ニュースリリース

横浜ゴム、新中期経営計画 「Yokohama Transformation 2023」 を策定

2021年02月19日

  • 経営関連

横浜ゴム(株)は2月19日、2018年度から取り組んできた中期経営計画「グランドデザイン2020(GD2020)」の終了を受け、2021年度から2023年度までの新中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)を発表しました。

自動車産業を取り巻く環境はCASE※1、MaaS※2、DX(デジタルトランスフォーメーション)など大変革の時代を迎えています。こうした中、横浜ゴムは「YX2023」の下、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ります。これにより、2023年度には過去最高の売上収益7,000億円、事業利益700億円の達成を目指します。さらに2025年度には2006年度から2017年度の中期経営計画「グランドデザイン100(GD100)」で掲げた売上収益7,700億円、事業利益800億円を達成し、過去100年の集大成とします。

「GD2020」の総括

タイヤ事業ではタイヤ消費財において「プレミアムタイヤ市場における存在感の更なる向上」、タイヤ生産財において「OHT(オフハイウェイタイヤ)を成長ドライバーとして次の100年の収益の柱へ」、MB事業では「得意分野への資源集中」を掲げ、商品力とブランド力の強化、商品ラインアップの充実や生産・販売体制の拡充など、各事業の強みを再定義した成長戦略に取り組みました。2020年度の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済減速により売上収益、事業利益は目標を達成できませんでしたが、財務体質は確実に改善し、2016年度のATG買収時に3,359億円だった有利子負債を2020年度には2,078億円と大幅に削減した結果、D/Eレシオは目標の0.6倍を上回る0.5倍となりました。また、営業キャッシュフローは目標の3年間累計2,000億円を上回る2,365億円、配当性向は目標の30%以上を維持し、当初の財務目標を達成しました。

「Yokohama Transformation 2023」 の概要

タイヤ事業

現在のタイヤ市場は乗用車用などの「タイヤ消費財」とTBR(トラック・バス用タイヤ)、農業機械用などの「タイヤ生産財」に大別され、市場規模はほぼ同等と見込んでいます。しかし、今後CASE※1やMaaS※2などの普及により個人消費の車が減少し、人や物の移動を支えるインフラ車両が増えることでタイヤ消費財が「生産財化」していくと予想しています。こうした考えの下、タイヤ消費財事業では高付加価値商品の販売拡大に向けた取り組みの「深化」を、タイヤ生産財事業では4つのテーマに沿った市場変化の取り込みを「探索」します。

■タイヤ消費財:高付加価値品の比率を最大化
高付加価値商品の主力であるグローバルフラッグシップタイヤブランド「ADVAN(アドバン)」、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」、そして「ウィンタータイヤ」の販売比率の最大化をテーマに掲げ、①ADVANと GEOLANDARの新車装着の拡大、②補修市場でのリターン販売強化とウィンタータイヤを含む商品のサイズラインアップ拡充、③各地域の市場動向に沿った商品の販売を強化する「商品・地域事業戦略」に取り組みます。これにより2023年度には2019年度比で「ADVAN」は150%、「GEOLANDAR」は115%、「ウィンタータイヤ」は120%の販売伸長を計画し、3ブランド合計の販売比率を現在の40%から50%に引き上げます。

■タイヤ生産財:市場変化を取り込み、事業をさらに強化
CASE※1、MaaS※2など大きな市場変化の取り込みとして新たな提供価値を「探索」し、4つのテーマに取り組みます。またOHT(オフハイウェイタイヤ)事業、TBR事業の強化に取り組みます。

<コスト>
市場の変化に伴うコスト低減への要求の高まりを見越し、インドの乗用車用タイヤ工場を「横浜ゴムグループで最も安くタイヤを作る工場」と位置づけ、低コストモデルの確立を目指します。またタイのTBR工場においても低コストモデルでの増産を検討していきます。

<サービス>
車両保有の法人化の進展を見越し、タイヤ単体だけではなくサービスのセット提供を推進するため、全国の販売・物流ネットワークを活用しサービスカーの導入を拡大することによりサービス体制の強化を進めます。

<DX>
先進タイヤセンサー開発を加速化し、機能の追加に従い段階的にサービスや顧客を拡大していくことで、新たな付加価値サービスを創出していきます。

<商品ラインアップ>
運輸・物流業界では車両の電動化・無人運転に伴い、運行距離や使用状況に応じて多様な品種のタイヤが求められることが予想されます。この物流の変革に向け、当社の強みである幅広い商品ラインアップをさらに拡充し、市場での優位性を確立します。

■OHT事業:「さらなる成長ドライバー」として強化
2021年度から開始した横浜ゴム、ATG、愛知タイヤ工業の事業統合により、成長をさらに加速化します。そしてマルチブランドによる市場展開と顧客対応力を強みに事業の強化を進めます。また積極的な増産投資を行い、2025年度には売上収益1,400億円、全社利益の3割を占める事業に育てます。

■TBR事業:成長に向けた事業基盤の強化
引き続き米国ミシシッピ工場の安定供給の確保に努めるとともに、旺盛な需要に応えるために増産投資を計画し、2025年度には1,000億円までの売上拡大を目指します。

※1:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車)の頭文字をとった造語。
※2:Mobility as a Serviceの頭文字。地域住民や旅行者の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。

MB事業

MB事業では「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、強みであるホース配管事業と工業資材事業にリソースを集中してMB事業の成長を牽引し、安定収益を確保できる体制を構築します。一方、ハマタイト事業は、得意分野への集中による事業体質の改善を、航空部品事業は構造改革を断行し、時代に見合った事業展開を目指します。

経営基盤:「人事戦略」「ESG経営」

「人事戦略」は人事制度の変革による経営・管理職層のレベル強化や環境変化に迅速に対応できる強い組織作り、従業員の働き方改革などを推進します。「ESG経営」はCSRスローガン「未来への思いやり」の下、今後も環境に配慮した製品の提供に努めるとともに、カーボンニュートラルを達成する取り組みや地域社会に根差した支援活動を推進します。また、コーポレートガバナンスのさらなる強化と安心・安全で働きやすい職場作りを目指します。

財務目標(2023年度目標)

売上収益:7,000億円
事業利益:700億円
事業利益率:10%
D/Eレシオ:0.4倍
ROE:10%
ROIC:7%
営業CF:2,500億円(3年間累計)
設備投資:減価償却費以内 (除く戦略投資)