ニュースリリース

横浜ゴム、ゴム技術の研究で4名が日本ゴム協会から表彰

2015年07月01日

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  • 技術関連

横浜ゴム(株)の技術者4名がゴム技術の研究に関して、一般社団法人日本ゴム協会の「第53回ゴム技術有功賞」および「第62回優秀論文賞」を受賞した。受賞式は5月に京都工芸繊維大学で開催された。

「ゴム技術有功賞」は日本ゴム協会の会員の中からゴムおよびプラスチックス工業に関連する生産技術の向上に顕著な功績があり、同協会および日本ゴム工業界に貢献した技術を表彰するもので、基準を満たす技術がない場合は授与しない。今回は横浜ゴムの阿波根朝浩(2001年に定年退職。2009年まで嘱託勤務)のみが受賞した。「優秀論文賞」は過去3年間に同協会誌に発表された論文の中から特に優秀なものを表彰する。今年は28論文の中から横浜ゴムの網野直也/佐藤正樹/石川泰弘(2008年に定年退職)の論文を含む2件が選ばれた。

「第53回ゴム技術有功賞」を授与される阿波根朝浩(右)

「第53回ゴム技術有功賞」を授与される阿波根朝浩(右)

「第62回優秀論文賞」を授与される網野直也(右)同氏は今回が4回目の受賞となる

「第62回優秀論文賞」を授与される網野直也(右)同氏は今回が4回目の受賞となる

<第53回ゴム技術有功賞>

■受賞者:阿波根朝浩(2001年に定年退職。2009年まで嘱託勤務)
■受賞理由:
タイヤ走行によるゴムの劣化(特にゴムの酸化反応による劣化機構)の研究において、酸化によって生じるゴム中での化学的変化とこれに伴うゴムの物性変化の関係を明らかにし、劣化によるゴム分子鎖の化学的変化の違いや劣化の度合いを判別する手法を構築した。この手法はゴム産業界において広く利用されており、この業績によりACS(American Chemical Society;アメリカ化学会)Rubber Divisionの「ゴム産業に最も貢献した人および技術革新100選」に選出された。また、同氏の研究手法は混合によるゴム分子鎖の変化や摩擦・摩耗などのゴム分子鎖の変化にも及び、同氏が提案した混合のメカニズムおよび手法は国内外のゴム業界で広く共有化されており、ゴムの生産技術だけでなく、配合や解析技術の向上に顕著な功績を残した。特に新しい評価手法を与えた観点からゴム産業に与えた効果は極めて大きい。

<第62回優秀論文賞>

■受賞者:網野直也/佐藤正樹/石川泰弘(2008年に定年退職)
■受賞論文:
X線イメージング法を用いたゴムと路面の接触状態解析-摩擦時のゴムの破壊挙動のその場観察-
■受賞理由:
本研究論文は摩耗現象を詳細に観察することで、ゴムの破壊が摩耗現象で起こっている小さな破壊現象から成立していることを実証し、詳細な観察の中でゴムの破壊と摩擦と物性の間につながりがあることを明確にした。本研究ではゴム材料を開発するうえからはゴムの伸びと応力に着目することで摩耗特性を制御できることを示唆しており、工業的に重要な情報となる。一方でゴムの破壊メカニズムを考えるうえでも有用な検証方法のひとつになると判断される。

<摩擦によってゴムが破壊する瞬間のX線イメージング写真>(矢印が亀裂位置、数字は摩擦開始後の経過時間)