SUPER GT

SUPER GT 2023シーズン開幕間近。
YOKOHAMA / ADVAN GT500勢の
“雨の富士公式テスト”での手応えは如何に?

2023.4.4

間もなく開幕を迎えるSUPER GTの2023年シーズン。シーズンオフに実施される公式テストも2回目が終了し、各エントラントもいよいよ開幕に向けての最終準備を整える形となった。富士スピードウェイを舞台とした今オフ2回目の公式テストは生憎の雨模様となったが、YOKOHAMA / ADVAN勢はGT500クラスに新型のウェットタイヤを持ち込み、全メーカーが顔を揃える公式テストの場でその真の実力を測るよき機会とした。開幕直前、SUPER GT / GT500クラスに参戦する #19 WedsSport ADVAN GR Supraと #24 リアライズコーポレーション ADVAN Zの雨の富士テストでの手応えをレポートする。

Words:菅 正次 / Masatsugu Suga
Photography:田村 翔 / Sho Tamura

「雨のYOKOHAMA」
その復活を思わせる好タイム

2023年3月25日、26日の2日間、静岡県の富士スピードウェイで今オフ2回目となるSUPER GTの公式テストが行われた。前回の公式テストでは第1戦が行われる岡山国際サーキットを舞台とし、そして今回は第2戦が行われるこの富士スピードウェイが舞台となっている。

天気予報でもこの2日間は終日雨とされ、金曜日の搬入の時点から徐々に降り始めていることから、今回はウェットタイヤでの走行がメインになることは当然誰もが予測していた。

そうした中でYOKOHAMA / ADVANは今回、GT500クラスには新型のウェットタイヤを持ち込んでいる。全てを一新し「ADVAN A052」を彷彿させるパターンとされたこともトピックスとなるタイヤだ。その性能についてはすでに行われているYOKOHAMA / ADVAN単独でのウェットテストで実証済みだが、SUPER GTシリーズに供給するタイヤメーカーが勢揃いする公式テストの場では初のテストとなる。

予報通り朝から雨となった初日は10時より1回目のセッションが開始される。走行時間は2時間。気温11℃、路面温度12℃ととても寒い中でのセッションスタートとなった。

各車様子を見ながら徐々にコースインしていく中、YOKOHAMA / ADVAN勢のGT500クラス #19 WedsSport ADVAN GR Supraと #24 リアライズコーポレーション ADVAN Zもコースに向かう。この時点では共に昨年までの旧ウェットタイヤを装着しての走行を繰り返す。順位も24号車が14番手、19号車が15番手とGT500クラス最後尾のタイムで最初のセッションを終えた。

FCYテストとピットビューイングを終えて14時から2回目のセッションが開始される。ウェット路面であることは変わらないが、午前に比べ雨量も少なくなり走りやすい状況となったことで各車一斉にコースに入った。

最初に19号車が1分36秒568でトップタイムをマーク。続いて #3 Niterra MOTUL Zが2番手、 #23 MOTUL AUTECH Zが3番手となり、24号車が1分37秒022で 4番手と続いた。

その後も各車周回を重ねタイムを更新していく中、後半で2番手だった3号車がトップタイムをマークし惜しくも19号車はトップを譲ってしまう形となったが、24号車の4番手のタイムは他車に更新されることはなく、YOKOHAMA / ADVAN勢が上位のまま2回目のセッションを終えたことで一気に注目を集めた。

雨の週末となった今回のSUPER GT 富士公式テストに投入された新型のウェットタイヤ。全てが刷新されたことに加え、「ADVAN A052」に似たトレッドパターンが採用されたことも特徴となっている。

なお、GT300クラスでも #6 DOBOT Audi R8 LMSが1分44秒740で2番手、 #18 UPGARAGE NSX GT3が 1分45秒079で3番手、昨年シリーズチャンピオンを獲得した #56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rは1分45秒355で4番手とYOKOHAMA / ADVANのGT300勢もウェットタイヤで好タイムをアピールすることができ、ウェットコンディションでも十分にトップ争いができることを証明した。

以下、GT500 / GT300各クラスの富士公式テスト1日目の結果を記す。

※YOKOHAMA / ADVAN勢の表記はYH

【GT500クラス】
1. #3 Niterra MOTUL Z (1’36.000)
2. #19 WedsSport ADVAN GR Supra (1’36.568 / YH)
3. #23 MOTUL AUTECH Z (1’36.617)
4. #24 リアライズコーポレーション ADVAN Z (1’37.022 / YH)

【GT300クラス】
1. #7 Studie BMW M4 (1’44.502)
2. #6 DOBOT Audi R8 LMS (1’44.740 / YH)
3. #18 UPGARAGE NSX GT3 (1’45.079 / YH)
4. #56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R (1’45.355 / YH)

なお、さらに雨量を増した2日目のセッションでは19号車には駆動系の振動が発生。問題は解決したがその状態を確認する走行で終え、24号車も3周程度の走行に留まり2日間のテストは終了となった。

SUPER GT 富士公式テストを終えたGT500クラスYOKOHAMA / ADVAN勢の各ドライバーのコメントは以下の通りとなる。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
国本雄資選手
新しいパターンのタイヤで本格的に走行して感じたのは、今までのウェットでは感じられないぐらいのグリップ感で、それが結果にもつながりました。まだ課題もありますが、シーズンを戦う上で、ウェットコンディションにおいても力強いレースができると確信できるテストになりました。

TGR TEAM WedsSport BANDOH
阪口晴南選手
かなり雨量が多い2日間だったと思いますが、新しいウェットがかなり進化していて、レースでも期待できることが確信できたので、非常にポジティブな結果だったと思います。ただ雨量があまりに多すぎる場合は難しさもあったので、その辺りはまだ改善の余地もあるかと思います。

KONDO RACING
佐々木大樹選手
レースが行える雨量の時は全然問題がないと思っています。雨量が増してきた時は他メーカーとの差はまだ改善の余地がありますが、昨年まで感じていた他に劣っていた部分が減って、あくまで今回の富士だけではあるけれど、トップ争いできるぐらいのウェットタイヤになっていると実感できました。とにかくかなり成長している、という印象が一番強いです。

KONDO RACING
平手晃平選手
メーカーテストの時点から高評価でしたが、今回、初めての公式テストでコンディションも他メーカーとイコールの中、新しいウェットが良い方向に向いていることが確信できました。我々が今まで歩んできたことがしっかりと結果につながっているので、さらに合わせ込んでいければもっとノビシロもあると思うので、そういう意味ではこれからがすごく楽しみですね。

横浜ゴム株式会社 MST開発部 技術開発1グループ
グループリーダー 白石貴之
新型のウェットタイヤはYOKOHAMA / ADVANの単独テストの時点ですでに進化は確信していましたが、今回の富士公式テストでの走行で雨量の変化に対しての性能はもちろん、他社との比較もできたことで現時点での性能面でのYOKOHAMA / ADVANとしての線引きがより明確なものになりました。ここからは、さらに幅のある雨量に対して調整していきたいと思います。

4月15日、16日にSUPER GT 2023年シーズン開幕戦となる第1戦が岡山国際サーキットで開催される。YOKOHAMA / ADVAN勢の活躍に期待していただきたい。

(了)

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