートシールはキャノピー(航空機操縦席上の天蓋)や新幹線の運転席ドアなどに使用されるシール(密閉)材。補強材で強化されたゴムチューブの一種で、チューブ内に空気を入れ膨張させることでシール機能を発揮させる。「札幌ドーム」では、ドーム内にサッカーグランドを出し入れするため、幅約80メートル、高さ約14メートルの開口部が設けられ、「ムービングウォール(9枚で構成された壁板)」で閉鎖する構造となっている。インフレートシールは開口部外周と各壁板下部に取り付けられ、ドーム内の気密性を保持する。とくに寒冷地での使用条件を考慮し、マイナス30度でも機能低下がない特殊ゴム設計とした。

●ハマダンパー(制振材)
ハマダンパーは粘性を高めたゴム板で、振動する物体に張り付けることで振動を吸収し、静音効果を発揮する。高速プレス機やシリアルプリンタのカバー内側に取り付けられるなど、幅広い産業分野で使用されている。「札幌ドーム」は観覧席の配置を変えるため、金属製の旋回式可動席2組と開閉式可動席1組(合計約9,000席)が設置されている。旋回時の金属音低減と可動席通路歩行の際の靴音を低減するため、通路床下と階段部にハマダンパーが設置された。
●レール溝ゴム
「札幌ドーム」の旋回式と開閉式可動席は、可動席下部に取り付けられた車輪が、床に設けられたレールを走行して移動する。レールの両サイドは車輪のフランジ(輪ぶち)を通す溝が必要だが、溝がむき出しのままでは歩行者がつまづく恐れがあるため、その全てにレール溝ゴムが埋め込まれた。車輪通過時は適度に窪み、普段は床面と同じ高さで平面の均一性を保持する。レール溝ゴムは「ムービングウォール」の移動用レールにも施工されている。

●ラバーフェンス
ラバーフェンスは、野球ゲームの際、フェンスに激突するプレーヤーの安全を守るための緩衝材。厚さ約50ミリのウレタンフォームを基材とし、その外周にゴムシートを貼る構造になっている。横浜ゴムのラバーフェンスは、すでに「東京ドーム」をはじめ、全国の野球場、運動公園などに施工された実績があり、「札幌ドーム」では、内外野のフェンス全周、約2000平方メートルにわたって施工された。

●建築用シーリング材
建築用シーリング材は、外壁パネルやガラス間の目地材として使用され、建造物の温度変化などによるゆがみに追随し、機密性を保つ役割を果たす。「札幌ドーム」では建造物外壁パネル、「ムービングウォール」パネル、展望台ガラスなど施設各所に使用された。