■2020年度上期決算説明会
■新型コロナウイルスへの対応と上期活動実績
■下期以降の取り組み
   
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皆さん こんにちは、社長の山石でございます。

本日はお忙しい中、横浜ゴムの2020年度上期決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。

私の方からは新型コロナウイルス感染症への当社対応と2020年度の上期活動実績、そして今後の取り組みについてご説明させていただきます。

まずは、新型コロナウイルスへの対応と上期活動実績です。

はじめに、2020年上期の主要マーケットについてご説明いたします。

1月下旬頃より中国国内で新型コロナウイルスの感染拡大がはじまり、3月にはアジア圏、欧州、4月には北米と、厳しい外出規制が行われ、これにより企業活動、消費活動が低迷しました。

国内においても外出の自粛など移動制限や企業活動の停滞から景気は減速し、全世界的に当社の販売および生産は大きな影響を受けました。

続いて当社の生産状況ですが、感染拡大を受け、各拠点で大きな影響がでました。

タイヤの海外生産拠点については、2月に中国当局の行政指導により操業停止をいたしましたが、現在は操業を再開しております。

フィリピン、北米、ロシア、およびインド工場も、行政指導により一時操業を停止いたしましたが、現在は再開しております。

また、タイ工場については4月から6月にかけて、数日間の生産調整を行いました。

MB事業も中国、欧州、米国で行政指導により一時操業を停止いたしましたが、現在は順次稼動を再開しております。

ATGはインドの工場において行政指導により一時操業停止をしましたが、4月中旬以降は順次操業を再開しております。

また、イスラエル工場については一貫して通常通り稼動をしております。

国内工場においては緊急事態宣言後の景気後退による新車需要の落ち込みが影響し、タイヤおよびMBの各生産拠点が4月から6月にかけ、数日間の生産調整を行い、在庫を適正化しました。

次に、当社の新型コロナウイルス感染症への対応についてご説明いたします。

当社はこの状況をリーマンショック以上の緊急事態ととらえ、3月27日の株主総会直後、新体制のもと、速やかに当社独自の緊急事態宣言を発令しました。

まず、従業員とその家族の健康と安全を確保、働き方を見直し、感染を防止することを徹底しました。

そして、固定費の見直し、販管費の削減、設備投資の凍結といった「コスト削減」、さらにコミットメントラインの設定・機動的な資金調達・手元流動性の確保といった「財務基盤の維持」を指示しました。

これを受け、4月21日には緊急事態対応プロジェクトが発足し、削減金額を積み上げ、具体策に落とし込みましたが、5月に入り新車需要の悪化が見込まれましたため、5月25日には緊急事態対応プロジェクトの第2弾を実施し、さらなる販管費の追加削減策を策定いたしました。

これにより、上期では経費90億円、加えて設備投資額111億円を削減いたしました。

財務体質の改善についてですが、昨年末は前年同期比で有利子負債を大幅に削減いたしました。

D/Eレシオは同マイナス0.12倍の0.57倍となり、2018年より取り組んできた中期経営計画「GD2020」の財務目標であるD/Eレシオ0.6倍を1年前倒しで達成いたしました。

2020年上期も新型コロナウイルス感染症による影響はありましたが、強固な財務基盤を維持し、7月上旬に公表された日本格付研究所による当社信用格付は、A+(シングルエープラス)に据え置きとなりました。

また、上期においてはこれまで取り組んできた各事業の強化策の効果が発揮され、主力のタイヤ事業に落ち込みがあったものの、ATG・MBが貢献し、コロナ禍においても黒字を確保することができました。

このような状況下ではございましたが、これまでご説明させていただきました各種施策の効果もあり、2020年度上期の連結業績については売上収益は2,471億円、事業利益は23億円、営業利益は29億円、当期利益は13億円となりました。

続きまして「GD2020」に沿ったこの上期の活動について、簡単にご説明させていただきます。

2020年上期も多くのプレミアムカーへの新車装着を拡大することができました。メルセデスベンツAMG や、BMW各車両に「ADVAN sport V107」が装着されるなど、高性能・高付加価値タイヤを中心に納入いたしました。

チェルシーFCについては、オフィシャルシャツパートナーの契約が終了いたしましたが、7月からは引き続き、グローバルタイヤパートナーとしてチェルシーFCを活用した販促活動を推進していきます。

最後にESGについてですが、2020年3月にタイ天然ゴム公社と「持続可能な天然ゴム調達のための覚書」を締結しました。今後も継続して天然ゴム農園の調査を実施してまいります。

続いて、この下期の当社の方針と取り組みについてお話させていただきます。

まず、2020年下期の活動の方針ですが、販売につきましてはコロナ禍においても積極的な拡販施策を進めてまいります。

そして、生産につきましては需要に応じた柔軟な生産を行い、グローバルでの在庫適正化を進める方針です。

また、財務面では7月末に社債100億円の発行をいたしました。

下期、タイヤ販売の見込についてご説明いたします。

日本の新車用、補修用タイヤの需要は弱いものの、各国と比較すると市場は落ち着きを取り戻しつつあると考えています。

また、新車の生産については北米においては徐々に戻りつつあり、中国では対前年比でプラスに推移するなど、一部地域での回復の兆しも見えてきております。

それぞれの地域の状況をよく注視し、各地域での最大限の拡販に努めてまいります。  

続きまして、下期における取り組みについてお話させていただきます。

タイヤ事業ではまず、ウインタータイヤの販売強化を実施いたします。国内の販促活動では引き続き女優の深田恭子さんをイメージキャラクターとして活用していきます。また、オールシーズンタイヤについても国内で1月に発売した「BluEarth-4S AW21」を引き続き拡販し、さらにジャパンタクシー用に耐摩耗性に優れたオールシーズンタイヤの2021年発売に向け準備を進めます。欧州市場につきましては雪上路面において高いトラクション性能を備えるウインタータイヤ「BluEarth Winter V906」を本年秋に新発売いたします。

次にトラック・バス用タイヤでは下期も超偏平シングルタイヤの積極的な展開を進めてまいります。北米市場においては引き続き商品ラインアップの拡充に取り組み、日本国内においてもトラック用ウルトラワイドベーススタッドレスタイヤ「903W」を投入いたします。また、三重工場でのウルトラワイドベースタイヤの増産投資が完了し、今後旺盛な需要に対応してまいります。

続いてATGです。2016年に買収したアライアンスタイヤグループ(ATG)はコスト競争力を武器に、力強い成長を実現しております。2018年より開始したインド・ダヘジ工場の拡張工事は当初計画どおり、昨年末に1.6倍の能力増強が完了いたしました。

MB事業については耐摩耗性を約40倍向上させたカバーゴムを新たに開発し、海外規格に準拠した高圧ホースに搭載しました。

また、スポーツ事業においては本日フルモデルチェンジした「RS5」シリーズと、新フラッグシップモデル 「PRGR IRONs」を発売いたします。

当社は、上期に続き、下期についてもWithコロナを見据えた対応に全社一丸となって取り組んでまいります。

需要に応じ、工場の効率的な操業を行い、在庫を削減して外部倉庫を最小化し、加えて積載効率をアップさせ、物流費の削減に努めます。また、販売状況に合わせて、販促費・宣伝費の圧縮も行います。

これらの施策を実施し、上期と合わせ2020年度年間合計で170億円の経費削減と183億円の設備投資額削減を進めてまいります。

2017年5月に発生したヨコハマタイヤ・フィリピンでの火災の復旧状況についてご報告いたします。

本年末までに被災した生産能力を100%復旧する計画でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響により復旧工事に遅れが生じ、全面復旧は2021年3月末の見込みとなります。

なお、当初全面復旧を見込んでいた本年末には生産能力の90%程度が復旧する見込みです。

本件についてはお客様をはじめ、関係各位に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしまして、誠に申し訳ございません。

こちらが以上を踏まえた2020年の年間見通しです。

売上収益は5,360億円、事業利益は210億円、営業利益は200億円、当期利益は125億円を見込んでおります。

下期についてはご説明させていただきました活動を実施し、新型コロナウイルス感染症拡大の防止に留意しながら、これらの数字を達成できるよう、全社一丸となって邁進してまいります。

配当金につきましては2020年2月発表のとおり、中間配当は一株当たり32円、年間では一株当たり64円を維持いたします。

本年は中期経営計画GD2020の最終年ですが、現在の環境を考えますと当初目標には遠く及びません。現在、来年からスタートする新中期経営計画を策定しております。来年の2月に公表させていただきますが、今中期経営計画で達成できなかった目標に向け再チャレンジをします。

どうかご期待のほど、よろしくお願い申し上げます。

ご清聴ありがとうございました。