ニュースリリース

トラック・バス用ラジアルタイヤの新設計技術を確立

走行による経時変化予測で、耐久性を大幅に向上

2004年06月28日

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横浜ゴム(株)(社長:冨永靖雄)は、トラック・バス用ラジアルタイヤの新設計技術として、実走行によるタイヤの微少な形状変化を考慮し、より厳密にタイヤ各部の歪みを予測できるシミュレーション手法を開発した。あわせてタイヤ各部に使用されたゴム材料の物性変化も考慮し、構造と材料の両面からタイヤに「安全余裕率(壊れるまでの余裕率)」の新概念も導入した。これら新たな設計技術と概念の導入により、今後、大幅に耐久性などを高めた商品開発が可能になる。

トラック・バス用ラジアルタイヤは、走行時の発熱によるタイヤ内部の温度上昇などにより、タイヤ外径が微少に成長する。一般に4~5万km走行すると安定期に入り、その時点までに新品タイヤに比べ外径が約0.5%(外径1,000ミリで約5ミリ程度)成長する。このため耐久性などの性能評価は、経時変化(成長)後の形状を前提に行うことが望ましいが、従来のタイヤ性能予測は新品タイヤの状態で行われ、必ずしも厳密ではなかった。

横浜ゴムはこうした問題を解決するため「ダブル・インフレーション・プレッシャー・メソッド(Double Inflation Pressure Method)」と呼ぶシミュレーション手法を開発した。有限要素法(FEM)を用いて、新品タイヤに空気を充填した計算を行い、その形状を元に再度空気を入れて計算し形状変化をシミュレーションする。実際のタイヤでは、新品タイヤに空気を入れて膨らませ熱を加えると、タイヤ外径は空気を抜いても元に戻らない性質を利用した。この結果、タイヤが成長した状態で、タイヤ各部に生じる歪みなどをより正確に解析できるようになった。

また、新たに導入したタイヤの「安全余裕率」は、耐久性などを単に歪みなどの構造変化だけでなく、走行によるゴム材料の老化などの物性変化を加味して総合的に評価するために導入した概念で、ゴム材料の特性を構造的な「歪み」で除した数値で表す。実走行に伴う歪みとそこに使用したゴム材料の物性変化によって、タイヤ各部の「安全余裕率」を定量的にシミュレーションできるようになり、的確な構造設計や材料開発にフィードバックできるようになった。なお、タイヤの性能評価に「安全余裕率」の概念を採用したのは横浜ゴムが初めて。