■2021年度上期決算説明会
■中期経営計画「YX2023」
■タイヤ事業戦略
■MB戦略
■人事戦略
■ESG
2021年度年間見込み/配当について
将来見通しに関する注意事項
   
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皆さん、こんにちは。改めまして、社長の山石でございます。本日はお忙しい中、横浜ゴムの2021年度上期決算説明会にご参加頂き、誠にありがとうございます。

これより2021年度上期における中期経営計画『YOKOHAMA Transformation 2023(YX2023)』(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)の進捗についてご説明いたします。

「YX2023」は2021年度から2023年度の3カ年の計画となっており、「Y」はヨコハマ、「X」はトランスフォーメーション、つまり横浜ゴムを「深化」と「探索」で変革する、という意味がございます。

「YX2023」では、我々が強みとして持っている既存事業の「深化」と、100年に1度の大変革期である市場変化の取り込み、つまり「探索」を同時に推進することにより、2023年度に売上収益7,000億円、事業利益700億円という過去最高の業績達成を目指します。そして、2025年度には「GD100」で成し得なかった売上収益7,700億円、事業利益800億円の実現を目指し、過去100年の集大成とすることを目標といたします。

初年度2021年度の上期の売上収益はハマタイト事業を除いて3,039億円となり、年間当初目標に対する進捗率は49%と順調に推移しております。また、年間売上収益の予想については本日、6,550億円へと上方修正いたしました。年間目標達成に向け、下期も全社一丸となって取り組んでまいります。

まず始めに、今後のタイヤ市場についての我々の考えるシナリオをご説明いたします。

タイヤ市場は、乗用車用タイヤなどの「消費財」とトラック・バス用、農業機械用タイヤなどの「生産財」の2つに分かれておりますが、現在のその市場規模はおおよそ半々となっています。しかし、今後「CASE」「MaaS」「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」が浸透するにつれ、個人所有の車が減少し、人や物の移動を支えるインフラ車両の増加が予想されます。つまり、お客様が個人から法人へと変化することで、タイヤ市場における消費財タイヤの生産財化が進むのではないかと考えております。

このようなタイヤ市場の変化に対し、当社は「深化」と「探索」の2つのアプローチによる戦略を推進してまいります。消費財タイヤにおいては「高付加価値商品比率最大化」を掲げ、ウルトラハイパフォーマンスタイヤ、SUV・ピックアップトラック用タイヤ、ウィンタータイヤの3つのカテゴリーに注力し、当社の「ADVAN」「GEOLANDAR」「ウィンタータイヤ」の販売を「深化」させてまいります。一方、生産財タイヤにおいては「コスト」「サービス」「DX」「商品ラインアップの拡充」をテーマに掲げて、市場変化を「探索」してまいります。

それでは、タイヤ消費財について説明します。

「YX2023」では、タイヤ消費財の販売本数における高付加価値商品「ADVAN」「GEOLANDAR」「ウィンタータイヤ」の構成比率を2019年度の40%から50%以上に引き上げることを目標としています。

「ADVAN」「GEOLANDAR」の新車装着の拡大、補修市場でのリターン販売強化、ウィンタータイヤを含む商品のサイズラインアップ拡充、各地域に合致した販売施策を強化いたします。次項以降で、この上期に実施した具体的な内容についてご説明させて頂きます。

まず「ADVAN」「GEOLANDAR」のプレミアムカーへの新車装着です。

「ADVAN」では「BMW M3セダン」と「M4クーペ」、「メルセデスAMG GLB35 4MATIC」などのプレステージカーに新車装着されたほか「BMW iX3」にも採用されました。

「GEOLANDAR」においては「トヨタランドクルーザー300シリーズ」海外仕様向けに新車装着し、トヨタ自動車様から環境性能、オフロード性能など当社の技術を高く評価頂き、感謝状を拝受いたしました。また、日産自動車の北米向けSUV新型「ローグ」では「GEOLANDAR X-CV」(G057)が採用されました。更に加えて、環境貢献商品「BluEarth」を三菱自動車の「エクリプスクロスPHEV」に納入しました。

次にウィンタータイヤです。

今年は、国内向けスタッドレスタイヤ「iceGUARD7」、欧州向けウィンタータイヤ「BluEarth Winter V906」、トラック・バス用スタッドレスタイヤ「904W」、そしてVAN専用オールシーズンタイヤ「BluEarth-Van All Season RY61」と4商品を一気に上市します。

「YX2023」では本年度を「ヨコハマ冬の陣」の年と位置付けており、これらの商品の拡販に積極的に取り組んでまいります。

当社にとって、Motor Sportsは1957年の浅間火山レースから連綿と続くDNAであり、あらゆるカテゴリーのレースを足元から支えるグラスルーツ(草の根)をコンセプトとして行ってきました。この上期では、国内外の88レースにタイヤを供給しており、レースを愛する方々のご期待に応えることで、ヨコハマのブランド価値向上に今後も努めてまいります。

商品・地域事業戦略の要は、各地域の特性にあった商品をタイムリーに拡充していくことです。
この上期では市場にあった「ADVAN」「GEOLANDAR」のサイズ拡大を行い「ADVAN」「GEOLANDAR」、そして18インチ以上のハイインチタイヤを計画以上に拡販することが出来ました。なお、ウィンタータイヤについては2019年に国内での値上げと増税前の駆け込み需要がありましたため下回っていますが、先程の4新商品の投入により、計画達成に向け邁進してまいります。

次に、高付加価値商品の手当てですが、当社は前中期経営計画「GD2020」の時から積極的にMixの改善投資を行ってきており、2018年度から2020年度までのMix改善投資の総投資金額は290億円にのぼりました。また、今中期経営計画「YX2023」では、更に200億円のMix改善投資を計画しております。

これらにより、2017年度に35%であった18インチ以上の生産能力が「GD2020」の最終年度の2020年度には+2%の37%になり、「YX2023」の最終年度の2023年度には+5%の40%になる見込みです。

次に、タイヤ生産財についてご説明いたします。

本年2月に、乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「センサータイヤ・テクノロジー・ビジョン」を発表いたしました。新たなモビリティ需要の変化に対応しつつ、人々の移動を足元から支え、​安全・安心に持続的に貢献することを目指してまいります。8月からは、オリックス自動車様のカーシェアリング事業に車両協力を頂き、タイヤ空気圧の遠隔監視システムの実証実験を開始いたします。

続いて、タイヤ生産財事業の成長ドライバーであるOHT事業についてご説明いたします。

本年1月、OHT事業の強化を目的に横浜ゴムのOHT事業部、ATG、愛知タイヤ工業は「ヨコハマ・オフハイウェイ・タイヤ」の名のもと、グローバルでの事業統合を行いました。その成果の一端として5月には、ヤンマーアグリの農耕用トラクターに「ALLIANCE」ブランドの農業機械用タイヤが新車装着されました。国内農機メーカーへOEM納入するのは約50年ぶりとなります。

また、本日、現在建設中のインド・ヴィシャカパトナム新工場の生産能力を2.2倍に増強することを発表いたしました。本年2月19日に発表しました2025年度の生産能力は当初450t/日でしたが、これにより13%増の510t/日になります。

次に、MB事業の戦略です。

MB事業では、当社の強みであるホース配管事業および工業資材事業にリソースを集中することで、MB事業の成長をけん引し、安定収益を確保できる構造を確立いたします。

ホース配管事業では今後、中国建機メーカーへのOEM納入や補修市場に対応すべく、中国工場の生産能力を3倍に増強する設備投資を進めております。加えて、北海道を拠点とする建設機器・油圧機器の修理・整備を行う古沢商会を買収しました。

ハマタイト事業については、4月にSika AGへの事業譲渡を決定いたしました。譲渡日は11月1日を予定しており、譲渡額は事業価値172億円で合意しております。

「人事戦略」についてご説明いたします。

まず、役員報酬の業績連動強化ですが、短期業績と賞与月数をリニアに連動するテーブルを策定しました。これにより、長期業績に連動する譲渡制限付株式報酬と合わせて2020年度の代表取締役の業績連動報酬の割合は52%になりました。これに加えて、更に中期経営計画の財務目標達成時に支給する中期業績連動報酬制度を本年3月から導入しました。

次に本社と平塚製造所の統合ですが、本年2月26日に旭化成不動産レジデンス、大成建設、芙蓉総合リースのATF特定目的会社と本社ビルの売買契約を締結しました。売却益は208億円でした。この統合に伴い、従業員の働き方改革も継続して推進していきます。2021年度上期の本社出社率は、約3割から4割で推移しております。コロナ対応での経験を踏まえ、在宅・フレックス勤務推進の継続と介護休業制度の見直しなどによるワークライフバランスの改善を進めました。

続いて「ESG経営」についてです。

まずは環境です。

製品の取り組みでは、自動車用エアコンホースの大幅な軽量化に成功しました。独自開発したゴム・樹脂ポリマーアロイを用い、製品重量を従来比約50%削減し、車両軽量化による燃費向上に貢献してまいります。

カーボンニュートラルでは、2030年に向けた行程表を年内に策定し、ますます厳しくなる各国政府やカーメーカーからの環境要求に対応してまいります。再生可能エネルギーについては、ATGのインド2工場で太陽光発電の建設を進めております。また、サーキュラーエコノミーへの取り組みでは、再生可能原料・リサイクル原料について、2030年に使用率30%以上を目指してバイオマスから生成したブタジエンゴムの研究開発などを行っていきます。

そして、2007年から継続している「YOKOHAMA千年の杜活動」では、この上期に2023年度の目標本数106万本を既に達成したことから、目標を115万本に見直しを行いました。

続いて社会です。

2016年に従業員によって設立された「YOKOHAMAまごころ基金」は、社会課題に取り組んでいる団体への支援や災害発生時の義援金などに役立てています。2021年度上期においては、新型コロナウイルス感染症対策支援活動として支援金の寄付のほか、医療関係車両へのタイヤ寄贈などを実施しております。

最後にガバナンスです。

安全で安心して働ける職場を目指し、工場では設備と作業のリスクアセスメントに基づくリスクの洗い出しと低減を進めています。

また、日本赤十字社の「ACTION!防災・減災」に参加いたしました。当社のESG活動は世界的にも高く評価されており、ESG投資の世界的指数である「FTSE4Good Index Series」に16年連続で選定されております。

また国際的な環境非営利団体であるCDPより「気候変動Aリスト」に2年連続3度目の選定をされました。選定リスト入りしている日本企業はわずか53社に限られ、当社はその内の1社となっています。

以上を踏まえた2021年度の年間見通しです。

売上収益は6,550億円、事業利益は515億円、営業利益は735億円、当期利益は575億円を見込んでおります。また、配当金につきましては、中間配当は一株当たり32円、年間では1円増配の一株当たり65円を計画しております。下期についてはご説明した戦略のさらなる推進によって、これらの数字を達成できるよう、全社一丸となって邁進してまいります。

以上が、私からの中期経営計画「YX2023」の上期の進捗報告です。今後とも皆様のご指導、ご鞭撻をどうぞ宜しくお願い申し上げます。ご清聴、誠にありがとうございました。