レポートテスト1 | YOKOHAMA TIRES FOR HOBBY.COM | 横浜ゴム
開発者が語る「GEOLANDAR」に込めた熱き魂!【後編】

4WD・SUVタイヤとして高い人気を誇るジオランダーは、都市型SUVをターゲットにした低燃費コンフォートタイヤから本格的なマッドテレーンまでと幅広いラインアップを誇る。ここではジオランダーの企画・開発に携わる2人のキーパーソンをお訪ねし、同モデルの中でもオフロードのスペシャリストから高い支持を得るGEOLANDAR M/T G003(以下G003)とGEOLANDAR X-MT(以下G005)へのこだわりを語っていただく。

開発者が語る
「GEOLANDAR」に込めた
熱き魂!【後編】

横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部 タスクリーダー 小島弘行
Key person : 01

横浜ゴム株式会社
消費財製品企画部 タスクリーダー 小島弘行

ジオランダーの企画初期から参画し、同モデルを市場へと送り出した立役者。“ミスター・ジオランダー”の異名を持つ、製品企画部のタスクリーダー。

横浜ゴム株式会社 タイヤ第一設計部 3グループ 吉田泰之
Key person : 02

横浜ゴム株式会社
タイヤ第一設計部 3グループ 吉田泰之

タイヤ設計のエキスパート。使用環境に合わせてジオランダーの性能を引き出しながら、魅力的なデザインを生み出す“ヨコハマタイヤの頭脳”。

エキサイティングな 
 トレッドデザインへの挑戦

オフロードタイヤの代名詞的存在であり、多くのスペシャリストたちが愛用するジオランダー。そのなかでもエキサイティングなトレッドパターンを持つG003とG005は、優れた走破性能を発揮しながらもカスタムパーツとしてのデザイン性を兼ね備えた稀有な存在である。

小島
ジオランダーが最も優先しているのはタイヤとしての性能を追求することです。走破性能の追求は「安全」と「安心」を支えるタイヤとして最も重要な要素になりますからね。その上でオフロードタイヤとしての魅力を演出するトレッドパターンやサイドウォールのデザインを付加することはホビータイヤとして欠かせない要素だと考えています。
吉田
タイヤの剛性、耐摩耗性、トラクション性能を総合的に高めて行くことはタイヤを作る者としての使命ですが、その性能を保ちながらデザインを融合させることは簡単なことではありません。特にデザインは受け取る側のイメージによって大きく左右される正解のない世界。自分たちが良いと思っていても、消費者に受け入れてもらえなければ意味がない。そのためにデザイン担当がトレンドをリサーチしてデザインを絞り込みます。そのデザインを基に我々設計サイトは性能を発揮するための試行錯誤を繰り返していくのです。
横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部 タスクリーダー 小島弘行
――ということはデザインが良くても、性能と両立できない場合もあるということですか?
横浜ゴム株式会社 タイヤ第一設計部 3グループ 吉田泰之
吉田
もちろんです。正直な話「これは無理だろう…」ということもありますからね(笑)。デザインを踏襲しながらサイプの深さやブロックの角度、形状、面積などをシミュレーションし、ヨコハマタイヤが蓄積してきた某大なデータを基に解析を行います。でも、シミュレーションで導き出したデザインがそのまま製品になることはありません。何本もの試作品を作り、実際にテストをし。少しずつ修正を加えながらブラッシュアップしていく。特にトレッドパターンは些細な違いでロードノイズやパターンノイズの原因にも繋がってしまうのでテスト走行が重要になるのです。
小島
テストを繰り返して完成したタイヤですが、ジオランダーの特徴でもあるサイズ展開の豊富さが自分の首を絞めることもあるんですよ(笑)
――サイズの豊富さがネックになるとはどういうことですか?
小島
タイヤの設計はまず、需要の多いサイズから始めるのですが、G003の場合には15インチから20インチまでがあり、タイヤの大きさやトレッドの幅が変わることで同じデザインをそのまま活かすことはできません。基本的なデザインは踏襲するものの、サイズに合わせて変更を加えることで、どのサイズでも均一の性能を発揮させるのは設計者泣かせのポイントになっています。
吉田
早い話がジムニーとランドクルーザーは、同じパターンでも接地形状などのメトリックを変更しなければなりません。ブロック角度やサイプの入れ方を変え、想定車種の性能を発揮できるようにしています。G003のように幅広い車種を網羅し、どのサイズでも我々の求める性能が発揮されるよう、サイズ1つずつの設計にもこだわっています。
横浜ゴム株式会社 消費財製品企画部 タスクリーダー 小島弘行
――本格的なマッドテレーンとして人気の高いG003とG005ですが、設計へのこだわりはありますか?
小島
G003とG005は企画から始まり市販までに3年の時間を要しました。SUVタイヤのフラッグシップになりえるタイヤですから設計に対して「圧倒的な性能」と「エキサイティングなデザイン」という非常に難易度の高い要求をしました。
吉田
アフターマーケット市場での人気を得るためには、純正装着タイヤとの差別化は大きな課題であり、その中にデザイン性と性能を融合させることを求められました。G003、G005は決して安い商品ではありませんから、せっかく手にしてくれたユーザーをガッカリさせることはできません。ドレスアップパーツのひとつとして、交換したことに感動し、実際に使った時にはハイレベルなグリップ性能を発揮する…。そのリクエストは「タイヤの理想形」そのものですからね。そして、耐久性やデザインを重視するとタイヤ重量が増えてしまう。重量増はバネ下重量に直結してしまい運動性能の悪化につながる。設計サイドとしては重量とデザイン、デザインと性能をどこでバランスさせるのかは悩みのタネでした。
小島
試行錯誤を繰り返して完成した現在のG003とG005は、私たちが企画した「タイヤの理想形」を具現化できたと思っています。4WD・SUVというニッチなカテゴリーではありますが、その中でも絶対に手を抜かず、妥協をすることなく釣り上げたタイヤは、私たちヨコハマタイヤにしか成し得ない作品だと思っています。その証拠に、日本を始め世界各国でグッドデザイン賞やアワードを頂き、評価を得たことは大きな自信になっています。
今回のインタビューでは製品企画に携わる2人のキーパーソンに話を聞くことができ、ジオランダーへの愛情と情熱、そして商品に対する大きな自信を感じた。ヨコハマタイヤが推奨する「ホビータイヤ戦略」を支えるジオランダーは、4WD・SUVを支える重要なアイテムであり、これからも多くのファンを魅了し続けることは間違いなさそうだ。
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