環境

生物多様性

KPI

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項目 2020年度実績 2021年度実績
生産拠点における周辺地域生態系の生物多様性保全実施率 (連結)49%
(国内13拠点、海外9拠点、バウンダリー見直し)
(連結)50%
(国内13拠点、海外9拠点、バウンダリー見直し)
該当地域で生物多様性に及ぼす影響 ヨコハマタイヤリトレッド(YTRH)
ウトナイ湖の近隣
ヨコハマタイヤリトレッド(YTRH)
ウトナイ湖の近隣
保護または復元されている生息地 長野県豊丘村の里山保全および神奈川県平塚市土屋地区での里山保全、三重県伊勢市大湊海岸でのアカウミガメ産卵地の保全、バージニア工場でのルリツグミ繁殖地の保全 長野県豊丘村の里山保全および神奈川県平塚市土屋地区での里山保全、三重県伊勢市大湊海岸でのアカウミガメ産卵地の保全、バージニア工場でのルリツグミ繁殖地の保全
IUCNレッドリストおよび国内保全種リスト対象の生物総数

<絶滅危惧種区分>
・絶滅危惧IA類(CR)
・絶滅危惧IB類(EN)
・絶滅危惧Ⅱ類(VU)
・準絶滅危惧(NT)
・軽度懸念
排水先河川
CR+EN:シャジクモ類、ニホンウナギ(金目川、桧尻川)の2種
VU:メダカ(各河川)、アカザ(天竜川)の2種
NT:カワヂシャ(金目川)、キイロヤマトンボ(園部川)、コオイムシ(園部川)、カジカ大卵型(黒田川)、トノサマガエル(天竜川)、ニホンイシガメ(御殿川)の6種

工場敷地内および里山
VU:キンランの1種
NT:オオムラサキ、マツバラン、エビネ、アカハライモリの4種
軽度懸念:ケリの1種

流下先の海岸
EN:アカウミガメ(大湊海岸)の1種
排水先河川
CR+EN:ニホンウナギ(金目川、桧尻川)の1種
VU:メダカ(各河川)、アカザ(天竜川)の2種
NT:カワヂシャ(金目川)、コオイムシ(園部川)、カジカ大卵型(黒田川)、トノサマガエル(天竜川)、ニホンイシガメ(御殿川)の5種

工場敷地内および里山
VU:キンランの1種
NT:オオムラサキ、マツバラン、エビネ、アカハライモリの4種
軽度懸念:ケリの1種

流下先の海岸
EN:アカウミガメ(大湊海岸)の1種

責任部門

各拠点
  • 活動は事業所が行い、環境保護推進室は事務局として生物多様性分科会を組織し、全社方針の審議や情報共有・活動の推進を行っています。

考え方・目標

なぜ「生物多様性」が重要取り組み項目なのか
理由と背景の解説

当社は天然ゴムをはじめとする自然資本(自然の恵み)に依存して事業を営んでいます。また、多くの生産工場では、生産工程で大量の水を利用し、熱・二酸化炭素を放出しています。事業所の存在それ自体が土地の改変による地域生態系の撹乱や分断、微気候の変化をもたらしています。このような事業活動によって生じる自然環境への負荷が、現在地球規模で進んでいる生物多様性の喪失と決して無関係ではないと認識しています。この自然の恵みを与えてくれる多様な生命のつながり(=生物多様性)の保全と持続可能な自然資本の利用に取り組み、未来の世代に伝えていくことが、われわれの責務であると考えています。

生物多様性ガイドライン

<基本方針>

私たちは、自然が生み出す恵みに依存して事業を営んでいます。この恵みを支える「多様な生命のつながり=生物多様性」が、地球規模で急速に失われていることを認識し、事業活動を通じて生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に取り組むことで、豊かな自然を未来の世代につなぎます。

<行動指針>

  1. 経営課題としての認識
    横浜ゴムは、生物資源を直接利用し、また生物多様性に影響を与える事業活動を行っていることから、自然の恵みの重要性と危機を認識し、長期的な視点で生物多様性の保全に取り組みます。
  2. 社員の全員参加
    自然の恵みに対する社員の意識を高め、すべての社員が業務や地域社会で生物多様性保全に貢献します。
  3. 生物多様性への影響の把握と低減
    事業活動が生物多様性に及ぼす影響を把握し、その影響を回避または最小化することに取り組みます。
  4. サプライチェーンを通じた生物多様性保全
    生物多様性保全は、資源の採取段階における配慮が重要であることを踏まえ、サプライチェーンにおける関係者との連携を通じて、資源採取地の生物多様性保全に貢献します。
  5. 生物資源の持続可能な利用
    生物多様性の保全に関わる知見を収集し、技術開発、設計・生産プロセスの革新や、バリューチェーンにおける生物多様性保全への取り組み等を通じて、生物資源の持続可能な利用に取り組みます。
  6. 情報の共有とコミュニケーション
    生物多様性保全に関する情報や社会要請の把握に努め、自らの活動成果を積極的に開示し、顧客や地域社会、NGOや行政など、ステークホルダーとの対話と連携を推進します。

目指す姿(達成像)/目標

事業活動全体を通して自然と共生する社会の実現を目指した取り組みを行っていきます。事業活動が自然環境や生態系に与える影響を評価し、その影響がより良いものになるように保全活動を行っています。また、自然と共生し、環境マインドを持った従業員の育成を目指しています。
「YOKOHAMA千年の杜」活動では目標としていた国内外の生産拠点および関連部門の敷地内に50万本の苗木を植えることを2017年9月に達成しました。今後、生産拠点および関連部門敷地内の植樹と地域への苗木提供をあわせ累計130万本を2030年までに達成することを目標にしています。

<横浜ゴムの環境活動の方針>

目指す姿に向けた施策

当社の事業活動の中では特に原料調達段階と生産段階における生物多様性への事業リスクが高いと考えています。
原料調達段階では特に天然ゴム調達が、生産段階では事業所の土地利用と水利用に伴う取水・排水による事業影響が高いと判断しています。事業所は地理的、歴史的、文化的に異なる立地に位置しています。事業所をとりまく生態系も異なることから、事業所ごとの状況把握と課題設定が必要と考え、当社の生物多様性保全活動はステップ展開を行っています。事業所周辺の水域・緑地・自然保護区や住居・工場など、周辺環境を大まかに把握した後に調査した事業所のある周辺地域で、事業活動の影響のある河川などで水質の調査や出現生物のモニタリングを行い、評価対象生物を設定します。モニタリングを、年間を通して継続することにより事業活動の影響を評価し、保全する生物の対象を決定して保全活動を行い、結果を公表しています。
水質の調査として水温・電気伝導度・pHなど、生物のモニタリングとしては野鳥観察、植生調査、水生生物や昆虫の観察を行っています。

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  拠点 場所 水質 水生生物 植生 野鳥 昆虫 その他
国内 三重工場 構内
構外 アカウミガメ
三島工場 構外
新城工場 構内
構外 両生類
尾道工場 構内
構外
平塚製造所 構内
構外
茨城工場 構内 サシバ成育環境
(両生類・爬虫類)
構外
長野工場 構外
ヨコハマタイヤリトレッド・北海道 構外
ヨコハマタイヤリトレッド・名古屋 構内 ビオトープ
ヨコハマタイヤリトレッド・尾道 構外
ヨコハマモールド 構外
海外 YTMT(タイ) 構内
YTRC(タイ) 構内
Y-CH(中国) 構外 老君山プロジェクト
CHZY(中国) 構内
構外
CSZY(中国) 構内
YTPI(フィリピン) 構内
構外 流域保全
YTMV(アメリカ) 構内 哺乳類
YRPZ(ロシア) 構内 マツの木の生育
YTVI(ベトナム) 構外
  • 生物多様性活動での実施の有無。

YOKOHAMA千年の杜

2021年末までの植樹本数は累計62.8万本に達しました。また植樹本数に苗提供をあわせた本数は109.0万本に達しました。2030年までに130万本を達成するという目標に対して84%の達成率となりました。千年の杜の成長と環境の変化を評価するために、成長量の調査(樹高、胸高直径の測定)と工場敷地内に出現する野鳥の調査を行っています。苗木の成長量の調査から千年の杜の二酸化炭素の固定量を算出しており、2021年末までに千年の杜全体で1,576トンのCO2を吸収したと推定しています。
平塚製造所での野鳥調査では、これまでに工場敷地内で61種類の野鳥が観察されています。植樹3年目からは、森林を好むアカハラが見られるようになりました。これは、野鳥にとって千年の杜が本来の森として機能していると考えられます。また、センダイムシクイや水辺で見られるオオヨシキリが観察されており、野鳥が生息域を移動する途中で寄る中継地点として千年の杜が機能しているのではないかと考えられます。さらにメジロなどの営巣や、さまざまな鳥の子育てに千年の杜が使っている姿が確認されており、千年の杜が野鳥の繁殖に寄与しているものと思われます。
コロナ禍でも人数を制限して観察を継続

2021年度の活動レビュー

天然ゴムを持続可能な資源とするための取り組みを開始

横浜ゴムは、天然ゴムを持続可能な資源にするために2018年10月に「持続可能な天然ゴム調達方針」を発表。また、国際的なプラットフォームであるGPSNR(Global Platform for Sustainable Natural Rubber)に創設メンバーとして参画し、活動を開始しました。さらにGPSNRのポリシーフレームワークを調達方針に組み込むために2021年9月に調達方針を改定し、より高いレベルで天然ゴムの持続可能性の実現を目指す意志を明確にしています。
2019年からタイ・スラタニ地区での農園調査を開始し、2022年6月末までに250戸の農家を訪問しました。これまでのところ人権侵害や違法な森林伐採などの問題は見つかっていませんが調査を通じて農園の抱える問題や解決すべき課題を知る事が出来ました。この調査は今後も継続して行い、2023年末までに500戸の調査を実施する予定です。
2020年1月にはタイ天然ゴム公社(Rubber Authority of Thailand: RAOT)と天然ゴム農家の経営支援およびサプライチェーンの透明性と健全性を確保するためのトレーサビリティの向上に向けて協力していく覚書を締結しました。
覚書にもとづき、2020年12月より天然ゴム農家を対象としたセミナーイベントを開催しています。これまでに3回実施し合計150名の農家の方に参加頂き、RAOTの知見を活かした肥料を合計50トン無償提供しています。

地域コミュニケーション

平塚製造所での施設公開イベント「ThinkEcoひらつか」での企画として開催してきた生物多様性パネルディスカッションを2020年からはオンラインで開催しています。2022年3月には「流域で守る生物多様性保全」をテーマに日本自然保護協会保護部長の大野正人様から基調講演を頂き、その後、当社の工場での取り組みを紹介し議論を深めました。イベントにはグループ会社を含む生産拠点の従業員、関係のある行政の方、地域住民、環境NPO等の方にご参加頂きました。

従業員教育

生物多様性保全に事業を通して取り組み、従業員全員が生物多様性の恵みを意識して行動するために人材育成を通して従業員への浸透を図っています。若手従業員を対象とした必須研修の1コースで生物多様性を取り上げています。2021年度は新型コロナウイルス感染の拡大のためビデオ・オン・デマンドで実施しました。

事例紹介

平塚製造所

平塚製造所は2013年度から地域を流れる金目川水系の水資源の保護を目的とした生物多様性保全活動を行っています。金目川の河川の環境を調べるモニタリング活動では、従業員が体験型で順次参加し、累計で346名が体験しています。
現在は金目川上流に位置する市内里山で活動しています。具体的には、金目川の水源涵養と里山の原風景の復元等を目的として、手づくりのビオトープの設置など、地域の活動団体の方や大学の研究室の方々と協働で保全活動を行い、生態系の変化をモニタリングしています。
上記活動の結果として、外来種の植物を減らすことができましたが、「外来植物が減って生物多様性が守れたか」という(保全)効果が明確でないことが課題となりました。
見直しを行った結果、金目川での保全活動については一旦収束としました。
金目川での植生調査の模様
金目川での水生生物調査の模様
毎年3月には金目川水系流域ネットワークの呼びかけに賛同して、地域の自治体や団体とともに河川清掃を行っています。
(2020年はコロナ禍の影響もあり中止)
また平塚市土屋地区の駒が滝近くの休耕地をお借りして谷戸田に手づくりのビオトープを創設や、谷戸の周りの放置されたスギ林を再生するなどの活動を2015年より開始しました。
また同じ地区にある神奈川大学の協力を得て、スギの間伐による照度変化などについても調査を開始しています。
谷戸田をゾーンに分けて、目標種や活動内容、目指す姿などを決め、活動の効果やゴールがわかるようにしました。
スギ林の林床変化 落葉実生
林内設置のトレイルカメラ
里山に出没したタヌキ
さらに、2017年5月には事業所敷地内に手作りのトンボ池を設置し、この池に集まるトンボやチョウ、カエルなどを観察して生き物のつながりを身近に感じられる活動を開始しました。
こうした生物多様性活動や2007年に事業所の周囲に植樹した千年の杜の成長に伴う継続的なCO2吸収固定量調査などが評価され、2017年3月に生物多様性に配慮した工場として「いきもの共生事業所認証®(ABINC認証)」を取得しました。
ABINC認証
平塚市が推進する生物多様性への取組み「ひらつか生物多様性推進協議会」に参画し、平塚の生態系保全についても活動の場を広げています。

三重工場

3つのチームで以下のとおり、生物多様性保全活動を継続しています。
  • ブラックチーム:工場排水先河川(桧尻川・ほとす川)での水質調査とメダカなどの水生生物調査
  • ノッポチーム:流下先の海岸(大湊海岸)での外来種抜根と在来植物の株数の測定、アカウミガメの産卵調査の実施
  • チビッコチーム:工場の雨水調整池でのビオトープづくり、水質調査と生物調査の実施、とんぼ、水生生物調査、水質測定
2021年度より大湊小学校閉校、みなと小学校が開校し2年ぶりに出前授業を再開。何故植樹をするのかを紙芝居で、外来植物のコマツヨイグサ抜根大会、学校からの要望で生徒たちによる海岸ゴミ清掃を一緒に活動しました。
コロナ禍により毎年実施している植樹体験、生物多様性保全活動体験が開催出来ず環境学習開催が危ぶまれる状況化ですが、行政、工場で違う形での環境学習を模索しています。
2022年3月に生物多様性に配慮した工場として「いきもの共生事業所認証®(ABINC認証)」を取得しました。
桧尻川での水生生物調査
大湊海岸での植樹の意義を紙芝居を用いて説明
小学生を招いてのビオトープでの生き物観察会

三島工場

工場排水の流出先である御殿川での水質調査および生物調査をどぜう・すっぽん・うなぎの3つのチームで継続して実施しました。
御殿川ではハグロトンボやコヤマトンボのヤゴ、オイカワやカワムツなどの魚類、スッポン、アカミミガメなどのは虫類、工場では珍しく三島市のシンボルであるカワセミが住みついています。一方、河川に投棄されるゴミが多く、御殿川を美しく保つために少しでも貢献していきたいとモニタリングの後に河川清掃を行っています。
2019年5月に静岡県沼津土木事務所、三島市および三島工場の三者による「リバーフレンドシップ」の同意書に調印し、その後、静岡県沼津土木事務所の方々と三島工場3チームで「バーブ工法」を施工しました。エコロジーパス北澤先生の指導も頂き、昨年は「バーブ工」の施行後の確認と生物観察を行った結果、河川浚渫後にはほぼいなくなってしまった生き物がまた戻り始めたことが確認できました。
また、工場横の御殿川では見る事がなかったミシマバイカモや静岡県では絶滅危惧Ⅱ類になっているマツバランも発見出来ました。将来的には地域住民も参加していただける活動にしていきます。自然災害や豪雨の増加、コロナ禍の下、可能な範囲で活動を続けています。
河川管轄協働での「バーブ工」施工の様子
モニタリングで観察されたスッポンとアカミミガメ、ナマズ
モニタリングで観察されたスッポンとアカミミガメ、ナマズ

新城工場

2021年度新城工場:生物多様性保全活動は水源地域の四谷千枚田/野田川・黒田川/工場ビオトープの3箇所を3チーム総勢75名で活動を進める予定で活動キックオフを開催しましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各チームリーダーおよび事務局のメンバーで人数制限・時間短縮の限定的な活動で水質調査・一部生物モニタリングのみの活動となり、2020年と同様に従来の活動が出来ませんでした。
<新城市四谷千枚田水源地域>
工場冷却水の水源として、生物群集の生息域を確保し清流と準絶滅危惧種の維持を助け、水に関連する生態系の保護・回復を行い、千枚田に望ましい生態系の生息環境を支援する活動を行いました。
※保護する生き物:アカハライモリ・ツチガエルなどの準絶滅危惧種(NT)
四谷千枚田での保全活動
四谷千枚田での保全活動
モニタリングで確認されたアカハライモリ
<野田川/黒田川:水質・水生生物モニタリング調査>
新城工場・新城南工場からの排水による地域河川への水質や水生生物に悪影響を与えていない事を確認し、維持継続する活動を行いました。
野田川での生き物のモニタリング
モニタリングで確認された水生生物
モニタリングで確認された水生生物
<構内工場ビオトープ>
新城工場では工場で使用する冷却水を工場近くの河川より取水しています。使用した排水をろ過し、工場内のビオトープに導入することでも工場排水で生き物が生息できる環境を作れるかを、2010年より生物多様性保全活動のテーマとして観察しています。また、ビオトープ周りの整備・修復作業も毎年実施しています。
工場内ビオトープで確認されたヤゴとオタマジャクシ
工場内ビオトープで確認されたヤゴとオタマジャクシ
ビオトープ周辺の整備・修復活動
ビオトープ周辺の整備・修復活動
ビオトープ内に設置された看板
新城設楽生態系ネットワーク協議会の植樹体験バスツアーに新城工場から13名が参画し、新城工場より苗木650本の提供と、一般のお客様の植樹サポートを行いました。
植樹体験バスツアーの様子(愛知県北設楽郡東栄町)
植樹体験バスツアーの様子(愛知県北設楽郡東栄町)

尾道工場

尾道工場では藤井川の西藤親水公園での水質調査と水生生物・鳥類・植生の調査および工場敷地内での野鳥観察と昆虫観察を2013年より開始しました。
藤井川での水生生物調査では、モンカゲロウ、ニホンカワトンボ、ヤマサナエなどの水生昆虫、タモロコやドンコ、シマヨシノボリなどの魚類、モクズガニやスジエビなどの甲殻類が観察されていましたが、コロナの影響により2021年は野鳥観察と河川清掃のみの活動となりました。
工場敷地内では、千年の杜の成長による森の形成や、藪、草地、雨水による池と湿地形成により生き物のためのさまざまな環境がモザイク状に提供されており、トンボ類、チョウ類、コオロギ類、キリギリス類の生息環境となっていることが示されました。またヒバリの営巣、モズやジョウビタキの縄張り形成、ウグイスの越冬などに工場敷地が寄与していることが示されました。
2021年6月に開催する予定の藤井川の夕べは、コロナ禍の影響で中止となりましたが、2021年7月に尾道市環境資源リサイクルセンターで開催された子ども環境祭りで、藤井川での保全活動、生息生物の定点観察、尾道工場での活動等の展示を行いました。
また、2020年にはいきもの共生事業所認定®(ABINC認証)更新の申請を行い、2021年2月に認証の更新を受けました。
地域性種苗を用いた地域住民と従業員の環境コミュニケーションの取り組みが評価され、第2回ABINC賞特別賞を受賞しています。
第2回ABINC賞特別賞を受賞
第2回ABINC賞特別賞を受賞
工場内での野鳥観察
工場内での野鳥観察
西藤親水公園での野鳥観察

長野工場

長野工場は、他工場に比べて自然度の高い地域に位置する工場です。雨水以外の排水がほとんどなく、横浜ゴムの他の工場と比べて環境影響度の低い工場であると考えています。
長野工場は、天竜川の河岸段丘に位置するため工場敷地内に天竜川の後背湿地生態系を再生することを目的に工場調整池での生物多様性保全活動を2021年から開始しました。そのために、モニタリング活動で見つかったセイタカアワダチソウとワルナスビを駆除することにし、6月から9月にかけて各課で担当し、実施しています。
また雨水排出先の工場南側用水路での生き物のモニタリングと外来種駆除、清掃活動を行っています。
工場調整池での外来種の駆除
工場調整池での外来種の駆除
長野県が進める「森林(もり)の里親促進事業」に基づき豊丘村の村有林の整備で協力する「森林の里親契約」を豊丘村と結び、保全活動を行っています。
コロナ禍の影響で2年間中断していましたが、2022年6月に再開し、豊丘村村民グラウンド付近の里山の下草刈りを実施しました。
豊丘村村有林での保全活動
豊丘村村有林での保全活動

茨城工場

茨城工場では工場排水の排水先である園部川での水質、植生、水生生物および鳥類の調査を行っています。園部川は農業用水として利用されていることから排水の水質について十分に注意を払っています。工場排水の放出口から出た水は、園部川の元の水に比べて電気伝導度が低く、透視度が上がっていることから、工場排水は十分な管理ができていると考えています。また工場事務所玄関に水槽を設置し、工場排水を利用して園部川で捕獲した魚を育てています。植生調査では、工場内にて茨城県で準絶滅危惧種に指定されているアイナエが確認されています。
2015年から工場の鳥類調査を開始し、保全活動同様、調査活動を継続しています。園部川での観察結果との比較により環境の違いを考察することで、これまで以上に周りの生き物に対して親しみが持てるようになりました。
2019年より、茨城で準絶滅危惧種に登録されている「サシバ」という野鳥を環境保全の1つの指標にかかげ、新たに「サシバ生育環境調査」を編成し、工場内の植生・小動物類(両生類・爬虫類)の調査を開始しました。2020年に工場内にサシバの止まり木を設置しました。サシバが何度か利用していることを確認しています。また、サシバが工場周辺の上空を飛んでいるところも観察できました。
これらの活動は日本野鳥の会茨城県さま、小美玉生物の会さまにご指導いただいています。小美玉生物の会のホームページで茨城工場での生物多様性保全活動の様子をご紹介いただいています。
2021年度も新型コロナウイルス感染症感染防止対策をしながら活動を継続しています。

園部川での野鳥観察

園部川での水生生物調査

希少な植物(アイナエ)

ヨコハマタイヤリトレッド(株)北海道事業所(YTRH)

(公財)日本野鳥の会が、日本で最初にサンクチュアリを開設した渡り鳥の集団飛来地として国際的にも有名な「ウトナイ湖」に隣接しているのがYTRHであり、このような貴重な環境下にある工場は横浜ゴムグループでは唯一YTRHだけです。
この貴重な場所を保全するため、2017年からウトナイ湖やネイチャーセンター周辺の清掃活動を続けています。近年では苫小牧市と共に春と秋の年2回「ゼロごみの日」として大掃除を実施しています。
夏には「外来種抜き取り活動」も実施しており、2017年から恒例行事として継続しています。最初は参加人数8人から始まり、その後はCSR、YTJ販売店、営業倉庫、その家族・・・と、年々人数が増えて20人近くまで有志が集り、活動の密度が濃くなってきました。残念ながらコロナ禍では有志を集うことを中止し、YTRH全員(12名)での縮小した活動へ切り替えを行っています。
外来植物で埋め尽くされていた地点でしたが、抜き取り時期などを考慮した毎年の活動により、今では外来草はほとんど見えず、ヨモギ等のたくさんの在来植物が育ってきました。
◆外来植物オオアワダチソウ抜き取り 2021年7月9日(金)
毎年抜き取りを行っている定点観察場所は、当初は「外来植物」に占領されていて、抜取りを終えると辺り一面何も草が無い風景でしたが、抜き取り活動を継続した結果「在来植物」が多く自生し、外来植物を探すのが大変なくらいです。抜き取り作業を終えても「在来植物」が多くて、風景もさほど変わらないまでになりました。
一番効果が期待できる時期に継続し抜き取りを実施した事が良かったようで、日本野鳥の会からも「他団体の良い活動見本になります」と高評価を頂きました。
定点観察場所の作業を早々に終え、ネイチャーセンターの窓から見える場所へ移動。今後はここを活動の場にしていきます。
以前、「絶滅危惧種」に指定されていた 「ホザキシモツケ」が多く自生できる事を目指し、これからも頑張ります!!
<苫小牧市のイベント>
♦春の大掃除月間「ゼロごみの日」 2021年4月18日(日)
苫小牧市と共に、YTRH従業員全員でウトナイ湖サンクチュアリを中心とした散策路など広範囲を大掃除しました。
雪解け後はいつも酒瓶などの家庭ゴミが大量に出てきて、とても残念な気持ちになります。
♦秋の大掃除月間「ゼロごみの日」 2021年10月18日(日)
春と同様、苫小牧市と共にYTRH従業員全員でウトナイ湖サンクチュアリ周辺を大掃除しました。前日の雨も止み肌寒い日でしたが無事に活動を終えることができました。
前回から半年しか経っていないにもかかわらず家庭ゴミがあり、コロナ禍なのでマスクも多く見られました。
紅葉しているこの時期もウトナイ湖周辺がきれいになりました。
♦春の大掃除「ゼロごみの日」 2022年4月17日(日)
YTRH全員(12名)でウトナイ湖サンクチュアリ周辺の大掃除を実施しました。
雪解け後の大掃除は、毎年大量のゴミを回収します。
残念ですが、今年も廃タイヤなどの大量のゴミを回収しました。
まだ寒い時期でしたが、夏に向けてウトナイ湖サンクチュアリ周辺がとてもきれいになりました。
2021年には日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ開所40周年を迎えました。
日本野鳥の会、保全プロジェクト推進室ウトナイ湖サンクチュアリのレンジャーによると「シマフクロウを呼ぼうプロジャクト」「タンチョウを呼ぼうプロジャクト」などの活動予定があったそうです。
これからも、従業員全員でウトナイ湖の環境活動やサンクチュアリサポート活動に取り組み、また、家族や関連会社の方々や日本野鳥の会と共に有意義な活動を継続していきます。
ウトナイ湖周辺でのオオアワダチソウ抜き取り作業
ウトナイ湖周辺でのオオアワダチソウ抜き取り作業
ウトナイ湖周辺での清掃作業
ウトナイ湖周辺での清掃作業

ヨコハマタイヤリトレッド(株)埼玉事業所(YTRS)

ヨコハマタイヤリトレッド㈱埼玉事業所は「みよしグリーンサポート隊」の活動に2015年11月より参加しています。みよしグリーンサポート隊は「平地林の保全整備を通じて豊かな心のふれあいをめざし、住みよい街づくり」をスローガンに活動をしています。活動日は毎月第3日曜日で、地域住民、企業が毎回20名くらい参加しています。「藤久保の平地林」には江戸時代から続く落ち葉から堆肥を作る循環型農法(歴史的環境)と生物多様性(優れた自然)が今も息づいています。2015年度、活動地区の一部が緑のトラスト保全第14号地に認定されました。緑のトラストとは埼玉県のすぐれた自然や歴史的環境を後世に残すため、住民・企業・団体などの協力で公有地化し保全していく活動です。
枯れ損木の伐採と片付け
里山の草取り、ごみ拾い
枯葉の堆肥づくり・・沢山のカブトムシの幼虫が住んでいます

ヨコハマタイヤリトレッド(株)名古屋事業所(YTRN)

2021年度の活動はコロナ禍で制限されることが多い中、千年の杜6期植樹、環境保全活動および生物多様性保全活動を行っています。千年の杜に植樹した木が巣箱を掛けられる大きさに育ってきました。2022年度に試験的に巣箱の設置を計画しています。
外部活動エリアの休耕田の再生では、2022年も田植えを行いました。貴重な生態系の保全を行いながら参加者が楽しめる工夫も取り入れ、地域の方々と生態系の観察活動を継続し、昆虫・植物・鳥類などを観察し、その結果をまとめ、春夏秋冬の様々な変化を参加者と学び、感動し、残さなければならない自然の大切さを体感する場として定着することが出来る活動を目指しています。2022年には10周年の記念行事も計画しており、多くの方々に活動を紹介し、その輪を拡げていきたいと思います。私たち従業員は活動から学んだことを多くの方々に伝える事で生物多様性活動・環境保全に貢献出来る人財の育成と事業所の発展を目指し活動を継続していきます。
活動エリアのイラスト
休耕田の再生(田植え)
ビオトープ観察会
絶滅危惧種のハッチョウトンボ

ヨコハマタイヤ・マニュファクチャリング・タイランド(YTMT)

タイのタイヤ工場であるYTMTは、工業団地内に立地しています。日本の工場と異なり、工業団地が取水および排水を一括管理していることから、工場単独での取水・排水域への影響は確認できていません。そこで、敷地内の緑地(千年の杜やビオトープ)を評価するための鳥類、昆虫類のモニタリングを実施しています。工場敷地内で豊かな生息環境を再生するために湿地型および池沼型の2種類のビオトープを作成しています。また水面と地面との生き物のつながりを保つための植栽にも工夫を加えています。地域の生物の生息域を確保するとともにこの活動を通じて、従業員の環境教育も行っています。また、ラーニングセンターとして、環境や生態系を守る意識を高めるため、近隣の学校の児童・生徒及び外部の方に生物多様性についての教育も行っています。
ビオトープでの昆虫調査
ビオトープでの昆虫調査
ヘリグロホソチョウ(Acraea violae)

Y.T.ラバー(YTRC)

YTRCはタイ南部のスラタニ県に位置する、横浜ゴムグループで唯一の天然ゴム加工工場です。
天然ゴムの加工工程では多くの水を使用しますが、当社では100%リサイクルすることで、水資源の有効活用を実現しています。
また、生産量の増減に合わせた水使用量の適切な調整を自動化することで総量を減らし、併せてエネルギーの低減に努めるとともに、沈殿・浄化池の効率を高め、近接河川と同レベルの水質維持を実現しています。
敷地内には大きな遊水池があり、その周辺を含めて工場建設以前からの自然環境維持に努めています。
2014年11月より月1回の頻度で、遊水池における魚類の生息状況と水質のモニタリングを継続して行っています。雨期の増水時には、遊水池と近接するタピー川がつながることもあり、最近の調査では23種類の魚の繁殖が確認されています。
また遊水池を囲む森及び千年の杜活動で植樹した木々の生育エリアでは、これまで21種類の鳥類が観察されており、夕刻ともなるとにぎやかな鳥の鳴き声が聴こえてきます。
今後も樹木の適切な維持管理、及び遊水池の環境の維持活動を継続していく考えです。特に遊水池については、水質の維持改善に加え、地元自治体の協力も得ながら、適切な種の魚類放流も含めた生物多様性改善活動を実施してまいります。
調整池での生物多様性調査活動
投網を使った魚類の捕獲調査活動
鳥類の生息状況調査活動
タイ水産局提供の稚魚3万匹を遊水池へ放流

杭州横浜輪胎有限公司(CHZY)

CHZYは中国杭州市内の工業団地に立地しています。工業団地内は緑地帯が確保されているものの構成樹種が少なく、多様性は豊かではありません。そのためCHZYの千年の杜が森林性の生物に対する生息地になるのではとの観点から千年の杜の評価とそこに住む生き物の調査を行っています。より素敵な生態環境を作るため、2020年3月12日(植樹節当日)に管理職の皆様がチームメンバーとして会社外周一周回ってゴミを拾いました。2021年度は引き続き活動を実施します。また、工場周辺川のゴミ拾い活動は半年一回の頻度で実施しています。
また、政府の環境保護政策の一環で、CHZY所在エリアの近辺に土地(面積:約2,000平米)を「優科豪馬養護林」として管理を任されています。2013年より毎年3月の植樹節に近隣住民や小学生と植樹活動を行っており、2021年度は計30本の木を植えました。これまでの植樹本数は合計150本となりました。
工場周辺川のゴミ拾い活動

ヨコハマタイヤ・フィリピン(YTPI)

フィリピン共和国パンパンガ州クラーク特別経済区内で事業活動を行っているYTPIはま従業員や近隣のコミュニティを巻き込んだ一連の活動を実施し、生物多様性と環境の保全を推進しています。
これらの活動には千年の杜活動、樹木の継続的な調査、野生生物の調査、苗木の提供や活動の支援等の継続的に行っている活動と「グリーンスペース」活動という新たな取り組みを開始しました。2022年だけでもYTPIはすでに100本の苗木を寄付し、工場内外に400本の植樹を行う予定です。また国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「軽度懸念」の鳥類4種と爬虫類1種を含む43種の野生生物が生息している事を確認しています。
ニシキノボリユタトカゲ(Urosaurus ornatus)とオウギビタキ属の鳥(Rhipidura nigritorquis)
ニシキノボリユタトカゲ(Urosaurus ornatus)とオウギビタキ属の鳥(Rhipidura nigritorquis)
グリーンスペース活動では、従業員が社内の空きスペースに野菜を植えることを奨励し、食の持続可能性に対する自立心を高め、より栄養価の高い食習慣に向けた公衆衛生意識の向上、植物種の増加による生物多様性の向上、そして最後に環境に優しいライフスタイルの促進によるカーボンニュートラルへの支援を目的としています。その結果、1年間で10部門がそれぞれのエリア内でこの活動を開始し、すでに栽培と収穫物の配布を行いました。さらに、この活動を拡大するために、YTPI ベジタブル・フォー・ライフが考案され、実施されました。この拡大では、学校菜園を採用することでコミュニティへの支援を拡大し、菜園用品を支援として提供し、収穫物は野菜の供給源として食堂の売店に提供されるように調整されました。
グリーン・スペースからの収穫物
グリーン・スペースからの収穫物
これらの活動により、YTPIは地球温暖化や気候変動の緩和のために二酸化炭素排出量を削減し、近隣のコミュニティーの環境に関する懸念や問題の手助けをし、YTPIの活動によって影響を受ける生態系の重要性に対する認識を高め、積極的な保全活動を推進することを期待しています。

Yokohama Tire Manufacturing Virginia(YTMV)

YTMVはアメリカ合衆国の東部、バージニア州のアパラチア山脈の麓、日本同様の四季を感じられる自然豊かな場所に位置します。工場の敷地に植えた千年の杜の成長に伴い数多くの野生動物や野鳥が生息しています。これらの自然環境の保全と生産活動を両立させていく活動を行っています。
2015年からEastern Bluebird(和名:ルリツグミ)の繁殖保護のための巣箱を設置し全従業員でヒナの生育を見守っています。
ルリツグミのための巣箱
ルリツグミ

蘇州優科豪馬輪胎有限公司(CSZY)

中国蘇州市の化学工業地区にある蘇州優科豪馬輪胎有限公司(CSZY)では、2016年12月から新区環境保護協会、滸関鎮の小学校と合同で生物多様性活動をスタートしました。2019~2020年に、「省級環境保護信任企業」は江蘇省に公認されました。
2021年に4回(2月2回・5月・10月・11月)、工場内の環境教育基地をベースに、蘇州文星中心小学校、通安中心小学校、东渚実験小学校、阳山実験小学校の学生、家族および教師、CSZY従業員(4回190名)が参加し、共同で生物多様性の調査活動を行いました。生物多様性の調査活動は、工場敷地内の生物環境の状況を把握できるほか、工場での事業活動を進めながら地域の生態系を保全し、地域社会との調和にも役立てることができます。
これまでの活動では、スズメ、シラサギなどの鳥類、ナンキンハゼ、ハナカイドウ、イボタノキ、タンポポ、アサガオ、ヒナギクなどの植物、ミツバチ、蝶などの昆虫、ミミズなどを観察しました。その中で木の種を拾い、千年の杜活動のための苗として育てる活動も行っています。このような生き物の観察だけでなく、千年の杜の成長状況を知ることができた調査活動は千年の杜の成長が地域の生態系に良い影響を与えていることの理解を深める良い機会となりました。
生物多様性活動に参加した皆さん
生物多様性活動に参加した皆さん
生き物を観察する阳山中心小学校、通安実験小学校の児童
生き物を観察する阳山中心小学校、通安実験小学校の児童

LLC Yokohama R.P.Z.(YRPZ)

2017年からボロネジ州立林業大学とともにマツの1種(Pinus Sylvestrys L.)を工場敷地内に植樹する共同研究を実施しました。この活動は工業地帯でマツの木がどのように成長するかを研究することとYRPZの生物多様性を復元することを目的としていました。また、この活動は生物多様性研究活動として正式に評価され、YRPZとボロネジ州立林業大学の林業科学者は、樹木の生存率、樹木の生長に最適な条件などの研究を行いました。2021年5月にグリーン・ウェイブ・プロジェクトに参加し、ボダイジュとナナカマドの苗木22本を植樹しました。
グリーン・ウェイブ・プロジェクトでの植樹の様子

Yokohama Tyre Vietnam Inc.(YTVI)

YTVIでは工場敷地内での千年の杜活動のノウハウを活かし、2018年からLo Go - Xa Mat (LGXM) 国立公園においてSouthern Institute of Ecology (SIE)とともに植樹プロジェクトを開始しました。約1ヘクタールの土地に7種類の在来種500本を植えてきました。植えた木により3年間で樹冠が形成され林内に棲息する動物の種類が年々増加している事が確認されています(2018年から2021年まで)。この4年間、YTVIの役員から新入社員まで総勢68名が植樹した木の保護や調査に取り組んできました。2022年6月には主要パートナーのSIEとLGXM国立公園理事会の参加を得てLGXM国立公園での生物多様性保全活動の閉会式を開催しました。閉会式ではLGXM国立公園の管理委員会が今後森林の保護と火災予防のために必要な措置を実施し、管理権限を継続するための覚書(MOU)の署名がYTVIとLGXM国立公園管理委員会の間で行われました。
YTVI社長黒川泰弘による閉会挨拶
プロジェクトメンバーの森での集合写真
夜間調査で捕獲した生物(ヤモリ:学名Dixonius siamensis、クモ:学名未確認)
夜間調査で捕獲した生物(ヤモリ:学名Dixonius siamensis、クモ:学名未確認)

課題と今後の改善策

現在、生物多様性は気候変動と同様に重大な環境リスクとして認識されてきています。特にポスト愛知目標や自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の策定過程で明らかにされつつある目標や手法に合致した取り組みと情報開示が重要であると認識しています。
こういった議論の進展や世の中への浸透にあわせた取り組みを行うため横浜ゴムグループの事業活動全体の中の重要課題の整理とそれに対応した活動の推進、従業員やステークホルダーの理解を深めていくための情報共有を積極的に進めていきます。