ニュースリリース

環境対策型免震システム「トランキライザー・ラバーベアリング」開発

大地震から高架道路を守り、騒音・振動も低減する

2003年08月28日

  • 工業品関連
  • サステナビリティ

横浜ゴム(株)(社長:冨永靖雄)は、騒音や低周波振動の防止に効果的な橋梁用の環境対策型免震システム「トランキライザー・ラバーベアリング」を開発、9月から本格的に販売を開始する。住居やオフィスビルが近接し、これらの対策が不可欠な都市部の高架橋への採用をめざす。 

近年、高速道路などの高架橋では、地震対策として従来の鋳鋼製支承に代わり、より大きな地震に対応できる免震ゴム支承の採用が増えている。その一方で、免震ゴム支承を設置した橋梁は大型トラックなどが通過する際のゴム支承のたわみにより、騒音や低周波振動が懸念される場合がある。

こうした問題を解決するため、横浜ゴムは、鋼製支承と高減衰積層ゴムを組み合わせた新しい免震システム「トランキライザー・ラバーベアリング」を開発した。たわまない鋼製支承「二軸すべりゴム支承」で常時の橋桁の鉛直荷重を支え、地震時に高減衰積層ゴム「ダンパー・アイソレーター」が減衰性能を発揮する。常時の機能と地震時の機能を分離することで、ゴム支承のたわみを解消しながら、従来と同等の耐震性を確保することができた。

「二軸すべりゴム支承」は鉛直方向にはたわまないが、水平方向のどんな動きにも追随するのが特徴。「ダンパー・アイソレーター」は減衰性能に定評のあるSHDRのゴムを採用しており、地震時の揺れを早くしずめることができる。日常的な強風や交通振動などの揺れは「二軸すべりゴム支承」で緩和し、大規模地震が発生すると、この鋼製支承の橋軸直角方向変位を拘束するジョイントプロテクターがはずれ、「ダンパー・アイソレーター」が全方向に機能する仕組みだ。

常時の機能と地震時の機能を分離した「トランキライザー・ラバーベアリング」の開発で、地盤や橋梁の特徴に応じてより最適な免震システムが構築できるようになった。さらに、鋳鋼製支承を設置した既設の橋梁に「ダンパー・アイソレーター」のみを追加することで、低コストで耐震補強ができる。価格面では、支承部材が二つになるものの、市販サイズの鋼板やSHDRを用いることなどでコストを抑え、従来の免震ゴム支承と同等レベルを実現した。

※写真をクリックすると印刷用高解像度画像がダウンロードできます。

「ダンパー・アイソレーター」(左)と「二軸すべりゴム支承」(右)を組み合わせた「トランキライザー・ラバーベアリング」

「ダンパー・アイソレーター」(左)と「二軸すべりゴム支承」(右)を組み合わせた「トランキライザー・ラバーベアリング」