■2019年度決算説明会
■中期経営計画「GD2020」概略
■2019年度活動実績と2020年度の取り組み
   
前へ戻る 次へ進む

皆さんこんにちは、社長の山石でございます。

本日はお忙しい中、横浜ゴムの2019年度決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。

私からは、中期経営計画「GD2020」に沿った2019年度の活動と今後の取り組みについて、ご紹介させていただきます。

まずはじめに、2018年にスタートした中期経営計画「GD2020」について概略をご説明いたします。

この「GD2020」においては、横浜ゴムの強みを再定義し、独自路線を強めた各事業の成長戦略を通じて、経営基盤を強化していくことを表明いたしました。

来たるべき2020年代における、更なる飛躍に備えることが、この中期経営計画の位置づけです。

その成長戦略として、タイヤ消費財事業では、「プレミアムタイヤ市場において存在感の更なる向上」、タイヤ生産財事業では、「オフハイウェイタイヤを成長ドライバーとして、次の100年の収益の柱へ」、MB事業では、「得意分野への資源集中」を掲げて活動しております。

更に、経営基盤の強化策として、「有利子負債の削減や、資産圧縮等の財務体質強化」、
「企業風土の変革」、「リスクマネジメント」といった施策を進めております。

財務目標としてこれらの数字目標を掲げており、売上収益7000億円、営業利益700億円、営業利益率10%を目指して、各々の戦略を推進しております。

それでは、ここから「GD2020」に沿った2019年度の活動実績と2020年度の取り組みについて、ご説明いたします。

まず、2019年度の連結業績についてです。

売上収益は6505億円、事業利益は501億円、営業利益は586億円、当期利益は420億円となり、事業利益は91億円の減益となりましたが、売上収益と当期利益は、それぞれ、過去最高を達成いたしました。

これを受けて、期末配当金は、一株当たり33円と、前回公表に対し2円の増配を予定しており、年間では一株当たり64円となる見込みです。

続いて、タイヤ消費財事業における取り組みをご紹介いたします。

1つ目の「プレミアムカー戦略」においては、2019年12月発売の、ポルシェ「カイエン」に、「ADVAN Sport V105」、2019年11月発売の、トヨタ「CHR GR SPORT」に「ADVAN FLEVA V701」が納入されるなど、ハイインチ高性能タイヤを中心に、プレミアムカーへの新車装着を拡大してまいりました。

2020年においても、引き続き、国内外へのプレミアムカーへの新車装着拡大を続けてまいります。

2つ目は「ウインタータイヤ戦略」です。

日本でも、近年需要が高まっているオールシーズンタイヤ市場へ、この1月よりオールシーズンタイヤ「BluEarth-4S」19サイズの販売を開始いたしました。

また、北米においては、昨年、乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD iG53」、SUV向けスタッドレスタイヤ「iceGUARD G075」を投入しており、いずれも市場から、ご好評をいただいております。

2020年度も、ウインタータイヤの性能NO.1を掲げ、商品開発の強化に取り組んでまいります。

3つ目の「ホビータイヤ戦略」です。

2019年もモータースポーツ、クラシック、オフロード、ドレスアップなど、あらゆる自動車ユーザーの趣味に対応すべく、「ADVAN」や「GEOLANDAR」シリーズをはじめとした「ホビータイヤ」の新商品投入およびサイズラインナップの拡充を意欲的に行ってまいりました。

北米では、多数の新商品投入とサイズラインナップ拡充をはかり、11年ぶりに世界最大規模の自動車用品ショー「SEMAショー」に出展いたしました。日本でも、2020年1月10日から12日に開催された東京オートサロンにおいて、「ホビータイヤ」を全面的に訴求いたしました。

その結果、多数の製品アワードを頂戴いたしました。2019年4月には、SUV・ピックアップトラック向けマッドテレーンタイヤ「GEOLANDAR X-MT」が「Red dot Design Award」を受賞、2019年11月には、「SEMAショー」の「New Products Award」にて、3つの賞を独占受賞し、SUV・ピックアップトラック向けタイヤ「GEOLANDAR X-AT」が、「Best New Tire Winner」を受賞したほか、「GEOLANDAR X-CV」および「ADVAN APEX V601」も表彰されました。また、「GEOLANDAR X-AT」と「GEOLANDAR X-CV」については、世界で最も歴史あるデザイン賞「シカゴ・アテネウム グッドデザイン賞 2019」を受賞することができました。

今後もホビータイヤ戦略に沿った商品開発と販売強化によって、市場での存在感を十分に発揮してまいります。

4つ目は「お客様とのコミュニケーション活性化」です。

当社では、あらゆるジャンルのカーコミュニティに積極的に参加し、イベント、SNS、Webを通じて、カーライフを楽しむお客様との日常的なコミュニケーションの向上に努めております。

当社が主催するファン・コミュニティ「ADVAN club」においても、タイヤ工場見学などさまざまなお客様参加型イベントを企画・開催しており、活動の幅を広げています。製品開発においても、お客様の声を取り入れるべく、先月開催の東京オートサロンでは、「ADVAN NEOVA AD08R」次期コンセプトモデルを公開いたしました。次期NEOVAはNEOVAファンの皆様から大きな期待を寄せていただいており、今まで以上に魅力的な商品にすべく、ファンの皆様と一緒に開発に取り組んでおります。

続いて、タイヤ生産財事業です。

まず、オフハイウェイタイヤ(OHT)です。2016年に買収したアライアンスタイヤグループ(ATG)は、圧倒的なコスト競争力と農業機械用・林業機械用・産業車両用・建設車両用といった、多様な商品ラインナップを武器に、力強い成長を実現しております。

2018年より開始した、インド・ダヘジ工場の拡張工事は、当初計画どおり、2019年末に1.6倍の能力増強が完了いたしました。そして、2019年11月には、農場や舗装路など、路面状況に合わせて空気圧を自動で調整できるシステムに対応した、農業機械用タイヤ「Alliance 398 MPT」が、ドイツの農業機械展において、銀賞を受賞しました。また、2019年12月には、活火山での世界最高地点を目指した、トラック遠征プロジェクトにおいて、オールスチールラジアルタイヤ「Alliance 392 HD」を供給しました。鋭利な溶岩、急斜面、マイナス30°C~プラス35°Cの温度領域など、どんな過酷な状況でも優れた性能を発揮し、プロジェクト成功を足元から支えました。

次にトラック・バス用タイヤです。

2019年3月に、ヨコハマタイヤ マニュファクチャリングミシシッピでは、IATF16949認証を取得しており、継続的なOE納入を実施しております。また、2019年は、北米・日本市場向け商品ラインナップの拡充をはかるべく、商品開発の強化に取り組んでまいりました。2019年12月には、超偏平シングルタイヤ「114R」を北米市場にて発売しております。超偏平シングルタイヤについては、堅調な需要増を見込み、三重工場の能力増強を段階的に進めてまいりました。2020年上期より、設備能力が倍増となる見込みです。

次に、モータースポーツ活動についてです。

2019年も、全日本スーパーフォーミュラ選手権のワンメイク供給やSUPER GTへの参戦など、国内外のトップレースをサポートしてまいりました。

2019年6月に開催されたニュルブルクリンク24時間耐久レースでは、Kondo Racingをサポートし、初出場で、日本車最高位の総合9位を獲得いたしました。2020年は、更に上位を目指し、頑張ってまいります。また、米国では、Porscheが開催するレース「GT3 Cup Challenge」に長年ワンメイク供給を行っておりますが、2020年より、もうひとつのカテゴリである「Porsche Sprint Trophy」にもワンメイク供給を行うことが決定しております。

当社では、今後も国内外のモータースポーツ活動を通じて、最高レベルの技術を追求してまいります。

続いてMB戦略です。

2019年6月に、世界最大の超大型空気式防舷材の納入を開始しました。同事業戦略のひとつである「海洋事業を確固たる世界No.1へ」を引き続き推進してまいります。

スポーツ事業においては2019年4月に「RS REDドライバー」、7月に「NEW SUPER egg 480ドライバー」、9月に「NEW egg 5500 ドライバー」を発売いたしました。

続いてブランド戦略です。

本年1月24日にプレスリリースを配信いたしましたが、イングランド・プレミアリーグ「チェルシーFC」との、オフィシャルシャツパートナー契約については、全世界での「ヨコハマタイヤ」の認知度向上と販売伸長によるマーケットシェア拡大という所期の目標を達成したため、当初の契約通り、2020年6月で終了いたします。2020年7月からは新たにオフィシャルグローバルタイヤパートナー契約を締結し、スタジアムLED、インタビューのバックボードへのロゴ表記などは、継続して実施いたします。海外販路においては、引き続き、チェルシーFCを販促に活用し、販売拡大を図ってまいります。

一方、国内においては、2020年1月より女優の深田恭子さんをイメージキャラクターとして起用し、全国でテレビCMを放映しております。これにより、昨年、一昨年と訴求してきた “雨に強いヨコハマ”の印象付けを更に強化し、確実な販売につなげていきます。

続いて、ESGです。 

本年1月20日に、持続可能な経済の実現を目指す国際的な環境非営利団体「CDP」から、「気候変動 A リスト 2019」に選定されました。
これは、当社の日ごろのESG活動に高い評価をいただけたものと考えております。具体的な取り組みといたしましては、ヨコハマタイヤフィリピンの生産工場に太陽光発電システムを設置し、再生可能エネルギーの使用率を高めました。また、「低燃費タイヤ」に代表される「環境貢献商品」の性能向上とラインナップの拡大を通じて、次世代につなぐ環境づくりに貢献しています。天然ゴム調達においては、2018年度に策定した「持続可能な天然ゴムの調達方針」に基づき、天然ゴム農園での労働状況調査や商流調査を開始しました。

コーポレート・ガバナンス体制においては、公認会計士、M&A有識者といった専門性の高い方々を独立社外取締役に迎え、海外グループ会社の経営者を取締役として加えることで、機能強化、並びに、人材の多様化をはかります。

当社のESG活動は世界的にも高く評価されており、ESG投資の世界的指数、フィッツィー・フォー・グッド・インデックスに15年連続で選定されています。

次に働き方改革です。

当社では「多様な人材活用」「仕事と生活の両立支援」を軸にこれまで取組みを行なってまいりました。

まず、「多様な人材活用」です。現在、当社では、総合職で2割の女性が活躍し、過去3年の総合職採用は平均して約3割が女性となっています。また、スタッフ部門と製造現場において、65歳以上の社員146名、障がい者の方175名が、活躍しております。2019年発足のダイバーシティ推進タスクでは、主にマネジメント層を対象とした「イクボス」や「LGBT」などのセミナーを開催し、多様な人材への理解を深めるための活動を行っております。加えて、社員育成の強化も実施しており、次世代経営者の育成のため国内ビジネススクールのエグゼクティブMBAコースへ社員の派遣を行っています。

「仕事と生活の両立支援」では育児関連制度の拡充の結果、2019年の「育児休業取得率」は女性で100%、男性で62%を達成しております。当社はこれまでに、時間単位有給制度、在宅勤務制度、フレックスタイム制度を導入し、柔軟な働き方を実現するための制度を整えてまいりました。

今後も、労使間の最優先事項として、働き方改革を加速してまいります。

次に財務体質の改善です。

2019年度は、前年同期比で有利子負債を205億円と大幅に削減いたしました。D/Eレシオは同マイナス0.12倍の0.57倍となり、GD2020の財務目標のD/Eレシオ0.6倍を1年前倒しで達成いたしました。

最後に、2017年5月に発生したヨコハマタイヤ・フィリピンでの火災の復旧状況です。 

本件については、お客様をはじめ、関係各位に多大なるご迷惑、ご心配をおかけしまして、誠に申し訳ございません。2018年末には被災した生産能力の50%の復旧が完了しており、本年末までに被災した生産能力は、100%復旧できる見込みです。

以上が、私からのご説明となります。

ご清聴ありがとうございました。