ニュースリリース

生体情報によるタイヤ評価手法を開発

“ドライバーの思いどおりの運転”を実現できるタイヤづくりに活用

2009年10月09日

  • タイヤ関連
  • 技術関連

横浜ゴム(株)(社長:南雲忠信)は信州大学繊維学部(創造工学系感性工学課程)と共同で、筋肉の動きを計測する筋電図で得た生体情報から、ドライバーが思いどおりに運転できるタイヤづくりのための新しい評価手法を開発した。

これは2004年に開発した評価手法をさらに進化させたもので、スタンダードタイヤ同士やハイパフォーマンスタイヤ同士など同じカテゴリに属する特性の近いタイヤ間での性能評価を可能にした。横浜ゴムは同手法を活用することで、スポーツカーやコンフォートカーなど車種を問わず “ドライバーの思いどおりの運転=ドライビングプレジャー”を、さらに高レベルで実現するタイヤ開発を進めていく。

今回、新手法の開発にあたり、①計測データのバラツキが出にくい走行条件の設定②膨大な計測データから最適な評価指標の組み合わせを容易に決定できるデータ分析法の確立―に取り組んだ。走行条件として実路に近いうねりのある準定常旋回コースを採用し、特性の近い複数のタイヤでハンドル操作(操舵角や操舵トルク)と左右の三角筋の収縮の強さ(筋活動の大きさ)を測定したところ、左右それぞれの筋活動の大きさや左右の筋活動の連携に差があることが確認できた。

さらに、ここで得た膨大な計測データを新たにデータ分析法として導入した主成分分析(多変量解析手法のひとつ)で解析したところ、①ハンドル操作の修正とそれに伴って発生する筋活動パターンとの組み合わせによって表される指標(総合的な負担)②ハンドル操作に要する力によって表される手応えの重さ(操舵力)の2つの評価軸によって、試験タイヤを明確に分類することができた。この結果は被験者の官能(フィーリング)評価とも一致しており、当社の評価手法がドライバーの感性をより適確かつ定量的に反映できる手法であることが確認できた。

横浜ゴムはドライバーの生体情報を得るにあたり、筋活動を筋電図によって測定する方法を採用している。筋電図を採用するメリットは時間分解能が高いことであり、このため、心拍ゆらぎなどのように長時間の計測を必要とせず、ドライバーの思いどおりのハンドル操作に伴う筋活動や、運転のしにくさから生じるりきみに伴う筋活動をごく短時間の計測結果から知ることができる。例えば、三角筋の筋活動が過大でなく、かつ左右の三角筋の筋活動の連携にムダがないタイヤは、ドライバーの思いどおりの運転を実現する、運転しやすいタイヤと言える。

※写真をクリックすると印刷用高解像度画像がダウンロードできます。

筋電図による計測の様子。体にセンサーをつけ筋活動を測定する。

筋電図による計測の様子。体にセンサーをつけ筋活動を測定する。

<主成分分析による性能評価の散布図>

主成分分析によってそれぞれのタイヤの性能評価を視覚的に理解しやすい散布図で表示できる。

<ドライバーから計測可能な生体情報>