Groover’s Voice vol.2
ベイブリッジを渡りながら聴いた、ボズ・スキャッグスが忘れられない。

横山 剣 (クレイジーケンバンド/ヴォーカル)

クルマを愛し、音楽を愛する人々にお話を伺う「Groover’s Voice」。今回のゲストはその縦横無尽な音楽性と無二のキャラクターで多くの音楽好きを惹き付ける“ィヨコハマ”のハンサムボーイ、CRAZY KEN BANDの横山剣さん!
聞き手/河西啓介(Sound Groover編集長)
写真/三浦孝明

2019.09.02

古い曲でも、自分にとって新鮮に聴こえたなら“新曲”

 

―― クルマに乗るとクレイジーケンバンドの曲を聴きたくなります。「GT」、「太陽のモンテカルロ」、「カフェレーサー」……クルマがモチーフになっている曲も数え切れないほどありますね。
「じっさいクルマの中で曲を作ることが多いんです。走らせてるといろんなメロディや歌詞が浮かんでくる。レコーディングを終えたあとのサウンドの最終チェックも車内でやるのが恒例ですね」

―― やはりクルマの中ではいつも音楽を聴いてるんですか?
「エンジン音が気持ちよかったり、窓を開けてロードノイズを楽しみたかったりで、音楽かけてないことも多いんですけどね。ラジオも好きなんですよ。米軍向け放送の「AFN」とかね。聴いてると「おっ!この曲いいな」なんて出会いがあって。昔は局に電話して「何時何分にかかったこの曲なんですか?」なんて問い合わせたりしたけど、いまはウェブサイトで調べられるから便利です。

―― いまもそうやって、新しい音楽との“出会い”を楽しんでるんですか?
「ですね。おっ、この新しい歌知らなかったな……なんて思ったら10年前の曲だったり、たとえ60、70年代の曲であっても、知らない曲に出会ったら、それは自分にとっての“新曲”なんですよね。聴いてよければ時代も国籍も関係なく、ね。」

 
 

―― クレイジーケンバンド(CKB)の曲はジャンルにとらわれない独自の世界を築いていると思いますが、剣さんの音楽に対するスタンスが表れてるんですね。とはいえ、原点は「歌謡曲」かな、という気もするんですが。
「やっぱり自分が子どものとき聴いてた曲が原点ですよね。歌謡曲はもちろん、洋楽、アジア音楽、映画音楽、民謡までなんでも聴いてました。演歌でもこれはいいなーとか、民謡でもこれはカッコいい、とか。傍から見たらすごく節操ないんですけど、自分の魂に響くというか、刺さるというか、そういうのがあればジャンル関係なくなんでも聴きました。

―― とくに好きだった音楽はありますか?
「やっぱり筒美京平さん(作曲家)のメロディーにはすごく反応しまして、“いいなぁ”と思って買ったレコードのクレジットを見るとだいたい筒美京平さん。平山みきさん、麻丘めぐみさん、いしだあゆみさん、尾崎紀世彦さん……」

―― はい、同世代なので、よーくわかります(笑)。剣さんが車内で音楽を聴くとき、こんなシチュエーションがグッとくる、というのを教えてもらえますか?
「思い出すシーンがあるんですけどね、80年代の終りごろかな、東京から首都高湾岸線で横浜に帰ってくる途中、ベイブリッジをわたるときにボズ・スキャッグスの「ロウダウン」が流れたんです。“お〜、大人になったな”って、思った。もういい大人だったんですけどね(笑)。いまも夕方から夜にかけて、湾岸線を流しているとボズの『シルク・ディグリーズ(ロウダウンを収録した名盤)』が聴きたくなるんです。

 
 

YOKOHAMAとモータースポーツと音楽と

―― 今日、乗られているクルマはキャデラックのATS-Vですね。剣さんというとやはり“アメ車”のイメージがあります。
「ふだんヨコハマの自宅と東京の事務所の往復なんかはこれですね。キャデラックは昔から好きなんですが、このATS-Vは乗り味がいいし、車重が軽いから走りがスポーティー。気に入ってますよ。家族で出かける用にアルファード・ハイブリットもありますけどね。あとはヒストリックカー・ラリーに出るためのオースチン・ヒーレーやランチア・フルビア、レース用のBMWの“マルニ”(2002)やブルーバード510もあります。生産国に関係なく、北米で見てグッと来たクルマなら全部が『アメ車』って気分なんです」

―― 剣さんといえば “ヨコハマ”を連想します。歌詞の中にも頻繁に登場しますよね。ところでタイヤメーカーの「YOKOHAMA」について思い出やエピソードはありますか?
「タイヤの中に顔がある、あの“ヨコハマタイヤ”のトレードマークには、子どもゴコロにインパクトを感じてましたね。それと小学生の頃からサーキットに通ってレース観てたんで、やっぱり “モータースポーツ”、“アドバン”のイメージですね。レーサーの高橋国光さん、高橋健二さん、和田孝夫さん、ドリキン(土屋圭市)もそうだった。みんな“憧れ”のレーサーですよ。

 

―― アドバンといえば、80年代に寺尾聰さんや稲垣潤一さんなどの楽曲をCMソングに使っていましたよね。“ヨコハマタイヤ=音楽”というイメージもあるように感じます。
「そういえば4、5年前に“ゆず”さんの曲がCMで使われてましたよね(2014年、省燃費タイヤ「Blue Earth」シリーズのCMソングに使われた『ひだまり』)。あのCM観て「いいなぁ」なんて思ってましたね」

―― ゆずも横浜出身ですもんね。そうしたらこんどはぜひ、クレイジーケンバンドにCMソング歌ってもらいたいです!楽しみにしています(笑)。

 

ニューアルバムは“港街”がテーマ

―― 8月7日にリリースされたニューアルバム『PACIFIC』のことを聞かせてください。テーマは“港街”ということですが、まさにヨコハマのことを歌ってると?
「ヨコハマはCKBのベースなので常に意識してるんですが、今回モチーフになったのは港にある“コンテナヤード”ですね。昔からコンテナが大好きで、港に行って眺めてたんですよね。赤や緑や黄色のカラフルなコンテナに「EVER GREEN」とか「MARSK」とかロゴが書かれてるやつ。本牧ふ頭で積み上げられたコンテナを見てるうちに、“ああ、これが北米とかアジアに行くんだな、パシフィックをわたって……”と、イメージが湧いてきました。

―― アルバムに収録されている『Tampopo』のミュージックビデオでは横浜の港に並ぶコンテナとともに、湾岸高速を旧いランチアで走る様子が映されてますよね。

 

「あのMVはまさに今回のアルバムを象徴してますね。あんなふうに夕暮れの高速を走るクルマの中で聴いてもらえたらいいなと。“港街”っていうのは世界中の貨物船や人が集まって、さまざまな言葉、文化、音楽が渦巻いてる場所。まさに今回の『PACIFIC』でも、ソフトロック、ニュー・ソウル、ファンク、ジャズ、ボサノバ他、いろんな音楽スパイスが混じり合ってます。

―― そして歌のなかにもクルマがたくさん登場しますね。個人的には『風洞実験』の歌詞が最高でした(笑)。“ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ、ハーレー、ノートン、メグロ、モトグッチ……”。『自動車ショー歌』ならぬ、現代の『バイクショー歌』(笑)。
「テーマは“港街”って言いましたけど、じっさいは曲がありきでね。どんどん録音を進めていくうちに“ああ、これはパシフィックだな”となっていくワケです。今回はCKBのアルバムとしてはちょっと少なめの18曲ですが(笑)、楽しんでもらえると思います。

―― クルマで“ィヨコハマ”の街を流しながら聴きたいと思います。これからも素敵なドライブミュージックをよろしくお願いします!

 

Profile

横山 剣 KEN YOKOYAMA
1960年生まれ。神奈川県横浜市出身。「クールスRC」などを経て1997年「クレイジーケンバンド」結成。“東洋一のサウンドマシーン”を謳う多彩な音楽性で独自の世界をつくりあげる。
8月7日に1年ぶりとなる最新オリジナルアルバム『PACIFIC』をリリース。

カテゴリ

横浜ゴム株式会社
あなたにおすすめの記事