多くの人がクルマで走り始めた、2022年、夏

2022.09.07

今年のお盆も、クルマで東京から実家のある熊本まで帰省した。
 
片道約1200kmの超ロングドライブだけど、以前にご紹介した「1200kmを200km毎に分割して鼻唄まじりに乗り切る作戦」(『人生にも役立つロングドライブの楽しみ方』)で、今回も無理なく走破することができた。

ここ数年、帰省するたびにクルマを使っているが、今回はこれまでと異なる点があることに気づいた。明らかに、クルマで帰省する人が増えたのである(もちろん帰省ではない方もいらっしゃるでしょう)。
 
いつもなら東京を発って、静岡、名古屋、大阪と下って行くほどに、まわりから関東ナンバーのクルマはどんどん減っていって、関西圏を過ぎる頃にはほとんど見かけなくなる。
 
たまに山陽道で「足立」ナンバーのクルマなんかを見かけると、思わず「お互いにガンバローぜ!」と「板橋」ナンバーの車中で呟いてみたりして。
 
それが今年の夏は違った。大阪を過ぎ、岡山、広島を通過しても、まわりには「八王子」やら「相模」やら「練馬」やら、結構な数の関東ナンバーのクルマが走っている。こんなことは今までなかった。関門橋を渡って九州に入っても、ちらほら。
 
走ることが大好きなクルマ馬鹿がいきなり増えた、とは考えにくいから、久しぶりに行動制限が解けた夏休みに、一般の人たちが公共交通手段の利用を控えてクルマで出発した、ということかな。
 
かねてからwith CORONA時代には、移動にクルマを利用する人が増えるのではないか、増えたらいいな(ドライブの楽しさを満喫する人が増える、という意味で)と考えていたので、仲間が増えたみたいで、この夏の発見は嬉しかった。
 
気になるのは、クルマで帰省した皆さんが、ドライブって楽しいな、と実感できたかどうか。「もう、こりごり」なんてことにならなければいいけど。次回からは、ぜひ『人生にも役立つロングドライブの楽しみ方』を役立てていただきたい…。
 
クルマの旅で長い距離を走る時に大事なのは、先を急がないこと。急ぐのなら、新幹線や飛行機のほうが早い。ゆっくりだって走れるのもまた、クルマの大きな魅力のひとつじゃないでしょうか?
 
途中で渋滞に引っ掛かることがあっても、イラついたりせずに。クルマが流れているからと右の車線に移れば、その途端に左が流れ始める… なんて話は、渋滞あるある。
 
イラついて無駄な車線変更を繰り返したり、車間距離を詰めたり、それがさらなる後続の渋滞につながったりする。どうか焦らず、のんびり、クルマでの楽しい旅を。

この夏、ナンバーがらみで気づいたことが、もうひとつ。「わ」ナンバーのクルマが増えた。一般道でも高速道路でも、頻繁に「わ」ナンバーと遭遇する。

クルマを所有することが、ひとつのささやかな夢だった昭和生まれとしては時代の移り変わりを痛感するけど、デメリットとか、リスクとか、コスパとか、そういった物差しをクルマに当てるなら、所有せずにカーシェアで、という選択もわからなくはない。
 
ただ、ゆっくりと走れるのもまたクルマの魅力だとするなら、新幹線や飛行機と違って、時間に束縛されないのがクルマならではの旅とも言えるだろう。レンタカーなら、なおさら旅の時間を有効に楽しみたいものです。
 
山陽道の「足立」ナンバーも「わ」ナンバーも、新しいカーライフのカタチに違いない。多くの人が走り始めた、ということ。大切なのはクルマを所有することよりも、走り出すことなのだ。
 
より豊かな車会(しゃかい)に向かって。


この記事を書いたライター

夢野忠則

自他ともに認めるクルマ馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。

現在の愛車は手に入れたばかりのジムニーシエラと、トライアンフ・ボンネビルT120、ベスパET3 125。

   

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